―12日目・日中―
太陽光に焼かれるデッキの上で、今まさに
ZEKEとの戦闘が繰り広げられていた。
『有人兵器はAIとは違う!
行動もAIほど単純じゃない!』
有人仕様となった兵器にはプログラミングされた
行動など無く 全て人間の判断で動かされている。
そのためパターンは、ほぼ無い。
降り注ぐ銃弾を掻い潜って砲撃支援パネルへたどり着き
「引き受けたのはいいけど、僕 機械苦手なんだったよな・・・」
四苦八苦しながら新八が操作するのだが
『敵に背を見せるなんて、サムライってマヌケね。』
ZEKEが片脚を上げ、新八を踏み潰そうとする。
「うわああああ!!」
『死んじゃえば?』
振り下ろされた脚が新八へと迫る・・・
だが、寸前でが巨大な脚を受け止めた。
『まさか!?』
その行動に、パスも驚いてしまい初動が遅れる。
「新八君・・・早く・・・!」
「は、はい!」
『小ざかしい・・・このまま踏み潰してやる!』
が、やっとの思いで操作したパネルが間に合って
ZEKEのボディにマーキング弾が着弾し
『地対地誘導ミサイル発射準備完了!ぶちかませ!!』
発射態勢が整って、カズの号令でマザーベースの砲台から
数初のミサイルが放たれて直撃
ZEKEが大きく後退し 2人が距離を取る。
第16話 裏切り展開は鉄板だけど切ない
『くっ・・・!』
「覚悟!」
その隙を逃さず、棒高跳びの要領で飛び上がった
が槍の刃をZEKEへと突きたてる。
だが・・・硬い金属音が鳴っただけで攻撃は阻まれる。
『ZEKEの装甲は均一じゃない!
装甲の薄い頭頂部AIポッドを狙え!!』
「承知した!」
『ハハハハハ!
馬鹿ね、簡単にやらせると思ってるの!?』
笑い声と重なるように頭部の機銃が放たれ
やむを得ずは攻撃を中止し、飛んでくる銃弾を
全て弾き返して防ぎきる。
「カズ!重火器はないのか!?」
『すまん・・・LAWもカールグスタフも 一つも見当たらん。』
MSFの隊員も血眼になって探しているが、何処を
探しても見当たらないらしい
・・・おそらくパスか、ザドルノフが使えないよう
隠したか、廃棄したのだろう。
『ベンセレーモス!!』
そうこうする内、ZEKEからミサイルが発射される。
「避けろ!」
「うわわわわわ!?」
かろうじて避けた3人だが、爆風によるダメージを
受けてしまい体勢を崩す。
その間にZEKEは飛び上がって別のデッキへ移ると
『本当の地獄を見せてあげる!』
そこからレールガンをへと向けた。
遮蔽物のないデッキでは回避が難しく、攻撃して
破壊しようにも今持っているパトリオットでは無理だ。
それを理解し・・・彼は悔しげに顔を歪める。
「パス・・・お前は・・・!」
『あなたが悪いのよ・・・!』
呟いたパスの声は 震えていた。
『あなたがいなければ・・・
こんなつらい思いはしなかった!!』
レールガンの砲身の発電タービンが高速回転し
電気が、砲身全体へと走ってゆく。
『あなたがいなければ・・・私は、私は・・・
こんなに胸を締め付けられながら戦う事はなかった!!』
「何!?」
「パスさん・・・一体どういう」
「苦しいのだろう」
身を起こしながら・・・が彼らの疑問に答えた。
緑眼は 真っ直ぐにZEKEを、パスを射抜いている
「考えてもやはり、今まで皆と過ごした日々での
パス殿の笑みが 全て偽りとは思えなんだ・・・
きっと本心では、あの時間を忘れてなどおらぬのだ。」
『黙れ・・・!』
「偽れどお主の魂(こころ)は"真の平和"を望んでいる」
『黙れ・・・!!』
「自らの枷と組織の影に怯えながらも、平和な時を
平和な場所を・・・平和そのものを望んでいた!」
『黙れ黙れ黙れ!!ダマレェェェェェェ!!!』
の言葉を遮るように、パスとZEKEが咆哮する
『何が平和だ!!目先の事だけを見て
平和になった気でいて、子供を戦争に駆り立てる
この世界が平和であるものか!!!』
パスは、レールガンの引き金を引いた。
「まずい!!」
回避しようにも、レールガンの威力ならば
今立っている甲板ごと吹き飛ぶ。
放たれた弾丸に3人は最悪の事態を覚悟した。
しかし―
「グオォォォォォォォォ!!」
獣の雄叫びが轟き、火球がZEKEを襲った。
それによってレールガンの狙いが反れ 弾丸は
衝撃波と共に空に消える。
「な、何が起こってるんだ!?」
「新八、あれを!」
が指差したその先には・・・・・・
空中を羽ばたくレウスの姿があった。
「レウス!?」
「グワァァァァァ!」
レウスは3人の前に着地し、ZEKEを威嚇する。
「レウス・・・まさか僕らを助けるために!?」
『人間の思想を理解しない畜生が・・・!
邪魔をするな!!』
苛立ったパスが標的をレウスへと定めて
周囲から降り注がれた大量の弾丸がZEKEを襲って
巨竜への攻撃を直前で阻止した。
『な、何!?』
「ボスを護れぇぇぇ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
それは、MSFの隊員達が構えたライフルから放って
ZEKEへと浴びせている銃撃だった。
「何をやってる!そんな武器じゃZEKEに通用しない!」
ボスの制止を聞かず、彼らは攻撃を続ける。
「早く逃げろ!レールガンの巻き添えを食うぞ!!」
「あんたは俺達の祖国を護る為に命を懸けてくれた!」
「だから、今度は俺達があんたの国を護る!!」
「俺達に本当の戦う目的をくれたのは
あんただ・・・VICBOSS!!」
そう言ったのは、ロシア出身の兵士だ。
彼らだけではない・・・・
ニカラグア アメリカ ブラジル フランス イギリス
様々な国からMSFに入った兵士達が
互いと協力し、ZEKEに立ち向かっていた。
『信じられん・・・忠誠的じゃなかった
ロシアや他の奴らも入り乱れて・・・!』
カズはその光景にただただ驚愕していた。
同様に、動揺しているパスへ
「パス!!」
デッキへと出てきた神楽が呼びかける。
「見たアルか?みんなを慕ってここにきた
連中ばかりネ、敵がどんなに強くったって立ち向かう
・・・何でか分かるアルか?」
再び憎悪に表情を歪ませるパスだが、神楽は
言葉を止めようとしない。
「みんなここにいたいからネ!
みんな、平和を自分達の手で勝ち取りたいからヨ!!」
『黙れ小娘がぁぁぁぁぁ!!』
再度、レールガンから弾丸が放たれる。
「「神楽!」」
「神楽ちゃぁぁぁん!!」
いくら夜兎でも、レールガンの直撃を食らえば
ひとたまりもない。
防ぐことも逃げることも出来ず弾丸が空を切って迫り
・・・ニ発目の弾丸は
割りこんだ銀時の木刀によって、明後日の方へと跳ね返された。
「銀時!」
「全く、いつもいい所で登場してくれるな。」
『馬鹿な・・・!?』
「いいかパス、テメェらの組織じゃこいつらを束ねる事は出来ねぇぜ。
一人一人が一騎当千 その上相当の曲者揃いときてらぁ」
を、を、新八を、神楽を・・・デッキに
居並ぶ隊員達を見回してから
「こいつを束ねられるのはくらいしかいねぇ。
腕っ節だけじゃねぇ、魂もだ。」
銀時は、木刀をZEKEに向ける
「どれだけの力を使おうが、いくら世界を支配しようが
決して捻じ曲がらねぇ・・・テメェの掌で踊らされるほど
こいつらの魂は安くはねぇ。」
飛行し始めたレウスの背へ銀時が飛び移ると
竜は、ZEKEへと突撃する。
「こいつら従わせてぇなら・・・強靭な魂を
こしらえてからにしやがれぇ!!」
『この・・・時代遅れの侍がぁ!!』
パスがZEKEを操り、ミサイルと機銃が火を噴く
だがその全てをレウスは巧みに避けて
「てぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
すれ違い様に 銀時がレールガンと本体の繋ぎ目を叩き斬る。
「やった!!」
『よくやった!これで、パスは核を撃てない!!』
『そんな・・・!』
残るはZEKEの破壊となったが・・・
いくら総動員でライフルを撃とうが、決定打が
無い限り破壊が出来ない
手をこまねいているへ
「ジャック!!」
現れたチコが、一つの拳銃を投げ渡した。
「チコ、これは?」
「信号弾発射用の銃を、グレネードを
発射するために改造されたやつだ!」
『待たせたな、ジャック。
ヒューイと研究開発班が急ピッチで改造を施した!』
「ああ、ありがたい。」
涙ながらに、チコは訴える。
「お願いだ・・・パスを・・・彼女を助けてくれ!」
「チコ・・・」
悲痛な声から、"何かあった"と悟る彼だが
今は・・・ZEKEを、パスを止めるのが最優先
そう切り替えて、渡されたガンプピストルを
「パス、遊びは終わりだ!」
ZEKEへ向けて・・・引き金を引いた。
『たかがグレネードなんて避ければ・・・・・!?』
跳躍してグレネードを回避しようとしたパスだが
ZEKEの両脚間接部分から火花が飛び散り
機体が、その場で膝をついた。
『こんな時に・・・!!』
そして ZEKEの頭頂部にあるAIポッドに
グレネードが直撃する。
『きゃあああああああ!!!』
ZEKEは、全身誘爆を起こし
・・・・・・機能を停止した。
『もうZEKEを制御できない・・・!
これまでね・・・』
パスは、諦めて操縦桿から手を離す。
『雷電、いい?お前達という抑止力が
必要とされる以上、真の平和など訪れない。』
語る合間も、ZEKEの爆発が次第に肥大化し
コックピットにも及んで・・・所々から火花が飛び散る
『ひとときの平和幻想の中で、お前達は利用され
陵辱され、最後には、社会悪として棄てられる。
それが、お前達が選んだ・・・道だ!』
そう吐き捨てた瞬間、激しい警報音が鳴り響いて
ZEKEのコックピットが爆発
「きゃあああああああああああああ!」
パスは ZEKEから投げ出された。
「パスゥゥゥゥゥゥゥ!!」
武器を投げ捨ては、パスの元へと駆けて
後を追うようにデッキから身を投げ出した。
「お、おい!?」
「殿!」
彼らの声を背に、彼は真っ逆さまに落ちるパスを
空中で抱き寄せ 庇う様に身体を捻る。
(え・・・何で・・・!!?)
心の中でパスが呟いて・・・
海に 水柱が一つ高々と上がった。
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後書き(退助様サイド)
退助「恋の抑止力編唯一のバトル終了です。」
銀時「唯一?パチモンの俺とバトってたろ。」
カズ「それはカウントしないでくれるか?ていうか
ここは原作だとパスが落ちてくだけなのに何で助けた?」
退助「いや、あの・・・MGS5で・・・
彼女がね・・・死にそうだったから。」
新八「はぁ!?次回作にパスさん出てくるんですか!?」
退助「う、うん。一緒に捕らわれたチコも
そこにいたけど・・・PV見る限り」
あ、これ助からねえわこの二人
退助「って感じたから、ここであえて助けました。」
新八「ちょっそれチコ君も死亡フラグ立ってるってこと!?
どうなってんの次回作!?」
神楽「どうせここでは関係なくなるんだから
気楽に待ってるヨロシ」