声をかけに行ってから、中々降りてこない
梗子の様子が気になって
ソワソワしている二人に変わって
「僕らが様子見てくるから待ってて」
「あ、ゴメンなさい…よろしくお願いしますね」
銀時たちは二階へと上がって行きます
「ババアの子供ってどんな顔してるだろネ?」
「オレが知るわきゃねーだろ、昨日だって
結局ツラ拝めなかったんだし」
「風邪なのだから仕方なかろう」
ひそひそ言いながらも二階廊下へ踏み入れて
…そこから異変が始まりました
ドアの一つが、開け放たれたままになっていて
「梗子さん!?どうかしたんですか!!」
部屋の中央で…梗子がへたりこんでいました
小さな布団は、子供が寝てたらしいヘコみが
ついた状態でめくれ上がっていて
明るい日差しが差しこむ窓は
大きく開かれています
「おい、一体何があった?」
声をかけられ、揺さぶられてようやく
彼女が反応を示します
「返事がなくて、ドアを開けたら
あ、あの子の寝ていた布団に…これが…」
震える手で差し出されたのは一枚の白紙で
紙の縁には奇妙な文様が入っていて
新聞紙の切り抜きで作られたであろう歪な字が
こんな文章を、形作っていました
幸せに暮らせると思うな
これは天罰だ
自らの罪深さを思い出すがいい
そして 目を覚ますがいい
「これって…犯行声明文じゃないですか!?」
「けど変だな、身代金の要求とかどこにもねーぞ」
真剣に考えこむ四人など目に見えていないかのように
ふらふらと立ち上がった梗子が、部屋の中を
うつろな瞳で探し回りながら
「私の、私の坊や…どこへいってしまったの…?」
弱々しくそう呟きました
「だ…大丈夫ネ!
さらわれてから間もないならきっと無事よ!」
「そうとも、気をしっかり持つのだ梗子殿!」
あまりにも痛々しい梗子の姿を見ていられず
「もしかしたら近所の人が何か見てたかも
知れません!僕、聞いてみます!!」
家に残る組と聞きこみに回る組、それぞれ
半分ずつに分かれて行動して
程なく戻ってきた二人の話によれば
"明け方、この近くで変な馬車が止まってた"
"朝の時間に デカい荷物を持ったヤツが
馬車の影に姿を消した"
という目撃証言があったそうです
「馬車ですか…なるほど、しかしこちらの
怪文書についても気になりますねぇ」
「気になっちゃいますアルか」
「細かいことが気になるのが僕の悪いく
「悪ノリしてないで犯人探ししましょうよ」
どこぞの刑事ドラマばりのコスプレで
小芝居をしていた二人へのツッコミの後に
「お主ら、その衣装はどこから?」
少しズレているのツッコミが入りました
【怪しい馬車を追う】
【怪文書を詳しく分析】
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