ジーエヌナナ-ハザマ コレコソガカクサレタカギトナル





長い長いロード時間が終わって





TV画面には、どこかコミカルながらも
とても古めかしいホテルが映っていました





『そーいやこのゲーム、途中で止まってたっけ
待つ間ちょっと進めとこ!


部屋の中にいた啓一がそう言って
一本のゲームを起動させて


コントローラーを操作して、舞台となっている
ホテルを移動しているのですが





何度も同じ所で死んでは


繰り返し繰り返し、セーブしていたところから
挑んでいるのです







けれど努力もむなしく また主人公が死んで





「う〜…ダメだダメだ全然ダメだぜ!
こっから先がムズくて進めねぇよ!!


ついに啓一が、コントローラーをほっぽり出して
ふてくされてしまいました





「音ぇ上げんの早いっつの、ったく最近のガキは
大して何も試さないウチから物事放りやがって」


「じゃあオッサンやってみろよー!」





それならば、と銀時がコントローラーを受け取り


主人公を動かし、敵に会って叫んでいるのを
他の三人も何事かと見たりして





だんだんとTV画面に視線が集中すると







「…アレ?」







四人はいつの間にか、画面の中にあったはずの
古くて怪しいホテルの中にいました





壁にはゲームの中と同じように







読めるような読めないような、意味深な
落書きが書かれていました





「なんでまたこんなトコに移動してるアルか」


「啓一と唯碗はおらぬようだ」


がそう言い終えると





どこからともなく、耳慣れない声が聞こえます





<さて、君達がやって来た事がホテルの住人に
バレてしまったようだ>



「誰だ!」





問いかけに答えることなく、廊下には
馴れ馴れしい声だけが響き続けます





<彼らのゴハンにされる前に、かわいそうな
お友達はホテルから出られるかな?>








そうして、辺りが静かになると


不安そうに、新八がこう口にします





「これって…銀さんがやってたゲームと
同じような状況ですよね?」


「だな、ってことは…」


振り返ったのが合図だったかのように





廊下の角から、巨大な包丁を両手に持った
血まみれコックコートの信女が飛び出しました





「四人もいれば、食いでがありそう」





ぽつりとそう呟きながら


次の瞬間、ものすごい速さで彼らへ接近


「「「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」





けたたましい悲鳴を上げて、全員その場から
回れ右して逃げ出します


もちろんコックは高めのコック帽を落とさずに

速度も緩めず追いかけてきます





「色々ツッコミたいですけど、とりあえず
いつになくあの人怖いです!!


とって食う気しか感じられぬな」





何度か追いつかれかけながらも、木刀や
槍や傘の銃でどうにか包丁を防いで





ある部屋に逃げこむと彼らは手近な家具などで
バリケードを作って一息つきました





「ど、どうにか撒いたアルな…」


「いやいや油断は禁物だよ?」





いつの間にか隣にいた男に、度肝を抜かれ


とっさに攻撃しようとした銀時たちは


「おっと!僕は敵じゃな「正直殿!?」そう
よく僕の名前を知ってたね〜ビックリ!」





その男が"正直"であることと、彼がずっと
このホテルを逃げ回っていることを聞きました





「この階はヤツの縄張りらしくてね、逃げても
隠れ続けてもいずれ見つかってしまうぞ」


「そんな…出られる方法は無いんですか?」


「ぶっちゃけ望みは薄いが、逃げ続ければ
きっと助かるだろう…いいかい?行き止まり
ぶち当たったとしても歩みを止めるな」





バキャリと派手な音を立てて、ドアが吹っ飛びます





破片にあたって正直は足を怪我しました





「ま、正直さん!!


「君達はここを出る事だけ集中するんだ!
僕に構うことはなく先に進め、さぁ!!





迫る信女コックを突き飛ばし、銀時たちは
その場からダッシュで離れます





「逃がさない」


「…追って来たぞ!もう迎え撃った方が」


ダメだ!ゲームじゃアイツ不死身だった!」





コックに追い立てられるようにして四人が
行き着いた先には





封鎖されているドアが手前にある


大穴の開いた通路でした





「い、行き止まり!?


「ヤツがもうすぐそこまで来てるヨ!」





【封鎖されてるドアをこじ開ける】


【床の大穴へ飛びこむ】


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