輪切りトマト革命軍に間を取り持ってもらい
ナス革命軍に正直の無実を証明するため
四人は情報を元に
新聞の被害にあっている村へやって来ました
「本当に配達してるヤツなんかいんのかねぇ
てゆうか、スタンドじゃねーだろーな」
「妙な事を申すな、新聞配達は人がやるものぞ」
村に人がいないので、とりあえず付近の住人に
訊ねてみようとドアをノックします
「もしもーし誰かいないアルか〜?」
が、一軒だけでなく二軒目も三軒目も
返事がありません
「そろって留守…なんですかね?」
「なわけねーだろ微妙に物音すっし
絶対ぇ居留守だろコレ、出てこいやオラ」
「やめぬか銀時」
窓をバンバンやっていた彼をと新八が
いさめていると…
遠くからすさまじい地響きと土ぼこりが巻き起こり
「…いてどいてどいてどいてどいてぇぇ!」
見る間にそれは、象ぐらいの大きさの真っ黒な馬に
またがった長髪の女の子へと変わって
「新聞ですよ〜!!」
叫びながらすれ違いざまに彼女は
馬上から束になった新聞紙を投げました
速度と遠心力の乗った新聞紙は、真っ直ぐに
対角線にある民家の窓
の前で立っていた銀時の顔に刺さりました
「ジャストミートっ!?」
「銀さぁぁぁぁぁん!!」
彼らがドタバタしているウチに馬は次々と
村中を駆けまわって
新聞が投げ込まれては、人の悲鳴や窓の割れる音が
散発的に聞こえてきます
そうして…音は遠ざかって行きました
「ようやく行ったか」
呟いて、四人の側にある民家から鉄子が出てきます
「あ、やっぱりいらっしゃったんですね」
「うん…悪かったね、居留守使って」
ペコリと頭を下げて鉄子は 村の人々が
配達人の馬と、新聞の被害を恐れて
この時間帯は家にこもっていると教えてくれました
「手当たり次第投げつけるから、大概いつも
窓が割れたりするんだ」
「そんなとこまで元ネタ準拠!?」
「馬から降りて配ればよかろうに」
「走ってないと死ぬから無理なんだと」
「何で知ってるアルか?」
「いつだったか新聞に挟まってたビラに
書かれてたから」
言いながら、鉄子が新聞を広げていたので
「あ…新聞は普通に読むんだ」
四人もついでに紙面を横から覗きますと
[MADAO、ダリーナにて新曲
"屋上フライ・ハイ"熱唱後 謎の失踪!]
[この中に 仲間はずれがひとりいる]
[頭部をかち割られた変死体、またもや]
などなど、色々な世知辛いことや恐ろしげな
事件が書き連ねられています
特にひときわ目立つのが一面の記事でした
[驚愕!呪いの書は実在した!!]
「呪いの書…?」
詳しく記事の文面に目を走らせれば
毎年ある建物で行われている祭典で、この日
いわくがある本が出回りだして
手に入れた人はもれなく不幸になるという
一文と共に、体験談まで事細かに書かれています
「この場所…村から分かれ道を右に行けば
後は一本道でたどり着けるみたいだね」
気にはなるものの、配達人を捕まえるのが先と
判断した銀時たちは
村人へ馬の行方を尋ね回ります
割れてしまったガラスや破損した箇所は
気がつくと、元通り直っていました
「茂吉だ!茂吉が来てくれたんだぁぁ!!」
「「茂吉ぃぃぃぃ!!」」
どこかで見たことのある小さめの二人組が
声を揃えて叫んでいる真偽はともかく
直してくれた人がいるのは確かなようです
けれども、勝手に投げこまれる新聞への
被害はまた別の問題で
「止めてくんねぇかな、あーいうの」
頭を痛めている村人はたくさんいました
なお、新聞の内容は必ず当たるらしく
「一度ね、一面に乗ってた場所へ行ったら
本当にその通りの事が起こったのさ」
まことしやかに語ったお岩は、記事の場所で
"黒い巨大馬も見た"と話してくれました
鉄子が口にしていた分かれ道の左を指して
「あの派手な馬なら、左の道へ進んでったよ」
お坊さんのような格好の人がそう言うと、近くを
通りかかった村人が彼へこう言いました
「道信どーん そろそろ休憩すっべ」
「分かった今行く」
道の分岐点に残された四人は…
【記事に従い右へ】
【道信に従い左へ】
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