「「かぶと狩りじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」


「かぶと狩りじゃぁぁぁぁ!」





銀さんと神楽、サニーが意気揚々と叫ぶ。







事の発端は夏のある日


TVでカブトムシの特集を見た銀さんと神楽が
金儲けをしようと目論んで


神楽がサニーを誘ったもんだから





俺達も無理やり森へと連れてこられる事になった。







「何で俺まで行かなきゃいけないんだよ?」


「いいだろ?お前こんなん得意だろ?
エージェントだし、さくっとキャプチャーしてくれよ。」


「エージェントは虫取りじゃねぇぇぇぇぇぇ!!
俺がチャプチャーしてたのは野生動物だ!!」



「いいじゃないの、サニーちゃん喜んでるみたいだし。」





まぁ確かに サニーが喜んでいるのはいいが・・・・・・・


全く・・・カブトムシ取って金を儲けようなんざ・・・・・・







まあいいか、サニーの為に一匹捕まえて
家で飼うのも悪くは無い。





さん、どの木にカブトムシっているんでしょうか?」


「ああ、カブトムシは夜行性だし・・・いるとしたら
クヌギやカシの木に張り付いてると思うんだが・・・」


「んなの蹴り飛ばしぁ出てくるだろ?」


「さっさとかぶと狩りじゃぁぁぁぁぁ!!」





銀さんと神楽は人の話も聞かずに近くの木を蹴り飛ばした。











カブトやクワガタは黒いのに夏の人気者











「っておい!!辺り構わず蹴るな!!
蜂の巣があったらどうす」


言葉半ばで何かが重い音を立てて落ちてくる。





あれ・・・・・・・・これって・・・・・・・・





そう思った矢先、大量の蜂がそこから


「ぎゃぁぁぁぁぁ!?何このベタな展開ぃぃぃぃ!!」


言ってる場合じゃねぇ!!さっさと逃げろ!!」







俺達はバラバラに逃げ出した。









1時間後・・・・・・・・・・







「ったく!!今度あんなことしたら
このAN−94で蜂の巣にするからな!!」


「悪かった悪かったって・・・・・・・」


「サニーちゃん大丈夫だった?」


「う、うん・・・・・・・・・」





良かった、サニーには刺さってないみたいだ。







「ていうかさん、今気付いたんですけど
何ですかその迷彩服は?」





指差され 俺は新八君に説明する。





「ああこれか?これはエヴァが寄越してくれた
『ホーネットストライプ』だ。
どんな効果があるかはまだ分からんけどな・・・・」


「まったんな気色悪ぃもん着やがって・・・・」


「とにかく、カブトムシを捕るにはクヌギの木
見つけて衝撃を与える。これが一番の方法だ。」







言っている内に早速クヌギの木を発見する。





・・・今度は蜂の巣はないみたいだ。





「よっし蹴り飛ばせ!」







俺達が一斉に蹴り飛ばした後、木からまた
巨大な物体が落ちてきた。





「よっしゃ大物ゲットアル!!」


「つーかでかすぎないか?」


「あたたたた・・・・何しやがんでぃ。」







呻きつつ身を起こしたのは





カブトムシの着ぐるみを着た沖田君だった。





「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」





銀さんと神楽、サニーは驚いて沖田君を踏みつぶし
・・・・ってオイオイオイ!!





「ちょっと待て!!これ沖田君だから!!
化け物じゃないから!!」



「てめぇまた懲りずに何してやがんだ!!」


「見たら分かるだろぃ。」


「分からんよ流石に・・・・・」


「またロリ丸探しか?」


「だから瑠璃丸だっつってんだろうが!!」







甘ったるいニオイを撒き散らしながら
横手から近藤さん達が現れる。







「近藤さん・・・・・・・何塗ってんのそれ?」


「蜂蜜だ、前回は失敗したが今度こそは
ハニー大作戦で瑠璃丸2世を捕まえてみせる。」


「ローズ、何でまた目を塞ぐの?」


「いいから・・・・・・」





ホントこいつら・・・・サニーに気を使えっての。


絵的にも季節的にも不適切過ぎだしアンタら







「でも真撰組が動く位のカブトムシって事は
・・・・将軍絡みか?」


「察しがいいな。ささ、早くこいつらよりも
早く瑠璃丸2世捕まえなければな。」





真撰組は蜂蜜のニオイをまき散らしながら
足早にこの場を去って行った







・・・・・ってミツの足跡が出来てる・・・・・・・・・









「ジャック、さっきの声あの時の人達だよね・・・?」


「ああ・・・真撰組のお兄さん達だ。」


「オッサンが約1名いるがな。」


「アンタに言われたくないですよ銀さん・・・・・・・」







しかし将軍のペットが逃げだしたなんてな・・・・
さぞ高級なカブトムシだろうな。







、将軍様のカブトムシってどんなのかしら?」


「さぁな さしずめヘラクレスオオカブトとか
そんな根の張る外来種だろ?」


「違いますよさん、将軍様の瑠璃丸は
金色のカブトムシなんですよ。」


「「金色!?」」







そんなものが実在しているなんて・・・・・





突然変異でも金色は極稀だぞ・・・!









「よし、作戦変更だ。」


「は?」







銀さんの目に怪しい輝きが生まれた。







「今回こそは二代目ロリ丸捕まえて
将軍からがっぽり報酬を絞り取るぞぉぉぉぉぉ!」



「おおおぉぉぉぉぉぉ!!」


何腹黒い算段立ててんのぉぉぉ!?
おーじゃないでしょ神楽ちゃんんんん!!」


「「二代目ロリ丸狩りじゃぁぁぁぁぁ!!!」」


「だから瑠璃丸2世だってぇぇぇぇぇ!!」







止める間もなく万事屋トリオも
何処かに走っていってしまった・・・・・・











「全くあいつらときたら・・・・・・」


「いいじゃないの、私達は私達で
ピクニックを楽しみましょう。」





言いつつリュックサックから取り出されたのは
三段重ねの重箱だった。





「そろそろお昼だから食べましょう。」


「・・・そうだな、サニーも腹減ってるだろうし。」


「うん もうペコペコ!」







そして俺達はシートを敷いて喉かにランチタイムに入った。







暑い日差しも、山間の森の木陰が遮って


通る風が逆に涼しささえ生み出している。





これが夏の風物詩ってやつなのか・・・・・・・・







「私達・・・はたから見たら家族みたいね。」


え!?あ、ああ・・・・そうかもな・・・・・」


「家族?」


「ええ、サニーちゃんもそう思わない?」


「うん・・・こんなに楽しいの初めて・・・・」







たまには平和なひと時も悪くない・・・と思い





俺達は静かに笑い合い―











それをぶち壊すような地響きが遠くから轟いた。







「な、何!?」


「爆発音だな・・・まさか沖田君のバズーカか?
全く・・・」





間髪要れずに聞き慣れた羽音が迫ってくる。


って・・・・・・・・・またかオイィィィィィ!!





「蜂だぁぁぁぁ!!逃げろぉぉぉぉ!!」


「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」」









慌ててデタラメに走って逃げた際に







あろう事かサニーを見失ってしまった。







サニーちゃんが何処にもいない!!」


分かってる!すぐ探すぞ!!
あれはバルドスズメバチだ・・・
子供が刺されたら1時間もせずに・・・・!」


怖い事言わないで!!早く探しましょう!」


「あ、ああ・・・!」





サニー!無事でいてくれ・・・・!















「どうしよう・・・・!
ジャック達とはぐれちゃった・・・・!」





深い森の中、辺りを見回して私は呟く。







早く見つけて会わないと また私・・・
さらわれちゃう・・・・!?





あんな孤独な生活は・・・・・


もうしたくない・・・・・!










ジャックからもらった拳銃を手に持って
周囲を警戒しながら歩いていると





後ろから、何かガザッっと音がした。





「!?」







ゆっくりと音がした方向へ目を向けると・・・


そこにはきれいな着物を着た男の人が立っていた。







賢者達の人じゃなさそう・・・・一体誰だろう?





戸惑っていると 男の人がこちらの気配に気づき
振り向いて、視線が合った。





「ん?誰かいるのか?」


「あ、あの・・・私・・・・」


「こんな女の子が一人でどうした?迷子か?」


「あの・・・あなたは・・・?」


余か?余は・・・征夷大将軍、徳川茂々。」





征夷大将軍・・・・?







首をひねる私に この人は屈むようにして
こちらに目線を合わせて訊ねる。





「そなた、ここに金色のカブトムシを見かけなんだか?」


「瑠璃丸2世のこと?いいえ、見てません・・・」





答えた瞬間 頭に何かが乗った感触がした。







手に取ると・・・そこに収まっていたのは
キラキラして、きれいなカブトムシ。





「あれ?金色のカブトムシ・・・・?」


瑠璃丸2世!良かった・・・・」


「将軍さんのカブトムシだったんですね・・・・」







カブトムシを返してあげると、将軍さんは
とても喜んでいるようだった。







「その通りだ・・・そなたの名は?」


「サニー サニー・ゴルルゴビッチ。」


「サニーか、感謝するぞ。」





ニッコリと微笑んだ将軍さんが手を差し出してくる


私も手を伸ばし 握手をしようとして





また羽音が近くから響く。







やだっ・・・・また蜂が!?





「な、なんだこの蜂の大群は!?」


「きゃぁぁぁぁ!!」


「危ない!」





将軍さんが私を庇うように抱きしめた







けど・・・・いくら経っても蜂は襲ってこない。







「一体何が起こっているのだ?」


「あ!・・・・あれ・・・!







気が付けばそこに・・・・蜂を操って立つ
ジャックの姿があった。







「ジャック!」


「大丈夫だったかサニー!」


「なんという男だ・・・蜂を操っておる・・・!」





本当だ、沢山の蜂がジャックの周りだけを飛んでる・・・





「ホーネットストライプの意味が分かった。
これはザ・ペインの意志が籠っている。
だから蜂を操れるわけか・・・・


ほら、さっさと人のいない所に行きな!」





その言葉に 蜂達は何処かへと飛び去っていった。











「ジャック!」





男の腕からすり抜け、駆け寄ってきたサニーを
思わず強く抱きしめた。





サニー!良かった無事で・・・・所であの人は?」


「将軍さん。」


「へ!?将軍!?」


「そなたがサニーの保護者か・・・余は
征夷大将軍の徳川茂々と申す。」





ま、まさか将軍様とでくわすとは・・・・・ってあれ?







「あの 将軍様が何でこんな所に?」







訊ねると将軍様はやや渋い顔をして口を開く。





「瑠璃丸2世が家出し、余はいいと言うたのに
片栗虎が聞かずに真撰組達に捜索させ始めてな・・・


初代の瑠璃丸が、真撰組に捜索を任せて
死なせてしまったから気になったので
自分で探そうかと思い ここまで来たのだが・・・


不覚にも道に迷ってしまったのだ。」







んな無理しなくても・・・・・・・・・・あれ?





将軍様の手に持ってるのって・・・・・・・







「金色のカブトムシ!?まさかこれが瑠璃丸2世・・・!」


「ああ、サニーが捕まえてくれたのだ。
改めて二人に礼を言いたい。」





そうだったのか・・・・・・・





「いえこちらこそ、サニーを庇ってくれて
ありがとうございました。」








俺達は 互いにその場で頭を下げあった













そして数日後、サニーは城にて
瑠璃丸2世を捕まえた功績を称えられた。





「へぇ〜しっかしこんな子供がねぇ、将ちゃんも
ずいぶんと物好きだねぇ・・・・」


「松平さんよぉ、そのやらしい目はなんなんだよ・・・」


いんやぁ?気のせいじゃねぇの」







将軍様はいいとして・・・・





このオッサンも賢者達同等の警備姿勢をとろうか、と
俺は思い始めたのだった。








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後書き(管理人出張)


狐狗狸:夏なのでカブトと将軍話ですね!


銀時:ちっきしょーの野郎抜け駆けしやがって!
俺らにも分け前寄越せコルァァァァ!!


神楽:酢昆布一年半分寄こすネェェェェェェ!!


新八:あんた等どんだけ厚かましいんだ!?


沖田:俺らの出番、あれだけですかねぃ?


近藤:まぁいいじゃないか サニーちゃんのお陰で
瑠璃丸2世は無事保護出来たんだし!!


土方:・・・頼むから蜂蜜洗い流してから
後書きに出てくれ近藤さん。


将軍:いやしかし、サニーとには
本当に世話になったな・・・ありがとう。


狐狗狸:うーん 流石は将軍様、器はデカいわ。


松平:オィオーイ、オジさんはロリコンじゃなくて
単に可愛い子の味方なだけだっつーのぉ


狐狗狸:あの・・・それが既に犯罪臭(強制終了)