筆舌に尽くしがたい出来事があったので
全てを語り尽くすことは出来ませんが
この場所へ来るまでに四人が暴れに暴れて
そうして今、正直と行動を共にしながら
脱出を目指しているのは 紛れもない事実です
「やっぱり…右だったんじゃないですか?」
不安からか、そう訊ねる新八の声は
普段よりもずっと弱々しいものでした
「だったら戻るか?オレぁやだぞ、よーやく
あんな針だらけのトコ抜けたってのに」
「…ここも安全じゃないぞ、走れ!!」
正直の声と壁から出てきた無数のノズルに
反応して銀時たちが駆け出して
吹き出る炎をすんでで回避して、繋がっている
部屋へと避難しますが
そこにとてもまがまがしい、大きな赤い字で
と落書きされている壁があることに気づいて
神楽が顔色を変えます
「この壁の落書き、さっきもあったヨ!」
「…やはり堂々巡りしているか」
苦々しいの呟きにかぶせるように
どこかで、重々しい何かが動く音がしました
「また部屋の配置が変わったってのか!
ホントこの仕掛け作った奴殴りてぇぇぇぇ!」
目を吊り上げて銀時が目一杯怒鳴ります
この建物はいくつもの部屋で構成されていて
時が経つごとに変わる配置と、部屋によって
設置されている罠のせいで出られない
…という どこかの映画で見たような
大掛かりな仕掛けとなっています
建物の中には五人の他にも囚われていた人がいて
さまよっていた彼らに会い、時には協力して
行動していた時もあるのですが
「6つの像が並ぶ部屋には気をつけろ!
あの場所を生きて越えられた奴は…いない」
内部について詳しく、長いこと出口を
探していたらしい星海坊主は
たった一人で押し寄せる触手を引き受けて
…それきり、行方がわからなくなりました
「お、オレは生きてBARに帰るカミュぅぅ!」
そう叫んだ小銭型は、我先にと
"美しい平原の見える ぽっかりと壁に開いた
丸い穴"を通ろうとして