【 ― チャプター2 ― 】








【*分岐点を中心に 氷が張った三叉路に
差し掛かったアナタへサンズが声をかけた】





「よう、一つ大事なことを教えとくぜ」


ほうほうソイツは助かるね





「パピルスはスペシャル攻撃を使ってくる」


「スペシャル攻撃?」


「そうだ、もし青い攻撃が来た時は
動いちゃいけないんだ」





ああ、さっきのひょろ犬みたいな攻撃か


出来たらソイツはもっと前に教えてもらいたいね





「いい覚え方が「わかったありがとう
青なら「とまれ」だね?」


先読みして言ってやると

チビ骨はちょいと面食らった顔をした





「そう、その通りだぜ…お前さんは頭がいい」





分かり切った説明も省けた所で分かれ道にいる
雪だるまは無視して、東の方へ直進っと







「兄ちゃんは、本当にナマケモノだっ!」





【*意味ありげな スペースの雪原を挟んだ
向こうでパピルスがサンズに怒鳴っている】





振り返ると向こうの通路にいたハズのチビ骨がいねぇ


ちょうど森が途切れて両端が切り立った断崖に
なってんのにどうやって先回りしたんだコイツは





それより!さっきのニンゲン!
オレさま アイツのこと、知ってるっけ?」


「いや…オイラに聞かれても
…自分で分かんないのか?」


いやいやいやいやいや!分かんないわけないでしょ!
兄ちゃんが分かってるか、カクニンしただけ!」





おお?コイツもトリエルママみたいに
ぼんやりと記憶があるパターンか?





「オレさまは自分がなにをハアクし
なにをハアクしてないかちゃんとハアクしてる!

…というコトをハアクしているのだ!」


つまり何も分からねぇ、と





ウヒョウ!
ウワサをすれば、ニンゲンが来たぞ!」



OH、こっちに気づいちまったか





「ここは通さん…オレさまたちはパズルを
いくつかしかけてやったのだっ!」





その内の一つは、目の前にある「透明な迷路」だとか





「このメイロのカベにふれると…このオーブから
強力なデンゲキが発生するっ!」


【*言いつつ パピルスが手のひら大の
青いオーブを取り出した】





そりゃまた魔法の仕掛けっぽくて楽しそうだな





「どうだ、すばらしいだろう!もっとも…
キサマにとって、これは悪夢の始まりだ」


「わーそれは怖いなー」


ハッ!ヨユーをかましていられるのも
今のウチだ!はーい、それじゃ進めー!」





期待してるトコ悪いけどなーデカ骨くん

俺、この後の展開思い出したんだわ





【*アナタが 苦笑しつつ一歩進むと
オーブから電撃を受けてパピルスが一瞬焦げた





「兄ちゃん!なにやらかしたのっ!?」





いやいや責任転嫁すんなよ





「そのオーブ…ニンゲンに持たせないと
意味ないんじゃないのか?」


「ああ、そっか」





言われて納得したデカ骨は、そりゃもうクッキリ
足跡つけて俺の前まで歩いてきた





「はい、じゃーこれ持ってちょうだい!」


「わかった」





受け取ったのを見て猛スピードで足跡辿って
兄貴の元へ戻る、念の入りようといったらもうlol





すごい!カタツムリみたいにツルツルとっ
こんなにあっさりクリアするとはちょこざいなっ!」





だが次のパズルはチビ骨考案のモノで甘くないそうな





「キサマはマチガイなくトホーにくれる!」


「そんなに難しいの?」


うん!オレさまならマチガイなくトホーにくれる!
覚えとけーニャハハハハ!!





大笑いしながらムーンウォークで退場していった
デカ骨を見送ってると、チビ骨が近づいてきた





「ありがとな…おかげでパピルスのヤツ楽しそうだ」


「こっちも楽しいよ(ハタから見てて)」


「そうそう、アイツが着てるコスチュームだけど
数週間前の仮想パーティー用に作ったんだ」





それ以来ずーっと着てる上に「バトルボディ」
呼ぶほどお気に入りのカッコらしい





一点物のオーダーメイドを大事にするのはいいが


汚れや破損のリスク、修繕の手間ヒマかけてまで
着続ける神経ってのは俺には分からねぇな





「ホント…パピルスってクールだろ?」


「そうだね」





まあ兄貴の前でわざわざ言ってやることでもねぇがな







【*道の先で アナタは買ったナイスクリームを
食べながら突き当たりの小屋へと向かう】




「キッズだし、初見のお客さんだから」


っつー感じで補助用のスプーンスティックまで
ワザワザ添えてもらったアイスをちょいちょいパクつき





「ねぇ、ボクの帽子 どう?」





やたらと帽子が目立つ小人もどきのウザい視線を無視して
二つ並んだ小屋の周辺をチェック





「あのひょろ犬の小屋と似た作りか」





看板には"ニオイの危険レベル"がどーのとか
書かれてるし、二体ぐらい犬型モンスターが出そうだな





この先は通れねぇから引き返してっと…


おいチビ骨いつの間に来やがった





あれ?また会ったね」


「そうだな、ナイスクリーム屋がそこにあるし
オイラもおかしを売ろうかなって考えてたんだ」





ゲームの設定とはいえ、お前はミッ×ーか何かか





「いいね、キャンディーとか?」


「いいや「フライドスノー」だ 安くしとくぜ?」


「…現物を見てから考えるよ」


「悪いな スノーだけに溶けやすいから
即断できないなら売れないんだ」


ハハハ〜そりゃ残念だぜ





雪玉を蹴って穴にブチ込み小銭を手に入れつつ
南下した先へと進めば通路の先にホネ兄弟





おいニンゲン!カクゴはできてるだろうな…」


「うん、それでパズルはどこかな?」





俺の目には何も見えねぇな〜一枚の紙切れ以外は





「兄ちゃん!パズルはどこっ?」


「そこにあるだろ?地面に
まあ見てな コイツを突破できるヤツはいないぜ」





どれどれーどんなパズルかな…


【*補助用スプーンを咥えたアナタが 地面のパズルを
見ると「モンスターキッズ文字探し」と書かれていた】





子供だましとしても、もうちょっと粘れ


選択肢に手抜き混じってる上に答えになってねぇー





兄ちゃん!素通りされちゃったよっ!」


「おっと?やっぱり今日の新聞のクロスワードを
用意した方がよかったかな」


「なにぃっ!クロスワードっ!?」





あまりの手抜きっぷりにデカ骨くんもお怒りです





「オレさまに言わせれば…ジュニアジャンブルより
むずかしいものはないっ!」



そっちかよ





「お前本気で言ってんのか?アレ赤んボーン向けだぜ」


「そんなわけあるか!」





【*サンズへ 抗議していたパピルスが
キッ!とアナタの方へと向き直った】





ニンゲン!キサマはどう思うっ?」


俺にはどっちも退屈しのぎにすらならねぇよ





…まーチビ骨が意味ありげな視線を送ってるし





「ジャンブル、かな?ハ!ハ!やはりな!
ニンゲンはかなりかしこいようだっ!」






食い気味に言うほど喜んだ挙句、言いたいだけ
言ったデカ骨は笑いながら走り去ってった





「…「ジャンブル」って言ってくれてありがとな?
パピルスのヤツ、昨日は星占いを解こうとしたんだぜ」


「それはまたレベル高いね」





ホロスコープは法則性があるらしいがな、専門外だが







【*アナタは 凍りついたスパゲティが乗った台と
レンジと書置きがある広場へ出た】





あるハズのセーブポイントは見当たらない


代わりにスパの隣には





[おい、ニンゲン!このスパゲティを食べやがれください]


これが足止め用の罠だとご丁寧にも書かれたメモがある


しかし肝心のスパゲティが凍りついてて取れない上に
コンセントの繋がってねぇレンジでどうしろと





【*アナタがレンジを 眺めていると


ほんの一瞬だけ黒い裂け目のようなモノが見えた】





なんだ今の?モザイク…とは違ぇな


アイスの屋台があった辺りの雪の塊で見た
隠しカメラとも似つかない





…ああそういやアイス食い終わってたわ


ついクセで咥えっぱなしのスプーンスティック
捨てようと口から取り出すと、どっからか視線が





「ヘッヘッヘッ…」





剣盾鎧を装備した犬ナイトがいやがったので
ソイツに向けて投げてみると スティック追っかけて消えた


なるほど犬なら棒っきれも有効だな







【*進んだ先の トゲの仕掛けを解除する
隠されたスイッチを押してアナタは橋を渡った


行く手に 斧を持つ黒づくめの犬が二匹迫ってくる】





「なんかニオうっス」 「ニオイの元はどこサ?」





この世界の人狼系は制止したモンが見えないのかね?





「ふぅむ…ニオイの元はここっス…
何だかとても排除したくなるっス」


「…排除してやるサ!





言いながら犬カップルが青と白のハートを無数に飛ばす





「うおっとっと」





間隔を見極めつつ 手持ちの棒切れを…





「とってこーい!」


「なんスか!棒っス!!」 「棒なのサ!!」







おっし夢中になってる今の内に失礼しますよーと


【*アナタが 真横を通ってもイヌッスとイヌッサは
棒にしか興味が無いようだ】





ここまで離れりゃ大丈夫だな、あの斧を使われたら
面倒だったからよかったよかっ…





またあの"裂け目"が見えた


しかも犬カップル二匹とも 別々の位置に、だ





あ!ニオイがあっちに移動してるっス!」


ホントだ!移動してるのサ!」





やっべ気づかれた、と思った直後


犬カップルが仲良く棒切れ持ちながら器用に全力疾走





そして…俺へ棒切れを差し出した





ヘンなニオイの犬!遊んでくれてありがとっス!」


「ヘンなニオイだけど、アンタいいヤツなのサ!」


「ヘンなニオイは いいことの前触れでも
あるんスね…」


「棒切れ遊び とかサ!」





反射的に棒を受け取ると 犬カップルはお互いに
イチャつきながら去って行った





「…"フラッシュバック"だけじゃあなく
妙な"裂け目"にも頭を悩ませる羽目になりそうだな」


【*アナタは 頭を掻きつつ先へと進んだ】









行く先々で、パズルと一緒にデカ骨が待ち構え
トゲの仕掛けが進路を塞いでいたが


大して悩む仕掛けでもねぇからサクッと瞬殺





なにぃっ!オレさまのワナをどうやってカイヒした?
しかし、それより聞きたいことがあるのだが…」





パズルで足止め企んでる割には当人のショックは少なく





「オレさまのスパゲッティ、オレさまの分のこってる?」


「残ってるよー」





むしろ関心は(残さざるを得なかった)パスタや





「最近、兄ちゃんがくつしたをコレクションし始めた
なげかわしい…」


どことなーく親近感がわくチビ骨の生活っぷりにある





だがこのデカ骨、やたら底抜けにポジティブで





「心配にはおよばん!マスターシェフパピルスさまが
またいくらでもパスタをゆでてくれるわっ!
ハハハハハハハハハャニ!






食えなかったパスタを"自分の為に残した"と解釈し





「オレさまは時々思う…

オレさまみたいにクールな弟がいなかったら
兄ちゃんはどうなってるだろうな…ニャハハ!


自分のよい弟っぷりを誇らしげに胸を張って語る





更には待ってる間にパズルに手を加えたと言った直後





心配するなっ!ニンゲン!
いだいなるパピルスさまが、このナゾを解いてやる!」






仕掛けた本人が"一緒に先へ進もう"とか言う始末


…まぁその後、一人で挑戦してくれ的なコト言ってたが





「さてはキサマもオレさまみたいにパズル大好きだな!
それならきっと、次のパズルも気に入るはずだ!


「どんなパズルか楽しみだなー」


「キサマにはカンタンすぎるかもしれんがな!

ニャ!ハハ!ハハハ!」






もうパズルよりも、コイツとの会話と表情の
バリエーション見るのが楽しいわ


次は何してくれんだろなー





「あっという間に解いたな、お見事だぜ


「ビックリするから急に現れないでよ」


「悪い悪い、オイラそこの木のカゲにいたんだ
基本的になんもしたくないから」


の割にはやたらと先回りが得意なようだがな





【*肩を竦め アナタがやや狭まった道を歩くと

小さな橋の先に不思議なタイルが敷き詰められていた】


で、対岸にはお約束のホネ兄弟と妙な機械





「この灰色のタイルは…」





俺の意識はがんばって説明してる仕掛けよりも

側の機械と発明した"アルフィー博士"の名前


そしてまたも見える"裂け目"にあった


意識してると、何度か見えるようになってきた
その"裂け目"はよーく目を凝らすと


黒の中にチラチラと緑色の何かがいくつも光って見える





アレは文字、数字、いや…待て待て







「…どうだ!わかったかっ!





【*パピルスに 呼ばれてアナタは我に返った】





おい!聞いてたのかニンゲン!」


「あっ、ゴメン聞いてた聞いてた
大丈夫分かったよ」


「よし!ではサイゴに大事なことを教えよう」





バレずに誤魔化せたな、よしよし





「このパズルは…完全にランダムに組みあがるっ!」


「うわースゴイなー」





色々と盛り上げてくれてるが先の展開を知ってると
巻きでいってほしいと言いそうになっちまう





ニャッハッハ!いくぞっカクゴはいいか…!」


【*仕掛けが作動し タイルの色が変わっていく





…アナタの目の前に、カラフルなモザイク迷路が現れた】





「…え?」


「さあ!がんばってくれっニンゲン!」





デカ骨はニコニコしてやがる





おいおいマジか、本来ならここは"赤に挟まれたピンク"
安全に通れる肩透かしの茶番になるハズ





セーブポイントの件といい バグの影響か?





どうしたニンゲン!大丈夫だっキサマなら出来る!
オレさまはそう信じてるぞっ!」



「問題ないぜ、ただのパズルだろ?」





…悩んでも先には進めないしな、前進あるのみか
幸いにも一歩目は安全なピンクだ





【*アナタが一歩踏み出した直後 足元のパネルが
紫に代わってツルリと滑っていく】



っウソだろ!しかも到着先はピラニアまみれの
青タイルとすぐ側に黄色タイルのコンボじゃあねぇか


クソが!直前で倒れ込めば回避出来ねぇか…!





【*アナタが 身体を進行方向へ傾けながら
伸ばした指先が水面の"裂け目"へ触れた


微かに動いた指先に、タイルが連動して変色する







頭から水面へ投げ込まれるかと覚悟した





次の瞬間、俺はうつぶせにタイルへ倒れ込んでいた


「うぶっ!」


「ニャッ!?パズルの色が変わったっ!

ニャッハッハハ!ラッキーだったなっニンゲン!」





痛む顔面をさすりつつ顔を起こせば、デカ骨が
くるくる回りながら退散してくのが見える





辺りのタイルを確認すれば


色は本来なるハズの "赤に挟まれたピンク"だった





「おい、顔は平気かニンゲン」


「なんとか…」





期待してなかったがチビ骨は微動だにしねぇ





「そりゃなによりだ、顔がつぶれちまったら
コツてりしたスパゲティを食えなくなるからな」





ジョークを言うヒマあんならせめて心配する素振りぐらい
してくれてもいいと思うんだがな?





「スパゲッティといえば道中にあったアレ…
パピルスにしては上出来だったんだぜ?」


「お手製って言ってたもんね」


「ああ、料理習い始めて大分上手くなったんだ
あの調子なら来年には食べられるモンが出来るだろうよ」





ソイツは将来有望だ、今まで聞いたジョークじゃあ
一番面白いぜ?クソッたれ












[     LV1   ■■■■


    アルフィー博士のパズルの道  ]