「じゃ、カズんとこ顔出しに行くから
留守番を頼んだぞサニー。」
「私も仕事に行くから、お留守番お願いね。」
「はーい、いってらっしゃい。」
サニーに留守番を任せて、俺は早速MSFの拠点に向かうことにした。
何でも重要な話があるとか・・・一体何なんだ?
とにかく当人に会って聞けば済むだろうと
考えつつ、海岸沿いの基地(というより小屋?)に着く
「ようジャック!待ってたぜ。」
「どうしたんだ?俺に用って・・・」
「実はなー、MSF規定の飯を選定しようと思ってな。」
「は?」
ニッと笑ってカズが取り出したのは・・・
見覚えバツグンの暖色系二重丸パッケージ。
「その名も、ボンカレー!!」
「っておい!!それ名前出していいのかよ!?」
「いいではないか・・・MGSPWのコラボ商品だからな。」
そういう内輪ネタを出すなっての!
閲覧してる読者で 知らん奴だっているだろーが!!
だがカズは構う事無く言葉を続ける。
「ボンカレーの『ボン』はフランス語で
『旨い』って意味だ。いやぁ〜奇遇だなぁ・・・」
「そうなのか・・・で、何でフランス語に拘ってんだ?」
「いや・・・パリジェンヌに憧れが・・・」
「・・・好きにしてくれ・・・帰る。」
思わず踵を返しかけると、慌ててカズが声をかける。
「まままま待った待った!これが本題じゃないんだよ!
これからが本題なんだよ!」
「ボンカレーが本題でたまるかよ!!」
「いいから落ち着けって・・・実はな
MSF入隊志望の者達が集まってきてるんだ。」
「志望者?」
「ああ、これから面接があるんだ。ボスとして面接に参加してくれ。」
「・・・軍隊で面接ってのもな・・・まあいっか。」
若干呆れつつも、司令官として任命された手前
面接へと参加していくことにした。
「はあ・・・」
ジャック達が帰ってくるまで留守番するのは
もう珍しくないんだけど・・・
やっぱり一人だと、退屈で仕方がない。
最近じゃネットサーフィンしてても特に面白い記事とかないし・・・
いっそのこと寝ちゃおっかな・・・
と思った矢先、突然机の引き出しが動き出した。
「きゃぁ!?」
ガタリ、と引き出しが勝手に開いて
そこから 何処かで見たことあるような
青い格好をしたおじさんが現れる。
早く大人になりたいとか言う奴は大抵大人になると、
激しく後悔する
「あたたたた・・・
またタイムワープに失敗してもうた・・・」
「あ、あの・・・」
「ああ驚かしてスマンねお嬢ちゃん、ワシは
・・・・あ、ウンコしたくなってきた。
お嬢ちゃん、トイレ何処や?」
「え?あ、あそこ真っ直ぐ行けばあります・・・」
「おおきにお嬢ちゃん。あ、ヤバ早よ行かんと漏れそう・・・」
面食らう私に構わず、おじさんはお尻を抑えながら
あたふたとトイレに向かっていく。
・・・ていうか、ドラ○もんに似てるのは
気のせいかな?気のせい・・・だよね?
「あれ?」
ふと、おじさんの出てきた机へ目を向ければ
下に何かのビンが転がっているのが見えた。
「なんだろこれ・・・青いキャンディ?」
取り上げたビンのフタを開けて、青いキャンディを
一粒だけ手の平に取り出してみる。
知らないモノを勝手に口にいれるのは
良くないって、言われてるけれども
一個だけなら・・・大丈夫だよね・・・?
そう思って口に運んだキャンディは
あっという間に溶けてなくなってしまった。
「何だ、全然味がな・・・・・え!?」
何・・・!身体が・・・!?
ワケが分からないうちに急に身体が大きくなって
特に胸を中心に、着ていた服が裂けてしまった。
いきなり起こった現象に呆然としてると
「ああ〜、ありがとなお嬢ちゃん。
お嬢ちゃん家のトイレすごい高性能・・・・え?」
タイミング悪く、さっきのおじさんが戻ってきて
・・・・・・・・・・・あ!!
「キャアァァァァァ!!!」
咄嗟に身体を腕で隠しながら、悲鳴を上げて
私は近くにあった物をおじさんへと投げつけた。
「ブベラ!?」
「あ!ご、ごめんなさい・・・!」
「お、お嬢ちゃん・・・まさか・・・
あの瓶のキャンディ・・・食べてもうた・・・」
「こっちに顔向けないで!!」
「わっわわ分かった分かった!
けど、そっちも着替えてもらわんとその・・・
目のやり場に困るがな・・・」
そ、それもそうだわ・・・とにかく着替えないと
ずっと裸でいるわけにいかないし・・・・
とりあえずローズの持ってる下着と、ええと
ゴスロリ?って言ったかな・・・
そんな服を着て 改めておじさんの話を聞く。
「お嬢ちゃん、やっぱあのキャンディ・・・食べてもうたんかいな?」
「ご、ごめんなさい!」
「ええねんええねん、子供の頃は出来心で
何でもしてしまうさかい。これからは気ぃつけや。」
「は、はい・・・あの・・・
もとに戻りたいんだけど・・・」
「ああせやな、待っててな、すぐに・・・」
言ってお腹のポケットを漁りながら
おじさんは言葉を続ける。
「あのキャンディは、未来の世界で開発された
年齢調整キャンディでな。青い奴は10歳成長して、
今出そとしとる奴は10歳若返るキャンディなんや。」
「へえ・・・」
そっちはお登勢さんに教えたら欲しがるだろうな・・・
なんて考えていたら、おじさんがピタリと動きを止める。
あれ?なんか顔に青筋が立ってるような・・・
「・・・・・お嬢ちゃん、怒らんと聞いてくれんか?」
「え?」
「元に戻すキャンディ・・・持ってないわ。」
「・・・・・ええぇぇぇぇぇ!!?」
まさかの発言にすっと血の気が引くのが分かった
じゃあ私、ずっとこのままなの!?
「ま、待ってんか!落ち着いてんか!?
すぐ未来に戻って買うてくるさかい!」
「それ買えるの!?売り物なの!?」
「そーや、だからしばらくの間待ってもらうけど
堪忍な?あとワシが戻るまで外出ん方がええで?」
「は、はい・・・」
「ほな、急いで行ってくるわ」
おじさんが引き出しの中に再び消えていくのを見届け
「・・・どうしよ・・・」
また一人になった私はしばらくその場で
ぼんやり立ち尽くしていたけど
ふと、あることを思いついた。
ローズが来ている着物・・・着れるかも・・・
今だってローズの服や下着がつけれるし、と
思い起こしつつ戸棚からローズの着物を出すと
普段の着替えてる記憶を辿って
見よう見まねで帯も巻いてみる。
・・・何か胸が苦しいけど、まあ大丈夫かな?
そして買ってもらったカンザシをつけて
鏡の前に立ってみれば
映っていたのは見違えた私の・・・大人になった姿
何処となく・・・お母さんに似ている・・・
・・・ちょっと外に出てみようかな・・・?
ドキドキしている胸の鼓動の赴くまま 私は
護身用のEZGUNを懐に、街へ繰り出した。
背が高くなっただけでいつもの街並みが全然違った景色に見えて
うきうきしながら辺りを歩くけど
振り向き様にこっちを見る男の人の視線が
ちょっとだけ恥ずかしい。
そう思いながら路地裏に出れば
よっちゃんとその相方が、一人の男の子を苛めているのが見えた。
また懲りずにあの子はもう・・・
「ちょっと!待ちなさい!」
「ん?誰だ姉ちゃん?」
不思議そうによっちゃんはこっちを見る。
あ、そっか・・・今は私の方が大人なんだった・・・
少し咳払いをしてから、改めて二人に注意することにした。
「弱い者いじめはいけません!この子も嫌がってるでしょ!」
「だって、こいつんちマダオ飼ってんだぜ?だっさいじゃん。」
「マダオは今面接に行ってるもん!
今度こそマダオを卒業するために・・・!」
「無理だよ!マダオはマダオなんだよ!」
「そんなこと言うものじゃありません!・・・そしたらあなたが
女の子二人にビビリ倒してた事の方はださくないの?」
瞬間、よっちゃんの顔が強張った。
「な、何でそんなこと知ってんだ!?」
「お姉さんは何でもお見通しです。」
ていうか、その女の子の一人が私なんだけどね
「それにお姉さんは君の恥ずかしい所
他にも知ってるのよ?例えば・・・」
「や、やべぇぞ!逃げろぉぉぉ!!」
「あ!待ってよよっちゃん!!」
神楽じこみのハッタリをかませば、二人はあっさり逃げていった。
「大丈夫だった?」
「う、うん・・・」
「ああ鼻水が・・・はい、ティッシュ。」
ポケットティッシュを出して男の子に渡せば
その子は顔を紅くしながら、ちょっとはにかんだように笑った。
「ありがとう・・・お姉ちゃん・・・」
「どういたしまして。じゃ、またね。」
笑顔でその子に手を振って別れても
どこかくすぐったいような気分は続いてた。
結構、大人の姿もいいかもしれない・・・
「あれ?おっかしいな・・・」
面接試験を終わらせ、家へと戻ってきたのだが
留守番を頼んでたサニーの姿が見当たらない。
「どうしたんだサニーは?何処にもいないじゃないか。」
ちなみにカズも一緒にこっちへ来ている
ボンカレーを食べたくても、基地には
ガスと水道がまだ通ってなかったらしい。
全く・・・何でそんなんでレトルトカレーを
食べたいなんて言い出すんだよ・・・
台所でもっさもっさカレー食い出したカズを置いて
俺は家中を探すが・・・やはり何処にもいない。
友達と遊びにいったのか・・・?
いやそれなら書置きなり何なり、事前に連絡してもいいだろうに
そういえば、サニーの部屋に青いキャンディが
入った瓶があったな・・・
が買ってあげたものでもなさそうだし
一体あんなものをどうやって・・・
その時、突然机の引き出しがガタガタと動き出した。
「うわ!?何だ!?」
思わず身を引けば、引き出しから・・・
青い格好をしたアレすぎるオッサンが現れる。
「お嬢ちゃんお待たせ!見つけんのにめっさ苦労したでぇ・・・」
「え!?あ、あの・・・どちらさん?」
「・・・・・え?もしかして兄ちゃん
あのお嬢ちゃんの保護者の方で?」
「ああと言うが・・・ってお嬢ちゃん?サニーのことか?」
「ほー、サニーって言いはるんかい
あの賢そうな お宅のお嬢ちゃん。」
「いや俺の子じゃ・・・って何だお前は!
カズ!ドロボーだ!!ドロボーがいたぞ!!」
我に返り、俺は拳銃をオッサンに向けて
すかさずカズを呼ぶ。
「ちょっと待ってくれ!
この肉がすごい絶品で・・・」
「肉よりドロボー捕まえんのが最優先だろ!!」
「ままままま待って待って!待ってぇな兄ちゃん!
ワシ、ドロボーちゃうって!今から説明すっから
そないな物騒なモン向けんのやめてんか!!」
まあ、このオッサンの言うことも一理ある。
少し話を聞くか・・・
並んだ俺らの前に正座してオッサンは
今まで起こった事を、順をもって説明した。
って・・・
「つまり何か?サニーはその青いキャンディ
食べて成長したって!?」
「そんな話、出鱈目に決まってるさ・・・・
ん?デタラメ?デタラメ!?」
「やらんでいい!」
危ないネタを連発しそうなカズをどついて阻止する。
「とにかくお詫びに赤いキャンディを
買うてきて戻したろと思ったんやけど・・・」
「いなかったと?」
「そこまでがあんさんらが知らん部分や。」
にわかには信じられん話だが、この世界じゃ
何が起きても不思議じゃないからな・・・
「おい・・・ちょっと待てよ、そんな体で
かぶき町に行ったってことは・・・」
「どうしたジャック?」
「まずいぞ・・・!あいつかぶき町が
どれだけ恐ろしい場所か知らないんだぞ!」
「今までかぶき町で遊んできたんじゃないのか?
なら大丈夫なんじゃ・・・」
「それは神楽もいて、子供の体だったからまだ大丈夫だったんだ!
たった一人で しかも大人の体で足を入れたら・・・!」
のん気に構えていたカズも、そこでようやく
事態のヤバさを理解する。
「何だと・・・!まずいぞ!
すぐに見つけて保護しなければ・・・!」
「ああ、カズ!早速入隊したMSF隊員を使って捜索してくれ!」
「わかった、MSF初の任務は大人になった少女の捜索だ!
総動員で捜索させる!」
サニー・・・せめて変な男にだけは
付いていかないようにしてくれ・・・!!
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後書き(退助様サイド)
退助「いつかはやってみたかったネタと
再び登場しやがったネコえもん。」
ネコえもん「誰がネコえもんやねん!お前が
登場させたんやろ、てか名前表記までおかしいし!!」
退助「はーい無視して次行きましょう。」
新八「何でそんなあの人の扱い悪いんですか・・・
さんなんて銃口突きつけてるし」
退助「それは・・・次回のお楽しみ?」
ネコえもん「楽しむな!」
銀時「つーか何でサニーをデカくしようとしたわけ
アレか?やっぱんトコも白鴉に対抗ですか?
まー男の妄想と股間がデカくはn」
神楽「セクハラ発言すんなエロ天パがぁぁぁぁ!!」
銀時「アベシ!!」
神楽「ていうかサニーばっかりズルイアル!
私にもあのキャンディよこせヨ!!」
新八「食べて何する気なの神楽ちゃん・・・」
神楽「絶対サニーより私の方がグラマラスに
なってるネ!女として勝負したいアル!!」
銀時「なってないなってない。」
大五郎「マダオは今日、MSFと言う会社に
面接に行きましたが また落ちました。」
退助「作文んんん!?」