レイブンを退け、すぐ戌亥大使館へ向かおうとしていた俺は
何者かの気配を感じ 視線を向ける。





目の前の門に黒いマントを羽織った男が寄りかかっていた。





左眼に眼帯をしている・・・・・


誰なんだ・・・・一体・・・・?





「待っていたぞ・・・賢者達の手先!


「賢者達の?」





あれ?・・・何処かで会った事があるような・・・・・





いや、間違いない。


あの時会ったスネークにそっくりだ・・・・







「BB部隊を2人も退けるとは・・・やはりな・・・・」


君!!そいつから離れろ!!」





言葉と共に近藤さん達が刀を持って走り出す。





近藤さん!?何だ突然」


「説明は後だ!こいつが指揮を執っていた野郎だ!


「指揮を・・・・
まさか・・・・お前が・・・ボス・・・・!


「少し違うな・・・・単なるボスではない。
前ビッグ・ボスを超えるもの・・・ソリッド・スネーク。」







ソリッド・スネーク・・・・!!







「何わけわかんねぇこと言ってんだこのジジイ!!」


「旦那!!ここは俺達に任せて先に」


「やっと・・・・・・やっと見つけた・・・・・!


「だ、旦那?聞いてます?旦那?


「ついに・・・・見つけた・・・・!」





頭の奥がチリチリと痺れて、焼ける


張り付くような喉から搾り出した言葉は
思ったよりも掠れながら それでも辺りへと響いた





後から近藤さんから聞いた話だと


この時俺の右眼は 普段なら出さないであろう
狂気の眼をしていたらしい。





「旦那?まさかその眼帯で奴のせんと」


「そのネタから離れろよ総悟!!」





後からなら"そのネタもう神楽と桂さんがやった!"とか
いくらでもツッコミを入れられたが





今は目の前にいるこの戦争の火種にしか、眼中にない。







「やっと・・・見つけたぞ・・・
ソリッド・スネーク!!!


「フン、この私を殺そうと?」


「それ以外になにがある!!
お前を殺して、この戦争を止める!!!」






瞬間 PKMを取り出しソリッド・スネークに向ける





待て君!!迂闊に手を出すな!どんな罠があるか」


「知ったことか!!こいつを殺せるなら
どうなってもいい!!死ねぇぇぇぇぇ!!!」






制止の呼びかけを無視して俺は躊躇わずに
引き金を引き、PKMを乱射した。











ACT−10 人の名前で悪さしてもバレるっつの











グラグラと煮え滾る激情に身を任せ


原型が残らない位に殺してやろう
ひたすら狙いを定め、引き金を絞る。







だが、当たっている気配がない。







いや・・・・むしろこの状況は・・・・


フォーチュンに似ている・・・?





浮かんだ思考は、すぐさま怒りに呑まれて沈む







やめろ!!
あいつに飛び道具は効かねぇ!!」



「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!」



「ダメだこりゃ・・・
の旦那、正気を保ってねーですぜ。」


「んな悠長に言ってる場合ですか!!
旦那やめてください!!







目の前にいる戦争の火種を消す・・・・・


ただそれだけで頭がいっぱいだった。





彼らの必死の叫びはどれも届かず
PKMの金切り声だけをかき鳴らし続け







弾が切れてから、初めて正気に戻った。





「な・・・・・・・何で一発も・・・・・・」


だから言っただろ!!
あいつには飛び道具は効かねぇってよ!!」


「・・・やはり負荷が掛りすぎたか・・・・
まあいい、今の貴様は私を殺せない。」


「ふざけるな・・・・!!お前を倒して」


忘れたか?私はビッグ・ボスを超える
ソリッド・スネークだということが
「違う!!そいつはスネークではない!!!」





突然空中から別の声が聞こえ、俺達は空を見上げた。


そこにいたのはカサッカから身を乗り出し
機銃を携えたプリスキンだった。





「これはこれは・・・兄弟。」


「貴様に兄弟呼ばわりされる筋合いはない!!」


「私を忘れたか?スネーク?





兄弟・・?スネーク・・?


いきなりの状況で混乱してわけがわからん







「ジャック、どいてろ!!」





言うや否やプリスキンはM4をスネークに向けて撃ったが





被弾する瞬間に足だけの力で まるで炎を
纏っているかのように前方へ滑り


尾を引いていたマントだけが燃えた。








「あの男の真似事はやめろ!!」







M4の弾丸はいまだ浴びせられているが
スネークは身を低くし、手刀で全て弾き飛ばす。





「兄弟・・・私はリキッドとは違う!!





リキッド!?





まさか・・・・
こいつらもあの計画の産物だというのか!?







低姿勢を保ったままスネークの身体が膨れ上がる。





あれはパワードスーツの改良型か・・・・・







プリスキンが構えたグレネードを発射するが


スネークは瞬時に跳び上がって回避し、そのまま
近くに置いてあった装甲車に飛び乗った。







「そんなものかスネーク!!」







そこにPMCの戦闘ヘリが近づいてきた。





「オタコンまずい!!PMCのヘリだ!!」


分かってる!!すぐに離脱するぞ!!」





なっ・・・オタコン!?
オタコンがこのカサッカを操縦してるのか!?





「せいぜい逃げ切るようにな!
・・・・・ではさらばだジャック!!


「くっ・・・・待てスネーク!!







思わず叫んだが既に遅く 装甲車が走りだし
あっという間に見えなくなっていった。







「くそ!せっかくのチャンスが・・・・!」


「落ち着くんだ君!!
どの道今の奴に勝てる保証はなかったんだ!!」


「あれこれ考えてても仕方ねぇだろ、テメェは
今の目的を果たせばいいんだよ!」







・・・・そうだ土方さんの言う通り、今は少しでも
相手の戦力を落とす必要がある・・・・・





俺らしくもない・・・・冷静さを欠きすぎだ・・・・







「・・・分かった・・・・
ところで近藤さん達はどうするんだ?」


「負傷者が多くてな、一度屯所に戻ることにする。」


、さっきみたいな真似しやがっても
俺達は助けねぇからな。」


「旦那、これ返しときます・・・それじゃ無事で。」









グレネードを返してから、近藤さん達がここから去り





俺は念のためMk.Uを探しオタコンに
連絡をすることにしたが・・・・・・


先程グレネードが爆発した所に、無残に壊れた
Mk.Uの残骸が見つかった。





・・・どうやらあの戦闘の拍子に破壊されたらしい。







仕方ないから無線機でオタコンに連絡を入れる。







「オタコン。」


ジャックかい?ああ、良かった無事だったか。
Mk.Uの信号が途絶えたから心配してたんだ。』


「オタコン、説明してもらおうか?さっきの男・・・
プリスキンって言ったな 奴は何者だ?


『彼の名は・・・ソリッド・スネークだ。』


「何だって!?さっきの奴もスネークだ!!
一体どうなっている!?」








戸惑いながらも無線に訪ねるが、答えたのは
オタコンではなく―







『それは俺から説明しようか。
ジャック、俺が正真正銘のソリッド・スネークだ。』


「どういうことなんだ!まさかお前が」


少しは落ち着いたらどうなんだ?
お前が戦争経済を嫌っていること位
オタコンから聞いている。少し深呼吸しろ。』





言われてみればそうだな・・・冷静にならなければ・・・





「ああ・・・・だがホントにどうなってるんだ?」


『実は俺もFOX部隊の一員なんだ、といっても
つい最近入ったばっかりだがな。』





FOX部隊に・・・・・?







『そして、サニーを賢者達から救い出したのも俺達だ。』


何だって!?じゃあオタコンが言っていた
ある協力者っていうのは・・・」


『そうだ、それとさっきの奴だが・・・
今回のこの戦争の首謀者、真の名は
「ソリダス・スネーク」だ』





ソリダス・・・・それが奴の本当の名前か・・・・







『奴は前ビッグ・ボスの完全なクローンだ。
遺伝子情報も全く一緒のな。』


「それで、何であんたもここに?」


『自分の名前を使われて黙っている奴はいないだろ?』





ああ、確かにそうかもな





『とにかく今はPMCの攻撃で身動きはとれず
残念ながら戌亥大使館の方に行くことはできないぞ。』


「別に歩いてでも行くけど?」


『いや・・・行く先々に月光が待ち伏せてあるんだ。
簡単には通れない。』







やはりあの場所は最後の要なのか・・・わざわざ
月光を出すくらいだ・・・・







『何か装甲車があればまた別だがな・・・・』


「心当たりならあるぞ?」


『何?』


「まあ取り合ってくれるか微妙だがな・・・・・
そっちはどうするんだ?」







無線の方で 二人の声が聞こえてくる。





『オタコン、動きそうか?』


『ダメだね、修理しないと・・・・
ジャック 予備のMk.Vを送るよ。
予備はこれしかないから大切に使ってくれ。』


「分かった、そっちも気をつけろよ。」


『やっと落ち着きを取り戻したようだな 若造?』


「茶化すなよ・・・そっちも気をつけろよスネーク。


『ああ、ご心配なく。』









俺が無線を切った直後、見慣れた装甲車が見えた。







「ボス!!早く乗ってくれ!!」


ドレビンか!?一体どうした!」


「言い忘れていたことがあってな!
戌亥大使館には、お前らがよく知ってる女達が
捕らわれているらしいんだ!」





よく知っている女達・・・・・


まさかと思うがスナック関連じゃ・・・・・





「分かった!すぐに行く!!」







ドレビンの装甲車に乗り込むと、そこに
エヴァの姿もあった。





エヴァ!よかった無事だったか!」


「ジャック・・・倒せたのね・・・・レイブンを・・・」


「大丈夫か?傷が深い。」


「ええ・・・・心配には及ばないわ・・・・」


「・・・ごめん・・・俺がもっと冷静になっていれば
こんなことにはなら」





俺が謝罪を言い切る前に、口を塞がれた







エヴァのキスによって。







「な!?」


「・・・たくましくなったわね・・・・・こんな
いい男になるんならあの時振るんじゃなかったわ・・・」


「お、おいおい・・・・・」


ボス!!不倫してないで上の機銃で応戦してくれ!!
月光が目の前にわんさかいるぞ!!」


「不倫言うな!まだ結婚してねぇ!!」


「あら、まだだったの?ホント奥手なんだから・・・・」


「え・・・がか?」


どっちもよ。
さ、早く機銃で応戦しないといけないんじゃないの?」


「わ、分かってるよ・・・・・」





少し照れながらも 上に上がって機銃を構えた。







あんなに月光が・・・・・







だが俺はここで止まるわけにはいかない。





すぐにこいつらを突破して 一刻も早く
戌亥大使館に向かわなければ、PMCの兵士のことだ
恐らくやらし恥ずかしい事をしているに・・・


いかんいかんいかん!!そんな事考えたらいかんっっ!!





当初はこんなキャラじゃ無かったのに、やっぱり
銀さん達のダメな影響が思考にも及んでるらしい。







・・・とにかく月光を倒さなくちゃ









設置された機銃の威力が高いのか、数発当てただけで
月光はすぐに爆発を起こして破損されていく。





「さすがだな!!ノッてきたぞ!!」


ドレビン!!戌亥大使館は後どれくらいだ!」


ざっと10分って所だな!
それまで持ちこたえさせてくれ!!」


「言われなくてもそうするさ!」







どの道、PMCの兵士の捕虜になったからには
無事じゃすまない・・・・・・





待っていてくれ、すぐに助けに行く!








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後書き(退助様サイド)


退助「さあ、やっとボスの正体も明らかになり
中盤戦に突入です!」


銀時「つーか左眼に眼帯って・・・・といい
あのオッサンといい、九兵衛とキャラ被んだろうが。」


新八「被りませんよ!!
少なくともさんは違いますからぁぁぁぁ!!」


退助「そうそう、万能端末ソリッド・アイだって
何回も説明してんじゃん。」


スネーク「やっと俺が登場出来たか
本来の主人公を忘れてもらっちゃ困るな。」


銀時「おいふざけんなよ酔いどれ親父コノヤロー
ここの主人公はこの俺だ!


新八「だからここの主人公はあくまで
さんでしょうが!!夢主立てろあんたらぁぁぁ!!」