"見なれない子供を見かけた"と言われて
山の麓にある村の入り口へとやってくると
「あの…お帰りになってください」
村人らしき女性にそう言われ、四人は思わず
『はい?』
と聞き返しました
「何も聞かずにお帰りになってください
それがアナタ方のためなんです」
「と言われましても、僕ら この村に来た
子供を連れて帰らなきゃならないんです」
そんな押し問答をしていると
「おおっ!それが今回の人柱だな!?」
横合いから現れた、かなりごっつい筋肉の
ブタ頭やらカッパ顔の男たちが
止める間もなく銀時を胴上げの要領で持ち上げて
「そこのメガネの少年はともかく…
この銀髪は中々だ、連れて行け!」
「お待ちください!その方々はよそ者で…!」
村娘の制止も聞かずに山へと走って行きます
「銀時が拐かされた!?」
「「そうはさせるかぁぁぁ!」」
間髪入れずに追いついた三人の攻撃によって
筋肉男たちは倒され、銀時は救出されたのですが
「こんな事をして無事で済むと思うなよ!?」
「いいか、すぐに人柱を差し出さなければ
この村は跡形もなく滅びるぞ!忘れるな!!」
捨て台詞を吐いて男たちが退散した後
わらわらと現れた村の女集団が、彼らを
広間へと引き立てて…こう言いました
「アンタ方、困った事をしてくれたね」
"おりょう"と呼ばれた女が沈痛な面持ちで
腕を組んで睨みをきかせています
「よりによって人柱を捧げる日に悪魔の手先と
揉め事起こしてくれるなんてどういうつもりだい」
「ご…ゴメンなさい、でも僕ら、子供を探してて」
「子供?なんかの間違いじゃないのかい?
少なくとも村の中にゃ よその子はいないよ」
「そうですか〜あ、じゃあ僕らコレで」
退散しようとする銀時たちですが、彼女らは
それを許そうとはしません
「こうなりゃアンタらにも責任取ってもらうよ?」
こうして始まった おりょうの説明によると
…復活した悪魔が世界のあちこちを渡り歩き
たどり着いた山の中へ大きな館をつくり上げると
麓や山の近隣にある村や町などから
一定期間に 人柱として若い男を差し出すよう
命令したのだというのです
「村や町から若い男、特に美しいと評判の
男はあらかた捧げられてしまいました」
「弟の総ちゃんも、人柱にされてしまったの」
どこぞのドS皇子の面影を感じさせるような
おっとりとした女性が、寂しげに言います
そこで気がついて神楽が手を挙げます
「ちょい待ち、何で野郎ばっか人柱アルか?」
「普通こーいうパターンは村一番の美女とか
若い女や娘が捧げられるモンじゃね?」
その疑問には、髪の毛を二つ結びにした
村娘が答えました
「実はな、悪魔は男を好んで漁っとんねん」
「なにそれ、実はすっげぇ色っぽい
女悪魔とかそういうパターン?」
「言っとくけど、悪魔はこんな奴だよ?」
おりょうがそう言って差し出した絵図には
サ○ソンとア○ンと並んでも遜色が無いような
筋肉モリモリマッチョマンの悪魔が
「変態だぁぁぁぁーっ!!」
新八がそう叫んだのも無理からぬことでした
「頭頂部からのビームで壊滅させられた村や
町も多くて…村の男を差し出すしか私達は
生き残る術が無かったの…それなのに…」
「男達は…悪魔に殺されたのか?」
「死んではいないさ、帰ってこないだけで」
「「え」」
「悪魔の潜んでる館からな、時折男達の
甲高くも切ない悲鳴が聞こえてくるんや…」
「「イヤァァァァ!聞きたくない!!」」
青ざめた銀時と新八がお尻をガードします
「って事だから、人柱と一緒にアンタらも
悪魔の館へと行ってもらうよ?
なーに、運がよけりゃ全員生きられるさ」
「ちょっ待って「よした方がいいと思うぞ?」
そう告げたのは、人柱として控えていた
ぱっとしない感じの中年でした
「正直殿!何故ゆえここに!?」
「なんや知り合いやったの?」
「いいや、けどパンツはキレイそうだね」
なおも何かを言おうとしたでしたが
目で止められて、言葉をのみこみました
「初対面で女のパンツについて聞くなんて
銀ちゃん以上に最低なセクハラ親父ネ!」
「神楽それどういう意味かな?」
「やだなぁ軽い世間話だろ常識的に考えて
それにどっちかというと僕はいい男の
締まった固いケツを包むパンツが好みでね」
一人を除いて全員ドン引きしたので
「嘘さ 僕の言葉を頭から信じるなよ」
苦笑して、正直はそう言い直したのでした
「…巫女様、本当にこの人でいいんですか?」
「仕方ないじゃない、元々の人柱だった
八郎が逃げちゃったんだから」
「姉上、コンサート見に行ったの間違いです」
「結局土壇場でいなくなってるんだったら
どっちだって一緒でしょ?」
双子の巫女がそう言っていたのを聞いて
助かりたい彼らは、口々にこう言いました
「ってことは、八郎連れてくれば私らや
銀ちゃんを見逃してくれるアルか!?」
「そりゃ難しいなーパンツの手縫い職人を
極めるぐらい難しいぞ」
「ならばいっそ悪魔を仕留めればよかろう」
「それも難しいね、パンツを人間にするぐらい」
「テメェ何でもパンツに当てはめねーと
気がすまねーのか?あん?」
「いやだなぁパンツはハメるものじゃなく
はいて愛でるものだろう?あ、痛たたた」
グリグリとこめかみを抉られる正直を眺めつつ
「まあ何にせよ、アンタらがとる道は
二つに一つだ…とっとと決めとくれ」
彼女は、四人へそう言い渡しました
【悪魔を倒す】
【本来の人柱を連れてくる】
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