―本の中に描かれた世界で、囚われた者達の
叫びがそこかしこにて連なる





おいぃぃ!これどうあがいても無理ゲーだろ!
出られる気がまったくしねぇぇぇぇ!!」



やけになっちゃダメですよ!きっと何か
方法があるハズですっ!!」


「…またこの展開か…何をすれば正解なんだ
間違えたら、間違えたらまた…!


「何ブツブツ言ってるネ、よそ見すんなヨ!」







         本の外に在る世界では、世界を壊す因果が
         もれないように封じる陰陽師達の声が響き渡る





         「くそ…奴らはまだ核を見つけられんのか!」


         「屈するな道満!ここで呪力の開放を許せば
         …江戸は、いやこの世は終わりじゃ!








そしてページとページの狭間に紛れて


大嘘つきな彼の 呟きが一つ落ちた





『頼むぞちゃん ダメな父親(ぼく)の
代わりにあの子を救ってくれ…今度こそ





     ――――――――――――――――――――











第八訓 正しい道を選べても幸せとは限らない











もう何度目だろう?この道を行くのは







「…何だって僕ら、こんな疲れてるんでしょうね」


「知らねーよ つーか見慣れねー場所で
見慣れたツラのヤツと妙な茶番やってんだけど

何度も見たような光景に見えるぜ」


「私もネ、何か知らないけど無性に頭痛いアル」





記憶がおぼろげでも 疲れは引き継いでいるのか

三人の顔も生気が抜け切っ…あ、銀時は元から


だが、私達はここで立ち止まるワケには行かぬ





考えろ…どうして結末を変えられないのか







お前、小難しいツラして下痢か?」


「……すまぬがしばらく話しかけるな」


「あんだよせっかく人が心配してやってんのに」


「いつもながらブレずに最低ですねアンタ」





足をくじいた梗子殿を家まで送る道中で


蒲焼殿と会う事やそれを撃退せねばならぬ事も





着いた後の梗子殿の歓迎も、銀時達との夜中の相談も


翌朝見舞いにやって来る啓一や唯碗の様子も


晴明殿がおらぬことを除けば





幾度と無く繰り返したものと全く同じ







「あの子、起きてるといいけど…様子を
見てくるから ちょおっと待っててね?」


「「はーい!」」





二人に呼びかけ 梗子殿が真白殿の部屋へ行き


そして誰もいない室内と、怪文書を見つけて
しばらくの間呆然とへたりこむのだろう





全て、覚えているものと寸分違わず同じだ





真白ー!
お友達がお見舞いに来てくれたわよぉ?」







この先どの道を進んでも、私達を待つのは
いつだって悲惨な道行しかない


力を貸してくれる正直殿も 救う事が出来ない





諦めるつもりは毛頭ないが…どうすれば
答えにたどり着けるのか 皆目見当がつかない





考えろ、足を止めたらそれこそ終わりだ


見つけないとたどり着かないと早く早く早く





「何かを見落としているような気がするんです」


「言われてみれば…私も、うっすらと何か
心当たりみたいなものがあるような気がするネ」





腕を組み、うなる新八と神楽のかけ合いも


どこかで見たような錯覚を起こしている…





ああ頭の中に情報が、音が混ざり合って
上手くまとまってくれない





けど何もしないとまた流されてしまう


マタ何モ変エラレズ終ワッテシマウ







考えろ…考えろ考えろ考えろ!





私達が今まで辿った道に、会った者達と
交わされた全ての会話に


迎えた終わり全てに、戻るための言葉全てに


意味があったのだとしたら…?







「これからどうします?銀さん」


あん?どれ選んだって一緒だろ?なら…」





【中央市役所へ行く】


【少年を起こしに部屋へ】


【子供らの相手をする】