ピースウォーカーがいる基地へと辿り着いた
遠くから望遠鏡で基地を偵察する。





「様子がおかしい、ゲートは手薄だが・・・」


『どうする?』


「協力者が要る。」







・・・上手い具合に積荷がダンボールだらけの
トラックの荷台に紛れて乗り込み





「こちらジャック、聞こえるか。」


『こちらミラー、良好だ。』


「潜入に成功した。」


彼は基地の内部へと無事、潜入を果たす。





『建物の向こう側、北西の湖畔に飛行場が確認出来る。
核発射はそこを使うはずだ。』





恐らく、ピースウォーカーの制御が行われるのは
手前の通信塔だとカズが当たりをつけていたので


も肉眼で位置を確認し、頷いて・・・


ふと気になっていた事を訊ねる。





「核の目標はMSFのマザーベースだ。
避難しなくていいのか?」


『ああ・・・・みんなお前を信じている。





そのただ一言に、思わず安心した笑みが浮かぶ





わかった。俺もあそこがなくなっては困るからな。
・・・・・・アマンダ達は?」


『彼女達は退避させた。
これ以上、彼らに介入するわけにはいかない。』


「そうか・・・その方がいいのかも知れないな
彼女達には、彼女達の崇高なる戦いがある。」


『ああ、それと銀時達も一緒に退避させたよ
これ以上奴らにも迷惑はかけられん。』


「そうだな
元々は俺達の国が起こした事なんだからな。」





言いつつ彼は、戦友の手回しのよさに内心感謝する





『それともう一つ、ジャック。
そこにはパスが捕まっていることも忘れないでくれ。』


「勿論だとも。」


『こっちは支援部隊出撃の準備に入る。
核発射を阻止するんだ・・・・・頼んだぞ、ボス!


通信を切って、は姿勢を低く保ちつつ
西の通信塔へと急ぐ。





見張りの兵士を見つけたので、物陰に隠れながら観察すると


・・・・・・有り得ないものが目に入った。











第21話 ここで行かなきゃ主役じゃない











(装備武器が・・・AKシリーズ・・・!?


ソ連製のライフルを持っているとするなら
目の前の兵士は、ソ連兵でなければおかしい・・・が





ソ連兵・・・?アメリカの基地に何で?」





襲撃しにきた割には 基地内に戦闘の跡がない


偽装だとしても必要がなさすぎる。







妙な違和感を感じながらも、彼は一層慎重に行動し


敵を眠らせキッドナッパーを落としつつ
屋上から通信塔の内部に到着した。





だが・・・そこはもぬけの殻で


ピースウォーカーの制御に関するものは何も無かった。





「ここじゃなかったのか・・・」





室内に複数並ぶモニターには、もう一つの通信塔と
飛行場に立つピースウォーカーが映っている





そして・・・モニターの一つには


何処かに幽閉されているパスが映りこんでいた。





「パス!?」


呼びかけに・・・画面の中の彼女も顔を上げる





『ジャック?』


「聞こえるのか!?」


『ええ、聞こえるわ。』


「どこにいるんだ?」


『わからない・・・よくわからないの。』


パスは辺りを見渡しながら言い、すぐに視線をカメラに戻す





「コールドマンは?奴はどこにいる?」


『さっき・・・最終データ入力を始めるって・・・管制塔に。』





戸惑いながらもそう告げた、その時


けたたましい警報に包まれ モニタールームが赤く染まる。





『どうしたの?』


「見つかったか・・・!」


『ジャック!』


「カズ?」







通信をするカズは・・・自らが操縦するヘリに搭乗し
ミサイル基地へ向かっていた。





MSF、一斉出動の準備が整った。
至急そちらへ向かっている。」


『本当か!?』


「基地にはバックアップチームだけを残した。
MSF全隊、ニカラグア基地に向かっている。」







待ち続けている身も我慢の限界だったらしく





ヒューイや後方支援に適した者達に後を任せたMSF軍は


海からは無数の上陸艦と空母 空からは無数の戦闘ヘリや
輸送ヘリに自らの軍のマークを掲げて


目的の場所へと全速力で進んでいた。





「ジャック、先の管制塔まで行けるか?」


『ああ・・・だが何故かソ連兵が選挙している。
恐らくスペツナズだ 強行突破になる。』


「何が起きている?」


『わからん。』


「すぐ駆けつける!
もう少しだジャック!持ち堪えてくれ!!





は通信を切り、パスが映るモニターに手を当てる。





『ジャック・・・』


「パス、待っててくれ。」


『私は、大丈夫だから・・・』





相手に不安を感じさせないために笑顔を浮かべ





『私は平和の使者よ。あなたを見守ってる。』


そう言ってパスは・・・画面へピースサインを向けた







健気な心遣いに答え、すぐに彼女を助け出すべく





「・・・・行くぞ!!」





パトリオットを構えたはモニタールームを抜け出し


北東に残った管制塔目指して基地を駆ける。





「あそこだ!」


「撃て!」





敵兵が攻撃を仕掛けてくるが、遮蔽物を使い弾を防御し


パトリオットで反撃して兵を倒しながら来た道を戻る。


そのまま北へと続く道へ進むと 大きく開けた
長い通路へと差し掛かった。





(今の状況でこの地形は不利・・・裸同然だな・・・)





どうにかして遮蔽物を作らないと突破が難しいと踏んで


辺りを見回し・・・キッドナッパーが飛行している
近くに燃料タンクがある事に気付く。





瞬時に脳内で計算を終えた彼はキッドナッパーを
撃ち落とし、燃料タンク目がけて誘爆させる





「ぐわぁぁぁぁ!!」





狙い通りに潜む敵兵にも爆風が当たり


爆発によって 空の燃料タンクが通路に転がった。





「よし!」







即興で出来た遮蔽物を活用しつつ先へ進むと

重装備の兵士がこちらへと接近してくる。





射程に入った兵士からCQCで気絶させていき


橋にRPG−7を撃ち込んで落下させ
新たな遮蔽物を作り上げる。





敵兵を排除して地下通路へと歩を進めれば


奥のゲートが下りようとしていた。





「何とか閉じられる前に・・・!」





前方だけでなく後方からも攻撃が繰り出されるが


彼は走り様にスタングレネードを投げつけて
敵兵を無力化して、どうにかゲートを突破する。





「目指す管制塔までもうすぐか・・・!」





気を引き締めながら はエレベーターに
乗り込み屋上へと向かう。











ニカラグアの海岸には、一時退避し取り残された
アマンダ達FSLNと銀時達が所在無さげに佇んでいた。





さん・・・本当に大丈夫なんでしょうか?」


「あたし達に出来ることはないよ、早くここから退避しましょ。
日本に帰る手段は用意してあるそうだから「おい姉ちゃん」





セリフを遮り、銀時は親指で少し先に見える建物を指す





がいる基地ってあそこか?」


「ええ、そうだけど・・・何するつもり?」


「ああそう、あんがとさん」





短く礼を言ってミサイル基地へ歩き出すその背に
彼女達は慌てて声をかける。


「ちょっと、何してるの!?


「銀ちゃん!」


「アイツの話じゃ、ミサイルぶち込まれたら
他の連中もバカスカ撃ち返しまくるんだろ?」


「確かにそう言ってましたけど・・・

まさか銀さん 止めに行くつもりですか!?





足を止め、彼は"何を今更"と言わんばかりに告げる





「ったりめぇだろ。」


「・・・一人で止められると思ってるの?」





正気と思えない発言へ苦言するアマンダだが







今の銀時の目は、普段の死んだ魚のものでも
いやらしいスケベ親父のものでもなく


真っ直ぐに見据えた・・・侍の目だった。





「お偉いさんの勝手な都合であちこちミサイル
ぶっ放し放題とか我慢なんねぇんだよ


撃つなら股間のミサイルだけにしとけってんだ
・・・あのハゲにごっついの一発お見舞いしてやる。





再び歩き出そうとするその背に





小さく笑んで、新八達もついていく。


「待て銀時、行くなら俺達も行くぞ。」


そうネ!どうせ飛ばすならあのハゲの目玉に
醤油でも飛ばして直訴しに行くアル!」


「そもそもあんなものが撃たれたら
姉上達も危ないんだ、僕も行きます!


『一緒にあのハゲ倒そう!』


「ったく、どうなっても知らねぇぞ。」





頭を掻き毟りつつも、満更悪い気もしない心地を
抱えた彼と江戸の面々はミサイル基地へ向かった。









見送ったまま・・・留まったFSLN達が口々に言う





「どうするんだ、アマンダ?」


「アイツらまともな武器も持ってないのに
本当に行っちまったぞ。」


「姉ちゃん・・・・・」







迷いなく歩いていく侍達の背を見つめていた
アマンダは、ふと心の中で





『受けた恩義は必ず返せ
・・・そうしたら、必ずいい結果をもたらす。』






遠い日に父親から言われた言葉を、思い出していた







「・・・・行くわよ、あたし達はあたし達の戦いをする。」





そう言って彼女はその足で―基地へと踏み出す





「誰かに利用されず、自分達の手で、勝利を勝ち取る。」





続けられた言葉にFSLNの兵士達は賛同し


各々が武器を取って、その後へと続いていく。











エレベーターが屋上へと上りきった先には
援軍と攻撃ヘリが待ち構えていた





屋内に立てこもりながらやり過ごすだが


壁が破壊され、徐々に遮蔽物が無くなっていく。







「先にヘリを叩き落とさないと・・・」





弾丸を発射する敵兵を排除しヘリへ追撃を試みるが

高度があり過ぎるのか、決定打が打てない。


その間も地上とヘリから弾丸とミサイルが飛び交う





一旦兵隊側を完全沈黙させると、彼はすかさず
グレネードランチャーを放ってヘリを怯ませる。





「くそぉっ!!」


パイロットが爆風を避けて体勢を立て直し


・・・敵の姿を見失って瞠目する。





「な、何処だ!?


「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」





隙を突いた数瞬の合間に高台へ移った


高台を足場に飛び上がり、共和刀を大上段に構え


一撃でヘリを叩き斬り落とした。





「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」





着地したその背に、落下したヘリが爆発を起こす。







と、奥のゲートが開いて重武装の敵兵が数名なだれ込む。





(ここまで来たら管制塔はもうすぐ・・・突っ切る!





踏み込みに力を入れて床を蹴り 駆け抜け様に
共和刀で向かう敵を薙ぎ倒してエレベーターへ乗る。







「この先にピースウォーカーを制御している管制塔が・・・」


そこさえ抑えてしまえば、ピースウォーカーは
核を撃てなくなり・・・核攻撃を阻止できる


(待ってろ・・・パス・・・みんな・・・・!)





決意を固め管制塔へ向かうだが





この時・・・更に陰謀が渦巻いていたなどとは知る由も無い。








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後書き(退助様サイド)


退助「さー次回、謎が全て解明されますよ〜
PWファンの方もそうでない方も必見っす!!


銀時「つーかの奴、いつからあんなに
できる子になったんだ?チートもいいトコじゃねーか」


カズ「驚いたな・・・まさか一人であの包囲網を
突破するとはな・・・感服するよ。」


神楽「ハイハイすごいすごい、の出番なんて
どうでもいいからさっさと私達の出番を増やすヨロシ」


新八「ちょっと神楽ちゃん、ここの主役は
さんなんだから文句は言わないの。」


退助「大丈夫、次回は十分に暴れられるから・・・」

(その後は保障しかねるがな・・・)


新八「な、何ですか最後のあの腹黒い顔は・・・」