達が謎の箱に接触している頃
とサニーは 妙達と一緒に寝床を探していた。
「から聞いた話だと、無人島の崖の下には
よく洞窟があるそうなんです。」
「確かに洞窟なら寝床作る手間が省けるかもな。」
そこに少し遠くの方から新八の叫び声が聞こえ
「あれ?新八君の声ね?」
声に従い彼女らが歩を進めると、洞窟の側で
亀梨の頭をワシ掴む新八と 九兵衛の姿が見えた。
「新ちゃーん、何かあったの?」
「さん!姉上ぇぇ!食糧見つけましたぁ
今日は亀鍋です!!」
「待って待って待って!マジッスって!!
ここ竜宮城なんですって!!
昆布に誓ってもいいッスわ!ワカメに誓います!!」
「同じようなもんだろうがぁぁぁぁ!!」
「ちょっと新八君!乱暴はよしなさいって!!」
「ねえ。」
興奮する新八を宥めるを差し置いて
サニーが尋ねてくる。
「何・・・・」
サニーと九兵衛が指差している方を見ると
そこに"竜宮城三丁目"と書かれた札が
「いや、でも良かったッスわ皆さん無事で
まさか皆さん僕の近所に流れ着いてるとは。」
しばらく汗を流して黙り込んでいた新八が
我に返った様に叫びだす。
「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!
ちょっ、待っ・・・え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!
りゅ、竜宮城!?これ竜宮城!?」
「竜宮城って洞窟のことだったのね。」
「知らなかった。」
「いや違うわよちゃん、サニーちゃん。」
「ええ、まぁ竜宮城といってもアレッスよ?
ギリギリ竜宮城の端、埼玉寄りッスけどね。」
「ウ・・・ウソだぁぁぁぁ!!
じゃああれはどう説明つけんだよ!!
竜宮城で死亡者出てるでしょうがぁぁぁ!!」
サニーが洞窟を覗くと、横たわる骸骨が視界に映る。
「ヒッ!」
「大丈夫よサニーちゃん・・・亀梨さん!
何で竜宮城に遭難者が出てるんですか!!」
「ああコレ、ウチの嫁さんです。」
「「え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」」
新八とが同時に叫んだ。
第五話 亀の甲も年の功も役に立つのは微妙な場面
「嫁さん!?これ嫁さんなの!?」
「どうみても死んでるんじゃ・・・!?」
「死んでないッスよ?産卵期はエネルギー使って
大分痩せちゃうんスよ。動かなくなるし。」
「やせるって完全に
骸骨になってんだろうがぁぁぁぁ!!!」
新八のツッコミを無視し、亀梨は
フレンドリーに骸骨に話しかける。
「みどり、皆さんに挨拶しなさい。」
・・・・返事が無い ただの屍のようだ。
「あ〜、すいませんね〜シャイなもんでウチの嫁。」
「シャイじゃねーだろ!!
色んなもん赤裸々にムキ出しだろ!!」
亀梨の視線は言葉を無視して刻まれた文字に移る。
「もぉ〜またフローリング傷つけて〜
しょうがないな・・予定日まであと一月か。
分かってるから、お前の苦しみは僕も協力するから
丈夫な卵産もうな。」
「どんだけ紛らわしいメッセージ!?」
「ちゃんと甲羅被って寝ないとダメだって。」
まるで布団をかけるように屍に甲羅を乗せる
その様子を、彼らが理解するのにしばしかかった。
「・・・これはどういうことだ?」
「とりあえず無人島じゃないみたいです。」
「ぞれじゃあ俺達、普通の生活に戻れるのか。」
一同は互いに見つめ合って・・・・・・
「やったぁぁぁぁ!!帰れるぅぅ!!
もう竜宮城なんてウンザリだ!!
さっさとこんな所からトンズラしようぜ!!」
「し、新八君・・・キャラ変わりすぎ・・・・」
「おい亀ぇぇぇ!俺達を早くこの島から帰せ!!
もうウンザリなんだよこんな所!!」
沈黙を置いて、振り返らずに亀梨は言う。
「・・・・帰るって・・・・何処に?」
「は?」
「帰る所なんて・・・もう何処にもないッスよ。」
「ちょっと亀梨さん!どういうことなんですか!!」
「テレビ見ればわかるッスよ。」
にそう言って、亀梨はテレビを付けた。
画面に映ったのは・・・・
街の住人が皆、老人の姿になった光景だった
『突如現れた亀のような機械から投下された奇妙な箱
そこから発せられたガスにより江戸の人々が次々に
年老いた老人のような姿に変えられております!!
一体何が起きているのでしょうか!
あの亀は、あの箱は、あのガスは一体何なのでしょうか!
・・・ゲホゲホ、一旦スタジオにお返しします!』
真面目な顔をするキャスターの絵に変わり
『えー、という事で大変な事になってきましたけれども
花野アナ これは一種のバイオテロとの声も挙がって
いるんですが・・・その辺の情報は入っているのですか?』
再び映像が切り替わって写ったのは
老人へと変わり果てた姿の、花野アナ
・・・・・の後ろにちょっとだけ槍を持った
お婆さんの姿も見えた。
『えーとでしゅね・・・・・えーっと
・・・・忘れました。』
『・・・花野アナ?』
『おお兄上・・・・年老いても美しいのお・・・・』
『おかしいですね・・・ちょっとうまく映像と
音声が繋がらないようですね・・・・ババァ共どけ!!
・・・じゃあ一旦CMいきまーす。』
テレビを見ていた一同の表情が凍り付く。
「え・・・江戸が・・・じーさんばーさんだらけに・・・
どういうことなんですかこれは!!
一体江戸で何が起こっているんですか!!」
「あれは竜宮城で開発された老化促進兵器、玉手箱G。」
「竜宮城!?
竜宮城が江戸にあんな攻撃を仕掛けているっていうの!?」
「どういうことだよ!!ここも竜宮城じゃねーのかよ!!
まさかテメーも敵!?」
長谷川の追及に亀梨はメガネを外しながら話を続ける
「敵ならこんな所に連れてきたりしないッスよ。」
「じゃあ亀梨さんは私達を助けるためにここへ?」
訪ねるサニーへ グラサンをかけた亀梨が振り返る。
「それは半分合っていて半分違うな。
俺は、乙姫の野望を共に叩き潰す勇士と見込んで
ここに呼んだのさ。」
言葉が終わる前に何かが着陸した音が聞こえ
全員が外の様子を見ると、亀のような乗り物から
次々と武装した亀梨みたいな亀達が出てきた。
「急げ急げ急げ!!グズグズするなこのクズで
ノロマな亀共!!ひっくりかえされたいのか!!」
モヒカン頭のリーダー格らしき男が声を張る
「亀梨ぃぃ!出てきやがれぇぇぇ!!
テメーは完全に包囲さてれいる!!
大楼主親衛隊隊長の身でありながらぁぁ!!
乙姫様に反旗を翻したこと万死に値する!!
テメーが地球人をかくまっているのはお見通しだぁぁ!!
地球人共々即刻出て来い!!」
亀達の装備を見て、は顔を曇らせる。
「あれは南米のライフルG3A3・・・それに
ショットガンM870・・・!形は変わってるけど
何であの人達があんなものを・・・・!」
「言ってる場合じゃないッス!行くぞ!!」
いきなり走り出した亀梨に戸惑う新八
「え!?ちょ・・・待って!!」
その声に感づかれ、下にいた亀に
彼らの居場所がバレてしまった。
「いたぞぉぉ!あそこだ!!亀梨だぁぁぁ!!」
怒号と共に下の亀がグレネードランチャーを発射し
「うぉわぁぁぁぁぁ!!!」
「サニーちゃん!!走れる!?」
「うん!」
已む無く六人は亀梨の後について走り出した。
「ちょっとぉぉぉ!どうなってんですかぁぁぁ!!
僕ら夏休みに来たんですけどぉぉ!!
夏休みなんですけどぉぉぉ!!!」
「平たく言う!
この星は竜宮城の主、乙姫に狙われている!
このままいけばこの地球は・・・
じーさんばーさんしかいない星にされるぞ!!」
「そんな・・・・!
結婚もしてないのにばーさんになりたくないわよ!!」
「そうねちゃん!
ていうか結婚してるんじゃないの?さんと。」
「いえ・・・そこまでいって無いです・・・・」
顔を赤くするに構わず、亀梨は言葉を続ける
「俺はその企みに勘づき計画を阻止するため
乙姫を叩き潰す事の出来る勇士を探していたんだ!
そのためにあえて悪事を働き 悪を許せぬ正義の魂を
持った者達を求めた!そう、それが君達だ!!」
大層な事を言う彼の手に抱えられていたのは
"ドラえもん"と書かれた何本かのビデオ。
「あえてじゃねーだろ!!嫁さんほったらかして
何で盗撮ビデオ大事そうに抱えて逃げてんだ!!
何だドラえもんって!完全にカモフラージュだろうが!!」
「ドラえもん・・・!私見たことあるよ!」
「サニーちゃん!!そんなこと言ってる場合じゃ・・・」
言ってる間に、彼らは武装した亀に囲まれた。
「どこを見ても亀だらけ!完全に島を包囲されてるわ!」
「どーすんだオイ!!」
嘆き混じりの長谷川の言葉に答えるように
はグロッグ銃、九兵衛は刀を抜き
先陣切って亀達と戦い始めた。
それを見て新八と長谷川も落ちてた棒切れで参戦し
妙も近づく亀を殴る蹴るして ほぼ全員が戦い
敵を蹴散らしているのだが・・・
敵の甲羅が厚いせいか、銃弾と刀の効果が
いまひとつ現れないでいる。
「くそっ!!こんな時に限って
何故一番頼りになる奴等がいない!!」
「頑張って!!もちこたえてください!!
もう少しの辛抱です!!」
新八の言葉に、サニーを庇いながら応戦するも続く
「そうよ!達なら必ず来てくれる!!
必ず・・・・!」
「よぉ、待たせたな。」
まさに全員が待ち望んでいたタイミングで
聞こえてきたのは、銀時の声だった。
(銀さん・・・・)
期待を膨らませ 声のする方を見る彼らだが・・・
そこには銀時達ではなく、見知らぬ老人3人が
トボトボと歩いているだけだった。
「今からいくからの〜・・・待っとれ・・・・
新・・・・何だっけ?」
「新一郎君じゃ〜、大きくなったのぉ〜。
おいで50円あげよう・・・」
「良かった・・・・
・・・サニー・・・・無事で・・・・」
全員があっけにとられた顔となり、だけ
放心した顔で老人達を見ていた。
「・・・・・・・えーっと・・・・・誰、その人達?」
やや後ろからついてきた神楽がボソリと呟く
「銀ちゃんととヅラアル。」
「ヅラじゃない・・・・カ・・・カ・・・
カァ〜ッペ!!・・・・・何だっけ・・?」
「カミュビダンとか
なんとか言っとった気がしたのう・・・・」
「そうじゃ、カ・・・カ・・・カァ〜ッペ!!」
「二人とも・・・・敵が目の前にいるというのに
何だそれは・・・・・・」
ずっと防御に徹していた亀梨が、玉の汗を
掻きながら老人達へと問いただす。
「ま・・・まさか君達、俺が竜宮城から秘かに持ち出した
玉手箱Gのサンプルに触れたんじゃ・・・・」
「なんじゃサンプルって・・・?」
「知らんわ。」
「つーかさっきから思っとったけどお前誰じゃ?」
「お前が誰じゃ?」
「もういい・・・・!俺が敵を・・・」
弱々しくそう言い、拳銃を取り出したが
の近くにいた亀へ向けて撃つが 弾は全て外れた。
「何じゃ・・・お前さん下手じゃな〜・・・
わしの方がまだうまいわい・・・」
「えらそうにしやがってこのジジイ共・・・・
アタタタタ、今ので腰が・・・・」
「そんな・・・・・
が・・・・・老人に・・・・・・・」
真っ青になったが、ふらりとその場に卒倒した。
「ローズ!?しっかりして!」
「うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
抗う気力を失った全員が、捕虜として亀の軍団に
捕まるのに時間はかからなかった。
果たして肝心の3人が戦闘不能状態の中で
この窮地を助かる事が出来るのか・・・・
そして乙姫が地球人を老人に変えてしまう真意とは?
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後書き(退助様サイド)
退助「さあやっと乙姫軍を出すことが出来ました。
ついでに槍ムスメも出すことに成功」
銀時「しとらんじゃろが・・・・」
退助「うわ!ここは老人モードなんだ。」
新八「ああさん・・・
そうとうショックだったんでしょうね・・・・」
退助「そりゃそうでしょ、最愛の人が
老人になっちゃったんだから。」
神楽「ていうかもオタクだったアルか?」
退助「いや違う違う、も軍人だから
観察力と知識があるんだよ。」
桂「軍人じゃない、カ・・・・カ・・・・カァーッペ!!」
退助「うぉ汚ぇぇ!ここで痰を吐くな!!」