□未知との遭遇





古い社の前に、一人の少女、が居る。


「なんだろ…?コレ……?」





学校に遅刻し掛けたから近道をしようとして、
普段は通らないような森を通ったら、
道に迷ってしまった。


そして我武者羅に進んでいる内に、
偶然たどり着いた古ぼけた社。





「新手の携帯ゲーム機かな…?いやでも…
何でこんなボロッちい神社にあるんだろ?」







そのボロッちい社にあった、この変な機械の様なもの。


青と白のカラーリングで、持ちやすい様に
グリップが付いている。


機械の中央には、小さな液晶画面が付いていて、
一昔前に流行ったデジ○ンやらたま○っちやらを彷彿とさせる。





「コレどーなってんだろ…?」









どうにか動かそうとして、ポ○ットピ○チュウ(古っ!?)みたく
振ってみたり、ボタンはないかと弄くってみたり、


壊れているのではと思い壁に向かって投げつけてみたり、
電池切れなのかと思い開け口を探してみたり。














「ん…?あれ…ええええーーー!!!
なんじゃこりゃーーーーー!!!!!!!!」


変な機械を弄くり回すこと夢中になっていて
気付かなかったが、いつの間にかよく分かんない空間にいた。





真っ白な空間が何処までも続いていて、
そこいら中が障子だらけだ。









「どうなってんの!?どうなってんのっ!?も、もしや
此処は天国!?私ってば go to heavenしちゃったの」


『あのー…』





「ああっ、若くしてこの世を去る私は
なんて悲劇のヒロインなの?」


『すみませ〜ん…』





「神様、せめて死ぬ前にフカヒレと燕の巣と
トリュフとフォアグラとキャビアと
松茸が食べたかった…」


『聞いてやすかい…?』







「ちょっとさっきから誰よ!五月蝿いわね!
人が天国に来ているかも知れないときに!!」









さっきからチョクチョクと私の悲劇に
割り込んでくる奴が居るので、声のした方に振り替える。





「へ…?」











開いた口が塞がらない。


振向いた先に居たのは、障子越しでシルエットしか
見えないとはいえ、どうみても人間には見えない。





所存、犬の獣人と言ったところだろうか?









『やっと気付いてくれやしたね。今まで色んな闘神士と
契約してきやしたが、初っぱなから無視されたのは初めてでさぁ。』





「…闘神士…?契約…?え…なんなの?
此処どこ?天国じゃないの?」







よく解からない単語に、頭の回りに?が大量に浮かぶ。
私は若くして天国にいくハメになった、
悲劇のヒロインじゃないの?(しつこい)


しかし相手の方はさっきのお返しとばかりに、
さらりと無視して話を進めてしまう。





『じゃあ、契約しやすからあっしの名を呼んで下せぇ。』


「け、契約?つーかアンタの名前聞いてないわよ。」







やっぱりコイツの言ってることの意味が全く解からない。
まあ、なんとか自分のペースを取り戻すことが出来たし、
頭の中を整理してみる。









――え〜と…、私はあの変な機械を弄くってたら、
いつの間にか此処に居たのよね…。


じゃ、じゃああれは壊れた液晶ゲームなんかじゃなくて、
この変な空間に来て、あの変(酷)な奴と契約やら
ナンタラする為の道具って訳かしら…?――





とりあえず、ついさっきまで現実(リアル)の中で
生きていた私が、いきなりこんなファンタジーな世界に
放り込まれても、何が何だか全く解からないことだけは確かだ。










『あっしの名は、霜花のオニシバでさぁ。
で、契約はどうするんですかい?』


私の頭の中が珍しく高速で回転する。





数式や化学式には勿体無くて使えない頭脳だけど、
自らの利益が絡めば処理能力は無限大だぜ☆


そして私の頭は答えを出した。







「霜花のオニシバ!契約するわ!」







“汝の節季は大雪、霜花族が共にある”


急速にその空間から離れていく感覚に見舞われながら、
そんな声が聞こえた気がした。















「う〜ん…、あれ、夢だったのかな…」


絶対に面白そうだと思ったのに…、まあ現実に
あんなことあるはず無いよね。
夢とは言え期待しちゃったよ私…。





「式神を放っぽって帰るとは、闘神士の
風上にも置けませんなぁ」


「えっ!?」









先ほどと同じように振り向くと、そこには矢張り、
霜花のオニシバが居た。


私はオニシバに駆け寄る。これが夢の続きではなく、
現実だということを確かめたくて。





「こんのお!!がしんたれぇーーーーっ!!!!!
(この言葉の意味が分からない人は、辞書で調べれば
出てくるよ。オススメはしないけどね♪)」


「ふぉんどヴぉあっ!!!???」









駆け寄るの繰り出したアッパーカットを、
オニシバは避けることが出来なかった。
否、避けなかった。





見惚れてしまったのだ。柔軟な身体から
全身のバネを生かし、絶妙のタイミングで繰り出される、
果てし無く重く辻い一撃に。









「アンタの所為で学校に遅刻しちゃったじゃないの!?
どうしてくれんの!?」


「いや、そんな事を言われやしても、あっしは…」





「だいたい何なの!?その“とーじんし”って!?
一分時間を上げるから、100文字以内で
的確に表現しなさい!!!」











責任の無い罪を擦り付けて上で、
ずっと気になっていたことを質問する。


……ごめん、やっぱこれは質問じゃなくて、命令かしら…?





オニシバは痛そうに顎をさすると、話し始めた。


「え〜と…陰陽道とかそんなのは聞いたことありやすかい?」





「う〜ん…映画で陰陽師とか見たことあるわよ。」


オニシバは説明を始める。





「その陰陽道の陰の存在がいるんでさぁ。
地球の大いなる力を対極神と呼んで敬い、嬢さんの持ってる
それ、神操機や闘神機と呼ばれる召喚機で
その対極神と契約するんでさぁ。そしてあっしら式神を呼び出し、
妖怪や魔物と


「一文字オーバーーーーーー!!!!」





「ぐふぉ!!!???……く、句読点も…、
カウントするん…すね……」







今度はの渾身のハイキックをまともに喰らい、
オニシバはそう呟いて倒れ込んだ。


「ふう、まあだいたいは分かったわ。要するに
オニシバは私のパシリって訳ね♪」





「その解釈はちっとばかし自分に都合が
良すぎやしやせんか…?」


はオニシバが10カウント待たずに
起き上がったことに多少驚いたが、


「まあいいじゃない」とだけ返すとオニシバを神操機に
戻して、さっさと歩き始める。





『あんた程いい加減な闘神士に出会ったのは
あっしも初めてですぜ。』







「あら、珍しい体験が出来て良かったわね。こういうのは
何も知らない奴と契約しちゃった方が、意外と成功するものよ。


それと私はって言うの。ちゃんと憶えといてね。」


っすか。良い名前っすね。
で、成功って何のことですかい?』





「んー?だってアンタさあ、物語の終盤で
お涙誘って消えていく様な顔してるもの」







何故それをっ!!!!????』


自分の今までの体験をずばり言われて、オニシバは焦った。
何を言って良いか分からずに口をパクパクさせていると
が続ける。








「ふーん…やっぱ図星だったわね。まあオニシバみたいなのは
相場が決まってるのよ。
じゃ、さっさと行くわよ。たださえ遅刻が多いのに、
これ以上やったら内申書にひびいちゃうわ。」








Fin
















後日談





今日はの学校の期末テストの日だ。


直ぐ横で霊体の状態で浮いているオニシバに、
が小声で話す









「ほら…オニシバ。前から二番目で右から四番目の席に
座ってるあの子。あの子の解答用紙見てきて。」


『え?いいんですかい?そんな事して?』





「いいからさっさと見てこないと、神操機ごととき玉子に入れて、
小麦粉とパン粉をまぶした後、高温の油でキツネ色になるまで
揚げてやるわよ。」


の恐怖政治は日々エスカレートして
いきやすね…。分かりやした見てくればいいんすね。』





「うん、分かれば良し」


オニシバはに言われた席まで行き、解答用紙を見る。
そして戻ってくるとに話す。





『書いてあることの意味が分かりやせんでした。』







「コロッケの刑決定。」


オニシバはその笑顔の中に、何か途方の無いものを
見出した気がした。










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アトガキ


マエストロ狐狗狸様のリクエストでオニシバギャグ夢でした。
遅くなってゴメンナサイ…。
名前変換少なくてゴメンナサイ…。
駄文でゴメンナサイ…。
オニシバに暴行を加えててゴメンナサイ…。


ピーポー、ピーポー


希沙斗「チッ、早速嗅ぎ付けて来たか、動物愛護団体の奴等が。
じゃあ私はそろそろ逃げますので、リクエストして下さった
マエストロ狐狗狸、ここまで読んで下さった様、
有り難う御座いましたVv








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感想


狐狗狸:希沙斗様 キリリク本当にありがとうございます〜


何だかこのちゃんが デフォルトの私に
シンクロしてんじゃないかって
位、思考とか似てたので
いろんな意味でビックリしました(失礼謝)


神操機ごとコロッケにされたりするオニシバが
可哀想だなとか思ったりしつつも 楽しませていただきました〜


素敵小説ありがとうございました!