あのやり取りの直後・・・MSFマザーベースでは
実戦部隊の隊員と銀時達が 一つの部屋に集められていた
出てきたカズは、深刻な顔つきでこう言った。
「・・・残念な知らせだ。
俺達のボスが敵の手に落ちてしまった。」
告げられた情報に隊員達は当然の如くざわめく。
「え!?さんが捕まった!?」
「一体何があったアル!?」
「ジャックからの連絡は?」
訊ねるアマンダに、彼は首を横に振る。
「通信は繋がらない・・・
ストレンジラブ博士の手に落ちたようだ。」
「そんな!」
「今はボスを信じて待つしかない。」
「待つっていつまで!?」
「アマンダ、怒った顔も素敵だが落ち着いてくれ。
非常用のツールなら準備がある。」
半信半疑といった様子の桂が問いかける。
「奴らが見逃すとは思えぬが・・・カズ殿
は本当に大丈夫なのか?」
「いや、全ての持ち物を奪われたとしてもあれだけは
気付かないだろう・・・ジャックはちゃんと身につけてるはずだ。」
「それはいいとして、おい俺モドキ
俺達も指くわえて見るつもりはねぇんだろ?」
銀時の一声に、深く頷いて
「もちろんだ。ボスはきっと、自力で脱出すると信じている
だが問題は・・・奪われた装備品。これを取り返さなければ
さすがのボスも脱出は困難のはずだ。」
彼は面の割れていない銀時・新八・神楽・桂・エリザベスの
五人のチームに採掘場偽装基地の地下通路の潜入及び
「ジャックの装備品を全て回収してきてくれ・・・頼んだぞ」
「を助けるためだ。引き受けさせてもらうぞカズ殿。」
命令するが、答えた桂の言葉が終わるか終わらないうちに
「待ってくれ!俺達も、ボスの救出をさせてください!」
一人のMSF兵が名乗りを上げ、それに続いて
チコや他の面々も立ち上がる。
「俺にも行かせてくれ!」
「捕虜だった私を救ってくれた・・・・今度は私がボスを助ける!」
「こんな所で指くわえて待つなんて俺達には出来ない!」
「そうですよカズさん!こうなったら直接
さんを助けに行きましょう 皆で!」
「そーよまどろっこしいのは私達の趣味じゃないネ!」
「静まれお前ら!!」
膨らんでいた熱気は、カズの怒声によって静まる。
「直接ボスを助けたい気持ちは分かる・・・
だが、今はボスを信じてバックアップに徹するんだ。」
その一言一言に、彼もまた相手を助けたいと
感じていながらも司令の責を果たしていると理解し
押し黙る周囲の沈黙を和らげるように
「わーったよ。とにかくさっさと行くぞオメーら」
口を開き、動き出したのは銀時だった
第15話 いいものはいつでもリバイバル
は再び、オオアマナが生い茂っている場所に立っていた。
「亡命ではない。自分に忠を尽くした。」
対峙したビッグ・ママの声だけが浪々と響く
「お前はどうだ?国に忠を尽くすか?
それとも私に忠を尽くすか?国か、恩師か?
任務か思想か?組織への誓いか?人への情か?」
全く変わらない問いかけの後には 同じ言葉が待っていた
「ただ一つ絶対に信じられるのは・・・・
任務だけよ、ジャック。」
その瞬間、水をかけられ
彼は無理やり夢から目覚めさせられた。
「目が覚めたか?」
意識が覚醒すると共に、敵に捕まり
腕を縛られ上半身裸で吊るされている事を理解する。
「コールドマンの私欲など興味がない。
私が知りたいのは、一つ "真実"だ。」
目の前に佇むストレンジラブは、光る棒を二本持っている
「私は科学者だ AIの開発者だが、私はAIではない。
私は科学者だ、だからこんな真似はしたくない。
いいか、私は科学者だ。だからこそ
・・・・・・納得のいく答えが欲しい。」
「しつけーな、何回同じこと言うんだよ。」
クスクスと小さな含み笑いが零れ落ちる。
「軽率な口を言える分、余裕が有りそうだな。
さあ、何を知っている?」
「何がだ?」
「お前のボスはアメリカから小型核弾頭を
盗んで亡命した それを使ってソ連領に核を撃った。
それが、CIAが伝えた公式記録だ。」
口を閉ざした様子に、彼女の眉間にシワが寄る
「亡命ではなかったのか?答えろ!
彼女は祖国のために死んだというのか!?」
「・・・・あいつは、アメリカを売った。
俺はその始末を命令されただけだ。」
「違う!私が知りたいのは真実だ!」
ストレンジラブはに顔を近づけて睨む。
「覚悟はいいか。電磁くすぐり棒だ、周囲に発生した
電界が全身の上行性神経路を直接刺激する。」
「くすぐりの刑とは・・・随分古典的だな。」
「フフフ・・・痛みに耐える訓練はしてるだろう?
だが・・・これは?」
言って電磁くすぐり棒が脇腹へと押し当てられ
「ギャハハハハハハハ!!ハハハハハハハハハハ!!!」
無理やり引き起こされる肉体的な"笑い"に、は
普通の拷問と違う苦しみを味わっていた。
しばらく耐えていると、くすぐり棒が離され
引きつる腹筋の痛みに顔をしかめながら彼は息を整える
「はあ・・・はあ・・・・・俺が憎いか?いいだろう
・・・・何でもすればいい 俺が彼女を殺したんだ。」
「それは判っている・・・その動機が知りたい。
国に忠を尽くした英雄が、どうして祖国を裏切った?
何があった!?お前は何を見たのだ?」
「・・・国だけじゃない。あの女は俺をも裏切った。」
ストレンジラブは歯を噛みしめ、湧き上がる感情を
押し殺しながら問いかける。
「ならば、そのバンダナは何だ!?
裏切り者の形見だろう・・・?」
「・・・・何の事だ?」
あくまでとぼける相手の様子に、サングラス越しの
視線がどんどん険しいものへと変わっていく。
「じゃああの銃と・・・その傷は何だ!?」
の胸には・・・奇しくもビッグ・ママと同じ
蛇の傷が描かれていた。
「彼女を同じ傷を・・・まさか偶然とは言うなよ。」
「触るな!!」
傷へ触れようとした途端に一喝され
腕を引っ込めたストレンジラブは、鼻で笑う。
「ふん、想い出のアクセサリーか・・・女々しい男だ。」
挑発に・・・けれども彼はため息を一つつくのみ
「・・・答えろ!」
再び電磁くすぐり棒をあてがわれ
「ギャハハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハ!!」
無理やり笑わされ、数十秒の地獄の時間を経験し
笑いを止められて苦しみを味あわされる。
「吐け!彼女はアメリカの犠牲になって死んだんだろう?
自らの魂を、尊厳を弄んだ祖国のために・・・
その任務のために彼女は・・・お前などの手で・・・・!」
募る苛立ちに任せ、ストレンジラブはくすぐり棒の
柄の部分で相手の腹を思い切り殴る。
「私はお前が憎い・・・だが、お前には
私の気持ちがわかるはずだ 何のために彼女が死んだのか
私には知る権利があるはずだ。」
黙ったままのに、段々と彼女の中の葛藤が大きくなる
「何故言わない!?お前はもうアメリカの犬ではない!
国に忠を尽くす道義など、もうないはずだ!答えろ!」
再び腹を殴られ、彼はわずかに顔をしかめる。
「ぐっ・・・く・・・・」
「お前も愛する人を蘇らせたくはないのか?
「そうだ」と言え。彼女はアメリカのために死んだのだと・・・
自分を裏切り続けた国を、最後まで裏切らず
自分の命を犠牲にしたと・・・」
こみ上げる吐き気にえづきながら、それでも
相手の言葉を肯定する事をせず・・・彼は言う。
「・・・・違う。
・・・・・あの女は・・・裏切り者だ・・・・」
「どうして!?何のために!?」
「・・・祖国を呪いながら死んでいった。」
「何故だ!?誰のために!?何を護っている!?」
「・・・あんなものの完成を手伝うのは御免だ!」
は、そこで始めてストレンジラブを睨んで
ハッキリとこう言い切った。
「受け入れろ!ママは死んだんだ!
あんな機械に、ママの魂が宿るはずがない!」
「・・・・・電圧を上げる。2度と笑えなくなるぞ。」
バチバチと音を立てる電磁くすぐり棒が突きつけられ
「ワハハハハハハハ!!ギャハハハハハハ!!!
ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
高出力のくすぐり棒の威力と長い責めに耐えられず
彼の意識は、暗転する。
「フフフフフ・・・・笑いすぎたか。」
入ってきた兵士が 乱暴に引きずって運んでいき
「入ってろ!」
放り投げられる形で独房に入れられた所で眼を覚ます。
「逃げられると思うなよ?」
不敵に笑った見張りが、歩き去ったのを見計らい
「・・・・・・悪いな、俺はこんな所で
燻っているつもりはない。」
独房の鏡を見ながらは・・・胸の傷から糸を引き出す
そう、この傷は偽装であり 脱出用の糸ノコギリを
隠すためのカモフラージュだったのだ。
見張りにバレぬように糸ノコギリを使い
彼は音をなるべく立てないようにして牢屋の繋ぎ部分を
切り出す作業に取りかかるが・・・
「さて・・・これが切れるか、俺がくすぐりの刑で
倒れるか・・・どっちが先かな・・・?」
採掘場に偽装されている地下基地の外
「ここがさんが捕まってる基地か・・・」
「見るネ、あのデカブツ撤去してるアル。」
潜んだ神楽の指差す先では、の攻撃によって
破壊されたコクーンの撤去作業が行われていた。
『兵が多いみたいだけど・・・大丈夫かな?桂さん』
「何、あれだけ巨大なものの相手をしているのだ。
入る隙はいくらでもある・・・おまけにこれだけの人員
中は手薄になっているはずだ。」
「そうですね、早くさんの武器を探して・・・・
って銀さんいつまで立ちしょんしてるんですか!?」
「あ〜悪ぃ悪ぃ、糖が急に近くなりやがってな・・・」
物陰にむかっての水音に万事屋の二人は顔をしかめる
「緊張感持ってくださいよ・・・・
下手したらさんの身が危ないんですから。」
「ヘイヘイ、それはそうとよぉ・・・・」
用を終え 腰の辺りで手を拭った銀時は
改めて全員の服装を確かめて・・・・一言
「何でまたゴニンジャー?」
そう、彼らは以前奉行所に忍び込んだ時以来
ご無沙汰だった忍者の衣装に身を包んでいた。
「俺達のいつもの格好では目立ちすぎる。
だから隠密に向いている忍者の格好を採用したのだ。」
「それにしても白とホルスタインは目立ち過ぎでしょ!」
「仕方ないアル、エセ銀ちゃんがケチって
スニーキングスーツ用意してくれなかったネ。」
「うだうだ言っても始まんねーよ。
とにかく、俺達は俺達の出来ることをやるだけだ。」
銀時は言うと、頭を掻きむしりつつ前へと出る。
「なぁに、なら大丈夫だろ?
ここでくたばるような命じゃ 今まで生き残ったのは
何だったんだっつー話になるしな。」
「・・・そうですね!」
「(アイツ)ならコレくらい何でもないネ!」
『僕らもさんを信じよう!』
「ああ、まずはここを抜けるぞ!」
全員が笑ったのを見て拳を打ち付けると
「よっしゃ、腹ぁ決まったところで行くとすっか。」
崖の上に立った五人がポーズを取り
『大江戸戦隊ゴニンジャー・・・・参る!』
揃えて言った後、一気に崖を下って
地下基地への侵入を目指す。
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後書き(退助様サイド)
退助「尋問シーン1まで行ったのと復活、ゴニンジャー。」
新八「って何でまたゴニンジャーなんですか!?」
エリザベス『サイトの原初の短編だからとか?
確かアレ 隠しに収納されたけど』
退助「え、あー・・・・・・・・・・・・・・・・」
神楽「何で黙ってるアルか?」
退助「ちなみに尋問シーンは後2つあるんですが
動画などでは2までしかないので 次回は
頑張って書こうかと思います。はい。」
銀時「無視してんじゃねーよテメェ!!」
桂「まさかノープランだったわけではあるまいな?」
退助「・・・・・・・・・・・・・・・・」(冷や汗)
エリザベス『思いっきり冷や汗掻いてるよ、図星だったみたい』
ストレンジラブ「だったらこれで吐かせるまでだ、そら!」
退助「ギャハハハハハ!ノ、ノノノノープププランででした
ごめんなさささささぁぁぁぁぁい!!」