ふと眼を覚ますと、俺の目の前にオルガが立っていた。





・・・・・・軽蔑の眼差しで







アンタ・・・私の娘を・・・・・」


「すまないオルガ・・・俺が海に連れてったばっかりに」


「言い訳は聞きたくないわ。あの世でサニーに謝りな。





オルガが銃口を突きつけ、拳銃の引き金を引いた







銃声が鳴った・・・と同時に俺は跳ね起きる。





思わず額や身体を擦るが、そこに撃たれた痕は無い





・・・夢だったのか・・・・







隣には、気を失ったがいた。







「おい!!起きろ!!





二三度揺さぶると、彼女はゆるりと起き上がる


まだ意識が定まっていないようなので
俺はを 近くの木の下に寝かせた。





「・・・・・・・」


「良かった・・・・無事で・・・」







は辺りを見回し、サニーがいない事に
気付くと動揺を露わにする。





「サニーちゃんは・・・・・
サニーちゃんは何処・・・・・!?


「・・・・・・・・・ごめん・・・・・
助けようとしたんだが・・・・海の底に・・・・・」





止め処なく、の目からは涙が溢れてくる





「そんな・・・・・・私が・・・・・・
私が海に行こうなんて言ったから・・・・・!」


そんなことはない!!サニーはきっと無事だ!!
この島に流れ着いてるかもしれない」


無事なわけないじゃない!!
沈んだの見たんでしょ・・・・その目で・・・・!!」





俺は、下を向いて黙り込んだ。











第三話 独り言は一人だからこそデカイ











・・・・・・・・・ゴメン、サニー・・・・


俺達が海に好かれてない事は 前の作戦でも
分かってたのに・・・・・





「ゴメンね・・・・ゴメンね・・・・・
サニーちゃん・・・・・・」







胸が裂けるような悲しみが辺りを支配し







・・・数時間経って少し落ち着きを取り戻した俺達は
砂浜で水平線を眺めていた。







「・・・・・・・まるでこの世界に
私達だけしかいないようね・・・・・」


「・・・・・そうだな・・・いっそ全てを忘れて
ここで暮らすのも悪くないかもしれんな・・・・」


・・・・」


・・・・」





見つめあい、キスを交わそうと・・・・







何してるの?ローズ?ジャック?」







声をかけられ びくついた俺達がそちらを向くと





そこに・・・願ってもない人物が立っていた。







「「サニー!!?」」


「もう・・・二人だけの世界に浸らないでよね・・・・」





困ったような顔をするサニーを、
駆け寄って力の限り抱きしめた。





「良かった!ホントに良かった!!」


「ホントだよサニー、良く無事だったな・・・!」


「あの後 赤い光が見えて・・・・・・気が付くと
この島の砂浜で目が覚めたの。」





赤い光?潜水艦か何かか?





「赤い光か・・・・」


「そんなのどうでもいいわよ!
サニーちゃんが生きててくれた!それでいいじゃない!」



「それもそうだな。
サニー、ゴメンなこんな事になって。」


「いいの、それとこのことは黙っておいてあげる。」


「え?何のこと?」


二人の世界に浸ってたこと。」







その一言で俺達は途端に恥ずかしくなり、顔を赤くする







「・・・・ちなみにサニーちゃん、何処まで見てたの?」


「えーっと・・・・水平線眺めてた所から。」





ってほぼ最初からかよ!!





「大丈夫、皆には言わないから・・・・」


「「ゴメン・・・・・」」





気まずさから 俺とは口を揃えて謝った。









それから、しばらく森の中を歩き食料探しに専念していると
長谷川さんと新八君と鉢合わせした。







「あ・・・・さん!さんとサニーちゃん!
無事だったんですね!」



「良かった・・・新八君と長谷川さんも
この島に流れ着いてたのか。」


「ああ、偶然そこで新八君と鉢合わせてね・・・・
で、何処まで見てた?


「「「え?」」」







3人で口を揃えて訪ね返す。





今会ったばかりなのに、見てたって何の事だ?







「いや・・・見てないならいいよ・・・」


「なんか怪しいな・・・・」







追求しようとして、聞き慣れた声が遮った。





「波ぁぁぁぁぁぁ!!」







茂みの向こうにいたのは銀さんだ





「かーめーはーめー波ぁぁぁぁぁぁ!!!」


何でカメハメ波の練習を・・・・?





「何か違うなぁ・・・・・もうちょいあれだ。」





何やらぶつぶつ呟き、キャラになりきってまた
カメハメ波の構えを取る





「か〜・・・め〜・・・は〜・・・・め〜・・・・」







その拍子に、視界の端に俺達が移ったらしく


気付いた銀さんが 言葉を詰まらせた。









・・・頭を抱えた銀さんを尻目に俺達は歩く。





「・・・・・・俺達、何も見てないから。」


「・・・・・すまねぇ、完全に一人だと思ってたから・・・
全力で練習出来るとかと思って・・・・」


「恥ずかしがることはないさ銀さん。
アメリカじゃ『カメハメ波大会』があるくらいだ
練習を見られてもどうとも思わないさ。」


「ヘイ!!」







崖になってる先を見ると、そこにはお妙さんがいて





「あの娘は太陽のコマチッエンジェ〜!
やや乱れてYOセイィィィ!!」






何故か海に向かってB,zの歌を全力で歌っていた。







俺達の気配を察知し、こちらへ向くのに時間はかからなかった









黙々と歩く間 お妙さんはずっと顔を両手で隠していた。





「あの・・・B,zはみんな好きだから・・・
恥ずかしがることねーよ。」


「ず・・・ずっとトップ走ってますもんね・・・」


「そうですよお妙さん、好きなアーティストは
口ずさみたいものですよ・・・・」







やがて砂浜に出た俺達が見たのは、九兵衛さん。





大きくSOSと書かれた所の前で何か書いている





ソフトクリームか・・・・確かに暑いもんな・・・・


そこに波が押し寄せ、うまい感じに
コーンの部分だけが消された。





息つく間もなく波が押し寄せ、九兵衛さんは
奇跡を護ろうと波を背で受け止め・・・俺達と眼が合った









また気まずい空気が流れ、九兵衛さんも両手で顔を隠していた。





「分かる分かる、人に見せたかったよねあれ
奇跡的だったよねアレは。」


「波の動きは不規則だからな・・・・
奇跡としか言い様がない・・・・」







波打ち際を延々と歩いていると、砂浜に
デカい草を傘にして寝そべる神楽がいた。







「・・・あの雲・・・・絶対中にラピュタあるネ!!





発言の後、俺達に気づいた神楽は涙ぐみ


歩く間中ずっとお妙さん達に慰められていた。







「みんな思うわよデカイ雲見たら・・・
恥ずかしくないわよ・・・」


「そうよ神楽ちゃん、私なんて一度
巨大UFOあると思った時あったもの・・・・」







無言で先に進むと そこに見慣れた長髪を見つける。







あの娘は太陽のコマチッエンジェ〜!
やい・・・・やや?」





何故か桂さんが小便でSOSの字を書きながら
B,zの歌を歌っていた。


そして向こうのデカイ雲を眺めてながら呟く





「あの雲・・・・絶対中に
滝川クリスタルの結晶があると見た。」







不意にそこで小便が止まり





「しまった!!SOSの途中で止まってしまった!!」





押し寄せた波が、書かれたSOSを半分消した瞬間







何を思ったのか続く波からその字を庇った。







「「何でだよぉぉぉ!!!」」


一つたりとも理解できねーよ!!共感できねーよ!!」


「奇跡だろこれ、滝川クリスタルそっくりではないか。」


滝川クリスタル!?
それザンジバーランドで探していたやつか!?」


「ていうか奇跡的なのはてめーの馬鹿さ加減だろ!!」


「小便が途中で切らしてしまってな、誰か
もよおしている者はいないか?」


何で小便オンリー!?つーかお前小便どんだけ出たんだよ!
よくこんなデカイの書けたな!」


「井上雄彦先生のCMに影響されてな。」


「井上先生そんなことしねーよ!!」







どうやら・・・・・・・・・この島に全員流され
とりあえずは皆、無事らしい。





これからどうするか話をする為、集まった全員で輪になる。







果たしてこのメンバーで脱出はおろか
無人島で生活出来るかどうか・・・・・・・・








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後書き(退助様サイド)


退助「さあ無事全員と合流しました。」


銀時「やっぱりはいちゃこいてたのかよ。」


退助「え!?やっぱりって・・・」


新八「まあ、誰でも予想できたって言うか・・・
なんて言うか・・・・」


神楽「ベタな発想アル。」


退助「くそ・・・・もうちょっと
ネチネチさせればよかった・・・・」


新八「18禁指定にするつもりか!!」


銀時「いやー奴等の濡れ場ってのもこれはこれで
新しい需要なんじゃ」


新八「オッサンは黙っとけぇぇぇぇ!!」