「事件の手がかりを調べるなら、まずは
科捜研や鑑識に任せるのが定石アルよ!」
「なるほど、流石神楽だ」
「それTVの知識じゃん!僕ら一般人なのに
そんなコネがあるわけないでしょ!?」
もっともな新八のツッコミへ、異を唱えたのは
「それなら…私の昔の職場に友人がいるの」
にわかに立ち直った梗子でした
「私から頼んでおけば、きっとアナタ達を
通してくれるわ…お願い 真白を助けてあげて」
「あ、ありがとうございます梗子さん」
「後はオレらに任せて、アンタは息子が
帰ってくるまで大人しく待ってろ」
怪文書を手に、四人が紹介された部署へ訪れると
「非常に由々しき事態だ!この程度の事件に
どれだけ時間をかけているのだね!!」
「いやその〜主任は別件で出ておりまして…」
「御託はたくさんだ!これ以上の証拠が無いなら
あの男が犯人で確定だからな!!」
スーツ姿のトカゲ男が奇妙な鎧を従えて
部屋の外へと出てゆくと
ため息をついた白衣姿の近藤と視線が合いました
「あ、君等が梗子さんの言っていた人達?」
「はい…あのー、お取り込み中でした?」
「まあね、主任の放浪癖にも困ったもんだ」
苦笑しながら言う彼へ、横から現れた
白衣姿の幾松が鋭くこう言います
「困ったもんだ、じゃないだろ!いい加減
仕事に支障が出てるんだよ!全く」
「だからこーして、主任が戻ってくるよう
色々手を尽くしてるんじゃないか!」
言いつつ手で示した先には
二本足で立っている犬と、定春がいました
「なぁ、オレら警察犬をこの部署にいれるって
かなり問題があるんじゃないか?」
「しょうがないだろ?飼ってたホウイチも死んで
アンタら二匹は主任のお気に入りなんだし」
呆れたように答える幾松のセリフへ
なおも犬はため息混じりに返します
「しかし物証を調べる際にオレらの毛が
捜査のジャマになるだろ?なぁ定春」
「ワン!」
「連絡はしたし、主任さえ戻れば状況が
打開できるハズなんだが…」
「みなさん、やっぱりもう一度被疑者に
事情聴取した方がいいんじゃないでしょうか?」
指を組んでそう呟く白衣の屁怒絽に、彼女は
不満そうな顔をします
「今更?それにあんな嘘つきの言うこと
当てになるのかねぇ?」
「アンタまで疑うのかよ!オレは信じるぞ
正直さんは絶対に犯人なんかじゃない!!」
主張する近藤を一瞥し、代わりにこう答えました
「とにかく、あの主任が戻ってきたら
しばらくカンヅメになってもらわないと」
一気に相談しづらい空気になって、口ごもる
四人に気がついて 屁怒絽が頭を下げます
「あ、スミマセン…それであなた方は
どのようなご用件でしょうか」
「うぬ、実は「さんちょいタンマ!」
何故止めるのか、と言いたげに向けられる
緑色の瞳と 首を傾げる緑色の鬼に戸惑ってると
黒電話のベルに似た音が室内に鳴り出します
「主任からか!?」
近くにいた近藤がスイッチを入れると
賑やかな歌声が響いて
『やっほー皆、働いてる?』
スクリーンに映された日輪が、楽しげに
手を振って笑っています
「主任!今どこにいらっしゃるんですか!?」
『や〜ゴメンゴメン、ちゃんと証拠持って
帰ってくるからもうちょい待ってて♪』
「主任!しゅに…」
呼びかける屁怒絽の声もむなしく
通信が切られて、スクリーンは
真っ暗になってしまいました
「今の騒音から察するに…ダリーナの
赤白合戦コンサートにいるハズだよ!」
「おいおいおいマズいよ!アレが終わるまで
主任待ってたら正直さんが犯人になっちまう!」
バタバタとあわただしくなる三人と二匹を
銀時たちは入り口でぼんやり見ていました
「これ、日輪さん連れ戻さないと僕らの話
まともに聞いてもらえないんじゃ…?」
「濡れ衣を着せられている正直殿も気になるな」
【正直に会いに行く】
【ダリーナ会場へ】
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