着地して、あたりを見回してみれば


チューブや配線コードが壁や天井などを縦横無尽に
這い、ところ狭しと機械が置かれた場所にいました





「一体どうなってるネこれ」


「これまでもさんざん破天荒な事が起きまくったし
もう何が来ても驚かねーぞオレぁ」


「しかし…なんとも言えぬ場所だ、ここは
どこかの天人か外国の者の基地だろうか?」


「うーん、どっちかっていうとターミナルの
内部みたく見えるような」





ほんの少し前までいた空間とは打って変わって


近未来を漂わせる、けれども見慣れたモノに
近い風景にかえって四人が落ち着いていると





「ここへ来るなんて…あなた達とても
やりこんだクチですか?」


片方の羽が千切れた、包帯を巻いた女性
浮きながら近づいて来ました





「それとも行動してたらたまたま見つけました?」





そう言いながら青白い顔で微笑まれて


むしろ引く万事屋トリオでしたが、
逆に無表情ながらも関心を示していました





「羽の生えた天人、いやお主が天使か?」


「天使だね〜堕天使も真っ青な天使だがな」


「なるほど、しかしその怪我はいかがした?
もしや三途へ参ったのか」


「優しいんですねアナタ…私みたいな汚れきった
アバズレを労ってくれるなんゲボァ


血を吐いたぞ!手当をせねば」


「話進まない!もう黙っててぇぇぇ!!」





表情変えずに戸惑うへそう言ってから


引きつった顔で銀時が聞き返します





「そ、それで…ここどこなワケ?」


「どこって…デバックルームですけれど」


「「「デバックルームぅ?」」」


「そうなんです〜…書いてあるでしょ?
"デバックルーム"って」





指されて彼らが振り返ると、天井から降りた
モニターへ大きく"デバックルーム"と映されました





「ああそう…で、デバックルームって何?」


「それは」







ガクリ、と急に地べたへと落下して
糸の切れた人形のようにグッタリした彼女に代わり





「霊子ちゃんはしばらく休んでいて、ここからは
私が変わって案内しますね?」


芋虫のような身体へ美しい女性の頭をつけたような
一種不気味なモノが


同じように浮かびながらやって来ました





「あ、あなたは…パンデモニウムさんんん!?


「知り合いか?新八」


、聞かなくていいアルから
もうちょっとだけ黙っとくヨロシ」





口を閉じた作務衣少女と顔を赤く染めている
メガネ少年とをまるっと無視して


パンデモニウムは説明を続けます





「この場所はある意味で色々な世界や場所に
繋がることの出来る異空間…言うなれば世界と
世界の"狭間"の一つみたいなモノですね」


「そりゃまたSFというかご都合主義なトコだな」


「訪れる方は滅多にいないんですけれども
それでも稀に、皆さんのような方が現れるんです」





本当なら四人を元いた所へ戻したいけれど


装置の不調と時空が不安定なので、すぐには
実行することが出来ないそうです







「装置ってあれアルか?何かキレイね!」


青い光を放つ円形の台座を見て、神楽が
とても楽しそうな声を上げます





「光ってるのは三つか、どっかに繋がってんの?」


はい、それぞれ時空が安定している世界に」


「と、飛びこめばワープできるんですか?」


「出来ますよ?けど一時的に安定している
だけなのでオススメは出来ませんけど」





これまでの事を考えると、うかつに進めば
ロクな目に合わないと理解しているので


四人はついつい二の足を踏んでしまいます





しかし戻れるといっても、先程までいた
場所も安全とは言いがたいし


戻ったとしても面倒が待っています





「もしも安定するまで待つなら…私とコタツに
入ってのんびりしませんか…?」


「「「遠慮します」」」


不規則にケイレンしている彼女と肩を寄せ合って
コタツで待ちたくないのも


銀時たちをワープ装置へと選ばせた要因でした





【老舗旅館・仙望郷へ】


【二年後の世界へ】


【南国の軍事基地へ】


[19]