ある日の昼下がり。

 太刀花荘で教科書をジッと眺めている一人の少女と、
それをジッと見つめている一人の少女の姿があった。


教科書を眺めている少女――太刀花
その行動の理由は、

明日、大事な数学の小テストがあるかららしい。

英語以外はかなりの高得点を取っているだが、
その理由はこうやって人一倍勉強をしているからである。


 そんな彼女をジッと見つめながら居る少女――

は呆然とに視線を向けたまま、
せんべいをぼりぼり食べていた。


「――……、どう?」

「……後この公式をやれば…一応範囲は終わりだ……
もう少し、待っていてくれ……」

「本当にって勉強のことになると熱心って言うか…
目の色変わって怖いって言うか……なんつーか、別人?」


 目の色を変え、まるで”獣”のように鋭くなり、一生懸命
教科書を見ながら、ノートに写し、頭の中で
覚えようとしている――

……本当に別人のように見えるのは気のせいだろうか?


だからこそ思わず彼女に視線が向かってしまうのかもしれない。



 別人のような彼女を見つめているに対し、

の式神の方では、勉強しているの事で
話題が盛り上がっている…ようだ。


『って言うかそもそもってそのじゅけんせーって奴じゃん。
だから最近神流に狙われるんじゃないかって思うと
修行した方が良いような気がして…うう……』

『おいおい、そんぐらいで泣くなよお前……』


 と言う感じで楽しく、かつ悲しい話題で
盛り上がっているらしい――


の式神、”白龍のハクエイ”はしか
扱えない伝説の式神。

のような強い霊力の持ち主でなければ、
ハクエイを扱う事は無理だ。


それ故に彼女は謎の流派、神流に狙われている…らしいが。

だが彼女は修行より勉強にそっちのけであり、このままでは
本当に危ないのではないだろうかと、ハクエイは
の式神――”六花の”に相談していた。


 そんな流れで、泣き崩れてくハクエイを
慰めている光景がそこにあった。


 そんな時である。



「やっほー!お邪魔する……あれ?
ちゃんも来てたのか?」



 一番会いたくない人物に、は思わず顔を引きつらせた。








  【 最強はやはり彼女 】







「来るな帰れそして死ね

ちゃん……ものすごーいきつい言葉だね……」

 無表情のままマサオミに向けて答えるに対し、
後ろでと喋っていたハクエイは笑みを浮かばせながら
マサオミに向けて笑っている――

…流石のマサオミでも腹が立った。

何せ、ハクエイとマサオミはかなり仲が悪い。


二人の激しいにらみ合いが続く中、
は無視しながら勉強の続きをしている。


 がそんなにらみ合いを見つめる中、
近づいてくる式神、はため息を吐きながら答える。


『…相変わらずハクエイと仲悪いよな…』

「犬猿の仲らしいよ…って、勉強しているが言ってた。
お陰でこっちは迷惑なんだって。特に勉強している時は。」

『へー……で大変だな…』


 犬猿と言うよりそれを超えているかのように
思えるのは気のせいだろうか――

が二人の睨み合いを見つめ続けながら思ってた時―

…二人の睨み合いの気迫に耐えられなかったのであろうか?
次の瞬間、が公式を解き終わったと同時に――


 ベキッ

 手に持っていたシャープペンシルが割れる音が聞こえた


 突然の音に恐る恐るの方に視線を
向けると、彼女の背後からものすごい黒いオーラが
出ていることが分かる――

……間違いない、怒っている


 より、の方が一番怖いとわかるはそのまま
と共に青ざめた表情を見せながらに視線を向けると、


はゆっくりと立ち上がり、そのままにらみ合いが続く
ハクエイとマサオミの間に入った瞬間、

二人の間にある壁に目掛けて


 バ キ ッ


 拳の入った壁からとてもよい音が聞こえた

 二人の間にあった壁にヒビが入り――…その光景を前に
四人は開いてしまった口が塞がらなかった。



壁に出来たヒビを見つめながら、はそっと笑みを浮かばせて
二人に向かって答える。

「……ハクエイ…」

『は…はい!さん…いえ、様!』

「……マサオミ…」

「は…はい!ちゃ…いえ、お嬢様!!」




「……勉強中は静かにな……
殺すよ?




 彼女の手にあるのは紛れもなく闘神符。このまま”殺”と言う
文字が出たら如何すればいいのだろう?

マサオミとハクエイ、はそんな彼女を見つめ、
呆然としている事しか出来なかった。

 あまり勉強の邪魔をしない方が良いだろうと言う事を
身をもって教わるだった。







「うーんー……終わったァー……」

「お疲れ…マサオミさん、ハクエイ、
(別の意味で)お疲れ様。


 が向けたその先には隅っこで蹲っているマサオミと
になぐらめられている凹んだハクエイの姿があった――

……そんな光景を見たはため息を吐く。


 勉強道具を片付けると、はせんべいを一枚齧る。
音を立てながら食べ続けているに向かって答えた。

「……私、そんなに怖かったか?」

「うん。(ある意味)怖かった…ありゃもう”鬼”だよ。」

「”鬼”か……以後気をつけなければな…」


 どうやら自分の怒りすらを理解していないかのように――

…以外に天然ボケなのだなと実感するだった。


 リクに聞いた事があるのだが、まさかここまで怖いとは
おもわなかった――

彼女の体に”鬼”が降臨したかのように思えてしまう。

思い出すあの時の彼女の笑みは正しく”鬼”そのものだった。

身震いしながら、が入れたお茶を一口飲んだ。


 全く理解していないに向かって答える。

「それより……伏魔殿に行く約束だったよな?」

「あ、うん!今日こそヤクモ様のために、
打倒神流よー!!


「…ヤクモのことになると燃えるな…って…」

「ぶふっ!?」

 ”神流”と言う言葉を聞いたマサオミは突如隅っこで
入れたお茶を吐き出した。

咳を何回もしながらむせるマサオミに
驚いたは呆然としながら、マサオミを見ていた。


 それもそのはず――マサオミは自称天流闘神士だが、
本当は神流闘神士、ガシンと言う肩書きを持っている。

と言うかそもそもが”神流”を知っていたと言うのに
驚いていたのかもしれない。


 突然むせたマサオミに驚いたは急いで
マサオミの方に近づく。

「だ、大丈夫かお前!?何処をどうやって
突然むせるんだお前は!?」

「い、いやぁ……ちょっと驚いただけで…フフフフフ…」

「マサオミさん…何か怖いわ……」


『……バラしちゃおうかな…神流って…』

「おい、聞こえてるぞ、そこの白髪龍…」

 ぼそぼそと呟いているハクエイの言葉が聞こえたらしく、
先ほどとは全く違う顔を見せながら睨みつけているマサオミと、

笑みを浮かばせながら(マサオミの正体を知ってる)ハクエイの
姿がある――もしかして、また喧嘩が始まるのではないか

 思わずはその場に固まった――


恐れているのは二人の喧嘩ではなく、の怒りだ。

睨みつけている二人に対し、恐る恐るの方に視線を向けるが、予想していたのと全く違い、呆れた顔を見せている。

 ――…どうやら、勉強が終わったために、怒る気が
なくなっているらしい。


「――……、伏魔殿行く前に、まず散歩行かないか?」

「散歩?別にいいけど……どうするの?あの二人?」

「ああ……一応ほっとくけど、もし部屋とかぐちゃぐちゃに
なっていたら……とりあえず、闘神符でぶっ殺す。


 次の瞬間、マサオミとハクエイはその場に固まる。

 やはり、彼女は怒っている…そう直感した
だった。





 三人が帰ってくると喧嘩もせず、マサオミとハクエイはずっと
その場で体を震えさせていた。




 やはり最強はなのであろうと、つくづく実感した日だった。













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感想

狐狗狸:七野了様 共演夢書いていただき本当に
ありがとうございます〜

てか あんなリクエストでスイマセンでした!(平伏)

夢主の特徴を生かしきってる上 マサオミさんもちゃんと出て
さん最強伝説がまた一つ増えた事に
いろんな意味でもだえながら読んでました〜(ヲィ)

さんとちゃんと絡めてて良かったです

何気にハクエイくんが報われてないのもいい感じでしたし(笑)
に慰められてる光景が目に浮かぶようですw

というか ウチのサイトに掲載するために文章や行間に
一部手を加えてます…本当にスイマセン
切腹とかします!(ヤメイ床汚れる)

抗議&家庭裁判等ございましたら 七野了様のみ
掲示板かメールでご連絡ください


素敵小説ありがとうございました!