「お妙さん、新八君おはよう!」
登校中の通学路で、は二人へ声をかけ
「おはようございますさん!」
「おはよう。」
妙と新八もまた 笑顔を彼女へ返した。
三人は挨拶を交わして学校へと歩きながら
他愛も無い会話に花を咲かせる
「昨日のロードショー見ました?」
「ええ、すごかったわよね〜。」
「ラストなんて感動モノでしたね。」
「あの演出も目を見張るモノがありましたよね
立て続けに派手な爆発がドッカンドッカ」
盛り上がった新八の身振りと同調するかのように
ドッカーーーーーーーーーーーーン!!!
・・・・と本当にド派手な爆発音が
目の前の校舎で鳴り響いた。
「なななな何なんですか突然!?新手のテロ!?」
「なわけ無いわ・・・・全くもう!!」
短くぼやくと、は昇降口へと走り出す
黒い煙が上がるのは3Z生徒のある生徒の下駄箱から
すぐ側に伏せっていた本人が無残に焦げた
下駄箱を確認して、小さく呟く。
「・・・・よし。」
「よくない!!」
駆け込み様の彼女のカバンが金色の頭にヒットした
下駄箱手紙は波乱への招待状じゃね?
「痛てっ、何だよ?」
「何だよじゃないわよ!何よこれ!!」
「ちょっとぉぉぉ!?
またやっちゃったんですかさん!?」
「一体何があったのよ?」
金髪の彼…は自分の下駄箱を指差して三人へと言う
「俺の靴箱が細工されてたんだ。」
「細工?」
「ああ、髪の毛が俺の靴箱の下に落ちてたんだ
誰かが細工をしたに違いない。」
「一体何回注意すれば覚えるのよ!ここは日本!
アメリカみたいな日常的なテロはないの!」
「そういう安易な考えが命を落とす結果に
「「少なくとも学校でそんなことする奴は
アンタしかいないっての!!」」
二人のWツッコミが炸裂した側で
「・・・あら?何かしらコレ」
床に落ちた何かに気付き、妙がそれを拾い上げた
「うん?靴箱の破片じゃ無さそうだな・・・」
「手紙・・・みたいですよね」
「多分ね、でも爆発でボロボロになってて
これじゃ何が書いてあったか読めないわ」
「大丈夫だ、修復はしてみるから。」
ボロボロになっていた手紙は昼休み頃
どうにか読める位には 修復し終わっていた。
俺と、それと志村姉弟が机を囲んで手紙を見る
「よくあの状態からここまで治せましたね
といっても、所々穴が開いてますが・・・」
「けどキレイな字で書かれてるわね。」
「、読めそう?」
「ああ・・・・・」
足りない箇所は推測で補い、文面を読み上げてみた。
" いつも近くで見ているぞ
今日こそお前の鼓動を私直々の手で止めて楽にしてやる
放課後の体育館裏で待っているぞ
お前を殺す悪魔の刺客より"
「「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!!!」」
朝同様のWツッコミがステレオで鼓膜を揺らした。
「どこをどうしたらそんな文面になるんですか!
何で殺人予告になってんですか!?」
「ていうかそれじゃまんまフ○メタじゃないの!」
「落ち着きなさい二人とも、夢小説やMGSを
担ぎ出した時点で版権ネタ引っ張るのは予想の範疇よ」
「「そっちじゃないから(お妙さん・姉上)!!」」
敢えて彼女の発言にツッコまず俺は続ける。
「恐らくアメリカにいた頃の他校の連中が送ったんだろ。
ったくこんな所までしつこいなヴォルギンめ。」
「根拠も無いのに勝手に決め付けないの!
それにヴォルギン、今少年院にいるから無理よ。」
「物騒な単語キタよコレ!何やらかしたんですかその人
まさか殺人・・・・」
「「エロ本万引き。」」
「しょぼっ!!」
送り主不明の手紙を囲って話をしてる内に
他のクラスメイト達が、徐々にこちらへ集まってくる。
「丁寧でキレイな文字だ・・・兄上には及ばぬが。」
「余計なこと言わないの、でもさんこれ
女の子の字でしょ?それで殺人予告はちょっと・・・」
物珍しげに字を見ていた妹を宥める
同じ緑眼の兄貴の言葉を 首を振って否定した。
「甘いな、テロリストの中には
筆跡鑑定を逃れるためのプロがいるんだ。」
「どんなプロなんですかそれ!?やだよそんなプロ!」
「オイオイ君、俺が思うにこれは
可愛い子ちゃんからのラブレターなんじゃないか?」
ら・・・ラブレター!?
近藤さんの発言に、些か言葉を失ってしまった。
「なんだつまんネ ラブレターなんて
食ってもうまくないし鼻もかめないアル。」
「テメェにゃ一生縁がねーだろうけどなチャイナ」
「いぃねぇ甘酸っぱくて、さっすが君
モテる男は違うねぇ〜。」
「冗談じゃねぇ・・・ったくオメェのせいで
教室に入り込む女子生徒が後絶たねぇんだよな。」
にやける長谷川さんの隣で渋い顔をする土方さん
まぁ・・・彼にはその辺りの事で少し
迷惑をかけてるから申し訳ないとは思う。
周囲の冷やかしが強まるのと比例して
の表情も、不機嫌さが増していく
「ふ〜んラブレター・・・良かったじゃない随分モテモテで。」
「あら余裕タップリね・・・いいの?
大事な彼、取られるわよ?」
「大丈夫よ阿音さん、私程の人なんて
そうそう現れないんだから。」
「どうだかね〜顔はともかく
胸がなかったら元も子もないんじゃないの?」
冷やかし交じりの阿音さんの発言が気に障ったのか
は立ち上がり バンと机を叩いた。
「女は胸じゃないんだから!私だって
こっちじゃ成長期なんだしまだ可能性があるわよ!!」
「な〜によ生意気な!
学園祭の水着コンテストで2位だったくせに!!」
「あれはっ・・・もう!勝手にしてよ!!」
激昂し、アイツがそのまま教室を出て行き
冷やかしていた周囲と俺とがその場で
呆気に取られてしまった。
「・・・阿音ちゃんダメじゃない。
あんな不用意に人を傷つけるような事言ったら。」
「そんなつもりじゃないわよ・・・全く
本気にし過ぎなんだから、アイツ・・・・」
放課後、やっぱり相手が気になったらしく
と志村姉弟が体育館裏に潜んで様子を伺う・・・・
「間違いない・・・あの人 水着コンテストで
優勝した彫木田さんですよ。」
「これはかなりの強敵よちゃん。」
「な、何よ・・・ああいう女に限って頭の中が
すっからかんで悪い男に丸め込まれてんだから。」
「ちょっどんだけ腹黒くなってんですか・・・」
とは言いながらも、彼女の成績が学校全体で
3位だった事を思い出し は内心冷や汗をかいている。
「・・・ってアレ?当の本人はどこに?」
「広報の仕事が残ってるからまだ来ないかも・・・・」
「かれこれ1時間は待ってるのに?流石にこれ以上
付き合えないから、私達は先に帰るわね。」
「スイマセン さようならさん」
「ええ、気をつけて・・・」
新八と妙が帰って1時間が経過するも
未だにが来る気配は無いようだ。
(ったら女の子の約束を守らないなんて最低
でも・・・・・あの子もこれで・・・・)
帰ろうと立ち上がりかけ
彼女は、彫木田に近づく不良らしき三人を見た。
「ねぇ彼女、こんな時間に何してんの?」
「あ、いえ・・・・」
「最近危ない奴等多いからさ〜俺達が送ってこっか?」
ニヤニヤと笑いながら彼女を取り囲み
一人が 細い片腕を取る。
「やっ、やめてください!」
「やめてくださいだってよ!」
「おほぉ〜v結構かわいいじゃねぇか
大丈夫だって楽しませてやるから。」
見ていられず、は彼らの背後へ躍り出る。
「ちょっとそこの不良3人組!」
「「「あぁ!?」」」
同時に睨む三対の視線に一瞬怯むも
どうにか堪えて 口を開く。
「その子嫌がってるでしょ!やめなさいよ!」
「はぁ?何だよ、お前も仲間に入れてもらいたいの?
なら素直に言えばいいのに〜」
近くにいた一人がの肩に手を置くが
「気安く触るんじゃないわよ!!」
それを払いのけようと動いた拍子に
男の顔面に カバンがクリティカルヒットしてしまった。
「っだぁぁぁぁ!目にモロいったぁぁぁぁ!?」
「あ!?しまった・・・・・」
「テメッこのアマ!」
「ぼ、暴力反対・・・話し合いで解決しましょ!」
「「「いまさら遅いわ!!」」」
顔を抑えながら、一人が彼女に掴みかかって気付く
「あれ?こいつもしかして学園祭ん時の・・・」
「本当だ!水着でぜっんぜん色気なかった女じゃん!」
「胸はこの子のがでかいけど・・・・顔は断然
こっちのが好みだなぁ。」
「くっ・・・離しなさいよ、このクソ野郎!!」
「ははっ 無理無理そんな細腕じゃ」
「ついでに言葉遣いも俺達がみっちり
教え込んでやっから、大人しくしてろよ。」
戸惑う彫木田と抵抗するの服へ
不良たちの手がかかる。
「やめてください、やめて!」
「暴れんなよ!痛い目見るぜ!!」
「触らないで、離してっ・・・いやぁぁぁぁ!!」
甲高い悲鳴が体育倉庫の裏手で上がり―
3発の銃声が、不良三人組を弾き飛ばした。
「「「いってぇぇぇぇぇ!?」」」
「お前ら・・・・そこまでにしておけよ。」
怒気をまといつつ現れたのは、銃を片手に構えた。
「・・・遅いわよ!」
「悪いな、色々ゴタゴタしててさ。」
身を起こした不良達は彼の姿を認めると
すかさず臨戦態勢に入る。
「テメェいきなりぶっ放すなんて卑怯じゃねぇか!」
「模擬弾だから死にはしないだろ?大体から女2人を
野郎3人で寄ってたかって襲う方が卑怯じゃないのか?」
「ナメんなコノヤロー!!」
お決まりの台詞とともにへ殴りかかるも
彼がカバンを投げ捨てざまに
突っ込んできた一人目を背負い投げ
流れるように二人目の胸倉を掴むと、拳を上げた
残りへ目掛けて投げ飛ばし地面へと屈服させた。
軽くあしらわれ唸り声を上げる不良達へ
は不敵に笑いかける。
「まだやるか・・・いつでもいいぞ?」
「くそっ!覚えてろよ!!」
これまたお決まりな捨て台詞を吐いて逃げていく背に
「飯食って寝たら忘れるから覚えてないぞ〜!!」
言って、土埃を払いながら拾ったカバンへ
彼は銃を仕舞いこんだ。
「・・・・ありがとう。」
「全くああいう奴らに喧嘩売るなよな?」
「だってあの子が襲われてたから助けようと・・・」
彼女が示すのは、奥でキョトンとしたままの彫木田。
「あ、あのさんですよね・・・
手紙 読んでくれました?」
「手紙?ああアレか
・・・爆破してしまったが何とか読めた。」
「ば、爆破・・・・・・・・・!?」
よろめくのも無理はない。
知らなかったとは言え、よもや
下駄箱ごと手紙を爆発する人間が目の前にいるとは
一般人なら夢にも思わないからだ。
困ったような顔をしつつもは続ける
「ただ内容はちゃんと確認できなかった、すまない
・・・出来れば何の用なのか聞かせてくれるか?」
「あ、あの・・・・・その・・・・・」
「はいそこ〜ちょい待ち。」
気まずげな雰囲気に気だるく割って入ってきたのは
銀八先生だった。
「せ、先生!?何なんですか突然?」
「あーちょいとお前ら呼び出そうと思ってよぉ
何の件かは分かってるよな?」
当事者二人は無言で頷く
言うまでも無く、朝の下駄箱爆破である。
「なーんか教頭がみっちり説教コースと
修理費の請求用意して待ってるってよ。」
二人は分かりやすいぐらいゲンナリと顔を歪めた。
「そ、そういうことだから俺はこれで・・・
出来たらまた今度聞かせてくれ。」
「はあ・・・なんで私まで・・・」
立ち去りかけた両者を、彫木田が呼び止めた。
「あの!二人とも・・・さっきは助けてくれて
ありがとうございました!」
「礼なんていいさ。」
「べ、別に私は見てられなくなっただけで・・・
アナタのことなんてこれっぽっちも・・・」
「素直になれよ。」
照れくさそうなのデコを、彼が軽くつつく。
「うるさいわね・・・コンテストじゃ負けたけど
成績は私の方が上なんだからね!」
「うん・・・私も負けないようがんばるわ!」
和やかな笑顔で手を振り、二人は彫木田を残し
銀八の後ろへとついていく。
「ったくそこのバカップル留学生、ツンデレてねーで
早く来やがれ。でねぇと股の玉引っこ抜くぞ。
・・・あ、女にゃ股の玉ねーや じゃあは胸のコブ
「「セクハラ発言すんなこの天パ教師ぃぃぃぃ!!!」」
今期仮面○イダー真っ青のWドロップキックが
銀色天パのどたまに炸裂した
・・・ちなみにあの手紙の本当の内容は・・・・・・
"君へ、いつもあなたを見ていました。
この鼓動が抑えられない位、私の胸はドキドキしています。
放課後、体育館裏で待っています。
彫木田 麻紀より"
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後書き(管理人出張)
狐狗狸:何気にウチの兄妹も出演させていただき
ありがとうございました 退助様〜!!
新八:爆発で始まる朝って・・・どんだけ殺伐としてるんですか
狐狗狸:あっちの日常はそんなじゃない?
まー彼らの爆発騒ぎ、珍しくないんだろうね3Zじゃ
阿音:模擬用の銃がカバンに入ってる時点で
本編の設定 引きずってんじゃないの
妙:そういうアナタこそ本編の意地の悪さ
そのまま引きずってるじゃない
狐狗狸:ちょ、不穏の雲を招かないでお嬢さん方!!
神楽:まーたイチャつく話アルか・・・
バカップルのノロケなんか削って私の出番増やすヨロシ
沖田:出番については同感でぃ
銀八:よーし、出番欲しい奴は今から作者と管理人に
直談判行くから付いてこーい
3Z面子:おおおおおおおお(雄叫び)
狐狗狸:え!?来るの!!?
てーか逃げて退助様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!