俺達が天元寿老砲の情報を知った時
外からガスが流れ込んできた。
「銀さん!さん!!ここまで老化ガスが!!」
「乙姫は手下ごと老化させるつもりか・・・・!」
「待ってて!すぐハッチを閉めるから!」
サニーが端末をいじり、ハッチを閉めてガスを防ぐ。
「わしらもうじーさんだから関係ないわ。」
「何無責任なこと言ってんですか!!」
「誰じゃ!こんな夜中に花火なんかしとるんは・・・・
高杉さんちの子か・・・・!」
「何でそこで高杉が出るんじゃ!!
・・・・・・あ、だんだん老人の口調に・・・」
ぼんやりとあらぬ方を見る桂さんの視線を追うと
そこには先程の画面に・・・・・
「また文字が出てきた・・・・・彼の人に会いたい・・・
彼の人が気づいてくれるよう以前と変わらぬ
美しい姿でいたい・・・
彼の人が目覚めた時、さびしくないように
以前と同じ姿で迎えたい・・・」
「哀れよのう・・・長い年月を経て一人年老いていくうち
その思いさえも醜く歪んでしまったか。」
「若く美しくあることなんてよぉ、腰曲がっても
まっすぐ歩いて生きてく事の方がよっぽど難しいんだ
魂を・・・・・」
「銀さん・・・・・」
こちらを振り返った銀さんが言葉を吐くが
「魂をうちゃくしくちゅるほうが
よっぴょどいにくぁありゅんじゃよ。」
いい所で入れ歯が外れ、何を言ってるのか分からなかった。
「・・・・いや、なんかいい事言ってるっぽいんですが
・・・全然わかんないです。」
「さすがは銀時じゃ、良い事言った。
わしもどちらかと言うとミィちゃん派じゃなうん。」
「どんな話してたんだよ!!
完全にピンクレディーの話だろそれ!!
古―んだよ!!今を生きろボケ!!」
そう言うツッコミが出来る新八君も 相当アレだと思うが
「ヅラよ・・・てめぇすっかり年くってヨボヨボに
なっちまったがよぉ・・・まだ、まっすぐ走れるか?」
「誰に申している、大分眼が悪くなったが見えているぞ!
・・・行くべき道は まっすぐしっかりと・・・」
「そうかよ、ほいじゃ行くとすっか。」
言葉を交わしながら二人は ガスの中
部屋の扉を潜って進みだす
「三千歳のババアのリハビリに。」
一瞬・・・・二人が元に戻ったように見えた。
「銀さん 桂さん!無茶だそんな身体で!!」
追い縋ろうとした新八君を止めるかのように
後ろの機械からアラームが鳴り出した。
「え・・・!?」
「どうしたサニー!!」
「これ見て!!」
画面にはこう書かれていた
・・・『メインブレインニハッキングシテクレ』
第十話 耳が遠くてもまっすぐに
一体誰がこれを・・・・?
いや、迷っている時間は無い 一か八かだ。
「サニー、出来るか?」
「やってみる!」
頷き、サニーがキーを操作する
天元寿老砲が発射態勢に入ったのか途中 竜宮城が少し揺れた。
「うわあ!!もう間に合わない!!」
「もう少し・・・・もう少しで・・・・・・やった!!」
サニーの叫びと同時に揺れが収まった
「やったなサニー!」
「さん!あれ見てください!」
「何だ・・・・望みは君達に託した?一体誰が・・・・?」
近くにあった機械が開き、弾頭のようなものが出てくる
「続きが出てきたわ!・・・老化ウィルスを破壊する
抗ウィルスワクチンを、世界に向けてぶちまけるんだ・・・
頼む・・・彼女を・・・乙姫を救ってやってくれ・・・
ウラシマ・・!」
そうか・・・メインブレインに繋げてくれと頼んだのは
ウラシマだったのか・・・!
コールドスリープにかかっている内に
意識が、装置に溶け込んだのかもしれん。
「新八君!すぐにこれを銀さん達に渡しに行くんだ!!」
「「そうはさせない!」」
ロックされたハッチを破壊し、出てきたのは
奇妙なスニーキングスーツとガスマスクのようなものを
装備した兵士だった。
何だこいつらは・・・・!乙姫の配下にこんな奴らが!?
一人は輪郭からして女性・・・もう一人は声からして男か・・・
「その娘をこちらに渡してもらおうか!」
「我らの計画の妨げになる!命が惜しかったら大人しくしろ!」
指差され、サニーが俺の影へと隠れながら呟く。
「ジャック!あいつら・・・賢者達の・・・!」
「何だって!?」
「大人しくしないのなら・・・そこの小僧と一緒に
死んでもらうぞ!ビッグ・ボス!!」
俺のことを知っている・・・・やはりこいつら!
「ジャック!
ウラシマさんが私にメッセージを残していったわ!」
「なんて書いてある!」
「すぐに兵器棟に向かってくれって!
そこにいざという時の切り札があるって!」
「分かった!」
「簡単に行かせると思っているのか!」
俺はギリギリの声量で新八君にささやく
「新八君・・・俺が隙を作るからその間に・・・・・」
「何をゴチャゴチャと!!死ねぇぇぇ!!」
目の前の兵士がマチェットと刀で斬りかかる。
こいつっ、何で刀なんか!?
咄嗟にその攻撃をレーザーブレードとナイフで受け止め
「新八君!今だ走れ!!」
「はい!!」
弾頭を抱えた新八君が、俺達の間をすり抜け
部屋から駆けていった。
「フン・・・・小僧を逃がしたか。だが老いぼれた貴様なら
私達の敵ではな「誰が老いぼれてるって?」
「何?」
「老いぼれてなんかないさ・・・・俺は・・・この魂だけは
・・・・永遠に若いままだぁぁぁ!!」
強く言い放ち 突然また視界が変化した。
蛇眼が発動したのか・・・・?
怒りがキーだと思ったがどうやら違うようだ・・・・
いや、今はそんなことどうだっていい
現時点の最優先事項は・・・こいつらを倒して
サニーの安全を確保することだ!!
「ハアァ!!!」
つばぜり合ってた武器を力押しで弾き返し
間を置かずに眼前の兵士を蹴り飛ばす。
拍子に天狗のような兵士の胸に 弾かれて宙を舞った
刀が刺さり、もう一人の女性兵士は床に倒れた。
「グハァ!?」
「クッ!?」
「さあ教えてもらおうか!お前らは何者だ!」
起き上がる前に 片方に拳銃を突きつけ訪ねる。
「わ・・・私達は・・・この世界を変えるために・・・・」
世界を変える?
「申し訳ありません・・・・ボス・・・・」
その一言を最後に 女性兵士が自分の銃を取り出し
頭を撃ち抜いて自殺した
「くそ!なんてことを・・・・・!」
毒づいた直後、いきなり兵士の身体が燃え出し
彼らの骸が灰と化す。
「何!?何で急に燃え出したんだ・・!?」
わけが分からぬまま 奴等の骸を確かめるが
装備まで灰になってしまってる・・・これじゃあ
どんな装備なのか照合も出来ないな・・・
「ジャック!兵器棟の場所が分かったわ!」
端末を探り、内部の地図を確かめたのか
本当にすごいなサニーは・・・・
「そうか、すぐに行こう。」
「ジャック・・・眼が怖い・・・」
「え?ああ・・・悪いがこれはどうしようもない・・・・
とにかく今は兵器棟に急ごう。」
達がまだウラシマがいた部屋にいた頃、乙姫は
天元寿老砲の発射命令を出そうとしていた。
「フフフ・・・これで全てが終わる。世界は暗き深海へと沈む。
余こそこの世界で唯一志向の存在となるのだ!!
天元寿老砲、発射ぁぁぁぁ!!!」
乙姫の命令が下され、砲台からは
・・・・・・しばし待っても何も発射されなかった。
「!?どうした!!」
『メインコンピュータが何者かのハッキングを受けています!
システム復旧、天元寿老砲発射まで25分を要します!!』
「誰だぁぁ!!一体誰が余の邪魔をぉぉ!!」
彼女の目の前にあるモニターに映し出されたのは
天元寿老砲へ向かう 銀時と桂の姿だ。
「ば・・・ばかな!!あのような者達が・・・
まだ余に刃向かおうと、老いさらばえた姿になってなお余に
戦いを挑もうというのかぁぁぁ!すぐに敵を捕捉せよぉぉ!!」
命を受け、兵士達は二人を止めようと奮闘したが
老人化した彼らの足は遅く 高速よぼよぼ・4W爺の
駆使によって、その目論見はことごとく失敗していく
「ジジイが醜いなんざ誰にも言わせねぇ!!」
「「乙姫ぇぇぇ!!
ジジイの底力見せてくれるわぁぁぁぁ!!!」」
顔面を冷や汗まみれにし愕然とする乙姫。
「バ・・・バカな・・・・あ、あんな老人達が・・・
こんなバカな事が・・・」
「あれが・・・あなたが醜いと吐き捨てた生き物よ・・・」
床に倒れ付したまま、妙とは乙姫を睨みつける。
「止めてみなさいよ・・・・
あなたのその醜く歪んだ剣で・・・・・」
「どんなにしわだらけになろうと・・・どんなに
腰が曲がろうと・・・・」
「「決して折れないまっすぐな剣
止められるものなら止めてみなさい・・・・!」」
老いぼれてもなおその剣の鋭さが変わらぬ銀時と桂
は乙姫の野望を打ち砕き・・・
乙姫を救うことが出来るのか・・・?
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後書き(退助様サイド)
退助「さあいよいよ終盤に突入です!!」
新八「あの時現れた兵士って何者なんですか?」
退助「それ言っちゃうとこの後のオリジナルの意味が
なくなるんで伏せときますけど・・・・
平たく言えば新しい敵です。」
神楽「それに色々はしょりすぎて何がなんだか分からないネ。」
退助「そこは仕方ないでしょ!!
全部詰め込んだら膨大な量になるんだよ!!」
妙「それにしてもちゃんと私って老人になっても
美人なのね・・・フフフ。」
退助「そこは否定はしませんが・・・・・」
新八「それにあの蛇眼、発動条件が全然違うじゃないですか。
前は怒って発動だったのに・・・」
退助「これにはまあ まだ隠し設定があるので
ここまでにしてくださいな。」