「サニーちゃん!こっちこっち!」
「待ってよローズー。」
眩しい夏の日差しの下、ビキニ姿のを
白い帽子を押さえ、ドレスをはためかせながら
追いかけるサニー
「・・・・・・・なんでこんなことに・・・・・」
その二人を眺め、俺はモシン・ナガンを手に
パラソルの下でため息をついた。
サニーがここにいる訳については・・・数日前に遡る
「サニーを預かってくれって?」
『うん、やっぱり外の空気を
味あわせてあげないといけないかなって・・・』
まさに突然としか言いようが無いが
Mk.Uに映るオタコンは、ちょっと眼を泳がせつつ
俺にそう切り出してきた。
「賢者達に狙われているって言ったのはお前だろ?
何でワザワザそんな危険を・・・」
『でも、よくよく考えてみたら江戸には
賢者達の追っ手もいないみたいだからいいかなって』
「安易に考えすぎだ、シュルツのこともあるんだぞ。」
『それはそうなんだけどさ』
歯切れの悪い言葉に俺は、確信を持って問う
「オタコン・・・何か隠してるだろ?」
モニター越しに視線を送れば あっさりとオタコンは白状した
『・・・・・・・ごめん、正直に話すよ。
実はサニーがそっちに向かってるんだ。』
「っ何ぃぃ!?まさかお前!!」
『ちょっと眼を離した隙に部屋から出たみたいで・・・・』
軽い頭痛にさいなまれ、俺は片手で頭を抱えて呆れた。
「全く・・・・もしサニーに何かあったらオルガに何て言えば」
「あの・・・・・・ジャックの家ってここですか・・・・?」
こちらの言葉を遮り、ボソボソと言いつつ
玄関の戸を開けて入ってきたのは・・・・
白いドレスと白い帽子を身に付けたサニー。
「・・・・・・・オタコン、もう来たぞ。」
Mk.Uが身体をずらし、サニーの姿を認めると
そこからオタコンの叱責が飛ぶ。
『サニー!何で部屋から出てったりしたんだ!』
「ご、ごめんなさい、ハル兄さん・・・・私・・・」
「まあまあ過ぎたことを言ってても仕方ないさ・・・・」
宥めつつ、俯くサニーへ事情を聞くと
Mk.Uごしに江戸の風景を見ている内に、無性に行きたく
なったらしく オルガの後輩であるテリコに頼み込んで
送ってもらったと言う事らしい。
「なるほど・・・所でテリコは?」
「途中で別れたの、彼女も行きたい所が
あるみたいで・・・」
ったく・・・いくらオルガの娘であるサニーが
かわいいからってあいつ・・・・
しかしここまで来た以上、帰れなんて言えるハズもなく
「・・・・仕方ない、しばらく面倒を見よう。」
『本当かい?助かるよ。』
「その代わり、例の武器を早めに仕上げてくれよ?」
『分かってるよ、よく切れる刀だったよね?』
「そうだ。頼んだぞ。」
Mk.Uの通信が切れると共に、サニーの保護兼面倒を
引き受けることになったので
とりあえず今後どうするかをと決めることにした。
第一話 国が違えど夏はまず海だろ
「せっかく来たんだし、何処か連れてってあげない?」
「何言ってるんだよ、何処に
賢者達の回し者がいるか分からないんだぞ?」
「でも滅多に外に出させてもらえないんでしょう?
それじゃかわいそうじゃない。」
「けどな・・・・・」
じっと黙っていたサニーがおずおずと口を開く。
「ジャック・・・・私、迷惑かけないから・・・・・」
上目遣いに俺を見るその姿に、ほんの一瞬
オルガの影が重なって見えた。
「・・・・仕方ない、だが何処か出かける時は
必ず俺が同行する。それでいいな?」
「うん!ありがとう!」
「良かったわね、サニーちゃん。」
こうして、まず手始めに行く場所を相談し合い
季節もちょうど夏で海水浴日和だったこともあり
俺達は近めの海水浴場に来ていた。
江戸の夏と海を満喫する二人とは裏腹に
俺は一瞬たりとも気を許すことは出来ず、二人を
見守りつつも常に周囲を警戒し続けている。
いざとなったらモシン・ナガンで眠らせて
敵の情報を聞き出して・・・・・・・
何度目かのシミュレートを脳内でリピートしてる最中
人ごみの中から光がチラついたので眼を凝らすと
妙に貧相な男の姿があった。
何だあいつ?そわそわして・・・・・辺りを
警戒してるみたいだが・・・・
何か持って・・・・まさか拳銃!?
反射的に俺は奴へと威嚇射撃を開始する
「うわ!?」
そのまま地を蹴り、こけた奴の所までたどり着くと
後頭部に銃を向ける。
「動くな!貴様何者だ・・・賢者達の回し者か!?」
「いやいや違います、何なんですか賢者って!?
Vですか?DQVですか!?」
「しらばっくれるな!!
その拳銃でこっちを狙って・・・・・・あれ?」
よく見るとビデオカメラだ・・・何だ
気を張りすぎて見間違えただけか・・・・・・
ゆっくりと銃を降ろした所に
「でかしたアル!うおるぁぁぁぁぁ!!」
いきなり神楽が現れて奴を蹴り飛ば
・・・・っていきなり何してんだこいつ!!
「神楽ぁぁ!いきなり飛び蹴りはないだろ!!
俺が言うのもなんだけど早く謝ってぇぇぇぇ!!」
「あの違うんです!
この人さっきからカメラで私達を撮ってたんです。」
横から現れた水着姿の女性に話しかけられ
一瞬思考が停止する。
カメラで撮っていた?まさかこいつ盗撮を・・・・
ってこんな目立つ盗撮なんてないか・・・・
あれ?そういえばこいつ・・・・甲羅しょってね?
気が立っていきり立ってたから全然わかんなかった。
とりあえずそのまま流れに任せ、俺と神楽は
男の尋問を開始する。
「で、アンタ撮ったのか?カメラでこの子達を?」
「違います、言いがかりはやめてください。
賢者の次は盗撮犯扱いですかぁ?」
「しらばっくれてんじゃねぇぞコラァァ!」
血管浮き立たせて神楽が もも蹴りの嵐を
男に食らわせ始める。
「ちょっ、いっついっつ!地味に痛いんすけどぉ!?」
「立てコルァあん!?今のはクリリンの分だ!!次は」
「って何でそこでクリリン!?」
「神楽ちゃぁぁん!何やってんのぉぉぉ!!」
そこに銀さんと新八君が割って入ってきた。
まぁ神楽がいるくらいだから
二人もいるだろうとは予想がついたが・・・
人垣に混じってサニーともこちらに寄ってくる。
「あれ?にじゃねぇか。」
「偶然だな銀さん。」
「あの、騒ぎが起こったみたいだから
来てみたんだけど・・・何かあったの?」
「ああ、実はこいつ盗撮してたらしい。」
「だから撮ってないって言ってるでしょ
昆布撮ってるだけですよ。」
カメラを抱え、亀男はあくまで否定する。
「何処に昆布があんだよ・・・・・」
「嘘こけヨ!女の子のあとばっかつけてたくせに!!」
「撮ってないスよ、やめてくんないスか?
迷惑なんスけど。」
「分かりました、じゃあすいませんけど
ビデオカメラの中身だけチェックさせてもらえませんかね?」
銀さんが言いつつ手を伸ばすと、亀はビデオカメラを
その手から離すように奥へと引っ込める。
「いやっすよ、俺撮ってないって言ってるじゃないスか
プライバシーの侵害っスわ。」
ネチネチした物言いにじれったくなり、亀に
モシン・ナガンを突きつけて動きを止めた。
「いいから見せろ、撮ってないなら見せられるはずだ。」
「そうですよ 濡れ衣もはれるし、見せなさいよ。」
固まった亀の手から、銀さんはカメラを取り上げ
早速中身のチェックを始めた。
「あのぉ・・・・基本、昆布しか撮ってないんスけど
ちょっと画面の端に女の子も入っちゃってるかもしんないスわ。
それはセーフですよね?」
カメラのモニターに流れる映像は・・・
ばっちりと女の子の水着姿が、これでもかと言わんばかりの
ローアングルで見事に撮られていた。
アングルカットが素人のそれじゃない所を見ると
この男、かなりの常習犯・・・・・うん?
映し出された見覚えのある映像が眼に飛び込んだ瞬間
俺は鬼の形相で亀を睨み付けた。
「オイてめぇ・・・・・・
よりによってとサニーまで撮りやがったなぁぁ・・・」
「いや違うんスよ!それ違うんスよ!あのぉ実は僕
自作でダジャレのビデオを作ってて・・・・『亀がカメラで」
「「うおらぁ!!」」
くだらない弁解の途中で神楽は亀の顔面に蹴りを決め
俺はモシン・ナガンの柄で後ろ首を引っ掛けて
顔面の形が変わるぐらいの力で地面に叩きつけていた。
「げふっ!?」
「おい立てコノヤロー・・・首掻っ切って血抜きして
八つ裂きの後に煮て食ってくれるわこの亀野郎が・・・!」
「い゛っ!?さん落ち着いて・・・・」
「そういや、このガキ誰だ?」
サニーを指され 俺は亀の制裁を一時中断する。
「あ、そうだった。この子は俺の」
「今度こそ隠し子アルか!?海外で飛び回りで
飛ばしまくってて不潔ネ!近づくな!!」
「「なんでお前はそっちの方向行くのぉぉぉぉぉ!!」」
新八君とのシンクロツッコミが炸裂した。
なお、神楽が「今度こそ」と言った所で危険を察知した
がサニーの耳を塞いだので後の台詞は聞かれてない。
「違う違う、俺の仲間が保護してる子で・・・」
「サニーって言うんです。」
「そうなんですか・・・よろしくね、サニーちゃん。」
握手しようと手を差し伸べた新八君から逃げ
サニーはの後ろに隠れてしまった。
「・・・あれ?僕嫌われてる?」
「オイオイ新八ぃ、これアレだよ
オメェのオタク臭がにおってんじゃね?」
「んなわけないでしょ!何だよオタク臭って!?」
「あー・・・ごめんな新八君、サニーはまだ
俺達以外の人間に慣れてなくて人見知りしてしまうんだ。」
「そうなんですか、びっくりした・・・・・」
どうやら銀さん達は警備の仕事のため
この海水浴場にいたのだそうな
盗撮してた亀男の処断を決めるべく
被害者でもある俺達は、彼らと一緒に
事務所代わりのテントへと亀を連行する道中
賢者達の回し者ではなかったが・・・・
とサニーを危険にさらした罪をそれこそ
生まれた事を後悔するほど償わせてやる・・・・
その思いと共に、下す刑罰を沖田君並に
腹を黒くして考え続けていた。
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後書き(退助様サイド)
退助「さあ、ノリで始めてしまいました竜宮篇。」
銀時「おめぇも管理人と一緒かよ。来月からのスタンド温泉とか
モロそんな感じだろ、モロ丸出しだろ。」
新八「ていうかさん、さん達絡むと
意外に腹黒いですね・・・・怖い位に・・・」
武市「いやしかしサニーと言いましたか。
あのショートヘアーがたまりませんな、稀に見る逸材です」
退助「うわ出やがったロリコン!!」
武市「ロリコンじゃありません、フェミニストです。」
退助「それがロリコンなんだろうが!鼻血出てんぞぉぉ!」
サニー「私あんなにしゃべり方うまくないのに・・・・・」
新八「の割には日本語とか
スムーズにしゃべれてるじゃないですか・・・・」
銀時「ていうか何でこのガキ出したわけ?」
退助「後々の展開の重要人物だからです。
その辺については後のお楽しみ・・・って事で〜」