とある一件が終わった後の、屋敷の一室で





「どうしたのサニーちゃん、改まって話があるって・・・」





顔を赤くしてもじもじしている 呼び出した当人を
微笑ましげに見つめながらが言葉を待つ。





「あ、あのね・・・私・・・」


「うん」


「お、男の子とデートすることn「別れてきなさい。」


が、飛び出した"デート"の単語で間髪入れず
反対されたので驚いてサニーは顔を見上げる。





ええ!?私デートしか言ってないけど・・・!」


「流れからしてアレでしょ、神楽ちゃんと
結婚しようとしたでいだらぼっちの子が相手でしょ。

私達もうあんな面倒事ゴメンだからね?」





ジト目になりながら彼女が言っているのは


まさに終わった数日前の一件・・・巨人星の天人が
神楽を見初め、婚約しようとした事件
である。


彼らの習性によって地球が滅ぼされかけたものの


MSFの応戦と、星海坊主・銀時・新八の
3人のお父さんによって解決し 危機は脱した。





しかし相手が相手であったためか、MSFは
かなり疲弊させられた苦い記憶があったりする。







ち、違うよ巨人星じゃないよ!
というよりあんなのと付き合えるの神楽だけだし!」


「え、じゃあ・・・誰と?」





聞かれてサニーは、再び顔を赤らめて答えた。





「あ、あの・・・・・・・・・てる彦と」











最近のガキは割合早熟で早耳











「ったく、これでようやく収まったな。」


「ああ、まったく江戸の女ってのは
どうしてこう面倒事を引き起こすのかな・・・」





事件の余波も収まって、かぶき町の道を歩きがてら
とカズがグチをこぼしていると





「幸美ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」





この世ならざるモノの叫び声に呼び止められ


視線を向ければ、それは涙で化粧がまだらに落ちて
化物同然の表情となって全速力で駆け来る
西郷の形を取って迫っていて





「「ぎゃあああああああああああ!!」」


さすがに二人は肝を潰し、悲鳴を上げた


そして逃げようとしたのだが 一歩遅く


西郷がの胸ぐらを掴んで激しく揺さぶる。





幸美どういうことなの!?てる君とサニーちゃんが
付き合ってるってどういうことなのぉぉぉぉぉ!!」



お、おおお落ち着いて西郷さんんんんん!
なんのことか俺にもさっぱり」


「渡さないわよ!
絶対てる君は婿に出さないからね!!」



話が飛躍し過ぎだろ!?いいから
理由(ワケ)を聞かせてくれ!てか離してぇぇ!」







いらぬ誤解を受ける一歩手前の状況から





数十分経って、西郷がやっと冷静さを取り戻し


てる彦とサニーが急接近していると聞く事になった。





深い溜息を吐きながらかr・・・彼女は言う





戦争(ドンパチ)やってた時にあの二人が
華陀にとっ捕まってた事があったでしょ?」







賢者に囚われていた頃を思い出し、監禁された
密室でサニーは極度に怯えていて





『私・・・また一人になる・・・
私・・・また一人ぼっちに・・・!』





泣きじゃくる小さな少女の肩へと触れて


なけなしの勇気を振り絞り、てる彦が励ます。





『大丈夫だよサニーちゃん!僕が絶対に護る!
絶対僕が一人ぼっちにさせない!!』



『てる彦・・・!』





と少年に答えるように 不意に扉の鍵が開かれ


『『誰!?』』


『楽園ノ扉ヲ開ニキタ怪盗
鍵ッ子キャサリ〜ン、待タセタワニュ






全身タイツのキャサリンからの投げキッスを見て


二人は、無言で扉を閉めて立てこもった。





『何無言デ閉メテンダァァァ!!』


外でキャサリンが騒いでいたが、耳を塞いで
聞こえないフリをしながら てる彦はなおも言い切る。





『サニーちゃん、何があっても僕が護るからね。』


うん、あんな人に護られたくないし。』





その後 少年が悪霊退散の念仏を唱えたり
全身タイツが二名ほど増えたりして一悶着あったものの







「それから、お互い気になっちゃってるみたいで
・・・したらデートの話が出たのよぉ!」


「吊り橋効果か〜やるじゃないか てる彦」


「当たり前でしょ自慢の息子だもの!・・・って
問題はそこじゃないのよぉぉ!!


「どうどう西郷さん!人が見てるから!!」





なだめるも火がついた親心は止められず・・・











翌日、彼らがデートする場所として決めた
大江戸遊園地に こっそりと保護者達もついて来ていた





「・・・よくよく嫌な場所に縁があるな。」





三人同様にサングラスをかけている
顔をしかめれば、カズも不満気に呟く。





「あのねぇお二人さん、デートったって
子供同士だぜ?ただの遊びと同じじゃないの。」


       国際結婚のリスク考えたら心配なのよ!!」
「「うるさい!
       かまっ娘クラブの将来かかってんのよ!!」



「「テメェら一辺にしゃべんな!んで俺達もな!!」」





と西郷の同時シャウトに寸分狂わぬ同時ツッコミが入るが
幸い 手を繋いで歩く二人には気づかれなかった







「おや、サニーにてる彦ではないか。」





またも売り子のアルバイトをする桂とエリザベスの
遭遇も 彼の既視感を呼び起こさせる。





「あ、お姉ちゃんこんにちは。」


「お姉ちゃんじゃない、桂だ。」


「桂さん何でここにいるの?」


「ま、まあ革命を成すにも先立つモノは必要でな・・・
それより二人だけで遊びに来たのか?」





どこか気まずそうなサニーを見て、てる彦が
慌てて話題を変える。





そうだ!母ちゃんがまたお店手伝いに
来てほしいって言ってたよ。」


「む・・・そうか、西郷殿によろしく伝えてくれ。」





手を振り桂と別れた後、メリーゴーラウンドで
並んで木馬に乗ったり お化け屋敷で騒いだりして
二人はアトラクションを目一杯楽しみ


その後ろを 4人が戦々恐々として尾行していた。





あ!見ててる彦、このジェットコースター
ジャックがスゴいって言ってたヤツだよ!」


「で、でもここ前に事故起きたって聞いてるし
・・・僕ら身長制限に引っかかるから乗れないよ?」





ちょっぴり残念そうにする少年少女の後方で

何かを思い出したが苦い顔をしていたのだが


それに気づいていたのはだけで・・・と





「あれ、サニーアルか?」


「何でサニーちゃんが?」


三体の遊園地のマスコットぐるみが聞き慣れた声で
呼びかけてきたので てる彦とサニーは僅かに戸惑う。





「あれ、もしかして神楽ちゃん?」


「万事屋の仕事?」


「そう、ここって割合稼ぎがいいし
やっぱり何でもするのが万事屋だからね。」


「お前らまさかデートアルか、暇アルなぁ。」


「いや、神楽ちゃんの方が暇ありそうなんだけど。」


「ったく、どいつもこいつもリア充ばっかり
流行ってんのかコラボでカップル作るのが。」





着ぐるみごしでも丸わかりな不貞腐れ具合に

言われた当人達のいたいけな顔に青筋が立つが


お構いなしに銀時はグチをこぼし続ける。





「俺の周りは貧乳残念な女ばっかだしよぉ
カップルこさえんならいっそ18禁にして乳k」


教育上よろしくないワードが口から飛び出すより早く


銃弾と小槌が脳天に直撃して、銀時が倒れた。





「銀さんんんんんんんんん!!?」


「銀ちゃん私達がやる間もなくやられてるネ!」





無論 この制裁の下手人は近くに潜んでいたが





(落ち着け、西郷さんんんんん!)


(尾行してるのがバレれば事だしその上 殺人の汚名を
かぶることになるぞ!もうかぶってるけど!


((離せぇぇぇぇぇぇぇ!!))





荒ぶる両者が止めを刺そうとしていたのを残る二人が
水際で食い止めていたなどとは、知る由もない。









また新たなウワサが立ち上りそうな事故がありながらも
少年少女は観覧車へと乗り込んでゆく。





当然4人もすぐに追いつき





お客様困ります!ちゃんと並んでいただかな」
「「並んでる暇無いんだよいいからさっさと通せ」」





乙女とオカマの説得(きょうはく)による
涙ながらの従業員の協力で二人の一つ後へと乗った。





「全く・・・これじゃ近藤さんやさっちゃんの気分だ。」


「一緒にしないで、そんな事より集音マイク2つ早く


「盗み聞きははしたないと思うが?」


「何言ってんの、観覧車って言ったら
チューするために乗るのに決まってんでしょ?」


「そうよ幸美、まだチューは二人には早いわ
はしたない。私達が止めないと」


「「ね〜」」


「「ね〜じゃねー!!んなこと考えてる
オメェらのがよっぽどはしたないだろ!!」」






何処ぞのドS皇子と同じ思考にWツッコミが飛ぶ騒ぎは
サニーとてる彦が気付くには十分だったが





「何してるんだろ、あそこの人達。」


「さあ?」


よもや達が自分達を尾行(つけ)ているなどと
気付くハズなく、ゴンドラを見下ろし首をひねるばかり





しかし そこから会話は生まれずに途切れ


しばらく向かい合ったままの沈黙が続いたが・・・







やがて意を決して、てる彦がその沈黙を破る。





「あ、あのさぁサニーちゃん。」


「何?」


「あの時言ってたことなんだけど・・・
また一人ぼっちって何かあったの?」





途端に、それを聞いたサニーの表情が暗くなる。





、いや別に言いたくないんならいいよ。
友達として気になってたから・・・」


「ううん、もう大丈夫だから・・・あのね・・・」





首を横に振り 彼女は自らの過去を明かしてゆく。







世界を牛耳っていた賢者達に囚われ、物心つく前から

日々 誰かも分からぬ人達に"教育"や人体実験をさせられ


機械しか無い部屋とまともに会話のない研究員の関わりが
自分にとっての 世界の全て となっていた





だが最近になってオタコンとスネークに助けられ


、江戸の人々と触れ合うことによって

人間としての心を取り戻す事が出来た・・・







「・・・そうだったんだ・・・」


「あ、賢者達の事は国家レベルの機密だから
他の人に喋らないでね。」


ええ!?そんな事僕に教えちゃっていいの!?」


思わず叫んだてる彦へ、サニーは一つうなづく。





「いいの、男友達で一番仲良くしてくれてるし・・・」


「あのさ、サニーちゃん。」


「何?」





一つツバを飲みこんで、彼はこう言った。





「僕達・・・大人になってからお付き合いしようよ」


「え?」


「まだ僕はサニーちゃんを護れるほど強くないし」


「うん、ジャック位強くないと駄目かも」


「そ、それはハードル高いな・・・ええと
だからさ、それまでは友達として一緒に遊ぼう。


てる彦は、笑顔で手を差し伸べる。





「うん、心変わりとかあるかもしれないけど
・・・私達、ずっと友達だよ。


サニーは笑顔を返し、その手を握り返す。





固い絆で結ばれた二人を ゴンドラから
差し込む光が眩いぐらいに照らしていた・・・









そして、一部始終を見守ったと西郷は


かまっ娘クラブで飲んだくれていた。





「なんかさぁ・・・あの二人見てたら・・・」


「私達がド汚い大人に見えてしまうわよねぇ・・・」


「ホント・・・」


「てる君をお願いね・・・」


「サニーちゃん・・・幸せになってね・・・」





泥酔している二人を呆れて静観していた
周りのオカマ達に詰め寄られ、そんな余裕も無くなった





ちょっと!ママもちゃんも飲みすぎてるわ!」


「幸美!二人に何があったのよ!?」


「いや・・・まあ・・・色々と・・・」







青筋立てて、頭を軽く掻いて呟く青年の心労も知らず


サニーとてる彦は いつものように神楽達と
鬼ごっこをして遊んでいた。





とても仲が良いその姿は・・・


汚くなった大人達には、忘れてしまったが故の
非常に眩しい光景だった。








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後書き(管理人出張)


狐狗狸:ホワイトデーにちなんで、子供二人との
仄かな恋愛・・・もとい友情物語となります


神楽:また遊園地でデートとかひねりがないネ
しかも私の恋話勝手に引き合いに出すなヨ


銀時:辿ったルートもブラコン娘ん時と一緒だしな
つか、お前までまたバイトかよヅラ


桂:ヅラじゃない桂だ バイトの件はお前達も
同じ穴の狢ではないか


西郷:ヅラ子やパー子のイザコザはどーでもいいわよ
何だって てる君とサニーちゃんのデートが短編で
上がったのか聞きたいわ、作者と管理人にじっくり


狐狗狸:だってコレ退助さんから"ある長編"の鍵に


新八:ネタバレは自分のトコだけにしとけぇぇ!