G.Wを破壊したと思った矢先J.Dが消えた
オタコンが言うし、しかもモニターにナオミが映っている


ホントにどうなっているんだ・・・・?





『ジャック・・・ハル・・・・きっと、あなた達ね。』


とにかく映像の彼女は確かに目の前にあり


俺達へと語りかけている・・・・・・・





この画像は死んでからではなく、恐らくは・・・
生前にナオミ本人が撮影したのだろう。





聞いている?あなた達が注入したウィルスはG.Wを
媒介してAIネットワーク全体を死滅させた。


G.Wを含む4つのAI、そしれそれらを統合するAI『J.D』。
全てが消えた時、この映像が流れるようにセットした。』





となるとナオミは最初からJ.Dごと破壊しようとしたわけか・・・・・





『サンズ・オブ・ザ・パトリオットだけじゃない。

賢者達はナノマシンを利用して、全ての国民に
このシステムを導入するつもりだったの。


SOPシステムは単に兵士を管理するシステムではなかった。
本当の目的は・・・精神の制御だった。

私にはそれを止める責任があった。』





なるほど・・・・
ソリダスにかけたカマは少し当たっていたか・・・・・・・・


国民全員が精神制御されたら・・・・・・


世界は永遠に戦争を続けていたに違いない。





『サニーの力を借りたわ。彼女は自分がG.Wを
静止させ、あなた達の役に立つと信じて協力してくれた


対AIのFOXDIE、ウィルスの名前は
『FOXALIVE』(フォックスアライブ)。


私がかつて創り出してしまったナノマシンとは
逆の発想のもの。」





FOXALIVE・・・・・それがサニーと
創り出したウィルスの名前・・・・・・・





『囚われたFOX達を活かして・・・
野に解き放つ、という願いを込めた。』








俺は少し項垂れながら聞いていた・・・・・





もう力が出ない・・・・・・・・・


聞くだけでも精一杯だった。





オタコンは・・・ナオミの声を聞く内涙を流していた











ACT−24 死ぬの怖くないとか言う奴に限って
何か残したりしたがる












『おそらく私はもうこの世にはいないでしょうね。
変な気持ちよ、死ぬ前に死んだ後のメッセージを残すなんて・・・

ハル・・・・聞いているかしら?


「ナオミ・・・・・・・・・」





画面の向こう 彼女の顔は悲しみに曇る。





『あなたを・・・・あなたを騙してごめんなさい。


あなたを騙した事、それが一番・・・辛かった。
だから死ぬ前にあなたに謝りたかった。

でも私にはそれさえも許されなかった。』







ナオミ・・・・・・・







「ナオミ・・・・・・・!」


『でも・・・私は・・・・あなたのおかげで・・・・
生きる喜びを感じる事が出来た。』





ナオミがカメラに手をつけ、オタコンも
涙をモニターに垂らしながら手を合わせた。


だがナオミの温もりを感じることは出来ない・・・・





『ありがとう・・・・・・ハル・・・・・!


「ナオミ・・・・・・!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!







大声で泣き出したオタコンとは対照的に


ナオミは後ろを向き、泣くのをこらえていた。







『ジャック・・・・・・聞いて・・・・・』





俺にも 何か言い残す事があるのか・・・・・・・・





『この国・・・いえ、この世界は・・・・
無垢な子供に還った。新しい・・・夜明けが来る。
これからは・・・新しい運命が築けるのよ・・・・





そうか・・・・・恐らく江戸以外はAIから
解放されて自由になったはず・・・・・





これで・・・・戦争経済・・・


まして戦争自体も・・・終わる。







『ジャック・・・・もう・・・・・
いいのよ・・・・・・・お疲れ様・・・・』





その優しい声音に誘われるように


俺は・・・・・・力尽きて横たわった。







『もうすぐ・・・・バラが散る。』











船にいたとサニーが、同時に気付く







あ・・・・
ナオミさんからもらった青いバラが・・・・・・」


「散ってしまったわね・・・・・・・」





バラが静かに・・・・花びらを散らした。











『ジャック・・・・・ジャック!
・・・・・・・ジャック!!







オタコンの声が何処か遠く聞こえ・・・・・







引きずり込まれるように、気を失った。













・・・・目が覚めると、ぼやけた視界に
画面越しじゃないオタコンが映っていた。







「ジャック、パラメディックが来てるから
呼んでくるよ。少し待ってて。」





ぼやけた声でオタコンは言ってから
ヘリに乗って何処かへと行った。







『・・・・・・もう意味はない!
やめなさい!これは戦争じゃない!





微かに メイ・リンの声も聞こえる。







よかった・・・この分だと全員無事かな・・・・・・・









段々と視力が戻り、外にいるのだと気付いて





俺へと近づく足音が聞こえた。







半身を起こせば・・・・ソリダスがそこにいた。







そういえばこいつ・・・・今まで何処に・・・・・・?





「目が覚めたかジャック?」


「ソリダス・・・・・・・・・・」


「見てみろ、戦争は終わった。
お前が望んだ通りの結末だ。







どうやら俺達は戦艦の上甲板にいたらしく


示されて下ろした視線の先には、忙しなく動く
救護班達の船などが見えた。







「何故だ・・・・・・・・・・・
止めようと思えばいつでも止められたはずだ・・・」


止める?何故そんな事をしなければいけない?
これこそ私の望んだ結末だ。」


「何?」





ソリダスは淡々と言葉を紡ぐ。





「米国、中国、ソ連の政府が行った賢人会議
呼ばれる秘密組織があった。それが今で言う賢者達だ。


2つの大戦で根を張り急拡大した。大戦後
バラバラになった遺産を巡って争うようになった。」





そうだ・・・・リキッドやママ・・・・
ジーンもそれを狙っていた。







結果的に半分は俺の手に渡ったが・・・・・





ジャック、何かおかしいと思わないか?
これだけのシステムの拡大、賢者達の統制
何故この短期間で出来たのかを。」







言われてみればそうだ・・・・・


たった半年で戦争経済が復活するなんて
本当は有り得ない・・・・・





「それも全て賢者達の一人であった
『ジェームス・ジョンソン』一人のエゴで拡大したものだ
そして・・・貴様らが尻尾を振っている者もその一人だ。」


「何・・・どういうことだ・・・・!」





問うけれどソリダスは話を逸らすようにこう言う。





「ジーンも言っていただろう?
ヴォルギンの核攻撃から始まり、ビッグ・ママの死
そして貴様がここに立っている事も・・・・


貴様が江戸にいる事も全てその男のシナリオ
従っているだけなのだ!」





何・・・・・・・!







「ジャック・・・私達は賢者達に創られ
賢者達によって命を狙われた。


元々私達は賢者達に従うために創られた存在だ。

しかしそれを拒んだ我々兄弟は命を狙われる事となった。
この左眼は逃走中に撃たれた・・・







一旦言葉を切り、ソリダスは左眼を擦る。







「私は復讐を誓った。賢者達を全滅させ
統制を解放し、そして世界を私の手で創りかえる!」



「それが・・・
結果的にここまで敵を創ったんだぞ・・・・・・・」


「そうだ、だが今ここで破壊出来たとしても
蹶起は一週間後に行おうとしたのだ。」





一週間後・・・・4月30日・・・・・・・







「その日は何の日か・・・・分かるな?」


「・・・・・・・・いや・・・」





俺はワザと首を振る・・・・が本当は知っていた


その日が、二つの意味で特別だと。







「教えてやろう、その日から二百年前
ジョージ・ワシントンが合衆国初代大統領に就任した!

私は彼の遺志を継ぎ、本来ならフェデラルホールで
新たな国家の独立を宣言するハズだった。


賢者達を葬り 奴らの庇護を断ち切ってアメリカを解放し・・・
自由の鐘を鳴らすハズだった・・・」







ソリダス・・・・・・奴も奴なりに
アメリカが好きだったわけなのか・・・・







「違う形ではあったが賢者達から自由を取り返せた。
お前達のおかげでな・・・・」


「・・・俺達がお前の為にやるわけないだろ」





吐き捨てるが ソリダスはニッと口を吊り上げるのみ





「言うと思ったさ・・・・・・
ジャック、人の寿命には限界がある。
誰にでも寿命がありいつかは死ぬ。


寿命とは何だ?
最適の遺伝子を後世に伝えるための猶予期間だ!






回りくどい・・・一体何が言いたいんだ・・・・





「親から子へと・・生命の情報が流れていく。
それが生命だ。


しかし、我々はこの世に何も残してはいない。
親父の体細胞から作られた我々兄弟は・・・・
あらかじめ子をなす能力を取り上げられて生み出された。」





そうだろうな・・・・兵士として最高だった
スネークの遺伝子が敵側に渡ってでもしたら
たまったものではない。





命のバトンを渡せない我々は何を残せばいいのか?
我々が生きたという事実、それこそが生きた証。
DNA情報にはないさまざまな情報でな。」







人々に伝えられ語り継がれていく事・・・・







それが、ソリダスが求めた生きた証・・・・







「私は人の記憶に、あの国の歴史に記憶されたいだけだ。


本当は天導衆も貴様の命も、まして世界制圧などは
どうでもよかったのだ!


私は私の記憶、私の存在を残したい!
それが私の「子を成す」ということだ!








釈然としないながらも


その気持ちは・・・分からんでもないと思った





「なら・・・他の方法でも良かったんじゃないのか
お前の小さな目的の為に・・・どれだけのモノが
犠牲になったと思っているんだ・・・・!」







俺の言葉が聞こえているのかいないのか、ソリダスは
なおも主張を続ける。





「しかし、賢者達はそれすらも奪おうとした!
だからPMCの社長になりすまし殺した!


私は・・・賢者達を倒して自由になる・・・・
サンズ・オブ・リバディになるのだ!!」


「自由の・・・・息子達・・・・・・」


そうだ!我々貴様を含む兄弟が影の遺伝子情報を
受け継いだ怪物とするなら・・・誰かが後世に
継承されるか決着をつける必要がある 立て。





言われた通り、ゆっくりと立ち上がった。





「お互い・・・自由になるべきだよな・・・・?
囚われた精神を解き放つために・・・
それこそが私の望んだヘイヴンだ。」


「ソリダス・・・・人々に語り継がれたいのなら
・・・・小細工はなしだ。」


「分かっている、まずは・・・・CQCだ。」







身体中ボロボロのはずなのに 不思議と闘志が沸く







そしてソリダスと俺は戦闘態勢に入った。





「ジャック、来い!!」





間合いを詰めCQCをかけに行くが、勢いを利用し
ソリダスが技を返し床へとひれ伏させられる。


間髪入れずに叩きつけられる拳を転がって避け


硬直した一瞬を逃さず今度はこちらが
相手を床へ伏せさせたが、すぐに起き上がられた





互いにCQCを交わらせ俺達は何度も床を転がる。







「おおおぉぉぉぉ!!」





叫びと共に繰り出されたソリダスの拳の連打を浴び
危うく落ちそうになったが


CQCで位置を反転させ、頭を弾いて飛ばした後





「はぁぁぁぁぁ!!」





俺は拳と蹴りを2、3発浴びせ 蹴りの連撃と
回し蹴りを食らわせ怯ませた。





流れに任せ飛び蹴りを炸裂させるが


紙一重でかわしたソリダスに足を掴まれ
床へと叩きつけられる。





痛みに呻いているヒマは無い


すぐに立ち上がり、お互い構えて対峙する。







「ジャァァァァァァァァック!!!」


「ソリダスゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」






叫んで相手へと向かった俺達は


同時にクロスカウンターを受けた。













一方、戦闘が鎮静化したミズーリでは・・・・





残った兵達が強化兵の収容にあたっていた。







「しっかし機械ひとつぶっ壊しただけで
こんなにまでなるなんてな・・・・」


「機械に頼りすぎた奴等の哀れな末路であろう。」


「そういやの旦那はどうしたんで?」


「お、確かに君戻ってこないな・・・・」







真撰組の面々と桂がを案じていたタイミング





銀時とスネーク、フォックス、メリル、ジョニーが
ボートに乗って戻ってきた。





万事屋だ!万事屋の旦那が戻って来たぞ!!」


「銀さーん!大丈夫ですかー!」


銀ちゃーん!こいつら一体どうなったアルか!」


が機械ぶっ壊したんで全員生理が」


違う、厳密に言うと奴らのシステムを破壊し
兵士を管理下から遮断した結果がこれだ。」


「全然分かんないですよ・・・・」


「んなまどろっこしい事どーでもいいんだよ
が勝った、それでいいじゃねぇか。」


「フ・・・・そうかもな。」







笑いあう彼等の元にとサニーが寄ってくる。





「銀さーん!は!は何処ですか!!」


「何?俺より先にアイツの心配?
ちょっいくら何でも冷たいんじゃねぇのちゃん」


スネーク!ジャックは・・・!
ジャックはどうしたの!?」


「ん?まだ来てないのか?
オタコンが運んだと思っていたんだが・・・・・」







奇しくも気付いたのは、ふと戦艦の上を見た原田。





「局長!!あれ見てください!!」


「どした原田?」





原田が指さした方向に釣られ、彼等もまた
視線をそちらへ向けると・・・・・・







戦艦の上甲板で ソリダスとが殴り合っていた。







な!?あの野郎!
・・・・・あんな身体で・・・・!」


君・・・・ホントに死んじまうぞ!!」


よせ!!今は奴と戦う時ではない!!」


「旦那!!」


『ジャック・・・・!』


さん!!やめてください!!


「本当に死んじゃうヨ!!」


「あの野郎・・・・
鳳仙より強ぇんじゃねぇのか・・・・・」







様々な声が飛び交うが あちらに声は届かず
彼はソリダスとひたすら殴り合いを続ける。







「ジャック!!」


やめて!もうソリダスを倒す必要はない!
システムが破壊されたら何も出来ないのよ!!」







必死に語りかけるの悲鳴も聞こえぬまま


とソリダスは拳と蹴りを交わらせた。





「「てぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」


「私・・・世界がどうなってもいい!
あなたが生きてさえいればそれでいいのよ!!
だから・・・・もうやめてぇぇぇぇぇぇ!!!


「「おぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」





とソリダスがクロスカウンターを受け


両者は 少し離れて倒れた。







彼女の言葉に答えたのは・・・・銀時





「無駄だよ、アイツぁ奴と決着つけるつもりなんだよ
奴もそれを望んでいる。」



銀さん止めてきて!!
これ以上やったらホントにが死んじゃう!!」


・・・・今回ばかりは奴でも聞かねぇよ
今の奴は・・・・誰にも止められねぇ。











息を荒げながらも、俺とソリダスは
ゆっくりと立ち上がった。





「CQCでは決着はつかんか・・・・・
ジャック!剣を抜け!!


侍の決闘で決着をつける気か・・・・いいだろう。」





俺はフォックスの高周波ブレードを抜き
刀の先を左手で添えるように構え


ソリダスは2本刀を抜き、交差させるように構える。







知らない内に 身体の発作も起こらなくなっていた。


痛みを通り越して何も感じなくなっているのか

本格的にFOXDIEの侵食が進み、死期が
間近まで来ているのかは分からないが・・・・・・・





後世まで語り継ぎ、生きた証を残す為に・・・・・


ここでソリダスを倒す。


それでも生きた証が残せるのであれば・・・・・・・・








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後書き(退助様サイド)


退助「さあいよいよソリダスとの最終決戦が始まりました!!
もう 言葉で語る必要はないでしょう・・・・」


新八「ソリダスは・・・ただ人々の心の中に
残りたかっただけだったんですね・・・」


神楽「トッシーと同じ理由アル こっちの方がタチ悪いけど。」


桂「しかしは大丈夫なのか?
あの身体で戦って・・・・・」


土方「俺達が信じなきゃ誰が信じるんだよ?」


退助「お、珍しく土方さんと
桂さんが有り得ない会話を。」


神威「けど本当、あのってお兄さん強いね
あの爺さんと対等に渡り合ってる・・・楽しそう


阿伏兎「団長、乱入なんて野暮なマネはすんなよ?」


退助「神威も流石にそこまでしないでしょう。」




次回・・・最終決戦 ソリダスの真意とは・・・・!