観客の熱狂に包まれた会場でスポットライトを浴び
「MADAOの新曲"屋上フライ・ハイ"でした!
続きましてはMGSボスラッシュの皆さんです!」
どこぞのフォークシンガーみたいな格好に
ダンボールを装着した長谷川が
やりきった顔をして退場して行きました
入れ替わるようにしてキーボードを持った
白い特殊スーツの女性を中心に
額に穴の開いた半裸男やベレー帽のハゲ頭の軍人
宇宙服や迷彩服着た関節おかしい男や
変な触手をうねらせるコート男が次々現れます
「改めて見ると濃ゆい面子ですね」
「見ている場合ではないぞ、私達には
もはや時間がないのだ」
はそう言うのですが
端から見ても異様すぎる集団がピアノに合わせて
踊るさまは嫌でも目を引きます
「ハゲ二人が踊ってるとかもはやギャグアル」
「片っぽくたばりかけのジジイだけどな」
銀時の指摘通り、五人のウチの一人は早くも
激しい踊りについていけずゼイゼイ息を荒げてます
それでも人並みを掻き分けながら目当ての
人物を探すのですが
巧みなピアノに曖昧な関節でかき鳴らされるギター
歌の合間に飛んでくる蜂やら弾丸やら、演出で
吹き上がる爆発やらが派手すぎて
更に喝采が沸き立つので 気が散ってしまいます
「目ぇチカチカして誰が誰か分かんないアル…」
「人混みってのはこれだからいけねぇや」
外人七人が歓声に応えて舞台を降り
「続きましては往年の歌姫・乙姫による
"浦島慕情"です、拍手でお迎え下さい!」
辺りの光量がグッと下がったかと思うと
亀の甲羅を背負っている男の伴奏にのせて
とても巨大なでっぷりとした老婆が、しみじみと
浪曲を歌い出しました
「いい歌だ…兄上にも聴かせたい程だ」
「時間ないって言ったアンタが聞き惚れてて
どうすんですか!?いい歌ですけど!!」
それでも人を掻き分け、ようやく観客の中に
見知った顔を見つけたので
「あ!アレじゃないですか!?」
「よっし、あともうちょい…!」
接近し、四人の手が舞台に夢中になっている
相手の肩へと置かれようとしていました
けど直前で、曲がサビへと達して
演出で上がった眩い花火に目の前が真っ白になり
耳をつんざくような最高潮の叫び声が
銀時たちの足を止めてしまいます
そうして我に帰った時には
会場のあちこちからは火の手が出ていて
生み出される煙と熱、そして騒ぎ出す観客に
かき回されてしまい
「げっ!見失っちまったぞ!?」
あと一歩というトコロで四人は目標の人物を
取り逃がしてしまったのです
火元となっている舞台の袖では
「貴様らの爆発演出処理がおざなりだから
燃え種が残っていたのじゃ!」
「何を!オレの爆発は芸術だ!
むしろ貴様らの老いぼれがしくじったのよ!」
乙姫と巨大なデブ外人が言い争いを繰り広げ
その隣のいまだに煙を上げている筒の側で
貝殻を頭に乗せた老人がぼんやりと立っています
と、そんな両者を
「バカな言い争いやってるヒマがあんなら
とっとと避難しやがれ!作業の邪魔でぃ!!」
血気盛んな女性の消防隊員が叱り飛ばしました
炎の勢いが増していく中、人々は誘導に
従って避難を始めております
「おい!水はまだか!!」
「ダメだ、ポンプが遠すぎる!しばらくは
バケツリレーでしのぐしかない!!」
動ける人物を募り、消防員がバケツリレーを
行なって火の手を防ごうとしますが
燃え盛る火炎は弱まることがありません
「私らも手伝った方がいいアル!」
神楽の意見に、他の三人も依存はなく
近くにいた隊員へと声をかけるのですが
「女子供に任せるわけにはいかん!
ここは危険だ、君達は早く避難しなさい!!」
当然の反応で キッパリ断られてしまいました
【言う通り避難!】
【消火を手伝う!】
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