「あの・・・。」
「なんだ?」
こっちを向いたに、私はためらいながらも切り出す
「私・・・一度アメリカに帰りたいんだけど
・・・いいかな?」
「うん?何かあったのか?」
「ええ、ちょっと昔の友達と・・・」
彼は深く詮索せず、笑って言った。
「ああ、分かったよ。行ってきなよ。」
「ありがとう、じゃあ準備してくるね。」
自室に引っ込むと同時に 罪悪感が少しだけ込み上げる。
・・・・・・言えなくてごめん、・・・
実は・・・突然、私の母親の弟にあたる叔父に呼び出された
いきなりだったし断ろうとしたけれど
来ないなら無理やりでも引きずり出すと言われて
仕方なく赴く約束をした。
・・・顔を会わせるのはこれっきりと、自分に言い聞かせて
それから数日が経ち、私は叔父の屋敷にいる。
「ローズ・・・随分立派になったな。」
「それはどうも。」
みえみえのお世辞を短く突っぱねると、叔父は
いきなり本題を切り出してきた。
「どうだ?今までの事は水に流して俺とまた暮さないか?
江戸の貧乏な生活よりはマシであろう。」
「何をいまさら・・・・あなたが何をしたのか
理解出来ているんですか!?」
目の前の男は、その言葉に下卑た笑みを浮かべるばかり
私はこの男から虐待を受けていた その時に私の
・・・・・っとそんなことは置いといて
「いまさら仲良く暮らそうなんてそんな虫のいい話を
聞くとでも思っているんですか!!」
叔父が許せないのは、虐待の事だけじゃない。
母が戦争で死んでから 母の航空機製造会社である
サクラ社はPMCの傘下に入り、戦闘機の製造を承っていた
叔父は母の死後に会社を乗っ取り 儲けの為に
兵器開発へ手を出したのだ。
私の言葉など耳に入っていないかのように
彼はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「まぁ聞けローズ、実は俺に息子がいてな・・・・
そいつを婿にしてほしいんだ。」
何を言い出すのかと思えば・・・意味がまるで分からない。
「叔父の息子の嫁になれ、と?
言うに事欠いて ふざけるのもいい加減にしてください!
私がそんな婚約を飲むとでも思っているんですか!!」
叔父はわざとらしくため息をつき 噛んで含めるように言う
「もちろん今の君なら簡単には飲まないだろう。
だが、もし君の近しい彼がわが社の爆撃機で
粉々になると言えば・・・・?」
な・・・!?婚約を飲まないとを殺すってこと!?
「そんなハッタリが通用するとでも!?大体あの人には
ハリアーがあるから 爆撃機の接近にすぐ気付いて返り討ちに」
「それは、これを見てから言ってくれ。」
私の言葉半ばで 叔父は近くのモニターを映した。
そこに映っていたのは、見た事のない戦闘機。
「これは我が社が開発した戦闘機『F−117ナイトホーク』
高性能のステルス機能を搭載した爆撃機だ。
こいつなら、いくら彼でも気付いた時には爆撃の餌食だろう」
親類の呼び出しは大概が不吉の知らせ
戦闘機は見た事の無いものだったけれど
搭載されたステルス技術には 覚えがあった。
旅客機がテロリスト等に発見されないようにする
乗客の安全を護るための技術・・・・・・!
「あ、あなた・・・・母の技術を勝手に・・・・!!」
「サクラ姉さんの無念を晴らしてやったのだ
感謝してもらいたいくらいだな。」
「誰が感謝するもんですか!母はそんな事のために
あのステルス技術を開発したんじゃない!!」
「いや、姉さんはこの技術の使い方を間違えていたのだ
これを軍用に転用すればいくらでも儲けが」
いやらしく笑う叔父の胸倉を掴んで怒鳴る。
「儲け儲けって・・・そんなにお金が大事なんですか!!
お金が大事ならラスベガスで一攫千金でも目指しなさいよ!!」
「それに聞いた所
彼はあのビッグ・ママの息子らしいじゃないか。」
「話をそらさないで!!」
けれど、叔父は全く私の話など聞かずに続ける。
「ビッグ・ママはアメリカをソ連に売った売国奴
それに核を撃った狂人だ・・・そんな子供と一緒にいるより
俺の息子の方が お前の後々の生活にも困ら」
我慢できず、私は叔父の顔面を殴り飛ばした。
「ジャックのお母様を馬鹿にしないで!
あの人のお母様は・・・・ジャックを愛していた!
彼もお母様を慕っていた!!
その最後は立派だった・・・・!
それを馬鹿にするなんて私が許さない!!」
言い放ち、私は叔父から手を離す
「あなたの顔などもう見たくありません、金輪際
会うつもりもないからそのつもりで」
突き放すように宣言し 返事を待たずに退室しようとした。
「・・・おのれ!大人しくしていれば調子に乗りおって!!」
叔父が叫び、指を鳴らすと兵士が部屋に入ってきて
私を取り押さえようとする。
「いや!!離して!!」
その内の一人が、口にハンカチを当ててきた
これは、睡眠薬が入ったハンカチ・・・・
やばい・・・・意識が・・・
(助けて・・・・・・・・)
私の意識はそこから途切れた。
「・・・・・おかしいな・・・・・」
あれから数日が経っても の帰りが遅い事に
俺は不信感を抱いていた。
いつもなら笑いながらただいまと言って帰ってくるはず。
それに・・・遅れるにしても連絡のひとつや二つ
寄越さないはずは無いんだが・・・・・・
「ジャック?ローズなんで帰ってこないの?」
「あ・・・・サニーか、何かあったのかな・・・・?」
不安げに見上げるサニーの頭を撫でていると
無線が入ってきた・・・・・・大佐からだ。
「何?サクラ社が不当売買?」
『ああ、PMCの傘下であるサクラ社は
サクラ・マリーが開発したステルス技術を
兵器に転用し、他国に売りさばいているらしいのだ。』
「それならから聞いた事があるな、旅客機を
テロリストのレーダーから探知されないために開発し・・・」
それを兵器に転用し 他国に売りさばいている・・・・・?
言いながら、俺の脳内である種の予想が過ぎる
サクラ・マリーには確か弟が・・・・・まさか!!
そのまま大佐にの友達の事を聞くと
本人はもう基地にいて、ローズとも会っていないと
想像していた答えが返って来た。
これまでの事実とあの時のの態度・・・合点がいく
は叔父に何か脅しをかけられ 一人でそこに・・・!
「大佐、サクラ・マリーの屋敷の座標を送ってくれ。」
『何?何かあったのか?』
「下手したらが、そのサクラさんの弟に
何かされているのかもしれない・・・頼む。」
『分かった、すぐにメイ・リンに座標を送らせる。
・・・・無茶はするな。』
「了解した。」
無線を切った直後、家の電話が鳴りだした。
・・・・お登瀬さんからだ。
『かい?
突然でなんだけど温泉に行くつもりはないかい?』
「温泉?」
『そうだよ、知り合いが旅館を経営しててね。
銀時達もそこに行かせるつもりんなんだ
あんたらは日本の温泉を知らないだろうから
行ってみたらどうだい?』
普段ならありがたい誘いなのだが・・・今はそれ所じゃない
「済まないがお登瀬さん・・・・急な用事があって
温泉はいけない、それと 図々しいだろうけど
サニーをしばらく預かってもらえないか?」
『あの小娘をかい?あたしゃ別にかまわないけど
・・・・何かあったのかい?』
「事情は帰ってきてから話す、だから今は」
『分かってるよ、ワケありって事かぃ・・・早く片付けてきな
今 キャサリンをそっちに向かわせるから。』
「ありがとう、お登瀬さん。」
礼を言って電話を切り、サニーに短く事情を説明し
すぐにハリアーの元へ走って行く。
あれなら屋敷の座標までそうかからないハズだ。
場所はハワイ オアフ島・・・・無事でいてくれ・・・!
「うーん・・・・」
目が覚めると、そこはパソコンとゲーム
フィギュアだらけの部屋のベットだった。
「あ、ローズちゃん。目が覚めた?」
声のする方には メガネをかけた典型的な
オタクっぽい太った青年がいる。
「あなた・・・誰?」
「僕は君が叔父さんと言っている人の息子だよ。」
「叔父の・・・・!」
立ち上がろうとしたけれど、手足が
固定されているせいで動けない。
「ちょっと!これどういうつもりよ!!」
「君が逃げない為だよ、パパはどうしても跡取りが
欲しいらしいんだ。でも僕はずっとこうしていたいし・・・
だから君が欲しかったんだって。」
「そんなの他の女性でもいいでしょ!今すぐ離して!
じゃないとみんなジャックに殺されるわよ!!」
「大丈夫、その人も後24時間後には死んでるってさ。」
そんな・・・!私が気を失っている間に・・・!
青ざめる私に、無神経な言葉が降り続く。
「パパが言ってたんだけどね、あのステルス戦闘機って
テロリストにも売る予定なんだって。
何でも儲けを出すにはどんな顧客でも
売らなきゃいけないってさ。」
なんて事・・・・・母の作った技術が
テロリストに・・・・・!?
近寄った息子が、いきなり私の上にのしかかる。
「初めてだなぁ・・・女の人の下着姿 生で見るの」
「え?下着・・・・?」
下へ視線を向けると・・・
服が取られて下着姿で露出されていた。
「いやああああ!!」
「パパが言ってたんだ・・・この人で
童貞卒業してもいいって・・・・・
どうせもうすぐ僕のお嫁さんになる人なんだからね。」
ニヤニヤしてるその顔は、嫌になるくらい叔父にそっくりだ
「いやよ!あんたとなんて絶対いや!!」
「大丈夫、絶対ここにいたくなるって。」
ポケットから取り出したカプセルを、目の前に持ってくる。
まさかこれ・・・媚薬!?
「これ飲んだらすっごくいいんだって!
さあ、早く飲んで。」
楽しげに息子がカプセルを口元まで突きつけてきた
思い切り歯を食いしばって口を閉ざし、飲まないように
食い止めてるけど・・・ずっとは持たない・・・・
(・・・・助けて・・・・!)
彼の顔を強く念じた瞬間
突然 壁が爆発した。
「ぎゃぁぁぁぁ!何!?何なの一体!?
何でハリアーがこんな所に!?」
「あれって・・・・・!」
『ローズ!!無事か!!』
聞こえてきたのは・・・・いえここでは
ジャックの声だった。
「ジャック!早く助けて!!」
「分かってる!待ってろ!」
ハリアーからジャックが降りてきて、息子が
慌てて私の上から退く。
「ジャック!?ジャックってあのビッグ・ボス!?」
「そうだガキんちょ。
・・・・あれ?何でお前下着姿なんだ?」
「それはいいから早く手足の枷をとって!!」
「ああ、分かってるって・・・・・」
拳銃でジャックが枷を壊し、私は自由の身となる。
「大丈夫か?立てるか?」
「え、ええ・・・・大丈夫。」
「おい待て!!僕の嫁を奪おうなんてなんて奴だ!!
パパに頼んで「ざけるな!何が嫁だ!何がパパだ!!
親に頼り過ぎてる時点でお前に
こいつを奪っていい権利なんてねぇんだ!!!」
ジャックは叔父の息子を思い切り怒鳴りつけた。
罵倒され、押し黙った彼を無視し
「ローズ・・・行くぞ。」
「え?ちょ」
ジャックは私をお姫様だっこで持ち上げ
ハリアーの元へ歩いた。
乗り込んだ後 発進したハリアーは近くの米軍基地へと向かう。
「ローズ・・・・何で俺に相談しなかったんだ?」
「ごめんなさい・・・心配させたくなかったから・・・・・。」
うつむくローズが、とつとつと語りだす。
「私・・・あれでも唯一血の繋がった親類だと思って・・・!
でも間違ってた!叔父はそんな感情なんて
持ち合わせていなかった!それなのに、それなのに・・・!」
しゃべる内 彼女の眼には涙が溢れ出す。
「ローズ・・・・・血の繋がった家族でも
家族と見ない奴がこんな近くにいたんだな・・・・」
しかもローズの気持ちを 弄びやがって・・・!!
「それに・・・・あなたの・・・お母様を侮辱して・・・!」
「・・・・それは仕方ないさ、端から見れば彼女は犯罪者だ。
でもこの世に彼女の真意を知る者がいる限り、
彼女は真の愛国者だ。」
そう告げると、ローズは堰を切ったように泣き崩れた。
かける言葉も見つからず沈黙していた空気を割くように
ハリアーのアラートが鳴り出した。
「何っ後方に戦闘機が3!?いつの間にこんな距離まで!?」
「あれって・・・・ナイトホーク!?」
ローズの呟きの直後、後ろに戦闘機が3機隣接してきた。
俺はハリアーの無線機を調整し、奴らの無線を納受する。
『ホーク1より本部、ハリアーを捉えた。指示を頼む。』
『撃ち落とせ、少し利用出来るとは思っていたがとんだ誤算だ。
ビッグ・ボス諸共空の塵にしてしまえ。』
『ホーク1了解。』
『ホーク2了解。』
『ホーク3了解。』
こいつら・・・・もう我慢ならねぇ!!
あの叔父諸共、蜂の巣にしてやる!!
俺はハリアーで旋回し ナイトホークを撒いて
1機に狙いを絞り、死角からバルガンで撃ち落とした。
しかし 残った2機もバルガンでこちらの死角から狙い
咄嗟に旋回して避けたが数弾ほど被弾してしまった。
「くそ!エンジン出力低下・・・・・
あれが最新戦闘機の性能か・・・!」
毒づく合間にナイトホーク2機がこちらに
対空ミサイルをロックオンし
彼らを横切るように もう1機の戦闘機が乱入してきた。
あれは・・・ソ連のミグ23!?
何でソ連の迎撃機がこんな所に!?
目標をミグに変えたのか、ナイトホークは
ミグの方へ進路を変えた。
が、ミグはナイトホークの攻撃を避け
逆に全機撃墜する・・・まさに神業だ。
すごい・・・・かなりの手練だ・・・・一体誰が
と思った時、ミグから無線が入ってきた。
『アロハー、ジャック。』
声の主は・・・・・エヴァ!?
「エヴァ!?何でエヴァがミグに!?」
『何でって、私こう見えてもパイロットよ?』
「いやそうじゃなくて何でミグでここにって事だよ。」
『キャンベル大佐の許可をもらって来たの。
サクラ社の社長なら強硬手段に出かねないってね。』
なるほど・・・こういう時は流石に手の回しがいいな大佐。
その後、エヴァの誘導で近くの基地に着陸し
ローズのために服を貸してもらった。
「これ・・・・ちょっと胸元がブカブカ・・・・」
「あら、それって誉め言葉?それとも自虐?」
「おいおいエヴァ・・・・・」
「何よ・・・・
私だってすぐに追いついてやるんだから・・・・」
悔しげに見つめるローズに、エヴァと俺は笑った・・・
あれから程なくして、ローズの叔父は逮捕され
サクラ社は倒産した。
ローズは・・・少し残念そうにしていた。
母親の会社が、こんな形で無くなってしまったのは
やっぱりショックだったのだろう。
だが・・・俺はこれでよかったと思っている。
弟のいいように遺産を利用されてしまっては
彼女の親も 安心して眠れないだろうから・・・・・
「よぉ せっかくの温泉蹴って彼女と
二人でナニやらかしてたんだよ?」
「うるさいな、こっちだって大変だったんだよ・・・
そっちはどうだったんだ?温泉」
「いやーそれがよぉ ババアのせいで
ガキどもやブラコンと一緒にとんでもねぇ目に・・・」
江戸に帰った俺達は銀さん達に
温泉での土産話を聞かせてもらった。
何でもスタンドがわんかさいて閣下になってしまって
ずっとUNOをやり続けていた・・・・・
って全然わけがわからん
「そういやパチスロがいたとか言ってたけどな、アイツ」
「オセロットが?どういう事だよ」
「知るかよ、あのブラコンに聞けっつーの
テメー来年こそは来いよ絶対来いよ」
「あ、ああ・・・」
・・・・・・本当、何があったんだろ?
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後書き(管理人出張)
狐狗狸:さんの過去も絡みつつの温泉裏話です
なるほど〜こんな事があったのですね、あちらは
銀時:何コレ、銀魂とのコラボなのに何でババアと
俺だけ?しかも俺最後にちょっとだけだし
狐狗狸:仕方ないじゃん "裏"話なんだから
新八:"裏"の意味違ぇぇぇぇ!これ明らかに
18禁の領域踏みかけてますよね!?
狐狗狸:ウチの子は色気的な意味でピンチに
ならないから、その分 さんにお鉢が回る形で
銀時:何でだよ!胸がねぇのはアイツもも一緒
神楽:胸がなんぼのモンアルかぁぁぁぁぁ!!
(ラ○ダーキック)
銀時:ぎゃぁぁぁぁ!!
狐狗狸:大丈夫、身体的な意味でならこっちが引き受け
新八:全然大丈夫じゃねぇ!!