ハードボイルドの語源・・・・固ゆで卵。
現在では渋くてかっこいい男の事を
言うらしいが・・・・・
今回俺が出会ったのは それと程遠い人物である。
「サニー良かったな、大事なロケット
拾ってくれた人がいて。」
「う、うん・・・お母さんの写真が
入ってたからどうしようかと思って・・・・」
俺とはサニーが落した写真入りのロケットを取りに
奉行所へと向かっていた。
そのロケットには・・・オルガの写真が入っている。
サニーが唯一持っている母親の形見。
友達のイタズラによって失くしてしまったが・・・
見つかってよかった。
「良かったわね・・・これで見つからなかったら
がよっちゃんって子を何改造するか
分かったもんじゃないわ。」
「俺をマッドサイエンティストにすんなよ人聞きの
「どうして全然ダメなの、どうして馬鹿なの!
何で無駄にハードボイルド!!」
悪い、と言いかけた言葉は奉行所からの
怒鳴り声に混じって掻き消された。
他人から見れば無駄に見えるこだわり・・・・
しかしそこに男の全てがある
「うるせーんだよ!!
存在そのものが無駄な奴が言うな!!」
なんか語りの所に割り込みが・・・まあいいか。
「平次、てめーがハードボイってる間に
また犠牲者が出たんだぜ。」
「!まさかまた狐が・・・」
え・・・・狐?
「ああまただよ 忍び入った店の者、店主から
丁稚にいたるまで一人残らず皆殺し・・・血の海よ」
「すいません・・・それってまさか
この頃起こってる強盗殺人のことですか?」
ハードボイルドとは、こういう男では
無い事を言うんだと思うぜ
「ああそうだが・・・・誰だあんたら?」
やや高めの床に立つ男と地べたにしゃがみ込む男の内
立っている奴が、訝しげに訊ねる。
「あの私達落し物を取りに・・・」
「ああそうだったね、その子のかい?」
「はい・・・大事なものだったんです・・・・」
「ああ、分かったよ。ちょっと話が終わってから」
そう言って彼は 部下らしきしゃがんだ男を再び睨む。
「・・・・ともかく、狐はただの懲賊になり下がっちまった。
平次、こいつぁ十年も奴を追っていながら
一度も捕まえられなかったてめーの責任だ。」
平次と呼ばれた男から グラサン越しに
驚いた表情が見て取れた。
「てめーが奴を捕まえてりゃ死ぬ者もいなかった。
てめーが奴を捕まえてりゃ狐もあそこまで堕ちる事もなかった
てめーは立派な罪人だ。
無能というのも罪目に加えたいもんだね。」
辛辣に吐き捨て、上司は奥へと移動する。
狐か・・・・なんか複雑だな。
FOXは狐の意味、何処か親近感が湧きそうだが
相手は残酷なドロボウ・・・そうもいかない。
「あれ?か?」
「サニーも一緒アルか?」
そこに妙な着ぐるみ姿の万事屋トリオがやって来た。
「銀さん?何でアンタが?」
「ちょっとそこの同心に誤逮捕されちまってな。」
「ってその着ぐるみは・・・・・?」
「ああこれ?イメクラの呼び込みだ。」
「イメクラって?」
「サニーちゃん・・・・聞かなくていいのよ・・・・」
「え?何で?」
「仕方ないアルネ、サニーにこっそり教えちゃるヨ!」
「教えなくていいから!!」
まあ何はともあれ・・・・成り行きで俺達は
小銭形と言う人のいきつけの飲み屋で 話を聞く事に。
「自宅謹慎・・・なんかすいませんね。
僕らが呼び込みかけたせいで・・・でもそっちは
犯人と勘違いしたからおあいこですよね?」
「万事屋か・・・金さえあれば何でもやる
・・・・ハードボイルドとは程遠い職業だな」
「何?さりげに見下してるよ・・・・」
「ハードボイルドって・・・固く茹でた卵のこと?」
「そうだよお嬢ちゃん、あまり俺に近寄るなよ?
怪我するぜ?」
「何この人?ハードボイルドを履き違えてない?」
の言う通りだ・・・・これは明らか違う・・・・
落ち込みはしない。いつものことだ。
いい事があろうと悪い事があろうと
そいつを肴にカミュをかたむける・・・・
俺の一日に変わりはない。
カ
ミ
ュ
、
そ 「もういい、ウゼェ。」
れ
は
男
の
「Σぎゃぁぁぁぁ!ちょ、何するんだ貴様ぁぁ!
俺のハードボイルドをを!!」
どうやったかはムダなんで聞かんが、また
器用に文字を刺すよな・・・・・
最もこれじゃ分からんが・・・・表現力の限界だ。
「もういい、しつこいハードボイルド。」
「しつこいハードボイルドって仕方ないだろ!
ハードボイルドなんだから!!つーかこれ絶対読者
分かんないよ!!刺さってるのに全然分かんないよ!!」
「いいんだよそんなもん、夢小説読んでる奴らは
幻覚が標準装備なくらい想像力豊かなんだしよぉ。」
「銀さん、それさり気に
作者と管理人も含めて見下してない?」
そんな中 唐突に神楽がカウンターを叩く
「そんななぁ、ハードボイルドで頭いっぱいで
仕事も手に付かないならなぁ。
ハードボイルドなんてやめちまえこのバカチンが!!」
「「お母さん?」」
「その方がハードボイルドにとっても幸せだわ!!」
「んんんんん!出来るもん!
ハードボイルドも仕事も両立するも〜ん!!」
「いやもう両方成り立ってませんよ・・・
ハードボイルドも仕事も・・・」
「旦那、そのへんにしとかにゃ
また奥さんにどやされますぜ?」
家庭に仕事の愚痴を持ち込まない・・・
それが男の作法だ。
「またやってるヨ。
しかもの語りに割り込んでるアル。」
「まあそれはいいんだが・・・
確かに仕事で愚痴ったことはないな俺も。」
妻の前ではいつも身ギレイでいる。
それが夫婦円満のコツ、だから今日も俺は
こうしてカミュで身を清めるのだ。
「こいつカミュって言いたいだけだよ
カミュって言えばハードボイルドになると思ってるよ。」
「たまには愚痴こぼして話きいて花もたしてやんのも
夫婦円満のコツですよ。
どーせまた狐に逃げられたんでしょ?」
「フン。」
まったくこのマスターにはかなわない。
何でも俺の事はお見通し、思えば十年来のつきあいカミュ
「カミュって言った!
無理やりハードボイルドにしたよ!!」
もう本当の親父のようで
むこうも恐らくそう思っているのだろう。
「思ってねーよ。」
くたばれジジィカミュ
「最早ハードボイルドでも何でもないよ・・・・」
「ホントですねさん・・・・」
?そういえばこいつ何処か懐かしいニオイを感じる。
機械家政婦の件で出会ったあの嬢ちゃんと
野郎共と同じ・・・硝煙のニオイが・・・・・
「何この人!?無理やりそれっぽくしやがったよ!?」
「そういや狐の野郎が江戸に最初に現れたのも十年ほど前
いやはやあれからずっと奴を追い掛けてなさるとは
あっしは十年間も、愚痴聞かされてきたわけですな。」
マスター・・・いや親父さんが言うには・・・・
神出鬼没の伝説の盗賊、『狐火の長五郎』
人を殺さず、女を犯さず、貧しき者から盗まず
悪党から金をまきあげ貧しき民にばらまく。
狐は元から凶悪犯ではなく、義賊と
もてはやされていたが・・・・
今では 殺しも強盗まがいな事もするとか。
もう凶族になり果ててしまったのか・・・・・
「まあ元々盗人なんて
ロクな奴じゃなかったんでしょうが・・・」
「そうかもな・・・・・」
アメリカでも似たような事件があったが・・・・
最終的にFBIから銃殺命令が出ている。
悪い芽は摘み取る・・・・それが一番有効だ・・・・
「奴は違う。」
キッパリと言い切る小銭形に 全員が驚く。
思わずそう口走った自分に内心驚きを隠せなかった
「ウソつけよ、冷静じゃねぇか。」
「あれは・・・俺の知ってる狐じゃない。
てめーのルールも持ち合わせてない野郎は
悪事だろうが善事だろうが何やってもダメなのさ。」
「ダメなのはお前ヨ。」
神楽のツッコミをスルーして小銭形は続ける
「悪人か善人かは知らんが少なくとも俺の知ってる狐は
自分の流儀を持ち合わせていた。
盗み入った屋敷に食い掛けのお揚げと書き置き
必ず残していくような、泥棒のくせに
茶目っ気があってどこか粋な奴だった・・・」
それ・・・・怪盗○ッドに良く似てるな・・・・
「兄貴ぃぃぃ!!」
叫びながら、屋台に向かって誰かが駆けて来た。
「ハジ!どうした!」
「大変なんです!これ見てくだせぇ!」
ハジと言う子が持っていた紙を手にして 小銭形が呟く。
「こいつは・・・・犯行予告状!?」
「今晩、狐が入った屋敷に・・・完全にナメられてやす!
こんなもんバラまかれてとり逃がした日にゃあちきら・・・」
「おのれぇぇぇぇぇ!!
ハードボイルドなマネをぉぉぉぉ!!」
紙を破って、走り出そうとする小銭形。
「待てよ、謹慎まで破って
わざわざ敵の汚名はらそうってか?」
「それに見つかったら職を失うぞ?」
俺達の言葉に 彼は振り返る事無く口走る。
「そんなんじゃない。ただ・・・・俺にも
俺の流儀があるだけだ。
腐った卵は俺の十手でぶっ潰す!!
それが俺のハードボイル道だぁぁぁぁ!!!」
「旦那、勘定まだです。」
「あ、すんません。」
謝って小銭形は、屋台の台の上に小銭をばら撒く
・・・いやダジャレのつもりで
言ったんじゃないからねコレ!マジで!!
「イマイチ決まらない人だな、しかも
全部小銭で・・・どんなハードボイルド?」
「ハードボイルドですらないかも・・・・」
サニーの言う通り過ぎて怖い
「もう戻ってこねーかもしれねーので
今までのツケの分も。」
「親父がハードボイルドだよ!!渇いてるよ!!」
「グッナイ、マスター。」
「だから親父だって・・・・・」
小銭形・・・行っちゃったな・・・・
「じゃあこれはそのまま旦那に。」
そう言って親父さんはさっき支払われた小銭を
銀さんの方に持っていった。
「おいなんだよコレ親父?」
「旦那方はさっきなんでもやる万事屋だと
おっしゃってやしたね。
さっきも言った通りわしも十年もの間
そこの旦那に愚痴きかされててねぇ・・・
やれ狐だ狸だって・・・
もううんざりでねぇ、ききたかねーんですよ。
さっさとケリつけてもらいたくてねぇ・・・」
淡々と語り終え 親父さんは頭を下げた
「どうぞ、小銭形の旦那をよろしくお願いしまさぁ。」
その姿はどこからどう見ても・・・・
「ハードボイルドォォォォ!!
ハンパじゃねーよ!!ハードボイルドの化身だよ!!
もうやってらんねーよ!
マスターが一番ハードボイルドじゃん!!」
「マスターじゃねぇ、親父です旦那。」
「ハードボイルドォォォォ!やっぱ親父ハードボイルド!
ハードボイルド言い過ぎてハードボイルドなんなのか
訳分からなくなってきた!!」
「「「ハードボイルドォォォォォォ!!!」」」
・・・・・・・・カミュ
「しつけーんだよオメェは!!」
ツッコミ入れてから銀さん達は小銭形と
何処かへ行ってしまった・・・・・
全く、忙しい連中だ。
「兄ちゃんは行かないんですかい?」
「俺は万事屋じゃない。でも・・・狐か・・・・」
「ほぉ、兄ちゃんも狐に・・・?」
「そうじゃないんだが・・・・俺も狐と縁があってね。
一応俺は軍人でな、狐にちなんだ部隊に入っている。」
「そうだったんですかぃ・・・
じゃあちょっとお願いしてもいいですかね・・・・?」
親父さんは後ろを向いて、何やらモゾモゾし始めた
「まあ別に構わないが・・・いつか命令が来ても
おかしくないからな・・・・・・え?」
「まあその狐狩りに協力してほしいって
いうかなんというか・・・・・」
振り返った親父さんの顔には・・・狐の面が
あれ?これって・・・・
「「「ええええええ!!??」」」
俺と、サニーは同時に驚き叫んだ。
「えええええ!!?
ちょこれ・・・どういうこと親父さん!?」
「実はあっしが狐火の長五郎でさ。」
「ってことはいつも小銭形さんの愚痴を・・・
自分の話、聞いてたってことですか・・!?」
「まあそうなりますな。」
そんなあっさりと・・・・・
まさに"灯台下暗し"って奴だな、これぞ。
「でも何で俺達に?」
「実は・・・」
親父さん・・・・いや狐火の長五郎は
俺達に真実を明かしてくれた
最近起こった事件は全部
『盗賊団 九尾』の仲間が起こした事だったらしい。
それを止めるため、親父さんは今夜
行動を起こすつもりでいるようだ。
「なるほど・・・・分かった
そういう事情なら、協力しよう狐さん。」
「ありがとうごぜぇまさ。旦那方に悟られないよう
旦那方の所に向かってくだせぇ。」
「そうだな、装備を整えてから行くよ。」
頷いて 二人と共に帰ってから
俺は装備を整え始める
そういえばまた新しい迷彩服が届いたんだったよな
・・・・たしか『ファイアー』だったな
ついでにこれの性能を試そう。
しかし・・・・狐さんはなんであんな事を・・・・・
宿敵である小銭形と接触して愚痴聞いて・・・・・
まあ、今は銀さん達と合流することが優先だ。
それ以上何も考えないでおこう・・・・・・・・
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後書き(退助様サイド)
退助「さあこれもノリで始めました。」
銀時「ったくどんだけノれば気が済むんだよ?
一万円コース10本分か?」
サニー「何それ?」
新八「銀さんんんんんん!!!
サニーちゃんがいるのになんてこと言ってんですか!!
なんでもないよサニーちゃん!これ・・・別に・・・」
神楽「サニーもガキじゃないネ、はっきり教えるヨロシ」
退助「それやった暁には
俺サニーファンに叩かれるって・・・・・・」
平次「ちょっと待て、文字が刺さる表現は
あれでいいのかカミュ?」
退助「だって小説じゃこれが限界でしょ?」