「ハリアー?」


『そうだ[ハリアーUGR.9]・・・米軍が開発した
最新鋭の戦闘機だ、江戸に送っておいたからな』





鳴った無線に出ると、開口一番でゼロ少佐が言った。







「いつの間にそんなものを・・・ていうか
こっちに戦闘機運用できるスペースはないんだが」


『大丈夫だ、ハリアーはホバリング機能が搭載されている。
滑走路なしで離着陸が可能だ。』







なるほど、さすがは最新鋭の戦闘機・・・・
色々実験機が開発されているとは聞いていたが





「実戦運用段階まで進めたんだな。」


『常に科学は進歩しているのだよ。
江戸にいるから実感は沸きようがないがな・・・』


「まあそこは分かるよ。で、いつごろ来るんだ?」


うん?まだ来てないのか?』





おいおい何かおかしなことになってんな・・・





「ホントに届くのか?」


『心配するな、運んでくれる快援隊の方には
もう話はつけてある。じき届くさ』


「いやいやいやゼロ少佐、悪いが俺は
その快援隊をよく知らないんだけど?」





無線の向こうで 呆れたようなため息が聞こえた。





なんだ知らんのか?
坂本辰馬が当主を務める宇宙の運び屋だ。』


宇宙の運び屋ねえ・・・・信用していいのか?」


『腕は確かだ、待っていればもうすぐ届く頃だろう
ではティータイムだからこれで失礼。』





少佐はそう言うと、一方的に無線を切った







「何なんだよ・・・・てか本当に届くのか?


「まぁまぁ、少佐が言うにはもう届いても
おかしくないわよ?気長に待ちましょ?」





なだめるの声が合図であったかのように
直後に呼び鈴が鳴る。







「はーい。」





が玄関の戸を開けたら そこに笠を被った
見覚えの無い女性が立っていた。







「おんしがか、わしは快援隊の隊士の陸奥じゃ。
ここにもじゃもじゃ頭の男が来なかったか?」





この人が快援隊の・・・え、もじゃもじゃ頭って何?











すごいエフェクトも元の土台があってこそ











「快援隊の人か・・・悪いがウチには
そんな頭した人は来てないぜ?」


「そうか、すまんの。おんしらの依頼品を届けに
来た瞬間 頭がどっかに行ってしもうたきに。」





仕事ほっぽりだすってどんな頭だよ・・・・・


あ、それ言ったら近藤さんはアウト





「大変そうだな、俺も捜すのを手伝うよ。」


「いや、もう場所はわかっちょる。


「え?」


「まぁいい とりあえず、一緒に来てくれ。」









俺達は外へ出ると、陸奥さんに案内されるまま歩き





着いた先は・・・・スナックすまいる!?







「何でここに「お良ちゃーん!結婚してくれー!!」


「しつけえよモジャモジャァァァァァ!!」





俺の声を遮る叫びに、間髪入れぬ股間を蹴る音


そして入り口から アフロ頭の男が飛んできた。







こいつが坂本辰馬か・・・・・確かにモジャモジャだ
いやそれより何やってんだよ本当!





地面に倒れたままの辰馬さんに、陸奥さんは
眉一つ動かさぬまま近づく。





「いい加減にするぜよ、仕事ほっぽりだして
女子遊びとは 運送業なめとるんか。」


「おお〜、陸奥か・・・何しに来たんじゃ?」


「そのモジャ頭とふぐり地の果てまでぶっ飛ばすぞ?」


「ま、まあまあ陸奥さん。落ち着いて・・・あ、そうだ
辰馬さん 俺に何か届けたいものあったんじゃない?」







その言葉に辰馬さんはああ!と叫んで





思い出したぜよ!確かアメリカのCあ」





皆まで言う前に陸奥さんが頭を踏みつける。


って何してんだ!あんたらの頭だろ!!





「それ以上の発言はわしらの信用を落とすだけじゃ。
おんしは口を開くな。」


「ああ・・・すまんの・・・・アハハハハハ。」





なるほど。CIAが依頼したことは機密になってるのか。





制御が効く部下を持って幸せだな辰馬さん・・・
でなきゃCIAに消されてるところだったぞ。







しかし こんな奴が頭でよく企業が成り立ってるな・・・







、私 店の方に行くから。」


「おぉもうそんな時間か。わかったよ。」


「じゃ、荷物は後で見せてね!」







は笑って手を振ると 店の方へ入っていった。









「さて、わしらも仕事にかからんと」


「そうじゃな・・・じゃあさん、案内するぜよ。」







立ち上がり、土ぼこりを払う辰馬さんに俺は頷く。







「ああ、よろしくな辰馬さん。」











辰馬さん達に連れられ、たどり着いたのはある倉庫。







「ブツはおんしの国が秘密裏に開発したって言う
戦闘機じゃな。名は・・・」


ハリアーだろ?上官から話は聞いている。」


「話が早くて助かるき、おんしの戦力アップを
図ったものらしい。大事に使うぜよ。」


「ありがとう、陸奥さん。」


「仕事じゃ、気にしなくていいぜよ。」


「ところで・・・辰馬さんは?」







長身のあの姿が無いことに気付き 辺りを見回すと





「ああ、ここにいるぜよ!」





彼はハリアーの下から 勢いよく顔を出した。


って、いつの間にんなトコに・・・!?







にしてもすごいのぉ〜おまえさんとこの国は!
こんな凄い船をこさえるなんての!」


「船じゃないんだけどね・・・・
まぁ、そこんとこは地球上では群を抜いている。」







もっとも天人の技術が入った江戸に掛かれば
時代遅れに見えてしまうんだけどな・・・







さん こいつの凄い所はそれだけじゃないぜよ
実はこの船、一部天人の技術を使っているようでの」


「天人の?」


「ああ、普通は垂直離着陸する時に大量の燃料が
必要じゃからの・・・それを補うために
エンジン部分に天人の技術を入れとるらしい」







・・・完全に米国の技術で出来たわけではないのか





それも、仕方ない事かもしれない


垂直離着陸なんて飛行機の常識を反しているからな。







そんな俺の胸中を察したのか、辰馬さんは
ニコリと笑みを浮かべて言う





いい素材と高い腕前があってこその技じゃき


もちろん本来より航続距離はあがっちょるし、
燃費もいいぜよ。」


「・・・そう言ってもらえると嬉しいよ」







辰馬さんは胸を叩いて自信たっぷりに笑った。







なぁに、船にかけちゃ任しとけぃ!
これでおんしも宙を自由に飛べるのぉ。宙はええぞ!」


「ああ、マニュアル読んで早速乗ってみるよ。」


「・・・頭、そろそろ次の依頼主のところに行かんと。」





陸奥さんの一言に、辰馬さんは慌ててハリアーから離れ





「おお、そうじゃった!
じゃあさん!またいつか会うぜよ!」



「ああ、ありがとうな!







手を振って 二人は倉庫の近くに
停めてあった船へ帰っていった









俺は機体に乗り込み、座席に座って
道中で渡されたハリアーのマニュアルを読む。





「最新の兵器だけあって・・・中々クセがありそうだな」





どうにか半分読み終わった頃、辰馬さん達の船が
出港するのが見えた。







宇宙へ繰り出さんとする船を見送っていた最中







浮かびかけた船体が 砲撃の爆発を受けた。







「何だ!?」





砲撃を辿ってみると そこにあったのは
見覚えのあるマークが描かれた宇宙戦艦。


あれは・・・春雨のマーク!?何で春雨が・・・・





いや、よく考えると簡単なことだ。


あれだけ大きい船だ、恐らく金目狙いの襲撃に違いない。







幸いさほど浮いてはいなかったから 落下しても
船に大規模な破損は無いようだ





・・・だが今の爆発で対空システムは
破壊されたようで、まったくその場を動かずにいる。







まだ半分しか読んでないが・・・仕方ない。緊急事態だ!


俺はすぐにハリアーを起動させる。





「えーと、垂直離着陸のシステムは・・・・
あった、これか!







指定のボタンを押し、アクセルを踏むと
機体がゆっくりと浮いた。


すごいな・・・本当にホバリングしてる。





っと感心してる場合じゃない。







スロットルを操作して発進させ、快援隊の船へと
近づいてくる春雨の戦艦へ突撃する。





何か武器はないかとパネルをいじくる


・・・・対空ミサイルに・・・25mm機関銃





・・・それだけあれば十分っ!







春雨の戦艦がこちらに気付き、威嚇射撃を行う。





弾幕を掻い潜りながらミサイルの照準を
戦艦へと向け 引き金を引いた。







「当たれぇぇぇぇぇ!!」







狙い違わずミサイルが急所に命中し


戦艦はそのまま沈んでいった・・・・・・









これだけの騒ぎだ・・・すぐに警察が来るだろう。
当面は彼らに任せておけばいい。





と、思った直後 無線が入ってきた。





おぉ〜さん!助かったぜよ!!
おんし、見事にハリアーを乗りこなしとるの!』


「ああ、ありがとう・・・それより辰馬さん
そっちは大丈夫か!」


心配いらんき!船も乗組員も無事じゃ、わしも
ちょっと頭からトマトジュースが零れとるだけですんどる』


「それ大丈夫じゃねぇから!!」


『アッハッハ 大丈夫じゃってさん
これ多分トマトジュースの飲みすぎで頭から・・・』


ねぇぇよ!ポジティブシンキングにも程あんだろ!!」





辰馬さんの豪快な笑い声の横から
淡々とした陸奥さんの声が聞こえてきた。





この馬鹿は放っておいても問題ないきに。
・・・だが、船はしばらく出航できそうにないようじゃ』











こうして、船の修理が終わるまで


快援隊はしばらく地球に留まることになった。







その期間中 辰馬さんと歩いている時に偶然銀さんが
やって来て・・・そこで新たな事実を知った。







「おお〜金時じゃなかか!元気そうじゃの!!」


「だから銀時だっつってんだよクソもじゃぁぁぁぁ!!」





銀さんは血管浮かばせながら辰馬さんを蹴り飛ばした。





おい銀さん!イキナリ蹴り飛ばすことないだろ!!」


「るせぇよ 俺の名前が金時だったら
ジャンプ回収騒ぎになんだぞバカヤロー
・・・てか なんでお前と辰馬が一緒にいんだよ。」





その質問はちょっと遅いような・・・まあいいか。





「ちょっと仕事関係でな。」







辰馬さんは頭から流血しつつも 身を起こす


なんつうかタフな人だ、この人も。





「き・・・金時・・・・ひどい奴じゃのぉ・・・
わしら同じ釜を彫った仲じゃなか・・・」


何で釜彫るんだよ!釜の飯だろ!!
ていうかいい加減人の名前覚えろや!!」


「ちょちょ、ちょっと待ってくれ銀さん
ということは・・・辰馬さんも攘夷戦争に?


「まあそういうこったな。信じられんだろうけど。」







・・・人は見かけに寄らないもんだ





それを言ったら目の前にいる死んだ魚の目の男だって
似たようなもんではあるんだが。







「まあ、昔話でもしながら・・・
お良ちゃんと酒でも飲まんかの!!





笑いながらそう言って、辰馬さんが俺達と肩を組み





「「お良ちゃんから頭離せ
このモジャモジャァァァァァァ!!」」






俺と銀さんは流れでツインシュートをお見舞いした。







ホントに、こんなん頭で大丈夫か快援隊・・・・








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後書き(退助様サイド)


退助「さて、新兵器も登場と同時に初辰馬ネタ。」


辰馬「あんまわしのいいとこないじゃなかか?」


退助「大丈夫、そこんとこは管理人に任せてっから、
へっちゃらだから!」


陸奥「あんまりあれだと嫌われるぞおんし。」


退助「・・・すんません、色々抜けまくってます、
ホントすんまっせん。」


新八「いやあの、何もそこまで謝らなくても・・・

でも今回登場した戦闘機、何処にしまうんです?
歌舞伎町じゃ狭すぎて格納するとこないんじゃ?」


退助「ああ、そこは大丈夫。
ちゃんとした倉庫買ってそこにしまっています。」


銀時「ていうかCIAってそんなに危ねー組織なのかよ?」


退助「うん、これはあくまで噂なんだけどね・・・

ケネディ大統領暗殺されたじゃん?
あれやったのCIAらしいんだ。」


新八「え!?大統領暗殺って・・・何で!?」


退助「どうやらあの若さにしての高いカリスマ性・・・
それを恐れたらしいんだ。

ビッグ・ママが殺されたのも同じ理由だね。」


新八「な、何か怖いですねアメリカって・・・・
自由の国って言われるのに・・・・」


辰馬「そこはま、複雑な事情があるってことぜよ。
よし お良ちゃんとの婚前旅行はそこに・・・」


陸奥「話聞いとらんのかこのアホ頭。