―5日目・日中―





さんさんと照りつける太陽の下


休暇中の隊員達と達、そして万事屋トリオは
レジャープールを存分に楽しんでいた。





にぎやかな声と水しぶきがあがれば


景色と相まって夏の楽園さながらの風情を思わせる







・・・そんな仲間たちの様子を


屋外の甲板にあるサマーベッドに寝かせられていた
が血の気の引いた顔で見つめている。





「うう、この姿で三途に行くとは不覚・・・」





半ば無理やりの説得によって、ワンピース水着の上に
大きめの白いパーカーを羽織って参加しているが


それでも普段よりは断然露出が多いので


気にしてか、半身を起こした状態から若干
身を縮めるようにして座っているのである。





「しかしいい場所だ・・・ぜひ兄上も連れていきたい。」


ポソリと呟いた辺りで、扉の開く音を耳にして





顔を向けた少女の緑眼がストレンジラブの姿を捉える。


「ん、お主は・・・」


「こ、これは奇遇ね。」





炎天下の中でありながらも一切皮膚を露出しない格好で

彼女は、何故かしどろもどろになりながら





「ストレンジラブ殿、だったか?何用だろうか。」


「え、ええ・・・」





すぐ側まで近づきつつ、頬を染めて


の足・太もも・胸・首筋・・・と下から体中を
舐め回すがごとく視線を這わせる。











第8話 陽気がいいとアイツもコイツも活発に











「綺麗な肌ね・・・」





生唾を飲んでからの呟きに どことなく近寄りがたい
雰囲気を感じながらも当人は答える。





「古傷もある故、言うほど綺麗ではない
その褒め言葉は兄上の方が数千倍お似合いだろう。」


「兄の事はともかく・・・十分綺麗よ。
でもあまり日焼けするのはいただけないわ。」


言いながらストレンジラブは更に距離を詰め、そっと
手を握ろうとするのだが


すんでで空振りを喰らってしまい やや眉をしかめる。





「私は特に気にせぬ、焼き鏝に比べれば」


「なんですって!?それはいけない、いけないわ!
女の子は肌を大事にしないと!!」



が、とんでもない一言に反応し 思わず両手でガシっと
逃げた手をつかみながら喰い気味に叫んだ。





興奮している相手に圧倒されつつも平素の能面ぶりで
なんてことないかのようには返す。





「仕事柄、仕方ない故」


だからと言って焼き鏝なんてもってのほかよ!
信じられない!誰、そんなことする奴は!?」



「お、落ち着かれよストレンジラブ殿」


「ああ、ゴメンなさい・・・そんな仕打ちは論外として
とにかく日焼けはダメよ、皮膚を老化させシミやソバカス
最悪皮膚ガンの原因にもなるの!」





早口でまくしたてて話を進めるストレンジラブだが


普段でも若干アレな上に復活したての脳ミソでは
なおのこと難しい話についていけないようだ。





「すまぬが分からぬ・・・噛み砕いて説明頼みたい」


「簡単に言うと、せっかくの肌が傷付いて老けて見えたり
最悪ガンで死ぬことだってそれは困る!兄上と添い遂げ
幸せな家庭も築かぬ内に病にかかり死ぬわけにはいかない!」



目の色を変えて食いついてきた気迫に
ストレンジラブの方がにわかに押されたものの


兄優先でひたむきなを眺める内に





"これはチャンス!"と心の中で呟きつつ
彼女は不穏な光をサングラスの奥の瞳に宿し





「お兄さんに嫌われたくないでしょ?」


「当たり前だ!」


「だから、アナタにこれをあげる。」





言葉とともにポケットから取り出したチューブを


"自分が普段愛用している日焼け止めクリーム"だと
説明しながらフタに手をかける。





「これを塗れば炎天下でも安心よ。」


「なるほど・・・して、どれくらい使えばいいのだ?」


全身に満遍なく・・・ね。
初めてだろうから塗ってあげる。」


「いや、お心遣いは嬉しいのだが自分で」





しかしストレンジラブは素早く手にクリームをつけると


やや盛り上がりのさみしげなの胸に押し当てる。





「な!?」





突然の事だけに虚を突かれた隙を見逃さず


彼女は白く細い指を操って腹を撫で、水着の隙間から
谷間に当たるだろう部位に手を滑らせる。





「ちょ、な、何を・・・」


「綺麗・・・」


顔を寄せて目と鼻の先で、ストレンジラブが呟く。





理由の分からぬ威圧感を感じて逃げようとする少女の
耳元へ口が寄せられ 低いささやきが落とされる





「じっとしてて・・・」







未知の感覚と本能的な恐怖に襲われ





全身から力が抜けて、なす術もなく従うしかなくなった
の足にもクリームが塗りたくられる。





艶かしい動きで指が首筋を撫でると





「っ、ん・・・」


こらえ切れなくなった声が 密やかに溢れる





その様子に潤んだ眼差しを注ぎながら





綺麗・・・ホント綺麗・・・」


ストレンジラブの手が、下半身から水着に包まれた
その内部へと伸ばされ・・・









「「は〜いそこまでえぇぇぇぇぇ!!」」


割って入った銀時との見事な蹴りが炸裂した為





「どあぁぁぁぁ!!」





悲鳴を上げて甲板にひれ伏した女博士の淫行
ギリギリで阻止できたのだった。





「このサイト18禁で通報騒ぎ起こすつもりか
この変態サイエンティストが!」



「あのなぁいくらアンタが同性愛者だからって
闇雲に手ぇ出してんじゃねーよ!」


「おい、大丈夫か?」


「う、うぬ・・・かたじけない、銀時」





気丈に振舞ってはいるものの、瞳の焦点がぼやけ
顔を赤らめて肩を上下させるその表情は


普段の能面振りを留めていながらも


の人となりを知っている男性陣ですら
何かに目覚めさせかねないモノだった。





あわてて三人は、傘持って佇む神楽に
当人を任せて背を向け


なおも接近を試みるストレンジラブからガードする。





「私はただ善意でやっているだけだ、そこを退け!


なーにが善意だ白々しい!俺は聞いてんだぞ?
アンタ、パスにも同じ事してたらしいな?」


「な、なぜ知っている!?」


「ニュークが教えてくれたんだよ!」





たじたじになる彼女へ、たたみかけるように
ボスは剣幕を強めて続ける。





「万が一、にも手を出すようなら俺にも考えが
「グゥアァウオォォォォォォォォォ…!」





唐突に響いた怪物の咆哮が、の説教も
プールを楽しんでいた雰囲気も一瞬でかき消した。





「な、何だ!?


「何これ、どっかで聞いたことあんだけど?」


「大変ですボス!!」





慌てふためいた軍服姿の隊員が、駆け寄って告げる。





「特別ケージに保護していたリオレウスが
暴れています!このままではゲージが持ちません!


「ってオメェあの化け物結局持って帰って飼ってたの?」


「怪我の治療のために保護していたんだ
元気になった証拠なんだろうが・・・マズいな」





放っておくワケにもいかず、五人は着替えをすませて
リオレウスが収容されている特設ベースへ向かった。







手ひどい怪我を負っていたハズの空の王者は





自らを閉じこめるゲージを破壊して自由になろうと
暴れまわるほどに力を取り戻しつつあった。





「グオオオオオオオ!!」





ヒビが入ってゆくゲージと比例するように


「は、早く麻酔を!!」


「駄目だ、あの鱗が邪魔して通用しない!」


「なら電撃で」


「ほとんど効果がない!」


事態の収集を図ろうと試行錯誤する研究員達の
顔色が青ざめてゆくのだが





一向に進展のないまま時だけが過ぎて・・・







ついに耐え切れず壊れたゲージからリオレウスが飛び出す





「うわああああ!?」


「リオレウスが飛び出したぞぉぉぉ!!」


「お、おい・・・どうすんだよこれ?」


「どうするって、止めるしかないだろ!」


「いやいやいや これ止められるアルか?
むしろ殺らなきゃこっちが食われるっぽいヨ」





退避する研究員達に目もくれず、爬虫類特有の
縦に裂けた瞳孔が銀時達を捉えて


一直線に赤い巨体が床を蹴って駆ける。





「グオオオオオオオ!!」


「ぎゃあああああこっちキタアァァァァァ!!」





悲鳴を上げた新八へ大顎を上げて噛み付こうとするが


スレスレで避けられ、身構えた面々を前にして
リオレウスは開いた口へ炎を溜めて火球を





「待って!!」


走り寄ったパスの大声が 直前でその動きを止める。





「みんな、あなたを傷つけたりしないわ。あなたを
助けるためにみんな頑張っているの。信じて・・・!





顔を背けず、彼女はゆっくりと翼竜へ近づいていく。





「ま、待ってパス!危ないよ!!」


リオレウスは人間も食べてしまうニャ!
近づいちゃダメニャ!!」





面食らったチコとニュークの制止も無視され

両者の距離はじわじわと縮まってゆく。


・・・そう、リオレウスもまたパスの前まで
顔を近づけているのだ





「パ、パスさん離れて!!」


「いや待て新八君、少し様子を見よう。」


「でもあれじゃパスが!」


「いつだったか も似たようなことしてたからな
だから、もしかしたら・・・」





リオレウスは、気を許さない視線を相手に浴びせる。





「グルルルルルルルル」


お願い、私はあなたと友達になりたいの。」





目を合わせたままでパスは、そっと手を伸ばし
鱗に覆われた鼻先を触った。





最悪の事態を脳裏に過ぎらせながら


全員が息を呑み、翼竜の次の行動に注目する。





リオレウスはぴくりと体を震わせ・・・・・・







「クウウウウウウ」





穏やかな表情を浮かべると、頭をパスの体に擦りつけた。





「え・・・あれ?」


「し、信じられんニャ・・・あのリオレウスが・・・
人間に気を許した・・・!?





擦り寄ってくるリオレウスを撫でながら





「みんな、大丈夫よ!」


彼女は笑ってそう言うが、さっきの今で
近寄る度胸のある人間は一握りしかいなかった。





「すごいアル!
パスってモンスター使いだったアルか!?」



「モ、モンスター使い?」


「うむ、関心したぞパス殿・・・しかしこの生き物
中々にいい面構えをしている。」





翼竜の側ではしゃいでいる女子組を見て


ようやくや銀時達もその輪に混ざる。





「ったく、心臓に悪いったらありゃしねぇ。」


「パス、あんまり無茶したらダメだぞ。」


「う、うん。ごめんなさい心配かけちゃって。」





やや遠巻きにリオレウスの巨体を眺めていたチコが





そうだ!リオレウスに名前付けてやろうよ!」


思い立ったように、そんな提案を口にする。





「名前?」


リオレウスは学名みたいなものだから、ちゃんとした
名前付けてあげればもっと仲良くなれるはずだよ!」


「じゃ私が名付け親になるアル!
今からお前は定春35号ネ!!」


「何その愛の欠片もない名前!?」





気に入らなかったのかリオレウスは地団駄を踏んだ。





「わわわわわ!?」


「えぇぇ何でヨ!?何で気に入らないアルか!?」


「んな適当すぎるネーミングで気に入ったら
奇跡だっつの、俺がバッチシなヤツつけっから。」





アゴに手を置いた銀時が、間を置いてこう言った。





「よし、今日からオメェはイチゴ・オレだ。
なんか赤いしそれっぽいだろ?」


「グワァ!!」


余計お気に召さなかったらしく、次の瞬間
銀髪天然パーマががぶりと丸かじりされた。





あれ、なんか急に真っ暗に。
あれ、なんかデジャブなんだけど」


「銀さんんんんんんんん!!」


「早く名前付けないと大変なことに!?」


「だな・・・よしパス!お前が決めてくれ!





の名指しに、彼女は目を丸くした。





「え、私!?


「リオレウスもお前に一番懐いているからな。」


「確かに、パス殿にはその権利がある」


「ちょっと三人共!悠長に話してないで早く
決めてあげて!銀さん現在進行形で流血してるから!」



離したげるヨ!銀ちゃんの頭もぎ盗られたら
定春が歯の予防とか出来なくて悲しむアル!」


「どっちに転んでも俺それ噛まれ損じゃね?!」





しばらく考えこんで、パスは翼竜に訊ねた。





「ちょっと安直だけど・・・レウスでどう?」


「・・・クウウウウウウウウ」





気に入ったのか、翼竜は銀時を口から離して喜ぶ。





「あ、気に入ったみたいですね。」


「パスが付けたんだから文句はないネ」


「それもそうだニャ」


よかったよかった、と和んでゆく空気の中





血とヨダレでベトベトになった銀時がさっそく
応急処置を施されていた。





あ゛〜死ぬかと思った。」


「定春に鍛えてもらったおかげネ。」


「あれ鍛えてないからね!?」


「なんだ、鍛錬の一貫では無かったのか
「そんな死一直線のトレーニングはありません!」





一悶着あったものの この日を持って
レウスはMSFで正式に飼われることになった。








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後書き(退助様サイド)


退助「狐狗狸様、お許しください」


ストレンジラブ「謝らなくても大丈夫だR17.9位の
エロだし、この管理人なら笑って許してくれるはず」


新八「どの口が言ってんですか!?」


銀時「バ管理人、そこんとこどーよ?」


狐狗狸「えーと・・・ウチの子の胸の感触は?」


ストレンジラブ「素晴らしかった、手の平に
収まる感じが何とも言えず柔らかさと感度もきちんと」


銀時・新八・カズ「「「教育的指導!!(蹴り)」」」


神楽「当然の結果が待ってたアルな・・・ていうか
何でリオレウスここで出したアルか?」


カズ「そりゃお前・・・
MSFのマスコットキャラとして色々と・・・」


新八「マスコット!?イヤですよ油断したらこっちが
食われそうないかついマスコットとか!!」


レウス「グルルルルルルルル!!」


新八「ぎゃあああああごめんなさい
言い過ぎました許してくださいいいいいいい!!」