「そうね・・・・・まずは
ドンペリ持ってきてもらおうかしら・・・」
「え?お嬢ちゃん未成年じゃ・・・」
ホストの言葉半ばで神楽は水をぶっかけた。
「あんまり舐めてんじゃないわよ、
お嬢さんでなく女王様と呼べと 言ったはずよ。」
「申し訳ありません、かぶき町の女王様!!」
「私の方のサービス 偏ってない?」
今度はがグラスを掲げながら呟く。
つーか出来上がってないか?
「す、すいません!!」
「たまには他の男の相手も悪くないわね・・・
フフフ・・・じゃあドンペリ持ってきてもらおうかしら?」
俺達は別のテーブルで、女二人のその様子を眺めていた。
「おいおい何してんだあの二人・・・・・
完全に出来上がってるし・・・神楽まで。」
「ホント・・・僕ら場違いですよね完璧・・・」
「いんだよ、タダ酒飲めるんだから。も飲めよ
あ、新八は駄目だぞ。オロナミンCまでなら許してやる。」
・・・・・・何でオロナミンC?好きなのか?
「でもお母さん、気づいてないですね。」
「まあ、八郎なんてジョンと同じで
ありふれた名前だからな。」
「でも八郎さん、あんな変わって
言い出し辛いのは分かるけど・・・
何でこちらに接触してきたんでしょうか?」
てゆうか、もう息子確定してるのかよ・・・・・・
まぁそう思う俺も否定はしねぇんだけどさ
眉をひそめる新八に銀さんは答える。
「理屈じゃねぇんだよ、うっとうしい母ちゃんでも
目の前で襲われるのを助けるのが子供ってもんだ。」
「そうそう。」
「あんたら襲ってませんでした?」
そこに狂死郎が 笑みを称えてやって来る。
「みなさんお楽しみいただけてますか?」
「野郎に酒注がれてもな・・・・」
「ハハハ・・・ホストクラブ故・・・仕方ありません。
何かお召し上がりになりますか?」
「そうだな、じゃあこのキャビ」
「いらないよそんなの、ちゃんと持ってきたから。」
お母さんはどこに持ってたのか、風呂敷包みを
取り出し テーブルの上に開ける。
「煮豆だよ、これ年の数だけ食べな。」
「いやいやいや何持ち込んでんの?
ちょっ、貧乏くさいからやめてくんない!!」
「そういう所も治るからこれは!
全く人の揚げ足ばっかり取ってぇぇぇぇ!!」
クラブデビューした女のテンションは異常
言い合いを始める二人を無視し、新八君は
狂死郎に話を切り出した。
「狂死郎さんってここのオーナーですよね?
あの巨大アフロさんといつ頃から一緒に働いてるんですか?」
「八郎ですか、彼とはこの店の立ち上げ時から
一緒にやってる親友です。
彼も僕もホストだったんですか独立して、
彼は今は裏方の仕事、一度整形に失敗しましてね・・・」
「失敗ってどんな失敗したら
あんなんになるんですか・・・・」
そのツッコミももっともだ。もうコントの爆発を
かましたようにしか見えない失敗だろあれ・・・
っと、気を取り直して
「所で、さっき起こしたやり取りも仕事なのか?」
「ええ、用心棒的なことも少し・・・・物騒な街ですし、
この町でのし上がるにはキレイなままでいられませんから」
その辺りについては、分かるような気もする。
無言で頷く中、狂死郎は少し暗い顔を見せた。
「私もNO.1と呼ばれていますが
失ったものの方が多い・・・正直なところ
親に顔向けできない連中ばかりです・・・」
少し、その物言いにムカが入り
俺は不機嫌を隠そうともせず狂死郎に返す。
「アンタのその言葉・・・
俺には 逃げの言葉にしか聞こえないけどな。」
「え?」
「中には親と会いたくても会えない奴もいるんだ
まあ俺も・・・あの世に行っても顔向け出来ないけどな」
「あの世?さんは一体・・・」
狂死郎の問いかけを遮ったのは、グラスの割れる音
何があったのかと思って振り向いたら
見覚えありまくりの連中が 入り口から現れた。
あれは・・・溝鼠組の勝男か・・・・
あの野郎、何しにきやがった。
とりあえず気づかれる前に銀さんと隠れる。
「銀さん・・・何なんですかあの人。」
「あいつは溝鼠組の黒駒勝男、泥水次郎長のガキだ。
厄介事に関わりやがって世話のかかる息子だよ・・・」
神楽ともこちらにやって来て、会話に割り込む。
「金ヨ金、チャラ男共が言ってたヨ。
用心棒になってやるから金よこせって言ったの
断ってから嫌がらせしにきたって・・・」
「私、あの人と会いたくなかったのに・・・・」
「大丈夫だ、俺がメンチ切ればすぐ」
立ち上がりかけた俺の肩を掴んで、
「オーイ待て待て、俺らが行くのはあっちだ」
銀さんは すぐ側にあった控え室を指差した。
「その顔、何か企んでんのか?」
「まーいいから ちょっと耳貸せお前ら・・・」
俺達は固まって、銀さんの"企み"に耳を傾・・・・・・
マジかよ・・・まあいい、今日は乗ってやろう
「はよ酒持ってこんかい!!」
ソファに沈み、勝男はおもむろにテーブルをけり倒す
「なんや、接客もできひんのかい・・・」
「申し訳ありません。ただいまお持ちします・・・・」
そこに満を持して現れたのは・・・
ホストに変装した銀時達だった
「本日は高天原にようこそいらっしゃいました。
当ホスト トップ3のシンです。」
「ギンです。JUST DO IT。」
「グラだぜ、FO!」
「そして期待の新人コンビ、ジャックと・・・」
「ローズでぇす、よ・ろ・し・くV」
・・・ノリノリだなおい。俺もだけど。
「な・・・・あ、あなた達 何を」
「度胸あるやないか。ホントはエライ姉ちゃん
はぶりたいねんけど。まあこっちゃ来いや。」
エライ姉ちゃん 俺の隣にいるけどな・・・・・
「は〜い、失礼しまぁ〜す。」
なぜか回転しながら銀さんが勝男に近づいていく。
「あれ?銀さ・・・」
「ハア!!!」
神楽はお母さんにみぞおちを・・・・
ちょちょちょ待てぇぇぇ!何してんだよおい!!
「あらあらお客さん、もう潰れちゃったの?FO!」
「いや、オバハンまだ飲んでへんで?」
「おーいシン、大事なお客さんをあちらに寝かせ
JUST DO IT!」
「オ〜ケ〜、我が命に代えても!」
「何かうざいんやけど・・・」
同感、確かにうざい・・・・・・・・
っと こちらもサービスせねばな!
「失礼しました こちらサービスとなります。ローズ!」
「は〜い!」
はフルーツ盛り合わせを持ってきた。用意がいいな
「うん?あんさんら何処かで会わへんだか?」
「え〜気のせいでしょう、ねえジャック?」
「YES I DO.」
やっば・・・・ついその場のノリで・・・・
「戻して話続けるで・・・・」
「何になさいますか?」
「焼酎水割り7対3や、じゃあ話を戻・・・」
「焼酎3ですか?水3ですか?」
「焼酎3や、話w・・・」
「焼酎さんって名前ですか?」
「焼酎さんちゃうわ!!
いや・・・・焼酎スリー、水セブン、OK?」
「OK、我が命に代えても。」
「さっきから何!?流行らへんからそれ!!」
そこはアンタの言う通りだ、流行らないよなこれ
つーかどっかの同心もそんなこと言ってたような・・・
咳払いを一つして、勝男は強引に話を戻す。
「面倒やから簡単に言うけど、おたくの連れ、
怪我させたくないならわしらの要求のめって言いたいねん」
言って 奴は手下に囲まれ羽交い絞めにされた
八郎に視線を向け、続ける。
「悪い話やないやろ?そっちはトークで女喜ばせて、
こっちは馬鹿な男共を追っ払う。
儲けも七三で分けよう言うてんねん。」
「・・・前にも言いましたがあなたたちのような者と
手を組む気はありません。」
狂死郎は毅然とした態度で首を振る。
「僕らは自分たちだけの力だけでここに生きてきたし、
これからもそうです・・・変える気はありません。」
真剣な話の最中 神楽は火付け石を打ち鳴らしていた。
つーか、そんなんでタバコの火ぃつかねーぞ。
「ほう・・・・連れがどうなっても・・・・」
オマケに石の端っこで勝男の顔ぶっ叩いたし。
「痛い!痛いしうるさい!!
あぁもう、ライターないんならこれ使え。」
「・・・いやいいです・・・・プレゼントとか・・・
重たい、何か付き合ってるみたいな・・・」
「お前にあげたんちゃうねん!
それでタバコつけろっつってんねん!!」
神楽は頷いてライターを受け取ると、宙に軽く
放り投げて火打石で両側から押し潰した。
「「火打石とコラボレーションすなぁぁぁぁぁ!!」」
前編といい、何であっちとツッコミハモるんだよ俺!?
八郎が身を乗り出しながら狂死郎へ叫ぶ。
「狂死郎さん!!オラに構う必要はない!!
こんな奴らの言いなりになるな!!
俺たち一緒に・・・この街で生きていこうって
言ったじゃないか!!」
言葉の終わりで下っ端が八郎に足払いをし
倒れた八郎の前に、勝男が立ちはだかる。
「いい度胸やないか・・・・・ほなこの街で
生きていくってことが怖いことを教えてやるわ。」
「やめろ!!」
「もう遅いわ狂死郎はん、けじめやけじめ。
わしらとお前らとは覚悟が違うってこと教えたる!!」
勝男が刀を振りかざした。八郎を斬るつもりか!
「やめ・・・・!!」
振り下ろそうとした、正に直前
背後に回った銀さんが その腕を掴み
奴から刀を落とさせた。
「知ってっか?侍は覚悟決めた時、腹切るんだぜ?
痛そうだから俺はやんねぇけど。」
俺も拳銃を突き出し、それに倣う
「ついでに兵士は覚悟決めたら、敵も
道連れに自爆すんだぜ?
俺は死ぬわけにいかないからやらないけどな。」
「お前ら・・・・誰やねん!?」
「何しとんじゃわれぇぇぇぇ!!」
下っ端が血相を変えて、こちらに向かってくる。
慌てず騒がず 銀さんはその場で叫ぶ
「ドンペルィーノ3本!入りまーす!!」
「OK−!我が命に代えても!!」
新八君が投げたドンペリの瓶2本をその場で受け取り
「Oh!JUST DO IT!」
勢いに乗って、下っ端のドタマにぶつけた。
ドンペリの瓶の強度は半端じゃないから、
奴等はしばらく立てないな。
銀さんはもう一つ飛んできたドンペリを勝男に
ぶつけようとしたが、楊子を突きつけられ 動きを止める。
「兄ちゃん・・・そんなうまいこと行かへんで世の中。」
ちっ、この状態だと俺が腕を撃つよりも先に
奴の楊枝が銀さんに刺さる・・・
緊張をはらんだ拮抗状態の中
その場に似つかわしくない着メロが鳴り出した。
「うん?メールや?」
勝男が懐から携帯を取り出して、電話に出る。
つーかヤクザもんがなんて着メロ選んでんだよ
普通そこは演歌とかだろ・・・・・
「はあ!?マジで!?分かったすぐ行くわ・・・」
電話を切ると、いまだに唸る手下どもを揺り起こし
「お前ら起きんかぃ!メルちゃん、
わしのおらん間にママになってしまいおった!!」
「生まれたんでっか?おめでとうございます!!」
「おめでとうやあるかい!こうしちゃおれへん!!
今日の所は引き上げるわ!!」
そう言って勝男が走り出し、手下もそれに続いて消えた。
・・・・・・何だかよく分からんが、
今回はそのメルちゃんに感謝だな。
ボロボロになった八郎がこちらに寄ってくる。
「ありがとうございます。ご迷惑おかけしました・・・」
「ったく、手間かけさせやがって。でもまあ、
母ちゃんの目の前で息子死なせるわけにもかねえからな。」
「息子?」
「この期に及んで何言ってんだ八郎!
あのおばさんはな・・・」
「いや、オラ元々オナベですから」
え 元娘!?・・・・・・じゃあ、やっぱアンタ
息子の八郎じゃねぇのかよ!?
衝撃発言で驚く俺達に追い討ちをかける事実が
神楽の口から発せられた。
「銀ちゃん!!大変アル!!」
「どうした神楽?」
「おばちゃん何処探してもいないネ!」
「え?トイレにも?」
神楽が首を縦に振る。
ま、まさかさっきのドタバタで連中に・・・・!?
「母ちゃん!」
唐突に声を上げて狂死郎が走り出す。
・・・・・え?母ちゃん!?
「おい、狂死郎。これはどういうこった?」
「あ・・・・・・・・。」
「正直に話してもらおうか?
事態が事態だからな・・・・」
俺達を見つめ、観念したように狂死郎は頷いた。
「あの人は・・・・私の、母親なんです。」
「狂死郎さん・・・・どうして隠してたんですか!?」
が問いただすが、彼は項垂れたまま答えず
「・・・すいません!母ちゃんを捜してきます!!」
そのまま 店から飛び出してしまった。
「狂死郎さん!!」
「マジかよ・・・!俺たちも行くぞ!」
「ああ!」
まったく、またややこしいことになりやがった!!
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後書き(退助様サイド)
退助「やっと・・・・やっと完成しました。
母ちゃん中篇。」
銀時「原作上げるの遅すぎだろ。
スパロボとか吉原炎上の制作してたのは分かるけどよ・・・」
新八「いやUPの時と関係ない会話ですよそれ
てかスパロボって言ったら銀さん結構メイン役ですよね?」
退助「話戻そう・・・ホストの話なんで二人も
ホストとしてコスプレしてみました。」
神楽「あれから女モンのスーツを買い漁ってたネ。」
新八「さん・・・不運ですね・・・
また小遣いなくなりますよアレ・・・」
退助「稼いでるから平気っしょ、でもまあ色々と
スナックすまいる関係でのコスチュームが
増えてるのは事実かなぁ〜。うん。」
銀時「マジでか、もちろんナース服とかあんだろな?」
退助「もちろん、劇中に出せるかどうか分かりませんが
他にもチャイナ服、ゴスロリ、メイド、ビキニ等々・・・」
銀時「え・・・胸ねぇのに何でビキニ?」
退助「しっ!聞こえてたらに消されるよアンタ。」