準備を終えて銀さん達と合流すれば


屋敷の周りでは既に、奉行所の者が大勢ひしめいていた。





「すごい警備の数ですね・・・」


「そりゃそうですよ、お奉行の威信が
掛ってるでやんすから。」


「ここに忍び入って奴等より先に狐 捕まえるのか
・・・まるで俺達が泥棒だな。」


「万一にも見つかったら面倒だな。」


「心配いりやせんよ、あちきが手引きするんで。」





十手を握り締めながらハジは軽い口調で続ける





「あちきら目明しってのはその多くが
軽い罪を犯したもので構成されているんです。
泥棒捕まえるには泥棒って奴です。


かく言うあちきも昔は・・・
だからこういうの得意なんです。」


心配直撃なんですけど!
誰かこの娘つれてってぇぇ!!」





いや、場合が場合だけに同類の思考を持つ奴は
意外と使えると思うんだが・・・・・







「オイ大きな声を出すな
警備に気づかれたらどうするんだ。」





呆れたようにバイクにまたがる小銭形が・・・って





「「お前がどうするんだぁぁぁぁぁ!!」」


期せずに俺と銀さんのツッコミが被った





「こんな時くらいハードボイルド脱ぎ捨てて来い!!
バカなのか?お前はバカなのか!?」


バカヤロー!このバイクは落ちてたんだよ!
ハードボイルドな奴の前にバイクが落ちてるもんなんだよ!


「あぶ○い刑事」でもタカがよく落ちてるバイク乗って
敵追跡してたろ!まぁあいつも結構ハードボイルドだからな」


「アンタはマジで危ないから!「マジで危ないから
どいてぇ!みんな近寄らないでぇ刑事」だから!」



「むしろ落ちたバイクってどんな状況だよ・・・」











卵は固ゆでより半熟が好き











「分かったよ、降りりゃいいんだろ降りりゃ。」





バイクから降りた小銭形はバスローブのまま
バカデカいワイングラスを片手に構える。





「「オイィィィ!
もうツッコむのめんどクセーよ!!」」



「オメーはどんだけハードボイルドで武装してんだ!
なんでバスローブなんだ!
お前それ一仕事終えた後のハードボイルドだろうが!!」


「・・・・タカがよくバスローブ着てたから・・・」


「オメなんやかんやでタカに憧れてんじゃねーか!!」





大体、その格好で行くつもりだったのかよこいつ
夜中に白は一番目立つだろうが・・・・・







「もういいからとりあえず脱げそれ。」


え?脱ぐの?ん〜こんな所で・・」





照れた表情で眉を潜める小銭形





「アンタハードボイルドじゃねぇのかよ!
何処の箱入り娘だ、キショいわ!!」


ハードボイルドがそこらの子供みたいに
「「だからそれはもういいって
言ってんだろうがぁぁぁ!!」」






ああもう全然話が進まない・・・・







こんなグダグダしてる間に神楽は後ろで
バイクをいじって遊んでいるし。


ってハタから見てても危なっかしいけど・・・





まずは、こいつから何とかしないと





「まあとにかく全身タイツに着替えろ。」


「いやタイツは勘弁してください
モッコリしちゃうじゃないですか。」


「いいんだよ、スペース○ブラも着てただろーが
モッコリしてたろ?あとの兄弟弟子も着てたし」


着てねーよ!てか一緒にすんな!!」


「とにかく着替えろ。、予備持ってんだろ?」


「いや今日は持ってな・・・つーか着せないぞ!!」


「んだよしゃーねーな。おい神楽のそれ
もう1着あんだろ、よこ・・・」


最後のセリフを言い切るか言い切らないかで





バイクが神楽を乗せたまま急発進する。





「あ〜れ〜!」


「曲者だぁぁぁぁ!!」







案の定警備に見つかるも





「ダビッドソン!!」





そう叫びつつ、お構いナシに彼らを
跳ね飛ばして屋敷の方へと・・・・・・







「よし、陽動作戦成功だ。」


「「ウソつけ!!」」


「今のうちに裏から侵入すっぞ!
神楽の死を無駄にするな!」


「勝手に死んだことにしてるし!?」









何はともあれ、裏から侵入成功はしたのだが・・・







さっきの騒ぎのせいで中の警備が
より厳重になってしまったようだ。





「本格的に動き出したみたいですね。」


「おいおいこんな騒ぎじゃ狐も尻尾巻いて
逃げちまうんじゃねーのか?」





それは絶対にあり得ない。


なんせ俺はその狐と手を組んでいる。
だから・・・・必ず狐は来る





そう心の中で呟く







ハジも同じことを考えているだろう


「そいつはないと思うでやんすが
犯行予告を送りつけてくる位だ。
これ位の警備態勢、狐も予想してるはずでやんす。」





いや奴は必ず来る

男とは常に危険に身を置かねば
生きられない血に飢えた獣なのだ








あれ?また語りの部分に割り込みが・・・・・


訝しがりながら小銭形へ視線を向ければ
またグラス片手に窓から外を・・・おいおいおい!!





「何してんだ!それ見つけてくださいと
言ってるようなもんだぞ!!」


「つーか何でまたワイン持ってんだよ!」





先刻から震えが止まらない


どうやら俺の中の野獣も居ても立っても
居られず暴れ出したようだぼろろろろろろろ






「完全にビビッってますよ。
吐くほどガチガチになってますけど。」


「バカだろお前、いい加減ワイン飲むのやめろ。
もうお前がハードボイルドじゃない事は
みんな知ってっから。」


「ワインじゃない、カミュだぼろろろろろろろ」


「カミュでもアムロでもいいから酒で
緊張紛らわすのはやめろぼろろろろろろ」


ぎゃー!?銀さんしっかりしてください!
もらいゲボロロロロロ!」


おいぃぃぃぃ!もう収集つかねーよ!!





こっちまでもらって吐きそうだったので
とりあえず風上へと位置を変える







「しっかりして下さいよ〜うわ酢っぱ臭!?
何してんでやんすかあんた等・・・」


「全く、マフティーでもキンケドゥでも
いいからいい加減シャキっとしろ。」


さん、マイナー過ぎて分かんないです。」


「そこで何をやっている!」





マズイ!警備がもうここまで!?







咄嗟に俺は段ボールを出して部屋の隅に隠れ


銀さんと新八君は鎧の置物を
素早く着てマネキンに変装した。





小銭形は・・・・もういいやめんどくさい







「あれ?
ハジ、お前今日警備から外されてなかったか?」


「いえ!狐が来ると聞いて居ても立ってもいられず!」


「仕事熱心だな。」


「あ!そっちは調べやしたよ!」





警備は構わず鎧マネキンの二人を見つめる



うつむいた姿勢だから、多分動かなきゃ
バレな・・・あれ?







新八君、メガネは不自然だろ!取れよ!





メガネは目の鎧です





何でテレパシー出来てんだぁぁぁ!?


お前中の人一緒だからって
ニュー○イプみたいなことすな!!





原作じゃさんだってそうだったでしょ!


まあそうだが、力なくなってるからね作中では・・・





メタ大安売りなやり取りをしつつも我慢を
続ける俺達の苦労が功を奏したか


警備の二人は鎧から離れる。





はぁ・・・助かっ


おい何だこれ?家康像じゃ。」







すっかり小銭形のことを忘れていたが・・・





まさか あんな目立ちすぎる場所にいたなんて







『ピンポンパンポン、こちらの像は家康公
鷹取りの折 背後を取った暗殺者のハードボイル像です』


「「あるかぁぁぁぁ!!んな像ぉぉぉぉぉ!!」」


ってオイィィ!
マネキンがドロップキックすんなぁぁぁぁ!!」





あ、しまった!?
うっかり条件反射でツッコミを・・・!!





「貴様らぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「小銭形ぁぁぁぁ!!
貴様謹慎中に何をしておるかぁぁぁぁ!!!」








見つかった俺達は無様にも
奉行所の同心達に追われる事になってしまう。







それもこれも全部このアホ同心のせいだ!!


ったく狐も何を思ってあんなことを・・・





「チッ、こうなっちまったら是が非でも
狐捕まえて名誉挽回せんと確実にクビだな。


フン、望む所さ。
よし!一旦BARに戻って態勢を立て直すぞ。」


「全然望んでねーだろーが!!逃げ腰だろ!!」


「大体なんだよ一旦BARって!!BARなんて
一回も行ってねーよ!あれしみったれた屋台だろーが!!」


「あれがBARだ、オシャレなBARは緊張して入れない。」


「おめーホントハードボイルドの欠片もねーな!!」





それは今に始まったことじゃないがな・・・







バランスを崩したのか、ハジが途中で転倒する。





「ハジィ!!」


「アニキィィィィ!!」







追手の同心が目前まで迫り、一戦を覚悟したその時







横手の壁が爆発し そこから狐が割って入って来た。





「き・・・狐!?」


狐が出たぁぁぁ!!ひっ捕らえ」


言葉半ばで 狐は同心の間を一瞬ですり抜け
同心達を気絶させる。





早い・・・これが元九尾の力か・・・・





感心する間にも狐はこちらへ向けて手招きをしている







なるほど・・・誘い出す気か







野郎ぉ!なめやがって!!」





うまいこと銀さん達が挑発に食いつき


俺達はそのまま狐を追い掛ける。







「アニキ、狐の奴・・あちきを助けて・・・」





フン・・・まさか・・・だが


あの狐からは何処か懐かしい風が匂った









その後、俺達は狐を追ったが結局捕まえること叶わず
一旦BARに戻り態勢を立て直すことにした。






何勝手に話進めてんだ!
どんだけBARに行きてーんだよオメーは!!」


「さっきからテメェは・・・いちいちBARを
はさまねーと次の行動できねーのか!
早く狐を追うぞ!!」







BARもしくはビリヤードを嗜みながら
態勢を立て直すことにした。






「ビリヤードもダメ!行きますよボケ!!」


「・・・・もう付き合いきれん
俺は別ルートで金の油揚げ像まで行くからな!」


「ちょさんんんん!?」





一方的に怒鳴り、俺は彼らから離れて走り出す。







ったく何を思って狐はあんなバカを・・・・





それは本人に聞いてみるしかないか
















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後書き(退助様サイド)


退助「ハードボイルド同心中編まで行けました。」


銀時「オィオィ何あんなにキレてんの?
毎朝でもいいからいちご牛乳飲んどけいちご牛乳。」


サニー「ジャック、朝はコーヒーしか飲まないよ?」


新八「またこの子は真面目に答える・・・・
つかさんマイナーなダムキャラ出しすぎでしょ
どうやって知ったんですか?」


退助「ゲームで。ちなみに俺もゲームで知りました。
"マフティー"はブライトさんの息子で"キンケドゥ"は
シーブックの偽名です。」


新八「どうでもいいわんな情報!!」


神楽「あ〜れ〜!ダビッドソンンンンンン!!」


退助「まだ暴走してるし!?ブレーキブレーキ!!」


神楽「出来れば苦労しないアルゥゥゥゥゥ!!」


新八「じゃあ乗るなよぉぉ!!」


退助「無免でパトカーとか運転しまくってた
アンタが言う資格はないような・・・・」