「ったく、何処ではぐれたんだ?」
「たしかこっちの方だったと思うのだが・・・」
唐突だが路上にて 俺は桂さんに頼まれ
二人でエリザベスを探していた。
ったく、あんな目立つの
すぐに見つかりそうなんだけどな・・・・・
あ、そういえば
「一体何があってエリザベスとはぐれたか
まだ聞いてなかったんだが?」
「ああ、話せば長くなるのだが・・・・」
聞けばどうやら桂さんは、新型兵器を破壊する為
エリザベスと共に鳥型天人の大使館に忍び込み
見つかって逃げている途中 はぐれたらしい・・・
ん?新型兵器の情報なんて聞いてないぞ
何でこっちに情報が来ないんだ?
普通は真っ先に俺がその手のネタを掴むハズ・・・
これは何か裏がありそうだな
「でも一応アンタ指名手配犯だろ?
こんな動き回っていいのか?」
「大丈夫だ、いざとなったらこのんまい棒で何とか」
「なるわけねぇだろ!!
駄菓子で何とかなれば苦労しねーよ!!」
・・・それから路上にエリザベスの姿が無かったので
まあとにかく俺達は、大使館に潜入する事に
・・・・・・・・・・・・・・・って
「潜入して早々にもうはぐれやがったあの人ぉぉぉ!
さっきまで後ろにいたってーのにぃぃぃぃぃ!!」
・・・っと心の中で叫んだ。
ガチで叫んだら見つかるし・・・・
・・・・・・もういいや、探すの面倒だし
作者も絡めるのも面倒臭がt
裏事情は脇において、新兵器が気になったので
兵器開発棟に向かうことにした。
謎が必ず解けるものとは限らないね
辿り着いたそこにあったのは鳥の翼のような戦闘機。
かなり小さいな・・・・・
せいぜい翼長4,5メートルか・・・・・
対空ミサイルにサーチライト・・・・
警備用か偵察用の無人機なのか・・・・
とにかく、天人がこんなものを開発している
と言う事はいつかは絶対アメリカにも脅威が及ぶ。
さっさと破壊して桂さんと合流するしかないか・・・
物陰に潜みつつ、出入りするメンテナンスクルーを
チェックしていた時
物凄く見覚えのある人影がある事に気付いた。
あれは・・・・・・・・
「あの〜、すみません。
新しく雇われた攘夷・カツーラと申しますが・・・」
「ん?誰だお前?そんな話聞いてないぞ?」
「いえ、上の人から話は通ってるはずですか。」
何してんだあの人ぉぉぉぉぉ!!?
それ絶対バレるって!!
早く逃げて桂さぁぁぁぁん!!
「そうか、じゃあそこに資材を運んどいてくれ。」
「はい。」
あれ?ばれてない?
ていうか今、普通に接しなかった?
あれどう見ても桂さんだろ・・・
鳥の被りものしてるけど・・・・・ねぇ?
あれで変装出来るんならグロズニィグラードで
ライコフから服奪うとか・・・仕草まで観察して
やってた俺は馬鹿みたいじゃないか・・・・・
まあこれはこれで好都合だ、このまま桂さんと
合流して兵器を爆破してもらおう。
意外にスンナリいけそうな気もするし・・・・・
とにかく隙を見計らって俺は桂さんと接触した。
「おおか、随分探したぞ。」
「それは俺のセリフだ。とにかく
よかった見つかって」
別行動している間、桂さんは桂さんで
エリザベスの居場所を突き止めていたらしい
やはりここの兵士に捕まって
ある広間に閉じ込められてるとか
「そうか・・・それはそれとして
隙を見てあれを爆破してもらえないか?」
「あの機械をか?」
「ああ、武装もしてるし・・・
とにかく破壊しないと。」
「フ、まだまだ甘いな。」
桂さんがほくそ笑む。一体何を企んでるんだ?
「奴らはあれを今日試験飛行させるようだぞ・・・
その時に貴様があれを狙撃して破壊、そして俺が
エリザベスを救出するんだ。こっちの方が得策だろう?」
「・・・なるほど、あれが破壊されれば警備が
手薄になってエリザベスを救出できる。考えたな。」
「さ、ここにいたら怪しまれる。
時間まで何処かで隠れてろ。」
頷き 取り出したダンボールステルスで
手近な場所に隠れて時を待つ。
そして、試験飛行の時間
予定通り、俺はこの大使館のタワーへ移動し
ここから無人機を狙撃する準備が出来た。
おそらくSVDの威力なら
破壊出来るとは思うんだが・・・・・
「よし!試験飛行を開始する!」
下からそう聞こえ、あの無人機が飛行を始めた。
まるで本当の鳥のように羽ばたいて
カラスのような鳴き声を上げている・・・
ホントに天人が開発したものなのか・・・・?
おっと、そんなこと考えている暇はない。
さっさと破壊してエリザベスを助けよ・・・
・・・・あれ?なんか、こっちに向かってない?
あれ?なんか・・・ミサイル撃とうとしてない!?
「やば!?」
反射的にSVDでミサイルを撃墜すると
即座に大使館内から警報が鳴り響く。
やばい!!やっぱりとっくにバレてた!?
やっぱりあんな変装じゃ・・・・・いや
とにかく早く桂さんの所に行かないと!!
向かう途中の敵をスタン・グレネードで
気絶させたり麻酔銃で眠らせたりを繰り返し
エリザベスが捕らわれている大広間についた。
・・・案の定、そこには桂さんもいる
「桂さん!!エリザベス!!」
「すまぬ、下手を打った・・・
何故か変装を見破られてしまってな」
「いや!あんなペラい変装最初からバレバレだから!」
「やっと来たか桂の仲間よ。
こいつらを助けたくばこいつと戦ってもらうぞ。」
指揮官らしき天人の合図で現れたのは
棍棒を持った、屁怒呂に似ている鬼。
まさかあいつは煉獄館にいた戦闘種族
荼吉尼族って奴か・・・・・・
「そいつと戦って勝てれば桂とペットを返してやろう。」
目の前の鬼は 手で棍棒を受け止めながらにじり寄り
「ヘヘヘ、やっと殺し合いが出来るぜぇ・・・・」
そう言って笑うと、武器を振りかざし戦闘態勢に入る。
俺もライフル『FALカービン』を取り出し
「行くぜ小僧ぉぉぉぉ!!」
突っ込んできた鬼に向けて連射する。
が、弾丸は全て棍棒によって防がれ
そのまま一撃が落とされるが 間一髪で避けた。
まずいな・・・・このパワー
喰らったらひとたまりもない・・・・
「ヘッ!ちょこまかしやがって
こいつで終わりにしてやらぁぁぁ!!」
吼えて鬼は棍棒を振りかざして突っ込んでくる
でも・・・こいつにあるのはパワーだけだ
同じパワーでもヴォルギンの方がまだ利口で
手強い奴だった。
こいつは・・・
ただ武器を振りまわしているだけのバカだ!
攻撃をかわし、俺はライフルの柄を手首にぶつけ
怯んだ合間に銃身で押しバランスを崩させ
流れるように柄の方を首にかけて振り倒す。
「グオォ!!!」
「何!?あの荼吉尼族をいとも簡単に!?」
「早速ライフル用のCQCが試せたな・・・・・
相手にはうってつけのバカだったよ。」
「さすがは!俺が見込んだ男だ!」
「さあ、その二人を返してもら」
言葉半ばで 後ろから強烈な衝撃がぶち当たる
「ぐぁぁぁ!!」
一拍遅れて、先程倒した茶吉尼の棍棒だと理解した。
「!!」
「ハハハハハ!倒したと思って油断しとるからだ!!」
そのまま転がり壁に叩きつけられ、俺は血を吐いた。
「おのれ!後ろからとは卑怯な!!」
「ほざけ、勝った者が正義だ!!
じゃあ桂の前にこいつにとどめを刺すか・・・・」
くそっ油断した・・・
このままだと、桂さん達まで・・・・・・・
負けるわけにはいかない・・・こんな所で俺は・・・!
そう思った瞬間、何故か全身から力が溢れてきた。
この感覚・・・また 眼が蛇になったのか・・・?
スローモーションのように下ろされる棍棒を
片手で受け止めながら 起き上がる。
「!?よかった無事で・・・・・・
な、何だあの眼は・・・!」
「な!?
こいつさっきまで伸びてたのに・・・・!?」
「悪いがな・・・・この眼になったからには
生きて帰れると思うな!」
俺は棍棒を掴むと上に投げ飛ばし
その拍子に、跳んだ茶吉尼族の腹に
思い切りかかと落としを喰らわせた。
「グォォォォォォ・・・・・!!」
今度こそ茶吉尼の鬼が伸びたことを確認し
ふいに、何処かから狙われている気配に気付く。
僅かに床をにじる音が聞こえる・・・・
そこから何故か誰が、どれだけいて
何をしているのか感じる・・・・・
考えるより早く拳銃で、手当たり次第その場所に
銃弾を撃ち込んでいくと
隠れていた天人の兵士の武器が弾き飛ばされた。
「な、何だこいつ!?
息を凝らして隠れてたのに何故分かった!?」
「さあ・・・死にたくなかったらさっさと
その二人を解放しろ!!さもないと・・・・
今度は武器が傷つくだけじゃ済まないぞ・・・!」
武器を構えつ、睨みつけてやると
「に、逃げろぉぉぉぉ!!」
兵士達は青ざめた顔で逃走し
「そいつらも解放するから早く出て行ってくれ!!」
指揮官らしき天人も桂さんとエリザベスを
解放すると その後に続いた。
二人が・・・少なくとも桂さんは笑みをたたえて
こちらへと走ってくる。
「!おかげで助かった!感謝するぞ!」
『ありがとう!』
エリザベスも立て札を出して礼を表した。
「いいんだ・・・とにかく早く出よう、騒ぎすぎた。
真撰組が来るかもしれない。」
足早に俺達は大使館を出て、人気のない裏路地まで進んだ。
・・・うまい事真撰組にも見つからず済んだようだ
しかし、これくらいの事も迅速に対応できない
所を見ると やはりあの事件の影響は未だに強いらしい。
「しかし・・・何だったのださっきの眼は
・・・・あれから嘘のように強くなったな。」
「ああ、自分でも分からないんだが・・・」
俺はたどたどしく、先程の状況を説明し始めた
眼が変わってから急に有り得ないくらい力がつき
何故か隠れている敵がサーモグラフのように見え
僅かに動いただけでも相手の位置が
手に取るように分かった事を伝える・・・
黙って聞いていた桂さんが、ようやく口を開く。
「なるほど・・・蛇は舌で周囲の獲物の位置を
把握すると聞いた事がある。
多分貴様はその眼になると蛇と同じ能力を
得ることが出来るみたいだな。」
蛇と同じ能力・・・・・・か・・・・
急に調子を変えて、桂さんが明るく言う
「さて、立ち話もなんだ。
近くに行き付けのラーメン屋があるんだ
・・・今回は俺がおごろう。」
「いいのか桂さん?」
「遠慮するな、貴様がいなければ
あそこで死んでいたかもしれんのだ。」
折角の好意を無下にする事もないと思い
遠慮なく俺は、桂さんがよく行くという
北斗神軒にやって来た。
「幾松殿!そば3つ頼むぞ!」
「え?ここ・・・・ラーメン屋だよね?」
『そうだけど?』
素早く看板を掲げるエリザベス。
「いやいやいや!
ラーメン屋でそばってダメだろ!!」
そのツッコミに反応したのは、何故か
女店主の幾松さん。
「一応出来るけどさ・・・・出来れば
ラーメン頼んでもらえればありがたいんだけど」
「ってそばできるのかよ!!
いや・・・どうせだからラーメンにし」
言い切る前にエリザベスが間近に寄る
ぱっくり開いたクチバシの奥の その闇から
「そば喰うよな・・・・?え?」
と眼が光り不気味な声が聞こえてきた。
ってこいつ喋ったぞ!?しかも怖ぇぇぇぇぇ!!
「スイマセン え、遠慮なく
そばいただかせてもらいます・・・・・・」
こうして滞りなくそば三つが注文された
何なんだエリザベスって・・・・・
調べたいとヒシヒシ思うけど、結末が
怖そうだからやめておこう・・・・うん
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後書き(退助様サイド)
退助「やっと書けました桂話!」
桂「しかしあのような兵器が存在するとは・・・
奴らは何故あれを?」
退助「自分とこの戦力増強とかじゃないの?」
桂「って書いた本人が言う言葉ではなかろうて!!」
エリザベス『今回あまりセリフなかったよね・・・』
退助「仕方ないじゃん、普段から無口だし。」
エリザベス「いやー喋るときは喋りますんで。」
退助「監修のおっさんが出てくるな!!
頼むから仕事して仕事!!」