銀さんの頭へ視線を戻すと・・・・





天パがサラッサラヘアーに早かわ・・・・・・
ていうか髪型変わってるじゃねーか!!







「嘘だぁぁ!!嘘だと言ってくれぇぇぇ!!」





絶叫する俺を他所に、お妙さんは無言のまま
手鏡で銀さんへ自分の頭を見せる。





「ちょ!おおおおお!!サラッサラじゃねーか!!
ベタつかないバサつかないじゃねーか!!!」








銀さんはメチャメチャ嬉しそうに
サラッサラヘアーを振り回した。振り回しまくった。





キャッホォォォ!!
これで雨の日もクリンクリンにならなくて済むぞぉぉぉ!!」


「喜ぶ前にヘアースタイルを嘆けぇぇ!!」





異様な髪型なのはともかく、これが
ドリームキャッチャーって奴の力か・・・・・・


いや、落ち着け俺!妙な雰囲気に飲まれたらダメだ!


必ずどっかにトリックがあるはず、と考えていたら





「何か御用があればなんなりとお申し付けくださいハム様」


「いや、ハムじゃないから、トムだから。」





あっさりと銀さんは斗夢の足元にかしずいていた。







しっかりしてよ銀ちゃん!!
お前!!元の銀ちゃんを返すネ!!」


「何言ってんだ、これが本当の姿だよ
悪い坊主の呪いで醜い天パに変えられていたのさ。」


「そのような坊主と遭遇していたのか?」


「いや、いないから 騙されるな。」





ツッコミ入れてる合間に、斗夢は神楽へ向き直り







「お嬢ちゃん、君の夢はご飯いっぱいに「ごはんですよ」
だったよね?ドリィィィムッキャッチャァァァァ!!





そしてまたカメハ・・・・っぽい仕草を行った。











どんだけシワが増えても夢は追える











同じように、再び神楽の頭を見てみると・・・・・







「うおっ!?マジ出たぁぁぁぁ!!」





瞬時に出されたご飯を口へと頬張りながら
神楽も銀さんの隣で同じように斗夢を仰ぐ。





「何か御用があればなんなりとお申し付け下さいハムの人。」


「何ハムの人って、トムって言ってんじゃん。」


「やられたぁぁぁ!!簡単にやられたぁぁぁ!!」


「新八君、俺がいる限り簡単にやらせはしねぇぜ。
・・・トムさん 俺の願いも叶えてくれないかい?」







言って俺は教祖の前へと進み出る。





・・・そう 俺の願いは狙撃、突撃銃を兼ねそろえた
M14EBRが欲しいということだ。


これはそう簡単に手に入る代物じゃない。

今度こそ、トリックの種を見破ってやる!







「ハイハイいいでしょう。ドリィィィムキャッチャァァァァ!!





振り返った俺の背中にあったのは・・・・









うおおおおぉぉぉぉ!M14EBRじゃねーか!!
レーザーサイト標準装備で近接戦、スコープでの遠距離戦も
可能な使い勝手のいいライフルが俺の手に!!!」





殿はものすごく嬉しそうな顔でそのエモノを
掴んでまじまじと眺めていた。







程なくしてその銃を抱えながら、殿も
教祖の足元へと並びだす。





「御用があればなんなりとお申し付け下さい。
ミスター・ロースト。


「それハムとかけてるの?分かりつらいよホント。」


「やられたぁぁぁ!
最強の壁であるさんがやられたぁぁぁ!!!」






頭を抱える新八とひざまづく三人を横目に
教祖は下にいる教団の者達へと宣言する





みなさぁぁぁん!!歓迎しましょう!!

ここにまた新しい仲間が出来ました!!
みんなで夢を掴んで幸せになりましょう!!」







沸き上がる声と異様な熱気の中







「銀時や神楽だけでなく殿まで・・・
スゴイ効き目だ ドリームキャッチャー」





小さく呟き・・・私は 悟られぬように
天井の一角へ視線を向ける


今は、そこに気配は全く無い











無幻教へと入り込んでしばらく経った後、俺と
教団の廊下を歩きながら話をする。





そこでに あの時は従ったフリだったと教えた。







殿のあれは演技だったのか・・・見破れなんだ。」


「あんな薄っぺらい演技を見抜けないようじゃまだまだだな。
大体からこのライフル、元々俺のだし。」


「どういうことだろうか?」


シリアルナンバーが俺が持っていたのと全く一緒なんだよ。」





あの場で語った夢も、最近手に入れたM14EBR
頭に浮かんだから出た咄嗟のデマカセだしな





「問題は・・・・どうやってここから俺の家に
持ってきたかっていうかだな。」


「忍者ではないのか?」


「なっ・・・!?」







突拍子もない返答に 頓狂な声をあげてしまった。





眉一つ動かさぬままは続ける。







「実はあの時二度ほど何者かの気配
捕らえていて、気にはなっていたからな・・・」





カマをかけて意気込んではいたものの

演技とあの動きに気を取られていたせいか
俺は何も気付けなかったんだが・・・





妙な所で勘は鋭いから、のこのセリフは
あまり無下には出来そうに無い。







「知り合いにも忍者がいるし、そう考えれば
辻褄が合うと思うのだが どうだろうか?」


「いや、しかしそんなベタな・・・
あのオッサン天人っぽいから 何か巧妙な
転送装置でも使ってるもんかと俺は思うがね。」







その時、聞き慣れてる声が聞こえてきた。





「ドリィィィム・キャッチャァァァ!!」


殿、あそこに誰かおるぞ?」


「・・・・・・・・・まさか・・・・・・・」







そっと二人で曲がり角に顔を出してみると・・・・


よく見慣れた、てゆーかいるべきじゃない
一人の男があのポーズの練習をしていた。





う〜ん・・・何か足りない気がするな・・・・
よし、もう一度・・・」







無言のまま忍び寄り、俺はその男を蹴り飛ばす。







「あたたた・・・・何をする!!

・・・・おや?ジャック・・・いやではないか。
どうしたのだこんな所で?」


「俺が聞きたいわ!
アンタこそ仕事ほっぽりだして何してんだよ!!」








このジイさんこそが何を隠そう、FOXの創立者であり
俺の上官でもある・・・ゼロ少佐だ・・・







殿、このご老人は何者だ?」


「何だ 可愛らしいお嬢さんもご一緒か」





きょとんとすると妙にニヤニヤしている少佐に
ため息つきつつ 俺はそれぞれを紹介した。





誤解が無いよう言っとくが、コイツは単に
事情があって一緒に行動してるって奴だ。

あと、こっちは俺の上官の・・・」


ゼロだ、よろしく。」


「こちらこそ。」





二人は礼をして握手を交わす。







「で、何で少佐がこんな所にいるんだよ?」


「あれだ、ここならどのような夢も叶えれるのだろう?
だから私も一つ・・・」


何処から仕入れたその情報!!
・・・まあ一応聞いておくけど・・・少佐の願いって何だ?」


「ツチノコをこの手で捕まえることだ。」





自信たっぷりのその答えに、眉間に手を当てながら

俺は迷う事無く少佐に拳銃を向けた。





「いい加減にしてくれ・・・・
俺達FOX部隊の品格が疑われる・・・」


殿、上官にエモノを向けるものではないぞ?」


「止めるな!こんなしょぼい願い叶えようとしている
ジジイの何処が上官だ!俺は認めん!!」



事実は素直に受け入れろ、それが大人の対応だ。」





やれやれと言いたげなポーズで少佐は俺へと続ける。





「それにグロズニィグラードでツチノコを君は
持って帰って来なかった上、食べてしまった事も
あってここに来ているのだ。」


「アンタが大人になれぇぇぇぇぇ!!」







叫んだ直後、向こうから新八君が血相を変えて駆けて来た。







さん!さん!!大変です!!」


「どうした新八?」


「姉上と花子さんが捕まりました!!」


「何だって!?」









そのまま俺達は銀さんと神楽のいる男子便所まで
集まり、全員の話を総合させた。







「トムの部屋に忍び込もうとして・・・」


失敗したのか!?何で俺達を呼ばなかった!!」


「まあまあ、新八も反対してたんだから許してやろうや。」







じかに金庫を襲撃しようとした新八君達三人のうち

屋根の底が抜け、お妙さんと花子さんは捕らえられ
新八君だけが何とか逃げ出したらしい。







「オィオィ・・・マジで忍者だったのか・・・」


「私の勘は正しかったようだな」


それ始めに言ったの私アルよ!」







それとは別に銀さんと神楽も独自に無幻教を調べていた所
忍者らしい男がトイレから出て行っていたとか・・・


にわかには信じがたいが 本当らしいな。







「・・・分かった、で2人は何処に?」


「外で張りつけになってます!!急いで!!」





頷き 駆け出す新八君に続く神楽と







「何やら大変そうだな・・・では私はしつれ」





俺は有無を言わさずゼロ少佐の後ろ襟を掴んだ





待て待て、ここまで来たら俺達に付き合ってもらうぞ?」


、誰だこのじいさん?」


「俺の上官だ。それはそれとして
いい作戦があるんだ・・・皆に協力して欲しい


「オーイ!新八、神楽、
作戦会議すっからちょっとアイツらの救出タンマぁぁ!!」










手短に全員へ作戦を告げ 一目散に解散する。







そして、陽が沈みだした頃合を見計らって
俺は狙撃ポイントへ到着した。







ここからなら 万が一作戦が失敗しても





斗夢をこのモシン・ナガンで狙撃出来る。









高台で張りつけになっている二人へ、信者達が
罵倒を浴びせ石を投げつけているのが見えた。





ここまで狂信しているとは・・・

やはり真実をハッキリと明かさないと
こいつらの目は覚めないだろう。







作戦自体はかなり単純


屋根のヘリに張り付いた神楽が隠れている忍者を探しだし

俺の銃弾と神楽の傘で場所を示し、上に上がった
銀さんとでその忍者を倒す。





見つける前に忍者に逃げられたり返り討たれたら
作戦自体が頓挫する・・・上手くやれればいいが







思ってる最中 神楽が傘で天井を狙う。





「銀ちゃぁぁん!!そこネェェェ!!」







―そこにいたか!


すかさず俺もモシン・ナガンで同じポイントを狙い撃つ。





弾丸が刹那の閃きを見せ、月光を背に待ち構えていた
二人が エモノを携え飛び上がる。







「「ドリィィィム・キャッチャァァァァ・・・
見破ったりぃぃぃぃぃ!!」」








銀さんとが武器で屋根を突いた瞬間


天井が勢いよく抜け ケツを抑えた黒ずくめ
上から落ちてきた。





あれがドリームキャッチャーのトリック・・・・


しかし改めて思うが、なんて古典的なトリックだ
こんなのに騙されていたのかこいつらは・・・・

あ、ゼロ少佐もそうか。





「忍者だ!!何で斗夢様が忍者を!?」







忍者の登場に慌てる斗夢の前へ 現れた新八君と
ゼロ少佐がマイクを持って演説を始める。





「まだ気づかないんですか?
これがドリームキャッチャーの正体ですよ!


思い出して!この人が叶えてくれた夢って
何か具体的なものが欲しいとかそんなんばっかじゃん!!」


「この者は入信時にあなた方の夢をチェックを行い
叶えられそうな夢だけをチョイスし、あの忍者を梁に忍ばせ
その眼にも止まらぬ速さで奇跡を演出してただけなのだ。」





・・・は、気配だけ捕らえていたようだがな







少佐はもったいぶった咳払いをして、信者達へ宣言する。





「あなた方は騙されていたのだよ。」


「オメェも騙されてたろうがぁぁぁぁぁぁ!!」





高台へ移動した俺は弾倉を顔面に狙い、投げてぶつけた。





「何自分のこと棚に上げてんだコラァァ!!」


「な・・・それは違うぞ、私は初めから
全てを知っておって行動していたぞ・・・」


「嘘つけ!!」







呆気に取られていた信者達が再び騒ぎ始める。





「バ・・・バカな!そんなアホみたいな奇跡
俺達が引っかかるわけねーだろ!!」


そうじゃ!!わしなんてハゲてたのに
こんなフッサフッサにしてもら」


老人が頭に手をかけた瞬間、その髪があっさり取れた。

あからさまだと思ってはいたが、やっぱしヅラか・・・
いや桂さんのことじゃなくて。





「あー!これヅラじゃねーか!!」


ホントだ!何で今まで気づかなかったんだ!!」


「いや〜抜け毛を最小限にしようと
出来るだけ触れんかったから・・」





ったく何処のジジイもこんなかよ・・・・







正体を知った途端、現金にも信者達は斗夢を糾弾する。





「コノヤロー!!よくも騙しやがったな!!」


「金返せこらぁぁぁ!!」


「あわわ・・・・」







後退さる斗夢へ、新八君とへ縄を解いてもらった
お妙さんと花子さんが近寄った。





「教祖様、何しとんねん?」


「こういう時こそドリームキャッチャーでしょ?」


「「助けてくれってホクロに願えや!!!」」







二人が同時に斗夢を蹴り飛ばし

インチキ宗教の教祖は、悲鳴を上げながら
暴徒と化した信者達の中に消えていった・・・







「・・・アイツも、ウチらと同じかもしれへんな
夢に溺れて何も見えへんようになってもうた哀しい男や。」


「そうね、ただ違うのは溺れた時に助けてくれる誰かが
仲間がいるかどうかってことじゃない?」





お妙さんは 花子さんへと微笑みを向ける。





「だから私が溺れた時はお願いね、花子ちゃん。」


「当たり前や、今度は大阪の人情見せたるで。」










手を繋いだ二人をしみじみと見つめる中、
俺の背をつついて訊ねる。





「これで解決・・・でいいのか殿?」


「いいんじゃないか?でもこの信者達が奪われた
お金はどうしたものかね・・・・」


それなら私に名案があるぞ、ここの教祖の
口座振込み情報を割り出して元に戻しておくのだ。」





騙されていた割にはマトモな案を出した少佐に感心する。





「なるほど・・・ってあんたの金はどうしたんだ?」


「細かいことは気にするな。
では私はアメリカに帰るとしよう。」


ちょっと待て!!
何で帰ろうとすんだよ、取り返したくないのか!?」


「いや・・・私の金ではないというか・・・
なんと言うか・・・・」







言葉を濁すゼロ少佐に、ふとある一つの可能性
思い当たり 俺は通帳を確認する。


・・・覚えのない日にちに 振込みがされていた





「・・・・少佐?これは一体・・・・」


「さらば!!」







少佐は片手を上げて、その場から逃げるように走り出した。











「待ちやがれクソ少佐ぁぁぁぁぁぁ!!」







そのまま殿はゼロという上官を追いかけていった。





潜んでいた忍も、ドサクサに紛れて
この場から逃げ出して行ったようだ


・・・どこかで会った気もするが、それはどうでもいい







「やはりドリームキャッチャーは嘘だったか・・・
兄上と結婚出来ると信じてたのに・・・・」







少し無念が残るが、皆と共に帰ろうと思い
屋根の上へと昇ったら





屋根の変な飾りに向かって手をかざし

銀時が普段よりも真剣な顔で呟いていた。







「ド、ドリームキャッチャー・・・
どうかパチンコで大勝できますように・・・」



「何してるんですか銀さん?」


「あ。」





ともあれ、これでこの事件は解決し
騙し取られた金も全て 信者達の元に返っていった。








――――――――――――――――――――――――
後書き(管理人出張)


狐狗狸:二話に渡った豪華共演夢、これにて終了です


銀時:んトコも大変だな あんな変なジーさん
上司だってんだからよぉ


新八:あんたが言うなあんたが!


狐狗狸:・・・気配は元より、何で
忍者って発想をしたんでしょう?


神楽:こないだTVで見た時 もいたアルよ!


狐狗狸:それでか


新八:納得したぁぁぁ!?それより二人でどっかに
行かず花子さんと姉上止めてくれりゃよかったのに


狐狗狸:その辺はまぁ別行動してたし仕方ないと思われ


妙:てーか私、あのクソ教祖と石投げた奴等を
まだ殴ってないんですけど?100万発くらい


新八:姉上ぇぇぇ!後ろに不動明王出てますから!
そんな超陰湿な発言止めてぇぇぇぇ!!