ジーエヌナナ-ハザマ コレコソガカクサレタカギトナル





看守が見守る中、牢屋を歩く四人を





おいおぅうえぇい…ガキがこんなトコに
何しに来やがったぅあぁうあぁぅぅ?」


「帰った方がYO〜身のためだZE!


鉄格子を通して囚人たちが物珍しそうに
眺めては、ひっきりなしに話しかけてきます





「予想はしてましたけど、実際に来てみると
結構物々しいですね…」


「「そうか?」」





何度か獄中体験している銀時とにとっては


凶悪な犯罪者もおどろおどろしい雰囲気も
全く取るに足らないようです





「パンツ男はどの辺りにブチこまれてるアルか?」


「ええと、確か看守さんの話によれば
ここを曲がった一番奥の独房に…」







四人の目が彼のいる独房へ向いたのとほぼ同時に





来ると思っていたんだ、よく来たな?」


中にいるであろう正直があいさつをしたので
銀時たちは目を丸くしました









真正面から対峙した正直は、一見すると
なんだか冴えないそこら辺の中年でしたけど


年頃は銀時よりも若いようにも かなりの年齢を
経ているようにも見えます





本題へと入ると、とらえどころのない笑顔で
彼は身の潔白を主張し始めました





僕は悪くない、ああ全くの冤罪だよ!
偶然パンツ拾った以外は心当たりも動機も無い!」


「それ立派に下着泥棒成立してません!?」


「盗む気は無かったさ、けど届けたら捕まったんだ」


「とかいって本当は
盗む気あったんじゃないアルか?」


ジト目で神楽に問われても、正直は笑って答えます





「鋭いね、考えなかったと言えば嘘さ
けどそれはしない…パンツは心のオカズだからさ!」


「笑顔で何いってんのこの人ぉぉ?!」


「いや、あながち間違いでもねーだろ」


「最低だこの間違い大人共!」





とても囚人と面会人の会話と思えない雰囲気に

輪をかけて空気の読めない発言が加わります





「よもや正直殿は…変態なのか?」


「いやさん、よもやも何もこの人
どストレートに変態ですから」





が、正直はそこで表情を改めて力説しました


失礼な!僕はそんじょそこらの変態じゃない
仮に変態としても変態という名の紳士だろ!」



「「結局変態じゃねーかぁぁぁ!!」」





ツッコミと共に二人分の蹴りが鉄格子を超えて
炸裂し、正直は鼻血を出して吹っ飛びました





げぶぅっ!こ、腰の入ったいい蹴りだ…
出来ればミニスカの女の子に蹴られたかった」


「やかましくたばれド変態!」







彼らのやり取りは他の囚人を刺激したようで





「超うるさい!超超超黙れ!!」


「騒ぐな貴様ら!!」





看守が一括して黙らせて、銀時たちにも
刺すような視線を送っていました







咳払いして、改めて真面目に事情を聞けば





近辺で起こった凶悪な事件に、たまたま同時刻
うろついていた正直へ容疑がかかって


確たる証拠は無いものの 条件は満たしていたので


結果 投獄されてしまったそうです





「ここもパンツ分が足りない以外は居心地が
いいんだけどね…しかし有罪は嫌だなぁ」


「のん気なこと言ってる場合ですか!」


「真面目に答えてくれ、正直殿は


言いかけた彼らを 手の平を差し出して黙らせ





「もしも行き詰ったなら一番下のどん詰まり
探してみなよ?そこに"現実"を知る鍵がある





真剣な面持ちで正直は意味深な言葉を呟きました





「でもソレはあくまで"その時点での現実"
そこんトコ気をつけとくんだぞ?」


「言いたいことが分かんねーヨ」


君等の探し人は、意外と近くにいるぞ」


疑問符を頭に浮かばせながら、なおも
詰問しようとしていた四人は







直後に現れた看守の群れに引っ張られて
鉄格子から離されてしまいました





「無実を喚くばかりか偽りばかりを申して
獄中の規律を乱すその態度もはや許しがたし!」



檻を開け 厳しい口調で年配の看守が怒鳴りつけ





「お前は4時間後、極刑として斬首!
その後にチューブ入り肉団子とする!!」






そう申し付けると、部下に命じて正直を
特別処置室へと連行してしまいました





おいちょっと待て!まだソイツには
聞きてぇことが…っクソ!!」





歯噛みする銀時たちですが、不用意に
暴れるわけにも行きません


どうするべきか逡巡していると





「そこのアナタ達、私にいい案があるわ」


鉄格子の中から、メガネをかけた泣きぼくろ
女囚人がこんな提案をしてきます





「外に今、相方のキャサリンがいるんだけれど
この子が侵入する隙を作って欲しいの」


「それって…脱獄に手を貸せって事ですか?」





否定せず、彼女は言葉を続けます





「侵入さえ出来れば鍵も開けられるし、私なら
ここの構造を理解しているから 連れて行かれた
正直って人を助けることも出来るわ」


「しかし正直殿は無実のハズだ、それが何故…」


「彼、狙われてるみたいね…早く助けないと
このまま闇に葬られてしまうかもしれないわ」






四人の顔色が、一瞬にして変わりました





【正直を助けに行く】


【さっちゃんに協力する】


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