「出来た!!」
そう やっとにあげる
バレンタインチョコが出来上がったの!
ここの所ずっと地方任務に就いてて
今日帰ってくるからちょうど良かったんだよね
思えばここ2年、ロクに渡せてなかったわ
1年目はお妙さんのお節介で黒こげになったし・・・・・・
2年目は猿飛さんのアダルトチョコと
入れ替わってドン引きされて・・・・・・
でも 今年こそ正真正銘、私のチョコを
渡すことが出来るの・・・!
と思わずガッツポーズをとった直後
「ちゃーん!いるかしら?」
ゲッ!あの声はお妙さんだわ!!
どうしよう・・・このチョコ早く隠さないと!!
「あ、ちょ・・・ちょっと、待っててください!
色々あって散らかってるので!!」
「気にしないからいいわ、あらカギ開いてる
お邪魔するわね?」
あああああ!戸締り忘れた私のバカぁぁぁ!!
てゆうか入らないで!待ってってば!!
・・・私の心の叫びも空しく、お妙さんが上がりこんだ
男は義理や情けのチョコより、愛が欲しいもんなんだよ…グスッ
「あらちゃん、チョコ作ってたの?
やっぱり今年も渡すつもりなのね?」
「え!?ええ・・・・いえあの・・・・
そうなんですけど・・・どうしようかな、なんて・・・」
「迷っちゃダメ、去年あんなことがあったからって
渡さないと嫌われちゃうわよ?」
一昨年のこと、キレイさっぱり忘れてるわお妙さん・・・
「でもいいんです『もう気を使わないでくれ』って
言われたので・・・・」
「そう?せっかくちゃんの為に私
腕によりをかけてチョコ用意しておいたのに・・・」
Σ一昨年の悪夢フラグ再び!?
どうにかして阻止しなきゃ!でもどうやって・・・!?
思考を巡らせ始めた所で、部屋に置いてあった
無線機が鳴り出す・・・きっとからね
「スイマセンお妙さん、ちょっと失礼・・・もしもし?」
『電話感覚で出るなよな・・・・・か?
もうすぐそっちに着くから。』
「分かったわ、気をつけて帰ってきてね。」
『ああ、じゃまた。』
通信が終わって、再び迫り来る惨劇への回避を考え始め
「ちゃん」
「はっはいっ!?」
「さっきの、さんからでしょ?
私はお邪魔みたいだし帰るわ、じゃまたお店でね」
あれ?お妙さんが珍しく自分から帰ってくれるみたい
でも好都合だわ、これで安心して・・・・
「じゃ、ここにチョコ置いてくから
後でさんに食べさせた感想 聞かせてね?」
全然回避できてないぃぃぃ!!
笑顔で惨劇の元を置いて、お妙さんは立ち去った
どうしよ・・・・・・秘密裏に処分しても
食べてないことがバレちゃうかも・・・・・・
まあの胃袋だったら、何とかなるかもしれない
一度エゾテングダケを誤って食べた時があったけど
大丈夫だったし・・・
「とにかく、これで安心して・・・・・・」
「さん 今日はお一人なのね」
今度は猿飛さん!?
天井からって何で無駄に忍者っぽさ出してるの!?
てゆーか何で今日に限ってこの二人が来るのよ!!
落ち着け、平常心 平常心で対処よ・・・
「あ、はい はもうすぐ帰ってきますけど・・・
それより、どうかしましたか猿飛さん?」
「銀さんの姿が万事屋にないから、もしかしたら
ここに来てないかなって気になって・・・・」
良かった・・・・・すぐ帰ってくれそうな用事だわ・・・
「今日はお会いしてませんわ、銀さんの事ですし
ジャンプ買いにコンビニ回りかもしれませんよ?」
「それもそうね、ありがとう。」
もう一度天井へ引っ込んで、気配が消える。
・・・今のところ惨劇フラグは何とか回避してるけど
また二人が来ないとも限らないし
「散歩がてら、を迎えに行こうっと。」
私は自分のチョコを小型のクーラーケースに入れて
しっかりと施錠して家を出た。
見た目はただのポーチだから、万が一 二人や
他の人に会ってもチョコが危機に晒される事は無いはず
しばらく歩いていると 向こうから
見覚えのある人達が近づいてきた。
あれは確か・・・・・江戸に来たばかりの頃
何かとイチャモンをつけて金を巻き上げようとした
『溝鼠組』の勝男・・・・・・だったかしら?
妙にボロボロだけど、どっかでケンカでもしたのかしら
・・・でも私には関係ない。
無視して横を通り抜けようとしたら、通せんぼされた。
「はんやないかぃ、相変わらず別嬪さんやなあ。
アンタの男はどうしたんや?浮気か?」
「関係ないでしょ?私急いでるのでこれで。」
「連れないのぅ〜おっちゃんちょっと寂しいんや
ちぃとばかり相手くらい・・・・・・」
「アナタと遊ぶヒマなんて一ミリもないんです、では。」
早くこの人たちから離れないと、また何されるか
分かったもんじゃないわ
「待て待て、そう急がんでもええやないか?」
勝男が私の腕を掴んできたので、
「気安く私に触らないで!!!」
咄嗟にから教わったCQC・・・・・の初歩動作を
駆使して、片手で地面に叩き伏せた。
「のおおおおおお!!!あいたたたた・・・・・」
「兄貴っ、大丈夫ですかい!?」
「このアマ!!兄貴に何さらしとるんじゃい!!!」
「甘い顔してりゃどいつも付け上がりおって!
今回ばかりは許さんからなおんどりゃ!!!
受けも七三、返しも七三や!!!」
組の連中が私を取り囲み、服をひん剥こうと
力強く抑えてきた。
「いや!!やめて!!」
「いまさら遅いわ!!覚悟せえや!!」
もめ合いの拍子に、ポーチの紐が切れて地面に落ちる。
「うん?なんじゃこれ?えらい冷たいポーチやな。」
「それに触らないで!!返して!!」
私の言葉は無視され ポーチは開けられてしまった。
「あん?兄貴ぃ!これチョコが入ってますぜ?」
「ホンマか?何でまた・・・・・・
ははーん、そういえば今日はバレンタインやったな。」
「これ、きっとあの男に
プレゼントするつもりだったんですぜ?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべ、勝男が
チョコを私に向けてワザとらしく掲げた。
「はん、アンタの無礼 このチョコで勘弁してやろか?」
「駄目!!」
「なら今ここでひん剥かれて、ワシらの相手してくれるか?
別にそれでもかまへんがな」
なんて下劣なの・・・・・・!
せめてハンドガンでも持って来ればよかった
そしたらこいつの頭を蜂の巣に出来たのに!
「そうそう、大人しゅうしとれば怪我せんのや。
・・・お、結構うまいな。」
「あの男も幸せモンですな、
こんなうまい料理作れる女がおるんやから。」
「やめて・・・・・・・・・
私のチョコ返して・・・・・・・・・」
泣き崩れる私の叫びは、向こうに通じない
あれだけの人数・・・・・・
一口づつでももうなくなってる・・・・・・・
今年こそは・・・
惨劇回避して渡せると思ってたのに・・・・・・・
「さて、精も出たところやし・・・・
お前ら はんの相手したってや。」
「っちょっと!話が違うじゃない!!!」
「悪いな、俺たちゃあの程度で満足するほど
器は小さくないんや。
それにちょっと虫の居所が収まらなくての」
そんなこと、私には関係ないじゃない・・・
でも、もう言い返す力もない・・・
チョコを奪われて 全身から力が抜けてしまった
「あの上玉のネーちゃんの時はくっ付いてたガキが
邪魔してくれたからなぁ・・・・・さてまずはオレから・・・」
「助けて・・・・・・・・・・・・・・・」
迫る一人の手に、私は反射的に目を瞑る。
「・・・おい、何してるんだ?」
「あん?なんやね・・・・・・・ってうw・・・・・・・」
凄まじい音と共に目を開けば、一番後ろにいた下っ端が
こちらの近くに飛ばされてきたのが見えた。
「何があったんや!?」
「兄貴!!あ・・・あれ!!」
「なんや?・・・・・!!!!」
勝男は引きつった顔で出てきた影の方を見る・・・・・
あれは・・・・!
「あ・・・あんさん、もう帰ってきたんか。
あ、あのこれ・・・・・」
手下の一人がご機嫌を取ろうと近寄るけれど
すぐに顔面を片手で掴まれて壁に叩きつけられた。
「あわわわわわわわわわわわ」
「テメエら・・・・・・・・・・
死ぬ覚悟は出来てんだろうな!!!」
その叫び声で 確信がついた
「!!」
「わ・・・ワイら何もしてへんで・・・・・ほらあれよ。
はん道に迷ってたみたいやし、ちょっと道案内を」
「見え見えの嘘付いてんじゃねえぞ、
ただの道案内であそこまで着物が乱れるか?」
の声音は、冷静でありながらも
底知れない怒りを秘めている。
それを感じ取り 勝男は無様なほどうろたえる。
「あ・・・それあれやねん・・・
ちょいと部下がクソガキのせいで機嫌悪うて」
「たしかあんた・・・・世の中七三で
うまく分けられるようになってるって言ってたな・・・」
は愛用の拳銃を取り出し、勝男の額に銃口を押し当てる。
「な、ちょ、ちょっと待ちなはれはん!
話し合おう?話せば分かるさかい、な?」
「その頭吹っ飛ばして・・・中身七三に分けてやろうかぁ!!」
「ひいいいいいいい!!この男もあのガキも
話が通じんわ!!逃げるでぇぇ!!」
奴等は真っ青な顔をして、ほうほうの体で
クモの巣を散らすように一目散に逃げていった。
「・・・・・・・・・ったく、誰だよガキって・・・・・」
「・・・・・・・」
「、大丈夫か 怪我はないか?」
銃をしまったは優しく微笑み、上着を
かぶせるように着せてくれた。
彼は側に落ちていたポーチに気付き 拾い上げる。
「小型のクーラーケース?」
「あの・・・・・・・それ・・・・・」
「何か盗られたのか?待ってろ、すぐに・・・・・」
「もういいの・・・・・・・・もう・・・・・」
間に合わなかったもの・・・もう泣くしかなかった。
こっそり準備して作って、せっかく今年こそ
無事に渡せると期待してたのに・・・・・・・
「まさか・・・チョコか・・・・・・・?」
ただ、無言で頷く。
もう終わりね・・・・・こんなことになるなら・・・
バレンタインなんて・・・・・・・
左頬に暖かさを感じて、顔を上げる
優しく手を添えて涙を拭いながら が口を開く。
「バカ 俺はな、チョコよりもお前が笑顔で
迎えてくれるだけでいいんだよ。
それにチョコはただの飾りじゃないか。
一番大事なのは、渡す人に気持ちを伝える事
・・・・・・俺は そう思ってる。」
「・・・!!」
私はそのままに抱きついて泣き崩れた。
頬に添えられた手は、肩と頭に優しく回され―
「・・・あーあ、あの人のおかげで大変だった」
「つーかアイツ本当自重しろよな ヤクザに
ケンカ売りやがってよー。」
「あれ?何か泣き声が聞こえないアルか?」
向こうからやってくる足音と聞き覚え満点の声に
私達は同時にビクついた。
どうしよ、こんなとこ見られたらが疑われる!!
逃げようと立ち上がったけれども・・・遅かった
「あん?こんなとこで何やってんだバカップルど・・・
オィオィオィ、ナニしてたんだよ本気で」
「と、お前ら不潔ネ。」
「「いやいやいやいや誤解です!そういうんじゃないから!!」」
「お二人とも・・・・場所は選びましょうよ・・・」
「「だからそういうんじゃなくて、その目止めてぇぇ!」」
「いっちょ前に盛って白昼堂々野外プレイか
こんのエロ男がぁぁぁぁぁぁ!!」
銀さんはを 最大級の嫉妬を込めて蹴り飛ばす。
「ぷぎゃああああああああぁぁぁぁ!!」
「ちょっと銀さん!!!になんてことするの!!」
・・・・・・・まあ少々見苦しい一幕はあったものの、
誤解も解け 改めて家に帰って、チョコケーキを
作ることにはなりました・・・・・でも
「何で銀さん達もここに来るわけ?」
「あん?いいじゃねえかよぉ
せっかくのバレンタインだから義理くらいくれよ」
「私はのためだけにケーキを作るつもりでしたけど?」
「そんなのどうでもいいアル!早くケーキよこせよ!!」
「あーもう銀さんも神楽ちゃんも止めなって!」
ホントに図々しい人達・・・・・・ていうか
神楽ちゃんは女の子なんだし普通はあげる側じゃ・・・・
そこである物が目に付き、
ちょっとした仕返しのアイディアが浮かんだ。
「さあ!出来たわよ!!」
「わぁ・・・おいしそうですね!」
「やっぱのは見た目もいいアル〜!」
「おっ、俺のとこにイチゴをつけるたぁ
気が回ってんじゃねーか ちゃーん。」
フン 後で地獄を見るとも知らないで・・・・・
「冷めないうちに、どーぞ召し上がれ?」
「「「いっただっきまーす!!」」」
万事屋メンバーがチョコケーキを頬張った瞬間
「ゴハぁぁぁぁぁ!?」
「タピオカぁぁぁぁぁぁ!!」
「ジャネット・ジャクションっ!!」
面白いくらい顔を青ざめさせ、奇声を上げて倒れた。
「ぎぎぎ銀さん!新八君!?ていうか神楽
くしゃみネタ引きずりすぎ!・・・何したんだよ!?」
「ちょっとケーキに細工をね・・・お妙さんが
置いてったチョコを溶かしてケーキに入れたの。」
「それでか、道理でバサバサしてたのは・・・・
お前 見かけによらず腹ぐ・・・ナンデモアリマセン」
今年のバレンタインもドタバタしたけど
・・・・・いい思い出になりそうです
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後書き(退助様サイド)
退助「間に合いましたーバレンタインネタ。」
銀時「おいおい、下手したらR18指定入んじゃね?」
退助「ギリギリセーフでしょ?」
新八「いやアウトライン来てましたよ。てかさん怖っ」
神楽「ケッ、見せ付けやがってクソが・・・・・・
お熱いことでいいですねぇ〜仲良く足の小指ぶつけるヨロシ」
新八「神楽ちゃんの荒み方が半端ねぇぇぇ!」
勝男「ワシ噛ませ犬役やないか、どういうことや!!」
退助「えー?だってアンタのポジションはそこでしょ?」
勝男「んなわけあるかい!!いてこますぞコラァ!!!」
さっちゃん「ていうか私の出番あれだけ?
あぁんもう何処まで放置プレイさせる気よ!」
退助「その発言やめろ!ただでさえこの作品きわどいのに!!」
妙「よかった ちゃん、ちゃんと食べさせてくれ
・・・バサバサってどういうことだ?コラ」
退助「怖いからその顔やめてホント・・・・・」
新八「そういえば さんが誤って食べた
エゾテングダケって何です?」
退助「・・・エゾテングダケは猛毒のキノコで、
一口食べてしまうと体中が焼けるような痛みが走り、
呼吸が荒くなり胸が苦しくなって 肝臓がスポンジ状に
壊死して死んでしまうキノコです(カンペまま)」
新八「待たんかいぃぃぃぃぃ!!
んなもん食ってて何で生きてるんすかさん!?」
退助「神楽並みに鋼鉄だからね、胃袋。」
新八「理由になってねえぇぇぇ!!」
実は、解毒薬で治してたのは内緒ということで
"クソガキ"は・・・ご想像にお任せします