核発射態勢に入ったピースウォーカー・・・
このままでは報復の連鎖が起こり、世界が終わる。
『ピースウォーカーを止めてくれ!
このままじゃ、核が発射される!』
「まずい!急ぐぞ!」
距離を保ち核コンテナをカールグスタフで攻撃する
だが、焦げ跡がつくだけでビクともしない。
『自己防衛プログラム、作動。』
反撃としてロケットランチャーが発射される。
「逃げろ!」
彼らは間一髪の所で避けられたものの
『予備点火開始。』
装填された核ミサイルのロケットに火が付き
ピースウォーカーが大きく揺れる。
『核発射まで時間がない!急げ!急いでくれ!!』
「って言われても簡単にいかねぇだろコレ!」
「諦めるな!攻撃するぞ!」
彼のLAWに続いて、桂も爆弾を利用して支援し
脚へ攻撃を集中させて転倒を狙うが 転ぶ気配が無い。
「ちっ、こうなったら俺がぶった斬って・・・」
木刀を掲げ走り出そうとする銀時だが
『ロケットランチャー、発射。』
ピースウォーカーからの攻撃で足止めを食らい
接近できずに立ち往生を強いられる。
『発射10秒前・・・』
「マズい、カウントダウンに入った!」
「ちっきしょうこれで終わりかよ!」
悔しげな呻きがもれるが、今から攻撃しても
止められる確率が低すぎる。
『5・・・4・・・3・・・2・・・』
核が発射される・・・・・・その直前
空から降り注いだ火球がピースウォーカーの機体に
複数直撃し、怯んだことにより発射が留まる。
「オォォォイィィィ!何だよあれぁ!?」
「グォォォォォォォォォ!!」
驚く彼らの眼前に現れた巨大な翼竜―
リオレウスがピースウォーカー目がけて突っ込み
ミサイルコンテナに取り付く。
第24話 賭けるのは自分でどうにか出来るモノと範囲まで
そのまま自らの身体を生かして体当たりしつつ
ピースウォーカーへ噛み付き、破壊を試みていた。
「おお、すごい剣幕だな・・・」
「つーか何であの怪物がコイツにいきり立ってんだ?
発情してんの?それともメス寝取られた?」
「この局面でソレはねーだろ・・・」
ツッコミつつも遠巻きに距離を取った
は、チコへと通信を入れる
「チコ、リオレウスが来ている。」
『え、ホント!?』
「ああ、しかもピースウォーカーに
攻撃を仕掛けてきた・・・何でかわかるか?」
『多分・・・怒ってるんだよ。』
「怒ってる?」
無線の向こうで頷き、彼は静かにこう返す。
『核兵器の影響を受けるのは何も人間だけじゃない。
もちろん周辺の動植物にも影響する。
きっとリオレウスは長い年月の間・・・核実験で
そうなった土地を見てきたんだ。』
そこへセシールも賛同の意見を寄せる
『鳥とは違うけど、私にも分かるわ。
「これ以上、自然を汚すな。」って言ってるんだと思う。』
脚で機体を掴んで、ミサイルコンテナを
押し潰そうと試みる翼竜だが
『Sマイン、発射。』
機械音声の直後に四散した爆弾をぶつけられて
手ひどいダメージを負わされる。
「グルルルルルル・・・」
低い唸りを上げたリオレウスは一度ピースウォーカーから離れ
態勢を立て直すべく空へと舞い上がるが
『ロケットランチャー、発射。』
空中で、ロケットランチャーの集中攻撃を食らってしまう。
「グギャァァァァァァ!!」
もろに追撃を浴びた翼竜は力尽き・・・湖へ落ちていった
「リオレウスが!?」
ピースウォーカーがこちらに身体を向け、遠吠えをする。
『さあ、来い!』
脚をたわめてバネのように跳びあがり
一気に達の眼前へと距離を狭めて降り立つ。
「あんな巨体でなんつぅ素早さだよ!」
「俺が脚を攻撃するから、2人は直接叩いてくれ!」
カールグスタフの支援攻撃に合わせて桂と銀時が
それぞれの獲物を手に接近を開始する
『火炎放射開始』
が、ピースウォーカーがそう宣言した直後
2人へ容赦ない火炎放射が降りかかった
「「アッツアツァツァツァツァツァァァァァァァァ!!」」
たちまちのウチに頭が燃えた両者は、その場で
悶えながらも何とか火を消す。
「あ゛ーもう!更にチリチリになりやがった!
何してくれてんだコノヤロー!!」
半ばヤケクソな発言と共に銀時が機体の脚へ
苛立ち混じりのとび蹴りをお見舞いし
効いたのか、ピースウォーカーの動きが止まった。
『今だ!行け!!』
「チャンスだ!」
「ああ!」
「え、何?あれで止まったの?」
まさかの展開に攻撃を仕掛けた当人は戸惑ったが
とりあえずミサイルコンテナとレプタイルポッドへ
それぞれ攻撃を仕掛けていく。
しかしレプタイルポッドはかなり硬質らしく
刀が通用している様子が見られない。
「んだこりゃメチャメチャ硬ぇぞ。」
「これは後回しにした方がいいだろう。」
大したダメージを与えられず手間取っている合間に
再びピースウォーカーが動き出した。
『跳躍態勢』
飛び上がって彼らから距離を取り
『ドリルミサイル、発射。』
ピースウォーカーから放たれたドリルミサイルが
側の地面に突き刺さり、潜る。
「んん?何だありゃ?」
「一見して、ドリルのようだったが・・・」
訝しげに見やっている銀時達の、真下の地面が
盛り上がってきたのに気付き
「まずい逃げろ!」
彼の一声で3人が同時にその場から離れると
ドリルミサイルが地面を貫通し、爆発する。
「どあぁ!
ちょっ、なんつぅもん装備してんだあの化け物は!」
「ホントに隙がないな・・・」
『脚部駆動モーターチャージ』
淡々とした彼女の声色で、ピースウォーカーは
猪の様に脚を動かす。
「お、おいあれ・・・」
「嫌な予感がするな・・・」
「って言ってる場合じゃねぇ逃げろ!!」
達が急いで倉庫の裏へ逃げると
直後、まさにギリギリの所で助走をつけた漆黒の機体が
猛スピードで地面を滑って通り過ぎた。
(あのまま留まっていたら間違いなく・・・
ピースウォーカーに轢き殺されていたな。)
ブレーキをかけ、またも跳びあがって距離を開くと
『電磁パルス最大』
ピースウォーカーの球体の一部が開き、赤い光を放つ。
「オイオイ何アレ何処の太陽炉?」
「違うだろ銀時。アレはきっと巷で流行の天使の輪」
「ツッコまないからな何にも、だが隙だらけだ!」
構わず彼はLAWを撃ち込む。
すると砲弾が着弾する直前、砲弾がその場で回り
「「「・・・・・あれ?」」」
こちらに砲弾が戻ってきた。
「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」
降り注ぐ砲弾を、これも全員何とか間一髪避けた。
「な、何だよありゃぁ!?弾が戻ってきたぞ!!」
「あれが開いている状態だと重火器じゃ
攻撃出来ないか・・・!」
「というより今のは本気で危なかったぞ!
もう少し考えて行動せんか!」
「チャンスだったんだから仕方ないだろ!」
『跳躍態勢』
響いた声音にいがみ合いを止めて身構えるが
一瞬早く、の前へ出たピースウォーカーが
『動くな!』
声と共に球体から光線を発射する。
「う、動けない・・・!」
光線が直撃し、彼は身体を動かせなくなった
「!」
『まずい!早く振りほどけ!』
「駄目だ・・・完全に動かない・・・!」
「まずい!」
距離が近すぎるため爆弾での足止めも出来ず
桂は面持ちを硬くして刀を構え・・・
固まった状態のの前へ踏み出したのは
木刀を肩へと担いだ銀時だった。
「聞こえてっか、の母ちゃん。」
ママルポッドに向け 侍は不敵な笑みで語りかける
「まさかアンタも賭け事好きだったとは思わなかったぜ?
まぁ俺なんかいっつも負けて素寒貧だけどな」
ピースウォーカーは2足で立ち上がり
ごと桂と・・・銀時を踏み潰そうとする。
「けどなぁ、素寒貧になんのは財布だけで十分だ。
世界が素寒貧になったら何も面白ぇ事がなくなっちまわぁ
だからよぉ・・・・・」
言葉半ばでその身体がレプタイルポッド目がけて
高く跳びあがり、木刀が大きく持ち上がる。
「世界をかけた博打なんざ・・・絶対やらせねぇ!!!」
魂の底から吐き出した銀時の言葉と
同じぐらいの重みを持った木刀の一打が
レプタイルポッドへと浴びせられた。
すさまじい衝撃に、流石に耐え切れなかったのか
ピースウォーカーは地面に屈し・・・倒れた。
『静止した・・・?』
「やったのか?」
「ヅラ、それフラグだからやめてくれ。
アイツもいねぇんだから止めてくれ力の限り」
渋い顔つきになる相手を見やった所で、彼は
ようやく身体の自由を取り戻す。
『ジャック、核の発射は阻止出来たようだ。』
「ヒューイ!NORADは!?」
『いや・・・』
ピースウォーカーの機体自体は静止させたものの
「弾道ミサイル早期警備システム(BMEWS)は
目標のレーダー探知を継続中。」
「DSP衛星に異常なし、信頼度依然高い。」
「統合参謀本部議長(CJCB)、国防長官代理以下、
国家軍事指揮センター(NMCC)に到着しました。」
偽装データの送信は、まだ続いていた。
「ピースウォーカーは駆動系が損傷しただけだ。
データ送信回線はまだ生きてる・・・」
「サニー!止められないアルか!?」
「さっきからやってるけど止まらないの!」
2人が忙しくキーボードを操作しているものの
流れ込むNORAD無線の声音は依然、緊張を孕んでいる
[ソ連のICBM、1500基、北極点を通過。
確定目標地域は合衆国西部!]
[デフコンを2に!KCBMの発射を準備!]
「どうすれば止まる!?」
『ピースウォーカーは完全な自律システムだ。
これまでジャックが戦ったマシンとは違う。
全ての指揮権は、大脳部分であるママルポッドにある。』
「ママルを止めないと・・・私も停止コードは知らないの
コールドマンしか・・・」
『ジャック!ママルポッドの方のAIを破壊するんだ!』
両サイドの言葉を耳にし、銀時と桂が足を踏み出す
「おっしゃもう一発気張るか!」
「致し方ないようだな・・・やるか!」
2人の渾身の剣撃がママルポッドへ叩きつけられ
縫うようにしてもパトリオットを撃ち込むが
機体は傷一つ付かないまま健在していた。
「か、硬ぇなこりゃ・・・」
『ママルポッドは頭脳、内壁の強度は
シェルター並みの設計だ。』
「何なら破壊できる!?」
『か、核爆弾なら・・・』
「ふざけるなぁ!!!」
『ふざけてない!!
こいつの装甲は核戦争を想定した設計なんだ!』
至極真面目なヒューイの言葉へ、舌打ちして彼は毒づく
「ったく面倒なモン造りやがって・・・!」
その頃・・・・・軍事指揮センターでは
「大統領とは繋がらない・・・」
「私達が報復攻撃の判断を。」
「それは出来ない!」
「私には人類を滅ぼす真似は出来ん!」
「大統領に判断を仰ぐべきだろう!」
「もう猶予はありません、決定を。」
卓を囲んで、まさに核報復の審議が問われていた。
もはや・・・彼らの言う通り一刻の猶予もない。
は無線越しにヒューイへと言う。
「米国防総省(ペンタゴン)に直接伝えるしかない!
いまお前達が見ているのは存在しない核だと!」
『繋げるか・・・!』
焦りを声に乗せて 科学者はキーを叩くが
[権限継承順位に縛られる必要はない!
みんなで地獄に堕ちよう!]
[[着弾まで12分です!]]
[・・・覚悟を決めましょう。]
懸念していた・・・最悪の事態が起こった。
『やばいぞ!
コールドマンの読みは外れた!彼らは撃つ気だ!!』
「オイオイ人間じゃ報復出来ないっつたの誰だよ!?」
「まともな判断が出来てない・・・!
これじゃ人間の躊躇なんてないようなものだ!」
ヒューイはピースウォーカーの機体を見て呟く。
『・・・機体に外傷が多い。圧力が加えられたら・・・!』
『外圧?』
『機体を湖に落とす。
水圧でわずかな隙間からでも浸水するだろう。』
「そうか、どんなに優れていても所詮は機械。
水には弱いか!」
桂の言葉に わずかながらも期待しつつカズは問う。
『一理あるな・・・で機体の重さは?』
『・・・およそ500トン。』
「テメェさっきから無理難題出しすぎだろ!!」
現実味の無い作戦は即座に却下され、もう打つ手は
実質一つしか無くなった。
「・・・電話回線を繋げ!」
『私がやる!』
機材を操り、サニーは国防省の回線へアクセスする。
『回線、捉えた!』
「よし!」
キーを叩いたのを確認し は受話器を取る。
(頼む・・・・間に合ってくれ・・・・・・・!)
核報復をさせないために・・・
偽装データの存在を、知らせるために・・・
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後書き(退助様サイド)
退助「ピースウォーカーが倒れたのも束の間
新たな危機が迫っております。」
(最初の核発射は、1分以内でピースウォーカーを
破壊しないといけないかと焦りましたが・・・そうでもなかったです。)
銀時「ったくしぶてぇ機械だなぁマジで。」
チコ「あのリオレウスを簡単に倒しちゃうなんて・・・」
カズ「さしもの"空の王者"リオレウスでも
相手が悪かったと言うことだ。」
ハタ皇子「おおリオレウスや憂い奴じゃのう・・・」
リオレウス「グワァ!!」
ガブ!
ハタ皇子「あれ・・・目の前が真っ暗に・・・
所持金が半分にされる・・・」
神楽「馬鹿皇子が定春に噛まれた銀ちゃん状態アル!」
新八「んなこと言ってる場合かぁぁぁぁ!
早く降ろしてあげてぇぇ!!」