俺とオセロットの最後の決戦
アイツは、首にかけていた弾を取り装填した。
あれは・・・・最初に会った時に
マカロフを弾詰まりさせた弾か。
「この2つのうち1つに弾が入っている。
これをシャッフルする・・・お前から取れ。」
お前・・・最後まで運で勝負する気か
まあいい
オセロットはジャグリングでシャッフルし
獲物を両方地面に置いた。
「さあ、好きなのを選べ。」
俺は近づいて・・・左のSAAを取る。
奴が右を取ってから、互いに少し離れ
相手へ銃口を向けると1回づつ引き金を引いた。
立て続けて5回引いても 弾はまだ出ない。
「お互い・・・まだ運がいいようだな・・・・」
「かもな・・・・これで最後だ。」
俺達は同時に引き金を引き
銃声が―俺の持っていたSAAから鳴った。
「ぐ!?」
被弾したオセロットが腹を押さえる。
「・・・・さっさとパラメディックに治してもらえ。」
「・・・・フフフ・・・ハハハハハ!!」
何・・・何で笑っている?
哄笑を響かせ、オセロットは腹を叩いて
被弾してない事をアピールした。
何故だ?確実に当たる軌道だったはず・・・・
「空砲だ!言っただろ?運だめしだと。」
「・・・オセロット、お前江戸に来て変わったな
お前も侍に感化されたんじゃないのか?」
「フ・・・・そうらしいな。」
全く・・・・・・・・
「ほら、返すぞ。」
俺はSAAをオセロットに返そうとしたが
差し出された手に止められる。
「いや、これはお前にやろう。冥土の土産だ。」
「そうか ありがとう。」
「また会おう・・・・ジョン。」
言って、オセロットは何処かへ去って行った。
ACT−27 ベース同様、この話も
泣き所が多くて困ったもんだ
オセロットと別れた俺は墓地を進んで
ソリダスの墓の前に来た。
墓石には『自由を求め戦った愛国者
ソリダス・スネーク ここに眠る』と刻まれている。
隣には・・・『世界を愛した英雄
ビッグ・ママ ここに眠る』と書かれた墓石
ビッグ・ママの墓だ・・・・・・うん?
花が置いてある・・・誰が置いたんだ?
ママを弔う他人なんているはずが・・・まあいい
俺は姿勢を正すと その墓に向かい敬礼をした。
・・・・・戦争は変わった
ひとつの時代が終わり・・・戦争は終わった。
だが・・・俺にはまだ
やらなければいけない事が残っている。
新たな脅威となる自分を・・・この世から抹消すること
これが・・・俺に課せられた、最後のミッション。
俺はM1911A1を取り出し
弾を一発だけ装填し、頭に銃口をつけた。
みんな・・・・・・ごめんな
今まで・・・・ありがとう・・・・・・・・・
辺りに 一発の銃声が長く尾を引いた。
その頃、結婚パーティとなっている場では
江戸の人々やFOXのみんなが踊り騒いでいた。
「銀ちゃんそれ私のアル!!」
「甘ぇんだよ!早いモン勝ちじゃぁぁぁい!!」
「銀さん大人げないですよ!!」
「まさか桂と酒を飲み交わすとは思わなかったぜ・・・」
「今回ばかりは良いではないか。土方よ?」
「ヘッ、江戸に戻ったら
即効しょっぴぃてやっから覚悟しとけ」
「にしても・・・さんの国にはこんなに
おいしいものがたくさんあるのね。」
「お妙さん!俺デザート持ってきます!!」
「いやそれは僕の仕事だ!」
「若がやらずともデザートなら私めが」
ぶっ飛ばされた東城はともかくとして
楽しげなそのドンチャン騒ぎの輪の外で
彼等を眺めつつ、ドレビンは酒を口にし呟く。
「アルコールっていいもんだな・・・」
隣に抜け出してきたらしいオタコンが座る
「酒を飲むとは知らなかった、いつもは炭酸だろ?」
「いや、嫌いだったわけじゃない。
炭酸を飲んでいたのはナノマシンとの相性がいいからだ。
アルコールはナノマシンが強制的に分解してしまうんだ」
「なるほど、もうその必要はないもんな。」
「まあ喜んでばかりもいられねぇ、SOPの保護が
無くなった途端、自分を見失った連中も多いからな。」
「SOP依存から抜けきれず、身体の不調を
訴えているという『SOP症候群』の事かい?」
「ああ、アルコールもそうだが、いろんな制御が
なくなったわけだからな。みんな丸裸になっちまった。」
「噂では一割以上も発症しているらしい。賢者達が
無くなったとはいえ、結果オーライとは言えない。」
間を置いて ドレビンはポツリと零した
「実は言うと俺・・・
ATセキュリティ社の社員じゃないんだ。」
「え?」
「俺は賢者達に育てられた、武器洗浄人としてな。」
「そうだったのか・・・・」
何も言えず口を噤むオタコンを他所に彼は続ける
「俺は物心がついた時、既にLRA(神の抵抗軍)にいた。
誘拐され、戦闘を強要されたんだ。少年兵ってやつだ。
親も兄弟も戦争に殺された。戦争孤児って奴さ・・・・」
そこでドレビンは寂しげに 頭の傷跡をさすった。
「その後奴らに拾われてビジネスをみっちり仕込まれた・・・・
俺は893番目のドレビン、世界中に同じような仲間がたくさんいる。
武器洗浄なんて出来たのも奴らのおかげだ。」
オタコンは少し複雑な顔をしていた。
「実はな・・・・最初からあんた達を
支援するよう命令されていたんだ。」
「何だって!?」
「怒るなって・・・奴らの指示で
動いていたのは俺だけじゃない。」
彼の視線の先には メリル達がいた。
「メリル達が?」
「本人達に自覚はないだろうけどな。」
ドレビンはチョークで何かを書き始める。
「ラット・パトロール、チームナンバー01」
地面に書かれた『RAT PT 01』が
一振りされたハンカチによって字列を変える。
そこに並んだ単語は・・・PATR1OT。
「PATRIOT・・・愛国者・・・・」
「ナメられたもんだ・・・」
「でも・・何で?」
「ソリダスの陰謀は当然賢者達を脅かす。だから
あんた達にソリダスを阻止してほしかったんだ。」
「結果は期待通りじゃなかっただろうけど。」
「まあ結果的にシステムは崩壊
賢者達は消えちまった。」
「君はお役御免か。」
「とんでもない!」
ドレビンは勢いよく立ち上がり、自慢げに
装甲車に書かれた文字を仰いだ。
「DOREBINS(ドレビンズ) 世界中のドレビンをかき集めた。
これからは自分達の為に働く もう俺達は駒じゃない。」
「・・・・・・酔ってるのかい?」
「あ、そうだ。ひとつ重大な事を話し忘れていたな。
ボスが倒したBB・・・実はな、あいつら生きているんだよ。」
「え!?生身の身体じゃ
数分しか生きられないはずじゃ・・・」
ちっちっちと驚くオタコンに指を振るドレビン。
「そうだ、だがそれは心が傷ついてしまっていたからだ。
なんでボスにやった特殊弾でその心だけを浄化したんだよ
・・・彼女達はボスに恩返しするために俺達の所で働くそうだ。」
「でも・・どうやって?」
ふふん、と彼は楽しそうに問いかけに答える。
「あのプロポーションだ、ハリウッドや
グラビア界が放っておかないだろ?」
「やっぱり・・・酔ってるのかい?」
返事はせず ドレビンは独り言のように
やや遠くを見つめつつ語り続ける。
「新政府はPMC企業改革法を施行して
抑制するつもりだろうが、戦争経済にどっぷりつかった
彼らにはどうにもできないだろう。
新世界秩序じゃないけど、戦争経済主義の世界秩序は終わりだ。
多国間主義の視点を持った国連が重要になって来るはず。
昔ある大統領が言っていたな・・・・
『国連の発展こそが戦争に代わる』と。
まあ・・とはいえ・・・・国連はそこまで強大じゃないしな・・・・
それにある意味、国連の歴史上の起こりは賢者達に近いしな・・・・・」
唖然としながら、オタコンは口元だけで笑う。
「そうか・・・・
ナノマシン制御がなくなったから酔ってるのか。」
「CRUSH(クラッシュ)・・・MIX(ミックス)
・・・BURN(バーン)を繰り返す・・・」
とりあえず一人の世界に入った彼を放っていた
オタコンの元に、サニーが走って来た。
「ねぇ、ジャックはいつ戻ってくるの?」
「え・・・・ああ・・・・ジャックは・・・
病気なんだ・・・だから・・・療養の旅に出るんだ」
「私達は一緒にいけないの?」
「僕らは・・・邪魔出来ない・・・・」
「・・・もう会えないのかな・・・・・?」
「・・・・ジャックは・・・頑張り通しだった
・・・・江戸でも・・・・何処に行っても・・・・
だから・・・ゆっくり休む必要があるんだ・・・・・」
言いながら、オタコンは泣くのをこらえていた。
「泣いてるの・・・?ハル兄さん。」
「いや・・・泣いてはいない・・・・」
「フフフ・・・・・メガネ。」
指摘され 彼はメガネがずれている事に気付く。
「あ、ははは・・・・」
「フフフフフ・・・・」
笑いあいながら、サニーはオタコンの腕を持ち
二人ならんで夕日を眺める。
「サニー・・・もう外で暮らしても大丈夫だよ。」
「え?」
「これからは・・・自分の人生は自分で決めれる。
ここだけが避難所じゃない。」
「うん・・・私・・・江戸でたくさん教わったよ。
外の世界が・・・どれだけ素晴らしいか
あの人達に教えてもらったの。」
微笑みと共に指差された万事屋トリオは・・・・
「神楽テメェ!!
俺のプリンちゃん取りやがったなコノヤロー!!」
「銀ちゃんアルよ!
早いモン勝ちって言ったのは!!」
「だから恥ずかしいから
やめろっつってんだろうがぁぁぁぁ!!!」
未だに低レベルな争いを繰り広げていた。
「・・・・みんながみんな教わる必要ないからね
あの人達の大部分は教わったらいけない事だから」
「そうなの?」
言い聞かせるオタコンの額には玉の汗がずり落ちていた。
それに納得したようで 空へ視線を戻し
「きれいな太陽・・・・・・」
サニーは、夕日を見て呟いた。
黄昏色に染まる世界の中で・・・・・・・
・・・・は・・・・まだ生きていた。
引き金を引く前よりも突然響いた銃声
誰かが俺の銃に弾丸を当て、銃を弾き飛ばしたと
気付いたのはその直後。
「はあ・・・・はあ・・・・はあ・・・」
まだ衝撃で手が痺れている。一体誰が・・・・
視線を動かし、そこに見えたのは・・・
「何・・・・してたの・・・・・」
グロッグ18Cを構えているだった。
「・・・っ!?なんでこんな所に!?」
「何してたのって聞いてるのよ!!
今 死のうとしてたでしょ・・・・
何も言わずに死のうとしてたでしょ!!」
これ以上無いくらい険しい顔で近づく彼女を
俺は 手と眼で牽制する。
「言っただろ・・・俺は・・・・もうすぐ殺戮兵器に」
「それが何よ!あなたになら殺されてもいい!!」
「だがこれは他の奴らにも感染するんだぞ!!
お前だけが感染するわけじゃない!!」
「だったら二人で隔離されましょうよ!!
あなたと一緒なら死んでも構わないのよ・・・!!」
「だが俺は・・・・・・」
「何も言わずに死のうとして・・・・・
どうしてそんなことが出来るのよ!!!」
段々涙混じりになるの声が、何よりも辛い。
「お願いだ、何度も言わせないでくれ!!俺は」
「そうだ、死ぬ必要はない。」
唐突に割って入った声に 俺達は
反射的に顔を向けて構える。
いつの間にか、少し離れたその場所に
右眼に眼帯をした老人が立っていた。
老人の顔には見覚えがあった・・・・・
「逝く必要はない。また会えたな・・・ジャック。」
「「ネイキッド・スネーク・・・・・・!」」
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後書き(退助様サイド)
退助「オセロットとの決着、ドレビンの正体
そして登場した旧ビッグ・ボス!」
新八「ちょちょちょちょっと待って下さいよ!!
何でその人がいるんですかぁぁぁ!?
確か死んだハズなんじゃなかったんですか!?」
退助「それがメタルギアの魅力だよ
死んでた奴が生きてるって感じ。」
銀時「説明になってねぇし 無理やり過ぎだろ。」
スネーク「というより俺の出番はないのか?」
退助「大丈夫、必ず出れるから。」