あれからしばらく時が流れ、銀時達は独自の方法
吉原で探りを入れていた・・・発案者はだが。







その日、成り行きで銀時は吉原の自警団『百華』と交戦し
追われることとなり


付近のダンボールに隠れていたはそこで晴太の努力が
無駄になっていた事を知って、新八や達のいる所に向かった。







何だって!?おいらの金が使い込まれていただって!?」





建物に挟まれた段差に連なる階段に座る花魁姿の三人と
普段通りのに囲まれた晴太が、声を張り上げる。





「うん、あの店番さん
店の金にも手を出すことで有名だったらしいんだ。」


「ちくしょー!!
必死に働いて稼いだってのに全部無駄だったのかよ!!」



「無駄じゃないさ晴太君、スリしていた時よりよっぽどマシさ。
それに俺の銃も一生懸命磨いてくれてたし。」


「そんなの・・・何の意味があんだよ!金がなかったら
母ちゃんに会えないんだよ!何の意味もないんだよ!!







悔し紛れに晴太が地面へと金を叩きつけるが・・・







無駄じゃないよ、僕らちゃんと見てたから。」


「そうアル、大体母ちゃんに会うのに
お金がいるなんておかしな話だったアル。」





神楽が散らばった金を手に取り、その内一つを指で弾く。





「会いたい時に会うのが親子ネ。
依頼金は、万事屋がしっかりいただいたヨ!」



「そうだ晴太、母親に会いたいなら自分の足で
会いに行くのだ・・・私達も出来る限り協力する。


「そうさ、俺達はみんな母親がいない身分だ。
だから俺達の分まで甘えて来い。







言いながら は互いの武器を手に取る。







無茶だ!金なしに花魁に会おうだなんて
ここは上の常識が通じる場所じゃ・・・・・・」





その瞬間 上からクナイが雨のように降ってきて


咄嗟に晴太をかばったと共に全員は階段の下へ飛んだ。





「何だ!?」







驚きの声を放ちながら新八が上を仰ぎ見ると
屋根からたくさんの人影が現れる。







「あ・・・・・あの傷は・・・・!」


「誰アルか?」


「吉原の掟を犯す者を処断する、自警団『百華』
その百華を率いている吉原最強の番人で『死神太夫』
恐れられている・・・・・」





晴太の言葉が終わらない内に百華は一斉に飛び上がり


クナイを構えた、大きな顔の傷が目立つ女が呟く





「月詠でありんす・・・・」


百華とが 同時に攻撃態勢に入った。





「以後・・・よしなに!!」







月詠の動きと寸分違わず背後の百華達も全員クナイを投げる


だがが大半をAK−102で撃ち落し、零れたモノは
と神楽が 新八と晴太を庇うように防いだ。











第ニ話 かっこつけは逆に恥かしくなる諸刃の剣











「な、何で僕らが自警団に!?」


「知らねえよ!!」


「言ってる場合か!晴太を連れて逃げるネ!!」





神楽が傘の機銃で攻撃するも掠める程度で当たらず





月詠がクナイで銃口を塞ぎ、それと同時に神楽へ
クナイで斬りつけるが反対に傘で受け止められる。


しかし、花魁の変装に使った底が厚い下駄が災いし
バランスが崩れよろめいた。







その隙に横をすり抜ける月詠を追おうと体勢を立て直す
神楽の前に百華が立ち塞がった。







が、彼女の前にもまたが行く手を遮る





「久しぶりだな、月詠。」


「またぬしか、懲りない男じゃ!」







投げられたクナイの嵐をライフルで撃ち落していくだが





撃ち漏らした一本が 運悪く銃の接合部分
当たって銃が壊れてしまった。







「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!
AK−102がぁぁぁ!!AKシリーズの最新モデルがぁぁぁ!!」



「言ってる場合じゃないでしょさんんんんん!!」


「くっ・・・おのれ!!」







群れ来て襲う百華を蹴散らし、ようやく追いついた
槍で月詠目がけ刺突するもジャンプでかわされ







狙いを逃げまとう晴太へと定め





「まずい、逃げろ晴太!新八!!」


「ワッチの狙いは・・・・・ぬしじゃああ!!





月詠は晴太に向けてクナイを投げる。


慌てて庇う新八の動作が遅れて見え・・・









間一髪のタイミングで


銀時が現れ、クナイを木刀で弾き飛ばした。





「よお・・・・・」


「ぎ・・・」







二人を守るように背を向けていた銀時が振り返る







「待たせちまったな。」





彼の額には、弾いたはずのクナイがぐっさり刺さって・・・







驚いた顔をしていた新八が 我に返ると
心配そうに声をかける。





「・・・・・・あの・・・銀さん・・・刺さってます。」


「・・・え?何が?」





すばやく刺さっていたクナイを隠す銀時





「いや・・・・刺さってましたよね?今。」


「刺さってねーよ。」


「いや、明らかに刺さってましたよね。」


うるせーなお前!刺さってないって言ってるだろ!!
そんなに俺を刺したいか!ああ分かったよ刺さった事に
してやるよ!ホントは刺さってないけどね!!」





百華を含めたその場の全員・・・・ではないが
白い目で銀時を見ていた。


例外の二人・・・はライフルが壊れたショックにより
壁際で落ち込む最中で、は相変わらずの能面である。





「銀時、刺さっていたものは事実だぞ?」


しつけーよまでよ!刺さってた本人が刺さってないって
言うんだから刺さってないことでいいだろうが!!
おいっからも何か言ってやってくれ!!」


「AK−102・・・・最新モデルが・・・・・・・・・」


「駄目ですね、しばらく立ち直れそうにないですね。
ていうか銀さん今認めませんでした?」





「お前らさあ・・・・ホントさあ・・・・・空気読めよ。


ここは打ち落とした事にしようよ、俺全部打ち落とした顔
してたじゃん。めっちゃ恥ずかしいじゃん・・・・・・
あ、あいつら笑ってない?笑ってない?」


「大丈夫です銀さん。笑ってないです。」







形容しがたい空気の中、月詠が前へ進み出る。







「わっちの攻撃を全て打ち落とすとは・・・・・・
何者じゃ?ぬし。」


気ぃ使ってくれてる!全部打ち落とした事にしてくれてる!
いい娘だ!!あの子いい娘だよ!!」







彼女の言葉に意を得た銀時は、余裕の表情でしゃべり始める





攻撃?そいつは悪かったな。俺ぁクナイが
のんびり散歩してるのかと思ったぜ。どうだい?
こんな物騒なものより俺ともっといいモンを刺し・・・」





顔に持っていこうとした手の甲にもクナイが刺さっていた。







「やべ、やべえよ腕にも刺さってた。見られた、今の見られた」


「あんた結局全然打ち落としてねぇじゃん!
あちこち刺されまくってんじゃん!!」



「もう無理だわ、帰って病院行ってくるわ。」


「落ち着いてください銀さん。
全部打ち落とした感じにするから恥ずかしいんですよ。
身を挺して晴太君を庇った事にしましょうよ。」







今更出来ぬ修正と思われていたが・・・月詠はキチンと
空気を読んであげたようだ。







「身を挺して子供を庇うとは・・・・・ぬし、何者じゃ?」


聞いてくれてた!計画聞いてくれてたよ!!
いい娘だ!あの娘いい娘だ!!」


「お主らは一体どうしたのだ?弾いたクナイが刺さったのは
明白ではないか、血の跡が証拠ぞ。」


さんちょっとは空気読んで黙っててぇぇぇ!!」





全てのやり取りをぶち壊すKY発動
新八のツッコミが飛ぶ。







構わずフラフラしながら銀時は口を開く





「くそっ・・・・なんてこった・・・・・
盾になるのが精一杯だったぜ・・・・大丈夫か?せ・・・」







彼が晴太の方を見ると・・・・頭にクナイが刺さり倒れていた







「晴太・・・・・・く〜ん?」


「嘘・・・・え?嘘!?


「せ・・・・・晴太・・・・・晴太ぁぁぁぁぁ!!


「晴太っしっかりしろ!晴太!!」





神楽とが駆け寄って晴太に問いかけるが返事がない。





「銀さんこれぇぇぇぇぇ!ちょこれぇぇぇぇぇ!!
颯爽と助けに入ったのに思いっきりぶっ刺さってますよ!!
何しに来たんですかあんたぁぁぁぁぁ!!」








晴太を指差し いつもよりも盛大な新八のツッコミが響く中





銀時はものすごくやばそうな顔をして呟いた。







「てめえら・・・・・・・・・・てめえら!
死ぬ覚悟は出来てんだろうな!!


ごまかしたぁぁぁ!結局怒って全部他人のせいにしたぁ!!」





彼の叫びと同時に百華の人達が身構えるが


後ろの方から、その中の一人が手を上げて発言する。





「あの〜・・・すいません、私見ちゃったんですけど・・・
あの人が助けに入った時に・・・・弾いたクナイの一本が
・・・・・・刺さってました。





やばそうな顔を保つ銀時だが 冷や汗がだらだら垂れ流しだ。







一人をきっかけに百華から次々と証言が出てくる





「あの・・・・私も見た。」


「わっちも。」


「あちきも。」


「あれ弾いてなかったら刺さってなかったよね?」


え?じゃああの人が殺したようなもんじゃ・・・・」


「え?銀さん?ちょっと?銀さ・・・」







不安げに話しかける新八の声で、銀時は一旦後ろを向いて
再び振り返り様・・・







「てめえら・・・・・・・てめえら!
死ぬ覚悟は出来てんだろうな!!


「なかったことにしてる!前の約30行分(空白は除く)の
やりとりをなかったことにして再編集しようとしてる!!」








収拾のつかぬ空気をどうにか取りまとめんと
月詠がクナイを構えて呟く。





「ぬしもわっちのクナイの餌食となるがいい。
わっちが殺した童の所へ連れて行ってやろう。」

「超気ぃ使ってくれてるよ!くどいくらい自分が
やったことにしてくれてるよ!!いい人だ!あの人いい人だ!!」








しかし流石にここまで来ると銀時も少し落ち込んでしまった。





「あ・・・・もうそれ以上気ぃ使わないで
優しくされると泣きそうになるから・・・」


「何面倒くせえこと言ってんだ!!」





言い合う二人に、月詠の弁明も加わる





「気など使っておらん、わっちがクナイなど投げなかったら
こうはならなかった 過程はどうあれ原因を作ったのはわっちじゃ。
わっちが殺した。」


「やめてホント、お前の気持ちは分かった。俺がやったんだ。」


何このやりとり!?あんたら敵同士だよね!?」





もっともな新八のツッコミを無視し、言い争いに近い
やり取りが繰り広げられる。





「わっちがやったと言っとるんじゃ。わっちが殺した。」


「いや、俺だ。」


「わっちじゃ。」


「俺だ!!」


「わっちじゃ!!」


「俺!!」






その直後、銀時の額にクナイが刺さり


しばらく間を置いて 銀時は倒れた。







「銀さぁん!!」





驚く間に新八と神楽にもクナイが刺さって
同じように倒れ伏す。







「銀時!!新八!!神楽!!」


「AKシリーズの最新・・・・・」


何をしてる殿!!早く銀時達の仇を・・・」





壁でへこんでいたの額と、彼を叱咤していた
の胸にもクナイが刺さり 二人も程なく倒れる。







「・・・奴らはわっちが始末しんした。
そう鳳仙様に伝えなんし、後始末はわっちがしておく。」





倒れた彼らを前にした月詠の指示を受け、百華が帰っていく











彼女達の気配が失せた頃合を見計らい





月詠は 銀時に刺さってたクナイを抜いた。







「起きなんし。
さっさと起きんと今度は本物のクナイを叩き込むぞ。」







あの時、月詠は吸盤が付いたクナイを投げていたのだ





当然無傷の為 ムクッっと銀時達は起き上がる。





「あり?生きてる?」


「吸盤付きのクナイか・・・いつの間に仕掛けたんだ?」


「最初からじゃ。」


「でも良かった、全員無事で・・・」





全員を確認し一息つこうとした新八が気付く。


・・・そこに の姿が無い事に





駄目押しで月詠の台詞が流れ込んできた。







「あ、その作務衣の娘に投げたの・・・
本物のクナイじゃった・・・・・」


「え?じゃあ・・・・・さん・・・」







彼女は胸から血を流して倒れている。







「ちょっと!さん血だらけじゃないですか!!
何してんのあんたぁぁぁぁ!?」



死ぬんじゃないアル生きろぉぉぉぉ!!」


「おおおおおお落ち着け新八ぃ神楽ぁ!
とにかくここは一発タイムマシンを・・・・」


あんたが落ち着け!大丈夫だ!!止血剤とか
持ってるから今ならまだ十分間に合うって!!」





が応急処置を施すと はすぐ意識を取り戻した。





「・・・おお、殿。やっと立ち直ったか。」


「うるさいわ、知り合いに直してもらうわ。」


「最初からそうすればよかったんじゃ・・・・」


「・・・まあいい、付いて来なんし。」





月詠は言うと 彼らの少し先を歩き始める







「おいテメエ、どういうつもりだ?」


「今はここから離れることが優先じゃ。付いて来い。」







・・・一体、彼女は何を考えてるのか?





一行は真意を知らぬまま月詠の元へとついて行った。








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後書き(管理人出張)


狐狗狸:吉原二話目です、しかしさんの発案で
吉原での事を調べてたんだね・・・


神楽:晴太がちゃんと母ちゃんに会えるようにって
が言い出したアル


銀時:直接情報集めんのは俺とがやって・・・


新八:使い込みが確実になったんで、晴太君をお母さんに
あわせる為に僕らも乗り込んだんですよ


狐狗狸:しかし こっちでもKYっぷり
凄まじくハンパないねー、死神への好かれぶり


月詠:あの娘、程ではないにしろそこそこ手練じゃ


狐狗狸:腐っても裏稼業生きてる子なので・・・