俺達は瓦礫を押しのけ、そこから這い出る。





老人に戻ってない所を見る限り、どうやら
計画は阻止できたようだ







「銀さん!!桂さん!!さん!!」





走り寄ってくる新八君達も みんな元の姿だ。





!!」


!よかった無事だ・・・・・
何だその首のアザ!?


「ええ、ちょっと色々あって・・・・・」







首を押さえ口ごもる





まさか乙姫が・・・・・・許せねぇ今すぐしばいて





怒りと共に奴の姿を探すと


乙姫は 崩れた瓦礫の下敷きとなっていた。







「敗因は・・・・・余の敗因は・・・そなたら老人を
見くびっていた事か・・・まさか余が最も醜いと
忌み嫌いさげすんできた存在に邪魔されようとは・・・」







観念したその様子に、競り上がったはずの怒りが失せる







「あの人のおかげなんです・・・コンピュータを通じて
僕らに抗ウィルスワクチンを託してくれたのは多分
あなたの待ち人です。乙姫さん。」


「頼まれたんだ・・・・あんたを救ってくれって・・・」





その一言に 乙姫は大層驚いていた。







・・・無理もないか、あの人を思いやった全てを
当の本人に邪魔されたと知ったんだから





「バ・・・バカな・・・いまだ冷凍装置の中で
深き眠りの中にあるはず・・・・


まさか長く装置に身を置くうち その意識が
竜宮のメインブレインに溶け込んだとでも・・・!」





その呟きに答えたのは 桂さん。





「さあな、唯一つ言える事は貴様が長い間
あの男を思っていたように、あの男もまた
あの装置の中で暗い闇の中で・・・


ずっと貴様を思っていたという事だけだ。


光る真珠のように、貴様が道に迷わぬように。







そうか・・・光る真珠になっていたのは
ウラシマの方だったか







駆けつけた兵士が何人か踏ん張り、乙姫の上に
圧し掛かった瓦礫を退かそうとしていた





「駄目だ・・・びくともせん、オイ人手を」


「もうよい・・・もうよいわ・・・・兵達の下知せよ。
竜宮はまもなく崩壊する。」





手を止めた彼らに 淡々と乙姫は続ける。





「市街に被害を出さぬよう速やかに海上へ舵を
城に残る者はネズミ一匹にいたるまで避難させるのだ。
・・・勿論そやつらも。


乙姫!!まさかアンタ死ぬつもりか!!」


「早くゆけぇ!!」







上から瓦礫が崩れ落ち、辺りに粉塵が立ち込める





「乙姫ぇぇぇぇぇ!!!」







塵の向こうで 彼女の言葉が静かに響く





「最早あの人との逢瀬は叶わぬ、いつともしれぬ時を
何百何千と一人待つのはもう疲れた。


長き時の中で余はこの身だけではない。
魂さえも・・・汚してしまったらしい・・・」


「汚れてなんかいないわ!!あなたはやり方が違ってても
あの人を思ったその魂はキレイだったはずよ!!」






「もういいのじゃ・・・・だがそち達のおかげで
最後の一歩・・・踏み止まることができた・・・


余は一度ならず二度までも・・・あの人を
一人にするところであったぞ・・・








乙姫・・・・・・







「礼を言うぞ・・・今なら見える・・・
そち達の運んでくれた光 しっかりと・・・
ありがとう・・・







最後の言葉が終わる間際、瓦礫が再び大量に・・・





いけない このままじゃ乙姫は確実に・・・!











第十二話 やせても枯れても姥桜











まるで示し合わせたかのようなタイミングで





俺と銀さんは乙姫の所まで走り、瓦礫を防いだ。







「きっ・・・貴様ら・・・・!」







歯を食いしばったまま血塗れの銀さんが口を開く







「・・・何百何千の時をなんであの男を待ってた。
何千何万の言葉の中で
なんであの男の言葉だけを忘れない・・!


そいつぁ見てくれなんかじゃねぇ、アンタの魂
まっすぐ見据えて言ってくれた言葉だからじゃねーのかよ!
アンタはそんな男の魂に惚れたんじゃねーのかよ!


しわだらけになろうが腰曲がろうがいいじゃねーか。


入れ歯になろうがシミだらけになろうが
クソたれようがボケようが・・・


生きて・・・・しわくちゃの顔で
笑って迎えてやりやがれ!クソババァァァ!!!






「俺にはまだ聞きたいことがあるんだ・・・
ここで死んでもらっちゃ困るんだよ!!


それに・・・・サニーを助けてくれたウラシマも
助けてやらなきゃいけない!!
その時にアンタがいないと全部意味がなくなるんだ!!





少し遅れて みんなも俺達同様、乙姫の上にある
瓦礫を退かそうと群れ集まって奮闘し始める。







乙姫は・・・・ただ泣き崩れていた。









「やれやれ・・・・乙姫を倒す勇士を
集めたつもりだったが・・・
どうやら俺はとんだ外れクジを引いてしまったらしい」


「何をしているんだ貴様らは!!早く逃げろ!
乙姫様のお気遣いを無駄にするつもりかぁぁぁ!!」



「お前たちは助けにいかんでいいのか?」


乙姫様の最後の命!背くわけにはいかん!!」







亀梨はグラサンを少しばかり指で押し上げ





「フン、悪いが俺は反乱者だ。
乙姫様の命とやらを聞く義理はない。」





そう言って乙姫の所へと進んでいく







「なら俺達も反乱者だぁぁ!!」


「乙姫様を救えぇぇぇぇ!!」






残った兵士達も、彼に続いて乙姫の救出へ走りだす









集った者達の手により 彼女を下敷きにしていた
瓦礫は全て取り除かれた。







「ふう・・・これで何とかなりそ」





しかし一難去ってまた一難 海へ着水した衝撃に
竜宮城が揺れ、巨大な瓦礫が落下してくる





わあぁぁぁぁ!!また降ってきたぁぁぁ!!」


「でかすぎる!?」


「いやあぁぁぁぁぁ!!」





刹那 飛来した水柱が瓦礫に直撃し


瓦礫は跡形も無く粉砕された。





「な!?何だ今のは!?」


あ!あれアル!!」







神楽が指差す方向に RAYが立っていた







「メタルギアRAY!?何で竜宮城にあんなものが!?」


『みんな!大丈夫!?』


「サニーなのか!?それに乗ってるの!?」


今はここから脱出して!!
今、米軍の空母がこっちに来てるみたいなの!!
すぐ出口を作るから そこから脱出して!!』


「分かった!!みんな離れてろ!!」





射線上みんなが離れたのを見計らい、RAYが
水圧カッターで壁に穴を開けた。





「よしいいぞ!!脱出だ!!」





全員脱出した事を確認し、俺達も海に飛び込む。







肉眼で捉えられる範囲に空母を確認し そこから
無数のボートがこちらへ寄っているのも見えた。







ほどなく全員空母に揚げられ、RAYも
飛び移るように海から上がってくる







コクピットから出たサニーが叫ぶ





「ジャック!!すぐにRAYで
ウラシマさんを助けよう!まだ間に合うかも!!」



「そうか、分かった。
・・・乙姫、ウラシマさんを助けるかわりに」


「分かっておる!!
そちが聞きたい事は 知っている限り全て話す!!
だから・・・だからあの人を・・・・!


「分かった。必ず俺が助けてみせる。





強く頷き、RAYに乗り込んで海へと潜水する。







・・・・わずかながら生体反応がある。





恐らくそこにウラシマさんが・・・待っててくれ!


必ず俺が あんたを乙姫に会わせてやる!











RAYの潜水から、しばらく空母では全員が


ウラシマが無事戻ってくることを祈っていた。







念のため衛生兵をお願いします!
ウラシマさんをカプセルから出して蘇生処置を
施してあげないと!」


「了解!」







が空母クルーに頼んだ直後





聞き覚えのある鳴き声が、海から響いた。







「RAYが来るぞ!!全員着地地点から離れろ!!」







慌てて全員が退避した場所に RAYが
水面から飛び上がって着地する





その口には・・・・・


ウラシマが入っているカプセルが銜えられている。





RAYがカプセルを鋼板に置き、即座に衛生兵が
ウラシマを搬送した。







その後コクピットから降りた


乙姫に嫌というほど感謝の言葉をもらった・・・・・















あれから一週間が経ち、ウラシマは無事覚醒し
体調は良好 すぐに歩ける位に回復した。







・・・だが乙姫は彼に会おうとはしなかった。


自分の勝手でウラシマを苦しませてしまった事に
罪悪感を感じたのかもしれない。







あれからRAYは分解され、部品を売ったお金で
乙姫の生活保護に当てる事になり





彼女は『スナック竜宮城』を江戸に開店した。









開店から日が経ち・・・夜中のその場所に





真撰組の近藤と土方、そして何故か
二人ほどの女性隊士が同席して飲んでいた。







チクショー!!死んでやるよ!!
死ねばいいんだ俺みたいな奴!!

どーせ生きてたってさ!!ロクな事ねーんだよ!!!」


「局長落ち着けよ・・・・」


「まあまあ近藤さん。介錯なら俺がやってやるからよ。」


「そういう意味じゃなくて!」





喧しい店内に 一人の客が入ってくる。





「あっ、好きな所座って。ごめんねうるさくて。」


「すみません、ウチの上司がご迷惑を。」


「いいんだよ、賑やかでむしろ助かってるんだから。
・・・・また女にでも振られたのかい?
懲りない奴だね ほら、飲んで忘れな。


「ママー!!もういいママで!!
ママ俺と夫婦んなってくれ!!」



「それはいくらなんでもアレだろ・・・」


「悪いね、あたしにゃ先約がいるのさ。」


「ほぉ、そいつは初耳だ。話が聞きたいねぇ。」


ウソだよウソ!!
見栄張ってんじゃねーよクソババァ!!」


「ちょっと近藤さん!!」





近藤達に背を向け、作業する手を休めぬまま
彼女は語りを続ける。





「実は私こう見えてもかつてはある城の女王でさ
そらぁきれいだったのよ?」


竜宮城だろ!すなっく竜宮城の女王だろ!?
んじゃその乙姫様に教えを乞いたい!
女って奴は一体どうやったらおとせるのか!!」


「それは俺達に聞かねぇのか・・・・・」


「そーさねぇ・・・・男なら余計なこと言わずに」


「キレイだなぁ・・・・」







客の呟きに周囲の空気が一瞬、沈黙を落とす







「ん?」


「いやいやお兄さん!そらぁベタすぎ!!
つーかひねりがなさすぎでしょ!!」



「オラ、こんなキレイな人見たのは2度目だよ。」







その言葉に 乙姫は洗い物をする手を止めた







「乙姫様、アンタ昔と変わらず・・・・・
キレイだなぁ・・・」








振り返ったその乙姫の笑顔は 年老いてもなお





その輝きが衰えぬきれいなものだった。











飲んだくれた近藤達が店を出て閉店した頃


軽やかな音を立てて 扉が開いた。







「ごめんね、今日はもう店じまいで・・・・
あら?あなた達だったの。」


「ご無沙汰だな、乙姫さん。」





のれんを潜って現れたのはとサニー。









「あれからどうです?乙姫さん。」


「商売は繁盛してるし文句なしだよ。
面白い人達にも出会えるし・・・あ、首のアザ
消えたんだね よかった。あの時は本当にごめんね


「気にしないで下さい、もうすんだ事ですし」


「ホント・・・あの時は本気で
八つ裂きにしてやろうかと思ったな・・・」


「ジャック・・・乙姫さん嫌いなの?」


「いや・・・そういうことじゃなくてサニー・・・」





見上げるサニーに戸惑う俺を、乙姫が笑う





「フフフ・・・・でもあなた達のおかげで
また あの人にも出会えたわ。」


「あの人?まさか・・・・・」


「ええ・・・・
昔と変わらずキレイだなって言ってくれて。」


「そうか・・・・・閉店してるしこれ以上
邪魔したら駄目だから もう出るか。」


あら?もう出るの?何か食べていってもいいのよ?」


「いえ、そろそろサニーを寝かせないと
いけない時間ですので・・・・」


「そうかい・・・また店に遊びにきてね。
あなた達ならうんとサービスするから。」








優しい笑顔に見送られ、店を出た俺達は
家に向かって歩きだす。







「ねえ・・・」


「何?」


「私がお婆さんになっても・・・
ウラシマさんと同じ台詞 言ってくれる?


「・・・・・・・ああ、もちろんさ。」


「フフフ・・・・・・・嬉しい!」





ニッコリ微笑み が俺の腕を掴んで擦り寄る





「ああズルい!!私にも言ってくれる?
ねえジャック!言ってくれる!?」






せがむように、サニーがもう片方の腕を
掴んで思い切り引っ張った。





「わ、分かってるよ。もちろん言うさ
どんなに年老いても 心はみんなきれいだよ。」


「ありがとう!」





嬉しげな二人と手を繋ぎ、俺達は家に帰った。











・・・乙姫の話だと RAYを持っていたワケは
偶然海底に沈んでいたのを拾ったとの事らしい。







だがリキッドのRAYは爆発して原型は留めてないはず


それにメインカメラが違っている。





なのに何故RAYがあんな所にあったのか・・・・・







2名の兵士について訪ねると、そちらについては
知らないと言っていた。







武器も竜宮城で製造され、地上のと
偶然酷似していた所を見るに 賢者達とは
何のつながりもないようだが・・・・





奴等がサニーを狙っていた所を考えると 俺達が
竜宮城に入った事は分かっていたという事になる。


まさか、何処かで見られていたのか・・・





あの兵士が自決した今 知る術はもうない。









ハッキリしているのは・・・彼女をこのまま
アメリカに帰したとしても状況は変わらない事


いや、それ所か更に危険な目に合わせかねない。







色々と考えた結果 しばらくサニーは
俺が責任を持って、江戸で預かる事になった。





サニーもそれを喜んでいた。


江戸の街を・・・外を、この眼で見れると。









どんなに年老いても、どれだけ年を食おうと
変わらない魂がここにある。





きっかけはともあれ 老人になってそれを
改めて理解できたのはいい経験だった。







・・・・だがこれが後々


とんでもない事件に発展する事を
俺達は まだ知らない。







竜宮篇 終








――――――――――――――――――――――――
後書き(退助様サイド)


退助「さあ12話に渡り送ってきた竜宮篇も
これで終了です!お疲れ様〜!!


サニー「みなさん・・・ご拝読本当に
ありがとうございます・・・」


武市「うーむ、かわいらしいですなぁーうん。」


退助「またお前かいぃぃぃぃ!!
作品出てねぇクセにいい加減しつけーよロリコン!!」



武市「ロリコ」


サニー「だからしつこい。」(EZGUN発射)


武市「ン・・・じゃ・・・・」


退助「うわ・・・フェミニストも言わせないとは・・・」


新八「そういえばよく見たら・・・
サニーちゃんって銀髪ですよね?」


退助「そうそう、実際見てもそんな感じには見えないけど
原作設定ではそうなってます。」


銀時「おっし、ここにパーマかけて一丁
俺と同じ銀パにしてやるぜ!」


神楽「女の子に何してるアル銀ちゃん!!
サニーやっちゃうヨロシ!!


サニー「えい!」(EZGUNを股間に)


銀時「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!
何処に当ててんのぉぉぉぉぉ!!!」


退助「サニーちゃぁぁぁん!!
お願いだから下に走らないで!!お願い!!
全国のサニーファンに怒られるからぁぁぁぁ!!!」


新八「あれ?よく見たら・・・・ちょっと待てぇぇぇ!!
何でこのサイトのだけでなく 他の夢主キャラ
混ざってんですか!!怒られますよ!!」


退助「え?何処にそんな要素が?」


神楽「しらばっくれるなヨてめぇ!!!
サニーやっちゃえ!!!」


サニー「はーい!」(EZGUNを***に)


退助「アッーーーー!!!」


新八「それもやばいからぁぁぁぁぁ!!!」