月詠の隠れ家に潜み、銀時達は戦いの準備を進めていた。





は無線で何やら連絡をしているようだが
何をしているかまでは分からない。







整いつつある仕度の中 戸に背を持たせ月読は言う







すまぬ、わっちがもっと早く逃がしていれば・・・」


「謝る必要ねーよ、元から俺達ゃ
逃げるつもりはさらさらねーし。」


「・・・行くのか?」


「行かないと晴太君が死にます。」


いけばぬしらも死ぬ
夜兎が4人 軍隊一個あっても足りぬぞ。」


「あいつは・・・私がなんとかしなきゃいけないネ。」


「誰がためにいく?晴太か?日輪か?」







銀時は立ち上がり、背中越しに月詠へ言葉を投げかける。







ちょっくら、太陽取り戻していってくる こんな暗がりに
閉じ込められてるうちにみーんな忘れちまった太陽を・・・


どんな場所だろうとよ、どんな境遇だろうとよ、太陽はあるんだぜ
日輪でもねえ辻ちゃんの旦那でもねえ てめえの太陽がよ。」





「・・・殿、辻ちゃんの旦那とは誰だ?」


「いや、よく分からん。」







約二名の台詞を気にせず銀時は続けた







「雲に隠れて見えなくなっちまうこともあるがよ それでも
空を見上げてりゃ必ず雲の隙間からツラを出す時がやってくる


だからよぉ、俺たちゃそいつを見失わねーように、
空を仰ぎ見ることをやめちゃいけねーんだ。


背筋伸ばしてお天道様まっすぐ見て生きてかにゃならねーんだ。





彼の言葉と共に、五人はそれぞれが持っている武器を取り出す





「しみったれたツラをした連中に言っておいてくれ。
空を見とけって あの鉛色の汚ねえ空に俺達が
・・・バカでかい太陽うちあげてやるってな。」







沈黙していた月詠が前へ出ると、ハッキリと言った。







断る、わっちも行くからじゃ」











第四話 女装に必要なのもノリと勢い











「いいのか月詠?吉原の人間がこんなことしたら・・・」


「言ったはずじゃ、わっちが護るのは日輪じゃ。
吉原に忠誠を誓ったことなど一度もない
晴太を見殺しにする方が余程の裏切りぞ。」





取り出したキセルを吹かせながら、月詠は―





「それにわっちも人に頼るばかりじゃなく、自分で
捜してみる気になったのさ。てめーの太陽というやつを。」







五人へと振り返り、どこかきれいな笑顔を見せた。







少し呆れた顔で銀時がため息をつく





「帰るトコなくなっても知らねーぜ。」


「心配いらんわ、だってぬしら吉原を潰してくれるんじゃろう。」


「確かに吉原を潰した方がてっとり早いかもな。」





の発言に 思い出したのか月詠は訪ねる。





「それより、先ほど主が言っていた春雨第7師団とは一体?」


「ああ、春雨第7師団は春雨の中でも最強の部隊だ。
その師団の創立者が 夜王鳳仙。


「や・・・夜王鳳仙が!?本当ですかさん!?」


「団員は全て夜兎で構成されているっていう情報もあるが・・・
真実かどうかは分からん。」


「あのような者達がまだいるとは・・・恐ろしいな。」







無表情なの顔に、僅かに懸念の色が見える。







「しかも、その隊長を務めているのが神威・・・神楽の兄貴だ。」


「改めて聞くと末恐ろしい連中じゃな。」


「今更ながらな・・・所で奴の城に入る方法はどうするんだ?
正攻法で行くのは流石にマズかろう」


「それなんだがよぉ・・・変装なんてどうだい?」





自信満々に提案する銀時に、何処と無く嫌な予感を覚えた





「変装?」


「そうだよ。俺達は百華の新入りとして侵入するんだ。
頭がこっち側にいる訳だしやりやすいだろ?」


「・・・つまり女装をしろと?」







彼に答えたのは銀時でなく月詠。







「もちろんその作戦が通ったらそうなるな・・・
一応予備の衣装があるにはあるが・・・二着分しかないぞ。」





瞬間 の肩に手を置いて断言する。





、俺達は別ルートで侵入するぞ。」


「む・・・何故だ?殿。」


「衣装がないんじゃそうするしかないだろ?」







しかしそうは問屋が卸せるほど銀時は甘くない。







「はっはーん、お前・・・女装したくねーんだろ?


「当たり前だ。何でそんなことをしなければいけない。」


「まあそう言わず俺の案を見てみろって・・・
お前らはちょっと待っろよ 神楽、新八。」


「はい!」


「キャッホー!」







三人を置き去りに万事屋トリオが着替えを始めた。





着物の内側に、先程が月詠に頼まれて
こしらえた煙玉を三人は胸に二個ずつ詰めて括り・・・







「・・・・何してんのあんたら?」


「何って・・・はち切れピーチ三太夫だけど?」


どこかはち切れだ!!シリコン三太夫にしか見えねーよ!!
こんなくだらない変装バレるっての、なぁ・・・」





同意を求めんと呼びかけたが固まる







も作務衣の上から着物を羽織って煙玉を
自分の胸へ入れていたからだ。








「おい、、何してんのねえ?」

「すまぬ・・・この作戦乗りたくなった。
兄上の仕事を体験するのもいい機会と思ってな。」


「えええええええええ!?」


「これで決まりだな。」





にやつく銀時へ首を千切れんばかりに振り


は自分だけでも別ルートで侵入しようとして
その場から逃げようとしたのだが


一歩動くより早く、月詠のクナイが足元に飛んで刺さった。





うおおお!危ねーよ!!何すんだよ!!」


「おいテメェら!!を取り押さえろ!!」


「ラジャ!!」


「我慢してくださいね。さん!」


「ちょ!!何しやがる神楽!新八君!!
つっ月詠ぉぉぉ!!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!





藁にも縋る思いで呼びかけるが、月詠は無情だった。





「ここまで来たら・・・諦めるんじゃな。」


「そんな理不尽なあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!」







下地のスニーキングスーツについて誰も触れぬまま


結局も髪形を変え、胸に煙玉を入れる羽目になった。











六人は門の前へと現れ 先頭の月詠に続いて五人が進む。







いい?不審者は一匹も入れんじゃないわよ。
ピンときたら110番よ。アタイが許可する。
ヘマしたら承知しないから。」







が、目の前の彼らが一番怪しいのは当然といえば当然
見張りはすぐさま槍で行く手を押さえた。







「頭・・・曲者です。」


「いや、あの・・・それは、新入りじゃ。」


新入り!?こんな怪しい奴らが!?」


「パー子でぇぇぇぇす!!」


「パチ江でぇぇぇぇす!!」


「グラ子でぇぇぇぇす!!」






五人のうち、万事屋トリオはノリッノリでポーズを決め







と申す。」





はポーズこそ取ったが表情は能面のままで言う







「こ・・・・・幸美・・・・です。」







そしては・・・ものっそい暗い顔をしていた。


やっと捨ててきた女装キャラを復活させられたからである。







『五人合わせて、はち切れピーチ太夫五人衆!!』







全体ポーズが決まり やや間を置いて見張りの者達は
再び槍を彼らへと向けた。





「頭・・・曲者です。」


「いや、だから新入りだってば。」


「大丈夫なんですかこんな奴ら連れてって、
鳳仙様の方がはち切れますよ。」


「股間が?」


「「なわけけぇだろ!!鏡見て来いシリコン太夫五人衆!!」」





条件反射でツッコミ入れたに驚く見張り。





「ん?何でお前までツッコむのだ?」


「いや、お・・・私の癖なんですはい・・・・・・」


「こんな使えなさそうな奴らを連れてくのは危険です!!」


「大丈夫よ、ちんほう様も女と一発しけこんでるだけよ騒ぎすぎ。」


ちんほう様って誰だよ鳳仙様!
どんなしけこみ方したらあんな騒ぎになんの!!」


「いや、夜王とか呼ばれてるんでしょ?
そりゃとてつもないバズーカ搭載してんでしょ?」


「そういう意味じゃねーよ!!!」







銀時の発言に何か勘違いしたが余計な事を口走る。





「ばずぅか・・・夜王は恐るべき機械人間だったのか!?」


何この常識欠落しまくった子!本当にアンタ新入りなわけ!?」







呆れ返る見張りに 顔色一つ変えず月詠は言う。







「新入りだが腕は立つ、心配せずともよい。
門を開けれくりゃれ。」


「・・・・・頭がそこまで言うなら・・・・」





渋々門を開け、見張りは六人を中へと促す。





「お通りください。」









鳳仙の城へ入る事が出来、六人は早速小声で言葉を交わす。







(やりましたね。何とかごまかせたみたいですよ。)


(うまく行き過ぎだ。
こんな薄い変装で通れるほどあんたの部下は馬鹿なのか?)


(いや・・・確かにうまく行き過ぎじゃ。)









「お気をつけて行って下さい・・・・・死出の旅路を・・・」







その一言が終わるか終わらぬ間に、彼らの前方から
クナイが無数に飛来する。





銀時・神楽・月詠・自分の武器で弾きとばし
散弾を連射して撃ち落し


新八はうろたえながらもクナイを避けた。







「どうやら、猿芝居は全部無駄だったようだな・・・」


「まあ分かっちゃいたがな。」







六人の目の前に 百華が何十人と勢揃いしている。







「頭、あんたが賊に加担するとは・・・
吉原を裏切ればどうなるかあんたが一番知っているはずだ。」


「そうかい?一体どうなるってんだ、是非教え願いたいもんだ。
こんなたくさん集まって・・・」





頭の付け髪を取り外しながら銀時は言う。





「お別れパーチーでも開いてくれるのかい?」





そのおでこには、二話目同様クナイが刺さっていた







「・・・銀さん、ホントにお別れです。」


「え?何が?」


何がじゃねーだろ!何回ぶっささってんですかアンタ!!
おでこにブラックホールでもあるんですか!?」


「え?何が?刺さってねーよ何も。」





素早くクナイを引き抜き隠す動作も全く同じである。





「刺さってただろ!今明らかに顔赤くなってるだろ!!
照れてるだろ!!」



「オイイ、いい加減にしろよ。
決める時はバシッっと決めろよな〜。」





茶化す神楽だが、頭から血を流しつつクナイを
隠しているのでバレバレだ。てーかお相子だ。





「刺さってたよね!君も明らかに刺さってたよね!!」


「フン、今からそんな調子じゃ先が重いやられるわい。
ぬしら、そんなことでは百年かかっても夜王には勝てないぞ。」





そういう月詠の背中にもクナイが4本刺さっている。







「・・・ツッコミつらいんですけど、そっとしておいた方が
いいよねあれ?知らない方がいいよねあれ。」


「ったくどいつもこいつも情けない。あれくらいの攻撃
なんとも出来ないとはこの先つらいぜ。なあ?。」


「全くだな殿。」







しかしにもクナイがキッチリ全身に刺さっていた





「あんたらは全身ブラックホールですか!
そもそも何でそんな針のむしろ状態で平気なんだよ!!」








彼らのやり取りに痺れを切らした百華が刀を抜く。







「裏切り者には死を、それが吉原の掟・・・
その命をもってしてその掟、護るがいい!!





口上と共に百華が足並み揃えて仕掛けてきた







「嬉しいねえ、遊女総出の総仕舞たぁ男冥利に尽きるぜ。
だが、こう貧乳ばかりじゃ興も冷めるってもんだ。
女はやっぱり・・・・・」







五人はそこで胸元を開け、括った煙玉をさらす





一瞬怯んだ百華達の隙をつき







「爆乳でござんしょ!」





月詠がキセルの火で、煙玉の導火線に火をつける







「さあ、楽しいパーチーの始まりだ。」







いやらしい笑みと共に銀時は それを一斉に投げて爆発させた







それこそが正に、この血で血を洗う血生臭い戦いの狼煙となった。








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後書き(管理人出張)


狐狗狸:今回はシリコン五人衆の下りに特に力を入れました!


新八:もっと格好いい所に力入れましょうよ


神楽:ちなみに女装した時のの髪型は
二つ括りアル、し○かちゃんアルな


新八:いらねぇぇぇ!その情報いらねぇぇぇ!!


月詠:ここの管理人は、頼まれもせんのに作者に
その絵を描いて渡しておったがな


銀時:いやその内輪ネタもいらねぇだろ・・・


新八:それより、さんとさんは何で平気なのアレ!?


狐狗狸:さんは着てるスーツの性能とかで
説明付きそうですが は・・・気合?


銀時&新八:まさかの根性論!?