どうして…どこで、間違ってしまったのか
走り回っていた銀時達は3時間後
つま先から頭のてっぺんまで
無機質な石壁の中に 生きたままの状態で
埋めこまれていました
「出…し、て
え…」
「た…すけ…」
周りからは、老若男女の区別を問わず
様々な人々のうめき声や叫び声が
耳を澄ませなくとも遠くから、近くから
不協和音となって聞こえてきます
脱出しようと必死でもがいたのですが
神楽の怪力を持ってしても、壁にはヒビの
一つも入ってはいません
「大人しくしましょうよ〜アニキ」
先客として埋まっていた平子が、半分だけ
出ている顔から瞳を向けて呟きます
「こうなっちゃっらたら、もう無駄に
あがくだけ苦しいですし損…
アダダダ!」
「黙れ」
それでもぴょっこり出ている髪の毛を
器用にも掴んで引っ張ってから
歯を食いしばり、身体に力をいれて
あきらめず銀時は壁から出ようと試みます
「ああ…もう、
ダメだ…僕達、ここで
死んでしまうんだ…」
隣に埋められている新八は、刻一刻と迫る
自らの死期にすっかり打ちのめされています
神楽はひたすらに腹を鳴らして
「ラーメン、じゃがバタ、卵かけごはん、カレー
焼肉、スシ、ピザ、おにぎり、すき焼き、カツ丼
ハンバーガー、おでん、餃子…」
もう口にすることの出来ない食べ物の数々を
ただただ羅列していました
は…埋めこまれた位置が悪かったのか
既に息を引き取り、はみ出た作務衣の裾や
三つ編みの端などが見えるだけです
その部分も…もう壁に取りこまれて同化し
灰色の塊のようになっています
「認めぇぞ…こんな、辛気臭ぇ終わり…
大体、
ギャグ漫画だろ原作は…!」
「銀さん…おならするのは止めて下さい」
「力んだら出るもんはしょうがねーだろが」
ツッコミの直後に、神楽からも苦情が来ました
「さっきからクサいヨ…ここは地獄アルか?」
「いや…そこまで言うほどクサくねーだろ…」
少しばかり落ちこんだ様子で呟く間にまた一人
「こんな、トコで…死んで…た…」
どこかから、壁の中へと誰かが入れられて
うめき声の大合唱に混ざります
…その後 銀時達がどうなったかは知りません
けれども壁は完成することなく延々と
作られているようなので
きっと彼らは、今でもそこにいるのでしょう
生きている限り 身動きひとつ取れないまま
絶え間なく続く圧迫感と飢えと乾きによって
もたらさえる ゆっくりとした死を感じながら
逃れられない苦痛と恐怖に歪んだ顔で
壁の彫刻と化した後々もずっと
生きていた時と変わらない生々しさを
保ったまま、腕や足や顔などをはみ出させて
固い壁の中に…
壊されるまで、ずっと
【ED 禍々しい最期】