「ねえ、・・・」


「何だよ?」


「たしか、雪国に旅行するって言ってたわよね?」


「ああ、雪国だろ?ここ。」





答えると は周囲を気にせず叫んだ。





「何でよりによってシャドーモセス島なのよぉぉぉ!!」


「いいじゃないの、先輩の弔いのついでなんだから。」





隣にいたテリコがあっさりと答える。







俺と、テリコの計三名で現在
シャドーモセスにいる。





今日は オルガが亡くなった日でもあり


が前々から言っていた雪国に行きたいという
要望も踏まえて・・・この面子でここに来ていた。







「あなたはオルガ先輩の弔いは嫌?」


「嫌じゃないけど・・・・何て言うか
私は二人で旅行に行きたかったのに・・・・」





ちょっと困ったように呟く姿に 俺は苦笑を漏らす







・・・ここだけの話、俺は任務も兼ねてここに来ている。







シャドーモセスに行く前日 大佐からの通達があり


近隣住人の目撃情報で、基地の港に何か巨大なもの
着いているという報告があったそうで


それに関しての情報収集の命令が 俺に下されたのだ。





・・・まあシャドーモセスの街には結構な土産や
料理もあるから 後でそこを寄ればも納得するだろう。





とにかく俺達は基地の中に足を踏み入れた。







まず見えてきたのはヘリポート・・・ここで俺は
ソ連の改良戦闘ヘリ『ハインドD』の姿を目にして呟く。





「懐かしいな・・・・まだ原型を留めているなんてな・・・」


ジャック!早く奥に行こうよ!」





すでに基地の入り口へ駆けていたテリコが
待ちわびるように呼んでいた。





基地の中に入った俺達は、エレベーターの前に来ると
懐かしげに周囲を見回す。







「この下にナオミの研究施設があったんだよな・・・・」


「確かエメリッヒ博士と出会ったのもそこなのよね?」


「ああ、そうだな。」





目をつぶれば、今でもその時の光景が甦る・・・











故郷での思い出はなるべく聞くな











地下施設に入り、サーバルームへ侵入すると
そこにいたのは 眼鏡をかけた青年だった。





「おい!」


うわっ、誰だ君は!?君も仲間なのかい!?」


「仲間?俺に仲間はいない。いつも一人だ。」


一人?まさか・・・君もオタクかい?」


「何を言ってるんだ?早く出て来い、ここの研究員は
機密のために後から皆殺しにされるぞ。」







戸惑うその青年は・・・勿論、オタコンだ。











「そういえばそんな事もあったな・・・」





ボソリと呟くと、Mk.Uが寄ってくる。





『君のツッコミは今と比べて殺伐としてたし
キレもなかったね。』


「仕方ないだろ。」







まあそこは認めるが・・・・・実際ツッコミ
江戸で鍛えられたようなもんだし。









廊下を移動し扉をこじ開け、奥へ進むと
資材置き場に着いた。







ここで俺はデットセルの一人、フォーチュンと戦った。





そこでまた俺は その時の光景を思い出す・・・・・・











「私は幸運の女神・・・・さあ、私を殺してみなさい!!







フォーチュンのレールガン連射はかなり厄介で
避けるのにも一苦労だったのを覚えている。







うわ!?なんて威力だ・・・
ホントに現代兵器なのかよ・・・!」


「さあ!いつまで隠れてるの!!早く出てきなさい!!」













「あの時はいくら撃っても
弾が逸れて当たらなかったな・・・」


「確か あの人はリキッドによって体に電磁兵器を
埋め込まれてそうなったのよね?」





歩きながらのテリコの言葉に頷く。





「そうだ、それを知らずに
自分は死なない身体になったと言っていたが・・・」







今思えば それは全てリキッドの策略だった。







デットセルのリーダーであり、夫であった男を手にかけ


そして殺したのはアメリカだと騙して
俺と戦わせたのだからな・・・・









そのまま奥に行くと 広い空間に出た。





ここで俺は オタコンが惚れていた女であり


対FOX部隊、FOXHAUNDの一人でもある
スナイパーウルフと戦った・・・・・・











「そこか!!」


「クッ!?」





彼女の気配を察知し、俺はウルフを拳銃で撃ちぬいた。





その一撃が致命傷となり彼女が動きを止める







するとどこからかオタコンが現れ、俺の胸倉を掴んだ。





ジャック!何で彼女を撃った!!
彼女は争いを好んでなかった・・・それなのに!!」


「甘いこと言うな!殺されそうなのにこちらが
手加減するわけがないだろ!!」



「ハ・・・・ハル・・・・」





か細い声に、俺達は口論をやめてそちらを向く。







ウルフは震えた体で オタコンに手を差し伸べた。





「私は・・・・・大丈夫だから・・・・・
ハル・・・やさしい人・・・・」


「ウルフ!大丈夫だ!今医者を」


「もういいの・・・・ありが・・・とう・・・
私に・・・人としての感情を教えてくれた・・・


あなたは・・・・エマさんを・・・・
妹さんを大切にして・・・・・・」







その一言を最後に ウルフは息を引き取った。







「・・・ねえジャック・・・彼女は何のために
戦っていたのかな?・・・ジャックは何のために!?


「生きて会えたら答えを教えてやる。」


「じゃあ・・・じゃあ、それまでジャックも
答えを見つけておいてね!」


「ああ!」











「そういえばオタコンとウルフって付き合っていたのか?」







画面の向こうにいるオタコンは しんみりとした
少し寂しげな顔で答える。







『そうなんだよ、基地で知り合ってそのままね。』


あれ?確かその時ナオミさんと付き合ってたって
話も聞いてたけど?」


「え?そうなのかテリコ?」


さ、さあ早く奥に進もうよ!
早くREX格納庫に行かないと。』





オタコン、ごまかしやがったな・・・・・


ったく見た目と裏腹に 意外と女たらしだったのか。









他愛の無い会話をしながら進み、ついに
REX格納庫に着いた。







ここで、俺とオルガがリキッドのREXと戦った。







・・・その時の事は 鮮明に覚えている。











「ったく、なんて硬い装甲なんだ・・・」


こうなったら私があのレドームを破壊する!
そうしたら口を開かないと動かせないはずだから
その隙にRPG−7で!」


無茶するな!そんなことしたらREXの機銃で!!」


「せめてもの罪滅ぼしよ・・・・娘をお願い。







一言残して微笑むと、オルガはREXの前に出て
ライフルをレドームに向けて乱射し





入れ替わるようにREXの機銃を浴び 動かなくなった。







「オルガァァァァァ!!!」


クソッ!レドームをやられたか!?』





REXの口が開き、リキッドの姿が露わになる。





「フン、だが貴様はまた護るべきものを護れなかった。
エマと同じくな!!







その言葉に・・・俺はただ悔しさを噛み締める事だけしか
出来なかったのを覚えている。







「分かったか!!貴様は何も護れやしない!!
自分の命さえな!!」



「うああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」







叫んだまま 俺はRPG−7をリキッドめがけて発射し







・・・・・・REXは機能を停止した。













「先輩・・・・・・・・」





テリコの目からは、涙がいく筋も流れている


俺達はオルガの事を思い・・・悲しみの中 黙祷する。









あの時の戦いでも、死んだ者は多すぎた・・・







オタコンの妹 エマもまた犠牲者の一人だ





ワームクラスターでシャドーモセスのシステムを
破壊しようとしていたが





・・・その策略を気付かれリキッドに殺された。







仇はとったから・・・安心して、眠ってくれ・・・









戦いの証であるかのように、REXも
そのままの状態で置いてあった。





やはり良く出来たメタルギアだったな・・・・・うん?


よく見ると、あるべきものが見当たらない







「レールガンが・・・・・・
REXのレールガンがない!?


「えっ・・・どういうこと?


「あの時の戦いでREXの機能は停止させたが
レールガンはそのまま放置されたはずだ!」


「なのにそれがないっていうことは・・・・
誰かが、ここに忍び込んで盗んだってこと?」


「多分な・・・・だが誰が何のために」


「きゃあぁぁぁ!!」





唐突に、の悲鳴が聞こえた。





ちょっと来て!変なボールがあぁぁぁ!!」


「落ち着けって!!」







駆けつけて、が指差した方を見ると





3本手が生えたボールのようなものが
不気味な声をあげて蠢いていた。


・・・5機もいるな。





それらがこちらに転がりながら突っ込んでくる







「テリコ!!」


「ええ!!」





俺とテリコはサブマシンガンを取り出して
ボール状の兵器らしきそれを、破壊した。





「一体なんなの・・・・これ・・・」


「分からんな、破片をオタコンに見せてみるか。」







破片を回収し 色々と情報を探りつつも
俺達は基地を後にした・・・













夕方 俺達は港から近くの街に入り
ホテルの『モセス温泉』にみんなで入った。





「ふぅ・・・こういうのも結構いいな・・・」







男湯に浸かってのんびりと宙を眺めていると
隣から達の声が聞こえてきた。







「テリコさんの方が胸大きいわね。」


でしょ?確かC位はあったかな?」


「う・・・・私Bしかないのに・・・・」


「大丈夫よ、その内デカクなるから。」


「そ、そうかな・・・・?」


男の人に揉ませたら大きくなるって
聞いたことがあるわね・・・」


「ええ!?」


「この際だからジャックに頼んだら?」


「そんなこと出来るわけないじゃない!!


「あ、そういえば明日の朝 混浴があるんだったね
・・・・その時にお願いしてみたら?」


「もう!しつこいわよ!!」





ったく・・・・なんつうアダルトな会話
繰り広げてるんだよ・・・・・





おーいお前ら!あんまり騒ぐなよ!
恥ずかしいだろったく・・・・」







仕切り越しに向こうへ呼びかけると、動揺したような
二人の悲鳴が聞こえてきた。







「え!?ま、まさか今までの会話聞いてたの!?」


「それだけデカイ声で騒いでりゃな・・・・」







・・・その後、晩飯になったが


互いに顔を会わせ辛いレベルに
気まずい雰囲気が続き・・・無言のまま床についた。









翌日、調査も終わったので俺達はすぐに江戸へ戻った







銀さんと会い その時になってようやく
田足事件を耳にした・・・







「ったくよぉ、テメェが女としけこんでる合間に
俺らはピーマン兄妹にエラい大変な目に」


「分かった悪かった つーか何度目だよそのグチ」







酒の席でのグチ混じりだから、正確な話は
新八君から後ほど聞いたのだが・・・





俺達がモセスにいた時に


そんな大変な事になっていたんてな・・・・







でも彼らには悪いが、俺が一番気にしていたのは
REXのレールガンがなくなっていた事だ。







あれは核弾頭を発射するために開発されたステルス核兵器





これが何処で猛威を振るうか心配だ・・・








――――――――――――――――――――――――
後書き(管理人出張)


狐狗狸:田足篇で任務に飛んでった
さん達サイドの話と相成るそうで、本当ありが


銀時:ほとんどコレの回想じゃね?
主人公俺なんですけどぉぉぉぉ!?


狐狗狸:まあいいじゃない、出れただけマシだって


神楽:本当 あの時がいればキモ槍兄弟みーんな
楽勝で蹴散らせたアル


銀時:任務だかなんだか知らねぇが女と温泉まで
堪能しやがって・・・ちょっと沈めてくる


新八:どこに!?アンタそれ単に
八つ当たりじゃないですかぁぁ!!



狐狗狸:にしても、ある筈の兵器が消えてたり
妙な兵器?が出たり・・・あちらも大変だ


新八:他人事!?