おっしゃぁぁぁ!今度こそ脱・マダオスパイラルだぜ!」


「行くぜぇぇぇ長谷川さん!!!」


「なんで俺もギャンブルに付きあわなきゃいけねーんだよ・・・」





長谷川さんと銀さんに(無理やり)連れられた俺は
ギャンブル街に来ている。


ここはスロットから競馬、競輪にパチンコ・・・


とにかくあらゆる賭博が揃う場所だ。





こんな所には縁が出来ないと思っていたが・・・・
この二人のせいで出来てしまった。







ギャンブルなんて興味もないし、そもそも初心者なのに・・・





まあ、適当な所で切り上げれば問題ないだろうし
ちょっとだけ付き合ってやるか。







君もさ、そんな迷彩服ばかり着てないで
もっとおしゃれな服着た方がいいって絶対ぇ」


「そうだぜ、オメェがたまに着るまだら模様
アレマジ気色悪ぃんだよ。」


「何度も言うが俺は江戸の服は好きになれないんだよ。
こっちの方がしっくりくるだけだ。」







何はともあれ、長谷川さんに連れられ赴いたのは競馬場。


長谷川さんから聞いた話だと勝つ馬を当てる
ゲームだということだが・・・・





こんな簡単な事で金を稼ごうなんて・・・こっちには
随分と怠け者がいたもんだな・・・







君、まずは一つの馬を当てる単勝からだ。」


「要するに勝つ馬を一つ当てればいいわけか。」


いやいや〜そんな簡単にはいかないぞ。
これに載っている馬全てを分析して当てるんだ。」





言いつつ渡された紙には、馬の名前を始めとした
細かいデータらしきものがビッシリ書かれている。


・・・どうせ早めに終わらすつもりだし適当でいいか。







長谷川さんと銀さんは真剣に勝つ馬を予想し
馬券を買って試合開始を待つ。





銀さんが選んだのは・・・・チープインパクト





長谷川さんは・・・・ジャスタウェイ・・・・


ていうか工場長どれだけジャスタウェイの名前を
売り出してんだよ・・・・・どこでも聞くなこの名前







で俺はと言うと・・・・オセロット。


並んだ妙な名前の中でなんとなく親近感が沸いて来たからな
ていうか馬に山猫の名前つけるって・・・・・





呆れる内に試合が始まり、馬が一斉に走り出す。











裏を深読みしすぎても自滅する











こっちじゃ馬は乗馬程度でしかしないから
ここまで盛大なレースは見た事がないな・・・







試合を見てる親父達の熱気に蒸し暑さと
若干の息苦しさを覚えつつ、試合の行方を見守る。









お、そろそろゴールか・・・・・・・







試合が終わり、途端に銀さんと長谷川さんが
下を向いて落ち込んでいた。





「おかしいな・・・・・
眼の付け所は悪くなかったんだけどな・・・・」


「おかしいな・・・・・
前回これで当たってたのにな・・・・・・・・」


おかしいな・・・・・
適当に選んだのにな・・・・・・・・・・・・」







結果と馬券を交互に睨み、俺達は思わず呟いた。







君・・・・適当に選んでもあたら・・・・・
え?今おかしいって言わなかった?」


「確かに言ったな。・・・え?
まさか・・・・・マジでか・・・!


「ああ・・・・・俺の選んだオセロット
・・・・・当たってた。」


「「ええええええええええ!?」」







銀さんと長谷川さんは目が飛び出さんばかりに驚いた。







「何でギャンブル自体初心者の君が当ててんだよ!!
おかしくね!?」


おーい!やり直せ!!
こんなん納得できるかあぁぁぁぁ!!!」





全く大人気ない・・・・まあ悪運が強いのは認めるがな
・・・・・色々修羅場を切り抜けてきたし。





「よーし!君、次はこの複勝でやってくれ!
これなら当たるまい!!」


「複勝?」


「要するに1位2位を全て当てる奴だよな
コレにはちっと酷じゃねぇか長谷川さんよぉ?」


「大丈夫だ!絶対当てられっこない!!」





ていうか、当たらない事前提かよ・・・・







ため息つきつつ行った次のレースの予想は・・・・・





1位がスネーク、2位がフォックスだ。


だから馬と関係ない名前つけるって・・・・・・
本当 つけた奴の顔が見てみたいよ。







試合が始まり、また周辺にいる親父達の熱気が
蒸し暑く沸きだって来る





どんだけ必死なんだよ・・・金が欲しいなら働け・・・・







呆れ混じりに思いつつも・・・試合が終わった。







君!どうだった?」


「まあ初心者のお前が当てるのは無理に等しいけどな・・・」


「はあ・・・・・」





再びため息をつく俺を、長谷川さんは妙に嬉しそうに見やる





ほら見ろ!!やっぱり悪運は2度も続かないんだよ!!
残念だったね君!」


「えーとお前が選んだのは・・・
スネーク、フォックスの順か・・・・・あれ?」


「確かさっきのレースの順位って・・・・・
ええええええええええええ!!







はあ・・・・当てたつもりじゃないのにまた当たったよ・・・・・







「何で!?何で君ばっかり当たんだよ!!
おかしいだろ、運の配分丸っきりおかしいだろぉぉぉぉ!!」



「俺は全く当てる気はないんだけどな・・・・」


「やっぱ金はある奴の方になだれ込む宿命なのかよぉぉぉ!!」


「こうなったら次の博打だ!!」









やたら息巻く二人に連れられて、次に来たのは・・・・・
半丁と呼ばれるよく分からない賭博場。


これも長谷川さん曰く、サイコロの目の合計が
奇数か偶数を当てる賭博だ。





と言えばいいらしいが・・・・・


どっちが偶数か奇数か教えてもらえなかった。







まあ適当に切り上げるし・・・・って競馬でも考えてたなこれ。







「皆様方、ようござんすね!」





さらしを巻いた女性がカップにサイコロを入れ
そのまま床へカップを逆さまにして置いた。





丁か半か!さあはったはった!!」


「丁!!」


「半!」


「半!!」


「「ちょぉぉぉぉぉ!!」」





カップを指差し、銀さんと長谷川さんの声がハモる


何で同じのを二人して言うかな・・・・







お兄さんは?丁か半か!早くはりな!!」





うわ・・・・すげー気迫・・・・・・怖・・・





「じゃあ・・・・・半で・・・」







カップが開かれ結果は・・・・・・2と5が出たのか





・・・・奇数か・・・ええと、どっちなんだ?







出ました!グニの半!!」


「くっそー!また外したぁぁぁ!!」


「ああ・・・・やっぱり丁半にはロクな思い出がないな・・・」


「確かにな長谷川さん・・・・はどうだった?」





沈んだ顔する銀さんに、長谷川さんが親指立てつつ





「ルールはあんまり教えてなかったからな!絶対勝てる!!


「って自分が勝つためにルール教えなかったのかよ!!」


「あれ?ていうか・・・・何にした?」


え?半ってやつだけど・・・・」


「たしか今のはグニの半って言ってたけど・・・・・」


「「えええええええええ!!!!」」





頭を抱えて、二人は競馬場同様の驚きを見せた。







そうか 半は奇数のことだったのか・・・・・





「何でだぁぁぁ!何でばっかり当たるんだよ!!
不公平だろうがぁぁぁ!!」



分かった!俺っ次は君と同じものを選ぶ!!」





人任せかよ・・・・・まあいいか
別に同じものを選ぶなとは言ってないし・・・







半か丁か!!さあはったはった!!」


「丁!!」


「半!!」


「丁!!」


「えーっと・・・どうしよっか・・・・・」


「お兄さん!モタモタしないで早くはりな!!」


「わ、分かってます・・・・えーっと・・・・・丁。」


「「半んんんん!!」」





揃った声音に俺は慌ててツッコンだ。





ちょっと待て!結局俺と違うの選んでんじゃねぇかよ!!」


「だって絶対次は違うモン選ぶだろ?
それを逆手にとって・・・・」


君と違うものを選んだって事だよ。」





結局こいつら俺をダシにしたいだけかよ・・・・!







で、結果は・・・・・・







「ピンゾロの丁!!」


「「えええええええええええ!!」」


「あら・・・・当たっちゃった・・・・」


「何でぇぇぇ!?おかしいだろぉぉぉ!!
何でばっかり当たるの!?幸運の女神様ぁ俺何かした!?」








よく分からん事を喚き散らす二人を他所に、サラシの女性が
俺に声をかけてきた。







「お兄さん賭博は初めてなのに悪運が強いんだね・・・
私はそんな男が大好きなのさ。どうだい?私と」


「いや、彼女いるんで・・・・」


「あらら・・・・そっちの方も運が強いとはね・・・」





彼女は肩を竦めて残念がると





「あんたらおっさんは
身ぐるみ剥がされたくなかったら早く帰りな!!」






銀さんと長谷川さんへ、打って変わって厳しい罵声を浴びせた。







くっそぉぉぉ!もうやってられっか、帰るぞ!!」


「え!?もう帰るのかよ!?」


「当たり前だ!こっちはもう素寒貧なんだよ!!」







全くこいつらは・・・・まあいいか
元々さっさと帰りたかったし充分だろ。









帰る為に駅に来て、すぐに切符を買ったのだが
何故か二人は一行に買おうとしない。





そればかりか俺に引きつった笑みでゴマスリをしてきている。







「二人とも・・・・・なんのつもりだ?」


「いや・・・・・あの・・・・・」


「俺達・・・・素寒貧って言ったでしょ?だから・・・」


「「お金・・・・貸してください・・・」」


「働けマダオコンビィィィィィィィ!!」







とは言ったが・・・結局置いてきぼりにする訳にもいかず
仕方なく電車賃分貸しておいた。











その後、お土産としてにブランド物を買って家に戻る。


ギャンブルで稼いだ金は すぐ使うべきと聞いたからな・・・・





も大層に喜んでいたのでまあ今日のゴタゴタは
無駄ではなかったかもしれない。







しかし・・・この金は負けた人間の金
混ざっているのを忘れてはいけない、そう思った。








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後書き(退助様サイド)


退助「マダオスパイラルの回に便乗し
ギャンブルの回が出来ました。」


銀時「ていうか何でばっかり勝ってんだよ!
おかしいだろそんなツキまくり人生!!」


退助「だって・・・それが主人公ってもんでしょ?」


銀時「主人公俺ぇぇぇぇぇ!!」


長谷川「でもホント君って悪運強いよね・・・・・」


退助「そりゃ核攻撃を3回も止めた猛者だから。」




なおギャンブルはあなたの人生や人格などを
大きく壊してしまう場合があります。


用法、用量をちゃんと考えて慎重に行ってくださいね。




銀時「何処のローンCMオチぃぃぃぃぃぃ!!?」