季節は もうすぐ冬
紅葉も散り、頬を撫でゆく風も冷たさを増し
寒さに備えて動物達は冬眠の準備に追われてゆく
我々人間もそれぞれ暖を取る準備を進めていた・・・・
そう、進めていた・・・ハズなのだが
「「「あ゛ぢ゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・」」」
屋敷にて、達は何故か暑さに苦しめられていた。
「あ゛ー・・・・なんでこんなにあっちぃの?」
「し、知らないわよ・・・てゆうか考えたくないわ・・・」
あまりの熱気にエアコンが故障し、仕方なく窓などを
全開にして風の通り道を作るものの効果は芳しくなく
服を脱ぎ、下着だけの姿になっていても
汗は容赦なく流れ続けている。
「これじゃ、あの猛暑の季節に逆戻りだぞ・・・」
「のどが渇いた・・・・ジュース・・・」
ぐったりとしていた身を起こし、ペットボトルを
手に取っただが
「熱っ!」
短く悲鳴を上げて その手を引っ込めた。
「お、おい大丈夫か?」
「え、ええ・・・・」
拍子に転がったペットボトルから零れたジュースから
うっすらと"湯気"のようなモノが出ている。
「気温だけで沸騰!?一体どれだけ暑いんだよ・・・!」
「私・・・冷蔵庫から飲み物持ってくるね・・・」
ふらふらと立ち上がったサニーが台所に向かうが
数歩歩いた直後、床へと倒れこむ。
「サ、サニー大丈夫か!?」
素早く駆け寄ったがサニーのおでこに
手を当てると、異常な熱を発していた。
「まずい・・・熱中症だ!」
「早く冷やさないと!」
台所へ走り、冷蔵庫の扉を開けた瞬間
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
信じられない光景を目にしたが悲鳴を上げる。
「どうした!?」
「冷蔵庫の中身が・・・腐ってる・・・!」
そう・・・冷蔵庫までが熱気によって故障し
中の氷や食料まで全てダメになっていた。
幾らなんでもあり得ない状況に、室温計を見れば
度数は40に届きかけている事に気付いた。
「これは異常だぞ・・・絶対何かある!」
確信した彼は、アメリカの大佐へ急ぎ連絡を取り始める。
伝説ってのはとんでもない影響も与えます
「大佐、日本が異常に暑いんだが・・・」
『暑い?もうすぐ冬だろうに、何故だ?』
「それが俺にもさっぱり・・・江戸全域では
尋常じゃない気温になってるんだ、40℃近くある。」
『それは異常だな・・・とにかく、こちらでも
原因を調べてみる。体調に気をつけてな。』
無線を切られかけ、慌てては言った
「待ってくれ!サニーが熱中症で倒れてしまって・・・」
『何だと!?すぐに水分を摂らせるんだ!』
「それが・・・冷蔵庫まで故障して全部ダメに・・・
地下には一応非常用に食料も置いてあるから
そこで応急処置はしたが・・・いつまで持つか・・・」
『わかった、そちらに救援物資を送る手配をする。
おそらく明日には着くと思う』
「了解 こちらも一応原因を調査してみる。」
『そうか・・・くれぐれも無理はするな。』
「わかってる。」
通信を切り、身支度を整えた二人は原因を探るべく
町へと繰り出すことにした。
熱を吸った道路は地獄の釜底にも等しく
空気は身にまとわりつき、呼吸の度に内側を灼く
その暑さに耐え切れず道端に倒れる者も多く
救護活動を行っている真撰組の面々や岡引達も
あまりの熱気に足元がふらついているようだ。
「一体どういうことなんだよこれは・・・
いきなり温暖化が進行したってワケでも無いよな?」
の一言に感化され、彼女が呟く
「ねぇ・・・日本各地も同じなのかしら?」
「確かメリルとジョニーが大阪に行くと言ってた
・・・そっちも同じか聞いてみよう」
数回のコールを置いて、メリルの声が響いた。
『どうしたのジャック?』
「メリル、そっちは大丈夫か?」
『大丈夫って・・・何が?』
きょとんとした声に落差を感じて戸惑いながらも
彼は落ち着き払いつつ問い直す。
「江戸じゃ冬間近なのに記録的な猛暑になっているんだ
そっちは何ともないか?」
『え?別にそんなことないわよ。
むしろ厚着しないと寒い位かしら・・・ねぇジョニー』
『え・・・う、うん』
「何だって!?」
温度差に驚き 短い悲鳴が上がった。
『どうしたのよそんなに驚いて・・・大丈夫?』
「あ、ああ・・・・」
『もういい?
ショッピングの最中なんだし・・・じゃあね。』
メリルとの通話が終わり、彼は益々困惑してた。
江戸ではこの通り・・・真夏以上の猛暑
なのに大阪では季節通りの寒さが訪れている。
この気象の差は一体どういう事なのか
「・・・分からないが、ともかく知り合いを
避難させる方を優先しよう」
「え、ええ」
MSFの隊員と彼の協力により、江戸の知り合いは
屋敷の地下シェルターへと案内された。
地下ならば ある程度の熱も防げるので暑さも緩和され
食糧も数か月分の備蓄はなされているので
集団でこもっていてもしばらく生活は出来る。
・・・・・が、彼は例外をすっかり忘れていた
「神楽ぁぁぁぁぁ!!てんめぇ考えもなしに
たらふく食ってんじゃねーよ!!」
「朝からこの暑さ・・・めっさ喉乾いてたアル!」
「だからってみんなの分まで飲じゃダメでしょ!?」
「ちょびっとじゃガマンできないネ!
お前ら私を干物にでもする気アルかぁぁぁ!!」
暴食暴飲の限りを尽くす神楽のおかげで
備蓄されていた食糧や水が目に見えて減って行き
「大丈夫よ神楽ちゃん・・・明日にはアメリカから
救援物資を送ってきてくれるから・・・」
「でも、それもいつまで持つかわからないんでしょ?」
「冗談じゃないわよ!ずっとこんな暑かったら
化粧しても意味ないでしょ!」
「姉上少し落ち着きなさい。」
巫女姉妹がこの場の空気を悪くしてしまい
「あら?アナタが化粧したってその醜悪さは
隠れないから安心しなさい阿音ちゃん」
「隠す気も無く醜悪なアンタよりマシよバーカ!」
「あぁもうお妙も阿音もいいかげんにして!!」
暑さのイライラも祟って、あっという間に
キャバ嬢間の大規模な喧嘩に発展してしまう。
「ちょっとちょっとみんな!
暑くてイライラするのはわかるけど落ち着いて!」
「るっさいよヤリマン女が!!」
「ちょっとそれどういう意味!?」
「変態な客の相手ばっかりしてるからよ!!」
「何よ!それ私に厄介払いしてるだけでしょ!?
知ってるのよ阿音さん!!」
「にしては嬉しそうに接客してるじゃなぁい?」
「ムッキィィィィィィィィ!!!」
宥めようとしたまでガマンの糸が切れ
キャバ嬢のキャットファイトに参加し始めた。
「ジャック、止めないのか?」
「・・・あの輪の中に入る勇気はないよ。」
「穴に入る勇気h「発言自重するネ万年天パぁぁ!」
ブロハァ!?」
セクハラ発言をしかけた銀時は、神楽の鉄拳で
きっちり制裁された。
「ったく・・・わかった。俺がこの喧嘩を止めてやる」
「あの・・・止めておいた方が身の為ですよ」
「ご心配なくお嬢さん、騒ぎはきっと治めてみせますよ。」
忠告した者の性別を訂正する声も か細すぎて耳に届かず
カズは自信満々の顔でキャットファイト会場に入ると
制するように両腕を広げる。
「お嬢さん達、喧嘩をしているとせっかくの柔肌が
台無s『うるさいよ変態リーゼント野郎ぉぉぉ!!!』
直後、キャバ嬢全員の鉄拳制裁が全身を捕らえ
「サンドマンンンンンンンンンンン!!!」
と、わけの分からない悲鳴を上げてカズは
達の足元まで滑って戻ってきた。
「あーあ・・・だから忠告したのに
あの人達は女の皮を被ったアマゾネスなんだから」
「誰がアマゾネスよ誰が!!」
「さり気に黒化しないでくれるぅそこのオカマ!」
険悪な彼女らの視線に晒されても、彼は気にも留めず
生ける屍と化してる妹を励ますのみ。
再び巻き起こる喧嘩を無視して彼は呟く
「カズ、さり気に原作中の人ネタはやめてくれよ。」
「ふ、不可抗力だ・・・」
「何が不可抗力だよ明らかに狙ってたろうが!!」
「さんも落ち着いてください!
この暑さだって時が過ぎれば「それじゃ駄目よ。」
仲裁する新八の言葉半ばで
「これは、自然現象じゃないわ・・・
これは太古の生物が起こした異常現象なの。」
割り込み様に、メイ・リンがシェルターへ現れた。
「な、何でメイ・リンがこんな所に・・・」
「大佐の指示で江戸に来たの。
この暑さ・・・やはりそうだったのね。」
「え?どういうことです?」
問いかけに答えず、彼女は大きく息を吸い込んで―
「みんなも落ち着いて聞いて!
これはただの自然現象じゃないの!」
叫んだその一声にキャバ嬢全員の喧嘩が止まった。
「なんやねんイキナリ?誰やこの子?」
「メイ・リン・・・どうしたの?」
全員の視線が集中したのを見計らい、彼女は言葉を紡ぐ
「いい?この異常な暑さの原因は・・・古代中国の
石盤に記された『テオ・テスカトル』の仕業なの。」
『テオ・テスカトルぅぅ?』
聞きなれない単語に一同は首を傾げる。
短く頷き、メイリンは詳細を淡々と語りだす
[テオ・テスカトル・・・・・・・
古代中国に伝承として伝えられている
『炎王龍』と呼ばれている伝説の怪物である。
炎のような鱗、真紅の鬣(たてがみ)、立派な角を持ち
獅子にも似た姿をしている
テオ・テスカトルが出現し 通った後は
焼け野原しか残っていなかったという
尚、テオ・テスカトルが現れる前兆は
季節問わず"真夏日のような暑さ"が
その場所に出始めることだと言われている。]
全員の顔には、ありありと驚きが浮かんでいた。
「え・・・ウソ、じゃあ・・・」
「そのテオ・テスカトルがこの暑さを
出してるってことなんですか!?」
「ええ、おそらく間違いないわ・・・でも
これは古龍種と呼ばれる中の一つでしかないのよ。」
「ちょっと待てよネーちゃん
それじゃ、他にもその古龍ってのがいるのか?」
銀時の言葉に、首が一つ縦に振られた
「古龍は一体で天変地異を起こせるものなの。
今回のも一体のテオ・テスカトルが起してる・・・」
「メイ・リン、そのテオ・テスカトルがいる場所は・・・」
訊ねるの言葉を遮るように 外から爆音が響いた。
『きゃあああぁぁぁぁぁぁ?!』
「うわっ!何なんだ一体!?」
「外だ!」
激しい振動を堪えながら達が外へと飛び出すと
顔面に、炎同然の熱風が吹き付ける。
「アチチチチチチチ!!?」
「熱っ!い、一体何が・・・」
「う、上アル!!」
指差した神楽に次いで空を仰げば
深紅の巨体に炎を纏い 赤い鬣をそよがせた怪物が
巨大な翼をはためかせて宙に舞っていた。
「あれよ!あれがテオ・テスカトル!」
「あれが今回の猛暑の原因か・・・!」
地上に降り立ったテオ・テスカトルが
鋭い眼光で達を睨みつけると
「グォォォォォォォォォォォォ!!」
低く唸るような雄叫びを上げて 彼らを怯ませる。
「す、すごい雄たけびだ・・・!」
「ジャイアン新八の音痴よりタチ悪いネ!!」
更に自らの力を誇示するように首を左右に振り動かして
古龍は、口に溜めた炎を一気に上空へと吐き出す。
「な、何てパワーだ・・・!」
「これが古龍の力・・・ケタ外れだ・・・!」
「カズ!何としても古龍を撃退するぞ!」
「あ、ああ!」
屋敷から持ち出した重火器をテオ・テスカトルに
向けて放つとカズだが
纏った熱により、着弾する手前で弾が爆発する。
「化け物め・・・!」
「くそっ、メイ・リン!
奴に何か弱点みたいなのはないのか!?」
聞けば やや歯切れが悪いながらも答えが返る
「一つだけなら心当たりが・・・古龍は
百年単位で活動が可能で・・・中には古龍同士と戦って
古傷を負ったものもいるから・・・その・・・」
「古傷・・・そうか!その古傷を開かせれば・・・!」
「待ってくださいよ、その古傷はどこにあるんです?」
「それに・・・傷自体あるのか?あの古龍に」
「そ、それは・・・」
申し訳なさげに俯くメイ・リンを見て、彼らは
少し気まずげな表情を浮かべた。
「すまん・・・いくら何でも知らないよな・・・
けど十分ヒントにはなった、ありがとう」
「ごめんなさい・・・役に立てなくて」
「いや、気にする事はない・・・しかしジャック
傷を確認しようにもあの熱風じゃ迂闊に近づけないぞ」
カズがそうぼやいた、次の瞬間
「銀ちゃん!何してるアルかぁぁぁ!!」
「まさか傷の確認に・・・無茶です銀さん!!」
銀時が、木刀を手に真正面から古龍へ突進していく。
「グルルルルルルルルルル・・・・」
「古龍だかバリューだか知らねぇが勝手に江戸に来て
猛暑を復活させやがって・・・・
おかげで俺の冬アイス台無しになったじゃねーか!!」
テオ・テスカトルもまた彼を見据えると翼を動かし
周囲に粉塵を散布し始める。
「銀時さん逃げて!その攻撃は・・・!」
咄嗟に気付いたメイ・リンの忠告も空しく
「さっさと江戸から出て行きやがれ・・・
このポンデライオンもどきがぁぁぁぁぁ!!」
啖呵をあげた銀時が地を蹴って一気に距離を詰める
刹那 歯を鳴らして古龍が火花を起こし
粉塵に火がついて―周囲に爆発が巻き起こった。
「うわあぁぁぁぁぁ!?」
「銀ちゃーん!!」
「銀さぁぁぁぁぁん!!」
激しく燃え広がる炎に彼の姿が包み込まれて
影も残さずチリにされた・・・と思った矢先
「てやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
炎の幕を突っ切り、跳んだ銀時が
テオ・テスカトルの真上を越して着地し
相手が硬直した一瞬の隙に後ろ足の古傷を見つけ出す
気配を察知し 体の向きを変える古龍より速く
「そこだぁぁぁぁぁ!!」
木刀が閃き、古傷を斬り割いた。
「グギャァァァ!?」
開いた古傷の激痛に悶えたテオ・テスカトルが
地を蹴って空へと飛び上がり
空気を震わせるような咆哮を辺りに轟かせ
そのまま、何処かへと飛び去って行った・・・・
「ウソ・・・撃退したの?
あの古龍を・・・・・・たった一撃で・・・・・」
あまりの光景に、驚いたメイ・リンは
その場で腰を抜かしてへたり込んだ。
「アイツ・・・本気でバケモンだな」
軽口を叩きつつも安堵するカズの横で
銀時に駆け寄る神楽と新八を見守りながら
「まさか古代生物まで追い返すとはな・・・
侍って、やっぱり分からないものだな。」
呟いたは 改めて侍に関心を持った。
古龍が去った事により、異常な猛暑も消え去って
江戸は時季相応の寒さを取り戻した・・・が
「ぶへっくし!!」
「ビャックション!!」
「ジャネットジャクション!!!」
「マエタタイソン!!」
「お前らわざとらしいクシャミしてんじゃねぶし!!」
気温が戻った反動で体調を壊す者が相次ぎ
一時期江戸の機能が麻痺したのは・・・別のお話なワケで
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後書き(管理人出張)
狐狗狸:レウスで心折れ、モ バ村をちまちまやってる
私としては旬ながらも羨ま妬ましいネタでぱるぱるぱる
銀時:初っ端から嫉妬のオーラ発動してるぞコイツ!?
狐狗狸:届け私の毒電波ぁぁぁ!リア充のPSP
便所に落ちてデータ全滅しろ!
新八:どんだけ黒い発言してんのぉぉ!?
狐狗狸:HNが"狐狗狸"なんだからコレ位はありでしょ
神楽:ネーよバ管理人
阿音:てゆうかあの半端オカマ まーじムカつくわ
妙:ええ、こともあろうにアナタと一緒くたに
アマゾネス扱いなんてね
カズ:おやおや、まだキャットファイトしたりない
お嬢さん達がいらっさるのか(溜息)
狐狗狸:じゃーいっちょ静かにしましょうか
小麦粉ぶちまけてバーナーで引火
銀時・新八・カズ:お前が爆発しろぉぉぉ!!(蹴)
狐狗狸:痛ぁぁぁぁ!ちょっとした小粋な
ブラックジョークなのに
新八:黒すぎるわぁぁぁぁ!!