「あの・・・・?」
「何よ?」
「この頃機嫌悪いじゃないか・・・何かあったのか?」
「別に何も?」
いや・・・
視線合わせないし、言葉の節々トゲだらけだし
表情が素っ気ないのと固いのの組み合わせって
どう見ても機嫌悪いだろ・・・・・
「もういい?じゃスナック行くから。」
返事を一切許さないよう言い切って、は
スタスタと仕事へ出かけてゆく。
な・・・何であそこまで機嫌が悪いんだ・・・・?
記憶が確かなら、吉原の事件を解決してから
ずっと同じ調子のような・・・・
別にあれから何かやらかした覚えは
ない、と思った直前に一つの可能性が頭を過ぎる
あ まさか・・・・・・・・・・・
それは吉原の事件を解決してからしばらく経った後
日輪さんから店のVIP券をもらったので
銀さんと飲みに行った事があった
「『洋物パブ』ってまたマニアックな
好きだねぇ〜お前も案外。」
「仕方ないだろ?
このVIP券ここしか使えないんだから。」
「あら連れないね旦那、夜王がいた時から
ここらにちょくちょく顔出してたじゃない?」
「あ、ああまあ・・・色々あってな。」
「んだよお前常連だったのかよ?」
「まあ時々客として色々・・・・」
「何だよ色々って。まさかオメェ金に
モノいわして触りまくったりお持ち帰りってか?」
「変なこと言うな!!
俺はあくまで、情報収集の一環としてだな・・・」
「ヘイヘイ分かった分かった、分かったから
とりあえずピンドン2本奢ってくれよ。」
「・・・・仕方ない
それで口封じが出来るなら安いものか・・・・」
もしや、あれが・・・・!?
妙な所に勘がいいのは 女の方なんだよなぁ
その夜、サニーへ"任務がある"と嘘をつき
本人から 機嫌が悪い理由を
聞き出してもらうことにしたのだが・・・
「何か買ってくれたらいいよ」と
報酬として新型ノートPCを要求してきた。
あの酢昆布娘が・・・余計な悪知恵を
覚えさせるんじゃないっての・・・・・・!
しかし背に腹は変えられず俺は要求を呑んだ。
無論、集音マイクを設置し 物陰から
会話内容を聞いておく事も忘れないつもりだ
「・・・ねえローズ。」
「何、サニーちゃん?」
「この頃機嫌悪いみたいだけど 何かあったの?」
すると食いついたらしくサラリと口が開かれる。
「・・・・サニーちゃん聞いてくれる?
ったら私と言うものがありながら
吉原で遊んでたんだって・・・・・」
な!?何で吉原で遊・・・いや遊んでないけど
何かしてたの知ってんだ!?
「しかも他のキャラとかあの人まで絡んだのに
吉原炎上編にも参加出来ず置いてけぼり・・・・
私も日輪さん見たかったのにひどいと思わない?」
あの・・・それは作者と管理人に
言ってもらえないか・・・・・
てゆうかあの事件は冗談抜きで死にかけたから
むしろ参加しない方がよかったんだが
だがあれだけ気をつけていたというのに
こんなに情報が回るハズ・・・・・・・
あ!まさか!!
思いつくと同時に、すぐさま万事屋へ殴りこんだ
「おい銀さん、どういうことか説明してもらえないか?」
「な、何イキナリんな怖い顔しちゃって・・・・・」
「とぼけるなよ アンタのせいでが
"俺が吉原で遊んでた"って勘違いしてんだぞ?」
「知らねぇよ お前この間飲んだくれてたろが
どっかで見られたんじゃねぇの?浮気でも疑われてよ」
全く白状する気ナシか・・・・なら、いい機会だ
「銀さん、俺の眼をよーく見ろ。」
「しつっけぇな俺を疑ってんのかよ?
今時小学生じゃあるめーし 眼ぇ合わせただけで嘘を」
言葉半ばに銀さんを睨みつけ
瞬時に力を込めて"蛇眼"を発動させる。
あの闘いからコツを掴んだのか
ほんの僅かではあるがコントロールが可能になっている
「もう一度だけ聞くぞ・・・・
言ったのか?言ってないのか?」
ビクつく銀さんの心拍数と体温はあからさまに
急上昇しまくっていた。
「・・・・・・・・言いました、ごめんなさい。」
ようやく白状したか・・・ったく
しかしながら、そんな誤解を招いた原因は
俺の行動にもあるわけだし
ここは一つ 女性の先輩に説得をお願いするか・・・
「何よ?わざわざこんな所に連れてきて。
しかもサニーちゃんまで一緒だなんて」
「まあまあいいから・・・・・」
訝しがるを宥めながら、サニーと共に
吉原のある店までやって来る。
「おや・・・アンタがさんかい?」
車椅子を動かしながら現れたのは・・・日輪さんだ
「ねぇ、まさかこの人が
"吉原の太陽"って呼ばれてた・・・・」
「ああ、日輪太夫だ。」
・・・あの後 俺は彼女と連絡を取って事情を話し
二人をここへと連れてきたのだ。
「ごめんなさいね、吉原救ってくれたお礼にと
渡したVIP券があなたを誤解させるなんて。」
「え・・・誤解?」
「まあ銀さんのことだ、大げさに
言いふらしてしまったんだろうけど・・・・」
日輪さんと言葉を交えながら これまでの事を
キチンと話し始めた。
吉原の客に扮していたのは調査のためで
鳳仙と言う危険な存在がいたから、無闇に
二人をそこへ近づけたくなかったこと
そして、この間飲んだことも含めて
やましい行為など一つもしていないことも
「そうだったの・・・・ごめんなさい
私頻繁に吉原に行ってるから不安になって・・・・」
「いいさ、俺もちゃんと言っておけば
妙な誤解も起こらなかったんだし。」
「あ!兄貴、誰その人達?」
顔を向ければ 晴太君が笑顔で走り寄ってくる
よかった・・・あのヤバイおもちゃは
装備してないみたいだ。
「おお、晴太君か。そういえば紹介してなかったな
俺と暮らしてるとサニーだ。」
「よろしく晴太君」
「よろしくね、晴太。」
「あ、ああ・・・初めまして・・・・」
おや?サニーを見た途端 晴太君の顔が赤く・・・
「晴太も年頃だね、一目ぼれってやつかい?」
「か、からかわないでくれよ母ちゃん!!」
「でもまんざらでもないみたいだな?」
「だからそんなんじゃないって!!」
「何が?」
「何がって・・・・そりゃあの・・・・・・」
戸惑う我が子に笑みを向け、彼女は手で外を指す
「ささ、子供らは席を外しておくれ。
奥行って遊んできな。」
「はーい、サニーこっち。」
「う、うん・・・・・・・」
晴太はサニーの手を引いて、家の奥に入って行った。
サニーも男の子と二人で遊んだことはないからな
・・・・いいことだ、うん。
「さて、じゃあ本題といこうかね。
さん・・・アンタ自分に自信がないんだろ?」
「ど どうしてそれを・・・」
眼を見張るに、艶やかな笑みが返される
「見ただけで分かるさ、伊達に吉原で花魁やってないよ
自分の魅力に自信がなくて 彼が他の女に
移り気してしまうんじゃないかって不安。違うかい?」
「何でそこまで・・・・・・・」
うおぉぉ・・・マジでか?
さすがは吉原の太陽。人間観察力が高すぎる。
「安心しなよ、彼は他の女には興味がない。
と言うよりアンタ以外寄せ付けない感じがあるし。」
え、俺が女運ないことまで見透かされてる!?
「あんまり自分が"他より下"と思わない方がいいよ
だから、こんな小さな誤解で彼を悩ませたんだ。」
穏やかに語る日輪さんの言葉を
は ただ黙って聞いていた。
「大丈夫、アンタ吉原でも十分通用する器量が
ありそうだし 自信持ちな。」
「・・・・・はい!ありがとうございます!」
やっと吹っ切れたらしいな・・・・・・よかった
「あーくそまた負けたよ!!」
奥から晴太君の叫び声が聞こえた。
気になったので、二人と一緒に奥を覗くと
向かい合わせで並んだ晴太とサニーが
「二人とも、何して遊んでんだ?」
「今ね、晴太とTSでポ○モン対戦してたの。」
「くっそ俺のエースが簡単に倒されちゃったよ
・・・今まで負けたことないのに・・・」
片手で頭を抑える晴太君へと笑いかけるサニー
「単に攻撃してたら駄目、持っている能力と
特性に努力値・個体値とか色々分析して育てなきゃ。
それさえ守っていれば弱いと思っていた
ポケ○ンも強くなれるんだから。」
・・・さすがサニー、情報分析で勝ちにいったか。
「ちぇ〜おいらそんな難しいこと出来ないや。」
口を尖らせ悔しそうにしている所は
本当に子供らしくて 安心した。
「サニー、そろそろ帰ろうか?」
「はーい じゃあね晴太。」
立ち上がって駆け寄ってくるサニーへ、晴太君は
笑顔で手を振りながら言う
「また来てくれよ!今度おいらがバイトしてる
おもち「晴太君それは駄目!」
思わず走りよって口を抑える。
「な、何でだよ?」
「お前・・・サニーに何かあったら
テリコが黙ってないぞ?」
「テリコって・・・・
鳳仙の時に母ちゃん護ってくれたあの人?」
「そうそう、それで痛い目にあった奴が
どれだけいることか・・・・」
「大丈夫だって!一つプレゼントするだけだから!」
「それが駄目だっつーんだよ!!」
「何でよ!いいじゃない せっかく
仲良くしてくれた子がプレゼントしてくれるって」
ふぅ、とため息をついてに歩み寄ると
「お前は知らないだろうから言っておくが
晴太君のバイト先は・・・」
サニーに聞こえないよう、続く言葉を
そっと耳打ちしてみせる
直後に顔が赤らめられ・・・って何で赤らめんの?
「サ、サニーちゃん・・・代わりに私が買ってあげる
だから晴太君のは受け取っちゃ駄目よ?ね?」
「何で?晴太がくれるって言ってるのに・・・・・」
「「ああもう駄目なものは駄目!!」」
頼むから知らないままでいてくれぇぇぇぇ!!
「いいかいサニーちゃん、晴太のプレゼントは
17歳になったらもらいに来なよ?」
「リアルな数字言わないで日輪さん!?」
ったく吉原の人間はどうしてこうも
下に走るんだよまったく・・・・
「あ、そういえば月詠は?」
「月詠かい?今ちょっと墓参りに行ってるのさ。」
「墓参り・・・仲のよかった遊女のとか?」
「違うよ、あの子の師匠のね・・・」
ほう 月詠にも師匠がいたのか・・・・
まあ考えてみれば、独学で
あそこまで強くなるのは難しいからな。
「俺達も行ってみるか 場所は?」
訊ねるも、しかし彼女は首を横に振る。
「分からないんだよ、あの子を命がけで
救ってくれた人だったから・・・
あまり干渉されたくないのか、私にすら
墓のある場所を教えてもらえなかったね。」
・・・人にも事情があるからな 他人の俺が
首を突っ込むことじゃないだろう。
「そうか・・・・なら仕方ないな
じゃあ俺達はこれで。」
「日輪さん ホントにありがとうございました。」
「いいさ、何かあったら頼むよ」
「またね晴太!」
「ああ!また対戦しようぜ!」
こうして俺達は 吉原を後にした。
月詠の師匠・・・・か・・・・
恐らく忍者だろうか・・・クナイを
使うとしたら忍者以外にいないだろうからな
ふいにとある二名が脳裏に浮かぶが
多分関係ないだろうな、と結論を出す。
そんな風に思考しながらの帰路途中
不気味な顔をした男と、よそ見しながら
歩いていたサニーが出会い頭にぶつかった。
「ご、ごめんなさい。」
「いや、お嬢ちゃんに怪我は?」
「ううん。」
「そいつはよかった。それじゃこれで。」
「うん・・・・」
「サニー!早くおいで!」
「はーい!」
男にお辞儀を返し サニーがこちらへと駆けて来る
「物珍しいだろうけどちゃんと前見て歩けよな?」
「ごめん・・・・」
チラリと後ろを振り返ったので、何かと思い
釣られて視線を向けるが
そこにはただ 雑踏があるばかり
先程の男も何処かへと消えてしまっている
「どうかしたのか?サニー」
「・・・ジャック、あの人の首にアザがあったの。」
「アザ?」
「うん・・・蜘蛛の形してたの。」
蜘蛛のアザ・・・?刺青か何かだろうが・・・・
この頃はさして気にも留めなかった
・・・・が、あの男とまたこの場で
再会するとは思いもよらなかった。
それも・・・最悪な形で・・・・・
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後書き(退助様サイド)
退助「出れなかったさんの補完で
この話を書いてみました。」
銀時「あのガキも素直に受け取りゃよかったのに
なあ晴太?お前ら結構お似合いだったじゃん」
晴太「ホントだよ!何で止めたんだよ兄貴の奴。」
テリコ「ふ〜ん、何をプレゼントしようとしてたの〜?
しかもサニーを彼女にしようなんて・・・・・」
退助「うわ怖!?
んな怖いオーラ出さなくったって・・・・・」
晴太「何って・・・そりゃバイb」
テリコ「んなもん渡す奴にサニーはやれるか!
恥を知れぇぇぇぇぇぇぇ!!」(UZI連射)
晴太「んぎゃぁぁぁぁぁ!危ないって!!」
退助「ある意味自業自得のような気も・・・・・
つーかアンタ頑固亭主かっての。」
銀時「てかこんな早くにアイツ出してどうすんだよ?
サイトでちょこっと共演するっても、あくまで
作品が掲載されたらの話だろ。」
退助「別にいいじゃん、多分書くだろうし
鳳仙がいなくなってから戻ってきたって
言ってたし・・・・」
恐らくは書かれないと思うけど
"再会"は、銀時達が日輪に頼まれる前日です。
銀時「どんだけ気の早いネタバレ!?」