対決の前に・・・俺と北大路は何故か食事を取っていた。
たしかに腹が減っては戦は出来ないって言うが・・・
ホントにこれでいいのかよ?
「殿、そのケチャップとってくれ。」
「これか?はい。」
「・・・殿、これをただの食事だと思うな
すでに勝負は始まっている。」
「何?」
ケチャップを手にしながら北大路は言う。
「武士とは飯の食べ方一つ、箸の持ち方一つでも
自分の流儀でいくものだ。
日常の行動、所作、全てが己を律する厳しい鎖。
日常全てが己の精神を鍛える修行だ
そうして武士の強靭な魂は培われる。」
なるほどね・・・・・武士にとっては
日常こそ勝負って事か。中々深いな
「、貴様にはあるか?
己を縛る鎖と言うものが。」
言いながら奴はオムライスにケチャップを大量に
・・・・・・・・・オイオイオイオイオイ!!
もうオムライスじゃないよそれ!!
ただの血の海だよそれ!!
うげ・・・ちょっと吐き気が・・・・・
「ひとつ言っておこう、俺は周囲からは
生粋のケチャラーと思われているが・・・実は
トマトの類が大の苦手 見るだけで吐き気がする。」
「ウソつけウソを。」
しかし北大路はまったく意に介さず続ける。
「これが俺の鎖、嫌いなものを過度に食する事により
折れない屈強な精神を作り上げる。
今では苦手だったトマトも大好きになり
トマトにケチャップをかけて食するほど。」
「それただのトマト依存症だろうが!!」
再びツッコむがやっぱり奴は聞いていない。
「貴様にこんな事がマネできるか?」
はぁ・・・仕方ない、少し驚かせるか。
俺は外に出て焚き火の準備をした。
「何をしている?」
「まあ見てろ。」
そしておもむろに取りだしたのは・・・・・
ものすごいデカイ蛇だ。
道場破るなら金をくれ
「な!?なんだそのデカイのは!?」
「オオアナコンダだ。」
適当な木の枝にぶっ刺して丸焼きにすると
頃合を見計らってかぶりつく。
「な・・・何ていうサバイバル的な食事・・・・」
「俺も一つ言っておく、俺も昔はサバイバルで
食べる食事が大の苦手だった。
だが今は蛇どころか蛙も
得体のしれないキノコも食えるようになった。」
絶対ウソ付いてると思うだろうが 真実だ。
食べ終えて席に戻ると、北大路が笑いかけてきた
「フン、伊達に『アメリカの英雄』と
呼ばれているというわけではないという事か。
・・・久しぶりに面白い食事が取れた。」
「さってとじゃあおっぱじめるか?」
俺達はテーブルを越えて、互いの剣を交える。
「食事の後のごちそう様はどうした?」
「あまり好きじゃない和食ごちそーさんでした。」
すぐに跳ね退いたが、間髪入れずに突きが繰り出され
刀で防ぐも勢いが大きくそのまま外に投げ出される。
「早い・・・・!」
俺を追って距離を狭める北大路
「ほう、想像以上の反応だな。
土方十四朗と同等・・・いやそれ以上かもしれんな。
だがそんな戦い方が通じるのは三流まで
達人同士の勝負においては通用せん。」
「達人?剣に関しては俺は素人なんだがな・・・!!」
見計らって斬りつけようとしたが、そこに
北大路の姿はなかった。
「貴様も土方と一緒か・・・大技で隙を作り敵を誘い
打ち込んできた所をその持ち前の勘で捕えて捌く。」
くっ、後ろか!!
「べらべらしゃべってる暇あんなら
仕掛けたらどうだ!!」
振り向き様に刀を打ち込むがまたもや空振り
しかも気配はいつの間にか後ろに移動している・・・
「勘が良すぎるんだよ貴様は。」
「なっ!?」
そのまままともに木刀の一打を浴びてしまい
衝撃で吹き飛ばされた俺は、池に落ちた。
「皿の手ごたえはなかったか・・・
よほど凝った所につけたのだな。」
「ぬかせ!!」
叫んで池から這い上がり、剣を交え続けるが
相変わらずの防戦一方を強いられる
「貴様は構えからなっていない!
ましてただ棒のように振り回しているだけでは
俺は倒せんぞ!」
「クソ・・・!これが道場剣術・・・・!」
未だに突破口が見つからないとは・・・悔しいが
やはり剣術は向こうに分がある。
「道場試合ならもう何本取ったことか、いや
侍の斬り合いならば貴様は10回以上死んでいる。」
こちらに決定打を与えようと、木刀が翻る
あれ?よく見たら・・・・・・
「脇ががら空きだ!!」
見つけた隙を逃す前に、脇腹へ蹴りをお見舞いした
「グハ!早い・・!」
怯んだ北大路の木刀を蹴り飛ばし
腹に括りつけられた皿を刀で叩き割る。
「勝った・・・・・」
「わざと隙を作り餌で釣ろうとしたが・・・
食らい付くのがここまで早いとは・・・・」
「だがアンタも中々強かったぜ?
確かに斬り合いならとっくに死んでいた。」
身を起こしつつ フ、と北大路は口の端を緩める。
「流石だな・・・残りは東城殿のみ、気をつけろよ」
「ああ。」
屋敷から道場へと進み、中へ入ると
東城さんが 床に正座したまま出迎えた。
「北大路も負けましたか・・・流石といった所ですね。
では最後はこの柳生四天王筆頭、東城歩が
お相手しましょう。」
「・・・東城さん、ここまで戦ってきて来て剣術が
いかに重要か分かった。俺はまだ弱かったらしい。」
「しかし殿にはセンスがあります。
いかに剣術がなっていなくても生き残ることができる。
・・・ここまで来れたのがその証拠です。」
すっと立ち上がり東城さんは木刀を抜き、構える。
「しかしそれもここまで、いかにあなたの強さでも
この私に勝つのは不可能です 一太刀で決めましょう。」
「そうか、じゃあ俺も一太刀で決めさせてもらう。」
俺は刀身を前に出し、その先に手を添えるように構えた。
「ほう・・・ここに来て剣の構えを見出しましたか。
しかしそのような構えでは突きしか出来ませんでしょう」
その言葉に答えず 互いに向き合い動きを止める
踏み出す瞬間を・・・見計らっているのだ。
そこへ場所を聞きつけたのだろう、銀さん達が現れた。
「!良かったまだ勝ってた・・・!」
「あ、あれ?さんのあの構え・・・いつもと違う。」
「んだありゃ?の野郎牙突でもしようってのか?
やめとけって!オメェにはまだ早ぇって!!」
「だから銀さん違うって!きっとさんなりに
何かコツを掴んだんでしょう?」
「んなのどうでもいいからさっさと決着つけろヨ
タラタラタラタラ迂回しやがってウゼェよコノヤロー」
「前回に引き続き何て事言うの神楽ちゃんんん!!」
騒がしくなってきた周囲など気にせず
俺と東城さんは同時に 床を蹴って突っ込んだ。
「「おおおおおおお!!」」
振り下ろされた木刀を紙一重で避け
構えていた刀身を後ろに持っていき
そのまま斬りかかる態勢にすると
「取った!」
刀の柄で 軽く皿を叩き割った。
陶器が砕ける音にしばらくその場が凍りつき
重い空気が辺りに流れる。
甲高い音の残響が消えかかった頃
「や・・・・やった!やりましたねさん!!」
「やった!!が勝った!!」
「キャッホー!!」
みんながこちらに走りより、いの一番に辿り着いた
が思いっきり抱きついてきた。
「お見事です、まさかこの短時間で
ここまで成長するとは思いもよりませんでしたよ?
・・・どうです?今度は若と戦ってみては?」
東城さんの言葉に俺は静かに首を振る
「無理だよ、北大路に苦戦したのに
九兵衛さんに勝てるわけが「もう負けたのか!?
四天王がたった一人に・・・!!」
駆けつけ、驚いている輿矩さんの後ろから
「だから言ったでしょ父上、さんは
並大抵の刺客では敵わないと。」
淡々と九兵衛さんがそう言う。
「輿矩さん、約束は約束だ。
この話はなかったことにさせてもらう。」
成り行きで認めたとはいえ、反故にするワケにいかず
輿矩さんは悔しそうに俯いていた。
「だけど、それはセレブとしての付き合いだ。
・・・人として付き合うつもりなら断る理由はない。
それだけは覚えておいてくれ。」
そう一言告げてから、返事を待たずに俺達は
柳生家の屋敷を後にした。
この戦いを通して、少しは兵士としてではなく
武士として強くなれた・・・・ような気がする。
それから数日後。
「何?
アメリカに凝ったゴスロリ衣装がないかって?」
また家に立ち寄った東城さんに、頼みがあると
言われて聞いてみれば・・・・何のこっちゃ
「はいそうです。
ぜひとも殿に協力をと参りました。」
「ゴスロリって・・・・今が着てる奴か?」
指差した先には、黒いゴスロリ衣装を着た。
「どう?これベーシックスタイルらしいの
今日のスナックで着るやつなんだけど似合う?」
「ああ・・・・良く分からんが似合ってる。」
「何よその誉め方!ていうか誉めてないでしょ?」
怒り出すを宥めつつ、俺は問いかける。
「で、そんな頼みをするって事は・・・
まさかまた九兵衛さんに着せるためか?」
「言わずもがなですよ、やっぱり若は女の子ですから
たまには女の子らしい服装というものを」
「東城さん・・・・九兵衛さんはそんな趣味は
ないって分かってるだろ?いい加減に諦めて」
「何を言いますか!!若の女の子の心を取り戻すには
これしか方法がないのです!!
一度合コンではいまいちな結果で終わっています!!」
「だからって何でゴスロリにする必要があんだよ!!」
言い返すけど、この人も人の話を聞いちゃいねぇ
その内に玄関から九兵衛さんが入ってくる。
「東城、いい加減にしないか。
どれだけさん達に迷惑かければ気が済むのだ。」
グルリと勢い良く首を向けた東城さんが
拳を握って力説しだす。
「お言葉ですが若!私は若のためにを思って
このような行動をしているのです!!
だから殿から外国のゴスロリ衣装を」
皆まで言わせず彼女は東城さんを外に投げ飛ばした。
あーあ・・・まあ分かっちゃいたんだけどね・・・・
「さん、東城が迷惑をおかけした。」
「い、いや俺はいいんだ。でも九兵衛さん
あの人はあの人なりに一生懸命なんだ。
・・・少しは目を向けてやって」
諌めるように言いつつ九兵衛さんの肩に
軽く手を置いた まさにその直後
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ノォォォォォォォォォォ!!」
俺も東城さんと同じように 外に投げ飛ばされた。
「殿・・・・若は極度の男恐怖症で・・・
触られただけであの暴挙に走るんです・・・」
「それ・・・早く言ってくんない?」
ああ・・・
少しは東城さんの気苦労が理解できたよ・・・・・
――――――――――――――――――――――――
後書き(退助様サイド)
退助「これで柳生100%とのバトル終結です。」
銀時「無理やり終わらせた感じがあんなオイ。」
新八「仕方ないでしょ・・・本当なら
北大路さんの所で1話使い切りかねませんから。」
退助「そうだよ・・・やっとやっと
完成させたんだから・・・少しは誉めてくれ。」
神楽「よくやったなコノヤロー。」
退助「何その世の汚れを見る目は!!」
東城「殿がゴスロリ衣装であんなに輝いて
いるのですから若もあれ以上に輝けるはずです!!」
退助「当の本人が拒否してるんだから
どうしようもないでしょうが・・・・」
銀時「所でよぉ、の奴ぁ結局
どこに皿つけたんだよ?チ○コか?」
退助「あ・・・書き忘れてた」
銀時「オィィィィィ!!」