電話の後、指定された待ち合わせ場所へ
行くように言われた四人が見たのは





「ほ…本当に輪切りトマトだ…」


ビラの絵と寸分たがわぬリアルな輪切りトマト
着ぐるみを来た人でした





「お待たせしました、それではこちらへどうぞ」


え?ちょ、着いてくの恥ずかしいんだけど…」





けれどもトマトぐるみは無視して歩き始めたので


仕方なく、気まずさをこらえながら銀時たちも
その後をついていきました







廃墟のようなビルからエレベーターを下って


通された部屋には、輪切りトマトの集団
ひしめいていました





「間もなくリーダーが参りますのでお待ちを」


「…しかし、異様な光景だな」


「確かにそうですね、よりによって何で
輪切りトマトの着ぐるみなんでしょう?」





どんなリーダーが現れるのか、と待っていると





部屋の扉が開いて…





「さて…我ら輪切りトマト革命軍に賛同して
電話してくれたこと誇りに」


現れた、トマトぐるみの桂の顔面を


銀時と神楽は迷わず蹴り飛ばしました





「ぶっふぉおぉ!?」


桂さぁぁぁぁん!ええい貴様ら何をするか!」


「あ、いやスンマセン ちょっとおたくの
リーダーの顔見てたら足滑っちゃって」


「いや思い切り蹴り倒「足が滑ったアルよ」





なおも何かを言っていたですが、素早く
口を塞がれたのでモゴモゴとしか聞こえません





「そうか、足が滑ったなら仕方がないな
それで聞きたいこととは一体?」


「その…桂さん達が世間を騒がせてるって
聞いているんですけど」


「まあな、しかし我らは決して残虐なやり方を
好んではいないのだ…まずは我が革命軍の
設立から語ろうk「要点だけでいいから」


水を差され、桂は眉をしかめました







事の起こりは隣国のハタ19号とお付きのじぃが
この国の侵略を考えたのがきっかけで


年々こっそりと自国のスパイを送りこんだり


国の人を誘拐して洗脳したり、この国の情報を
操作したりして険悪な状態を作り出し


裏から国を掌握しようと企んでいたのです





けれどもそれが発覚し、憤った人々が


19号政権を倒そうと奮起し どちらの国でも
革命軍が設立されて活発な活動を見せているのです





「我らは穏健派で通しているのだが、国内にいる
19号政権支持者に憤っている者も多くてな」





主に巷で取り上げられる革命軍側の事件は
過激派の人々が起こしているらしく


その中でも特に過激と知られているのが


ナス革命軍の"味噌漬け粛清"だというのです





シンパと思われる者だけでなく、わずかでも
関係していた人間を捉えては味噌ダルに放りこみ
さらし者にしているのだ」


「ヤツらのせいでお上の取り締まりも厳しいし
本当、いい迷惑なんだよなぁ」


「…色々言いたいことがあるんですけど、まず
その着ぐるみをどうにか「大変ですリーダー!」


「どうした!?」





駆けこんできたトマトの一人が血相を変えて言います





「外の広間でナス革命軍の公開粛清
行われております!」


何だと!この近辺は詰所も近い、このままでは
間もなくここが戦場となってしまう!!」








ただならぬ様子で外へと出た桂たちと共に


四人も報告のあった広間へたどり着くと
そこにはたくさんの人集りが出来ていました





棍棒などで武装しているナスぐるみの輪の中央には


台の上に乗った、ナスぐるみの男


「「って将軍かよぉぉぉぉ!?」」





一瞬にしてナス軍団全員の視線が向けられて


思わず銀時と新八が口をつぐんだので


気を取り直してナス将軍はメガホン片手に言います





「この連中はかの憎き19号を支持していた
奴らと関係していた売国奴である!」






指し示された大きな三つほどのタルから


ミソに漬けられた人間の頭が、さらし首
さながらにはみ出してうめき声をあげています





げっ…定食屋のおやっさんだよアレ」


「うっそー!栗子ちゃんが味噌漬けに!?」


「あーアレ確かトムとかいう変な宗教家じゃん
やっぱシンパだったのか、にしてもヒデェな」





集まってきた野次馬のざわめきをヨソに


ナスぐるみの将軍が部下に合図をよこすと





縄で縛り付けられた人たちがナスたちに
連れて来られたようです





「そして、この者達もまた売国奴である!」


「そ、そんなぁ…カミさんの友達が隣国の人
ってだけで味噌漬けなんてイヤだァァァ」


「こんなのチョー横暴なんですけどぉ!?」


涙目で弁明する落ち武者のような男の隣で
ガングロの女も、鼻息あらく文句を言います





「いや、オメーは真空パックでじっくりと
漬けてもらっといた方がうまみが増すだろ」


「ハムの味噌漬けじゃないっつーの!」





両者のやり取りに 若干ヘコたれますが

それでも果敢にナス将軍は声を張り上げます





ともかく!19号政権に与する者は相応の罰が
与えられるのだ!諸君らはそれを目に焼き付け」



「それは本当に君の言葉か?」





捕まっていた人たちの中、発言した男に
の瞳が釘付けになりました





「なっ…正直殿!?


えっ!?あ、あの人がですか!!」





驚く彼らなど気にも留めず、ちょっぴり涙目
ナス将軍が正直を睨みつけます





「何だと?」


「例え国が違ってもパンツの素晴らしさには
変わりがないハズだろ?一部の悪人だけで全てを
悪と決めるのは乱暴じゃないか常識的に考えて」


「売国奴であるだけでなく、我らが首領の
お言葉をも否定するとは…許しがたし!


貴様は極刑"10年漬け"とする!覚悟せよ!」





殺気立ち始める周りのナスへ、正直は言います





待ちなよ、僕が無実だって証明する手はあるよ」


「助かろうと見え透いた嘘をつくな!」


「本当さ、"恐怖!毎回新聞"の配達してる子を
連れてきてくれればいい」


「ソレ悪霊ぅぅ!
てゆうか悪質な嘘じゃねぇかぁぁぁ!」



「貴様らさっきから何だ!?」





ツッコミを入れた瞬間に、ナスが銀時たちへと
目をつけて取り囲みました


それと同時に野次馬の人々は逃げました





将軍!先ほどこの娘が そこの売国奴の名を
呼んでいたのをしかと聞いていました!」


「この男と関係があるという事は…貴様らも
19号政権の支持者か!!」





と、桂たち輪切りトマト集団がナスへ呼びかけます


「待つんだ!それはオレ達トマト革命軍の
客人だ、手を出すのなら容赦はせんぞ!」



「くっ…しかし、この売国奴の関係者ならば
例え同胞であれど敵とみなす!!





まさに一触即発の空気ですが







「今ひとつ緊張感がないアルな」


トマトとナスのにらみ合いだからな…
しっかし厄介なコトになってきたもんだ」


坂田 銀時って、君だよな?」





呼ばれて顔を向ければ、正直はこう言いました





「さっきのは事実だよ?但し心してかかれ
でないと"狭間"にのまれちまうぞ?」


「おいちょっと待て何でオレがテメーの
汚名を晴らす話に「売国奴には制裁を!」





声高らかにそう叫ぶナスたちが、じわじわと
包囲網を狭めようとしてきます





「どうしましょう銀さん!」


っだーもう面倒クセェな!こうなりゃ…」





【新聞配達人を探しに行く】


【問答無用で暴れる】


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