白夜叉を先頭に、本拠地を目指して進んでいく六人を
オレ達は見送っていた
「今度の相手は将軍だとよ
まったく デカくでやがったもんだぜ」
どこか他人事めいた真選組の一団へ
「だが今度ばかりは
あの背中 拝むのも最後になるかもな・・・」
「それはアナタ達も一緒」
後戻りはできない、と今井信女は続ける。
「定々を仕損じれば、真選組(あなたたち)も
見廻組(わたしたち)も終わる」
「国が違えど、私達(こっち)も無事ではすまないでしょうね」
「心配いらねーよ」
紫煙を吐き出し、土方が薄く笑って答えた。
「てめーらが殿中でバカ騒ぎ起こせば狸爺の化けの皮も
少しはほつれる、邪魔者が消えた所で俺達は狸鍋なり
狸の丸焼きなりおいしい所を頂くさ。」
「ふん・・・懸命だな。」
「そーいう事・・・だから安心して死んでいきな」
黙って聞いていた沖田が、壁から身を離し
今井信女を挑発にかかり
「っちょっと!争ってる場合じゃ」
「総悟!!」
抜刀する二人に合わせ、俺も銃口を
―側の屋根に潜んでいた奴らへ向けて撃ちこむ
落ちてきた三名の内 死に損ないを信女が仕留めるが
遠くから警笛が響いてくる。
くそ・・・一人逃したか
「思ったよりあの狸爺の皮、ブ厚かったようですぜ」
「覚えておいた方がいい・・・この城中に
お前達の味方は、誰もいない。」
「そう、国を盗るつもりじゃなきゃ みんな死ぬ」
動き出した信女と同時に、俺達三人もまた
それぞれ示し合わせた通りに行動を開始する。
「国盗合戦をかける気があるなら
見廻組(しろ)も真選組(くろ)も忘れた方がいい」
「ついでに国もね。」
第5話 「相手にとって不足なし」って台詞もドキドキします
警笛が敷地中に響き渡り、俺達の足元では
得物を手にした城の兵がわらわらと集まってくる。
「こりゃ、桂さんが見たら喜びそうな光景だな」
「ったく・・・まさかババア一人のために
国盗合戦しかける事になるたぁね」
宇宙へ高飛びだの、シスコンだのと騒がしい
お子様三人組のケンカ(?)はさておいておく
「宇宙の万事屋ってか、そいつも悪かねーかもな」
「蓮蓬ん時に宇宙で色々やらかしたのに?
つか家賃より船の維持費のが高いじゃないか」
「安心せい、やも含めぬしらの身柄は
独立都市 吉原が責任をもって保護しよう」
「吉原の万事屋になれとでもいうのかよ」
「いやオカマBARに丁度人手が足らん」
「「だったら宇宙のがマシだ」」
さて、これからどう攻めていくか・・・
「じゃあこれは国盗ならぬ 玉盗合戦ですね」
アイエェェェェ!?姫様!姫様ナンデ!?
問いただす間もなく神楽と銀さんがケンカし始め
「お前がアレ連れてきたの?
お前があんな下ネタしこんだの?」
「銀ちゃんがいたいけな少女に下ネタばっか
言ってるからこうなるネ!この年頃の少女は
スポンジのように何でも吸収するアル」
「誰がスポンジか牛乳吹いたボロ雑巾が!」
「うっせぇぇトイレットペーパー!!」
「雑巾にして そこはせめてウンコ拭いた雑巾にして」
あまりにもいつも通りすぎるくだらない掛け合いに
そよ姫を始め、俺達も釣られて笑ってしまい
口ゲンカを止めた二人も・・・笑いの合唱に混じりだす
「・・・本当に・・・よいのか?」
身を引くなら今だ、と月詠は言うけれど
「・・・もう遅ェよ 約束しちまったからな」
小指をさらす銀さんと、俺達も同じ気持ちだった。
すると月詠がおもむろに
自分の髪の毛を、少し切って差し出す
「約束じゃ きっと、一緒に生きて戻ると」
新八君や神楽やも迷わず髪の毛を引き抜き
鼻毛を抜いてた銀さんも、クナイを受けた後は
ちゃんと髪の毛を引っ張りだして
各々の指へ・・・相手の髪を巻きつけて
「約束だ きっとジジイと一緒に鈴蘭の元へ帰る」
手を重ねた俺達は、"心中立て"を誓う
「今生の別れは済んだ?」
いつの間にか屋根の端に、音もなく信女が立っていた
「来たか、信女殿」
「まさかのぶめさんも・・・」
「私は見廻組の生き残り
任務を遂行しなきゃいけない・・・それに」
淡々と答えて、コイツは事もあろうに
「斬っていいんでしょ?人・・・」
抜身の短刀を姫様の喉へと突きつけやがった。
「そこをどけモブども」
「姫様ブッ殺すどおおぉぉ」
囲いのど真ん中で、神楽と信女が
そよ姫人質に道を開けさせようと兵達を脅す。
「きっ貴様ら姫様になんという無礼を!!」
「百遍処刑されてもその罪贖えぬぞォォ!!」
「・・・銀さん、生き残ったとしても
俺らもう江戸に住めそうに無いんだがいいのかコレ」
計画のヒドさもさる事ながら
「こんな時に限って姫様迫真の演技なんですけど。」
涙も鼻水もだらっだらの、恐ろしいぐらいに
助けを求めるフリが出来る彼女の度胸にも頭が痛む
「臭いからしゃべんなって言ったよね
何言しゃべった?」
「わ゛・・・わ゛がり゛ま゛ぜん゛」
「じゃめんどくさいから
腕一本「「え゛え゛え゛え゛」」
ちょ!迷いがなさすぎて恐いわぁぁぁ!
血ノリだってわかっちゃいるが、この女なら本気で
切り落としかねないから!てか腕ついてるよね姫様!?
「姫様ぁぁぁ!!」
「ハイ またしゃべったから腕一本。」
「わっ…わかった!!道を開けい!!」
解除された包囲網を突破して、一旦物陰へ潜んだ後
「うまく行ったね。」
満足いった顔でそよ姫が血ノリ取り出しそう言った。
「いや何も上手く行ってないっス姫様。
僕ら社会復帰不可能っス。」
「そもそも何でこんな作戦にしたんです?
しかも、わざわざジョニーから血ノリ借りて・・・」
だが実行犯の三人はこっちの話を聞いちゃいない
「みんなのビックリした顔面白かったね。」
「「「ねー」」」
「「ねーじゃねぇんだよドS三人娘!!」」
「取り乱すなお主ら
この程度、普段のお遊びでは軽い方だぞ?」
「「どんな遊び方してんの姫様ぁぁぁ!?」」
天然Sっぷりはさておき、こっから先は危険だ。
重々承知の月詠もどこかに隠れるよう言うけれど
「お願いします、私も最後まで手伝わせて。」
そよ姫は・・・一歩も引こうとしなかった。
知らなかったとはいえ、舞像さんの想いに気づかず
城に縛りつけていた
けれどずっと、護ってもらっていたから
「今度は私が爺(じいや)の力になってあげたいんです
・・・どんなにはしたないって叱られても。」
凛とした面持ちでそう答える彼女へ、思わず返す。
「はしたなくなんかありませんよ
アナタは立派な一国の姫君です、そよ姫様」
彼女は・・・笑い返して
「ありがとうさん
さあ早く、叔父上はこっちです」
勇ましくも俺達を導こうと駈け出して
不意に足を滑らせ、行く先の階段の段差へ頭を打ち付け
血ノリまみれになって倒れてしまった
「「姫様ぁぁぁぁぁぁあああ!?」」
「ちょっとぉぉぉ コレっ力になりたいって
言った矢先に気絶しちゃったよォ!」
「完全に殺害現場みたいに
なっちゃってるぞぉぉぉぉぉぉお!!」
ダイイング・メッセージまであるし!いやまず
何はともあれ応急処置が先
「こんな所見られたら大変っ・・・」
「バラした方が早い「早くないと
言ってるじゃろーが!!」
「そうとも早まるな信女殿、脈はある」
「「やめてぇぇぇ!(おまえ)が言うと
フラグ確定になるからぁぁ!!」」
「アラやだ私ったらはしたない
アレ・・・はしたないが遅れてくるよ」
「いっこく堂もいい!!つか意味ないから銀さん!!」
ボケ合戦を抑えて、ひとまず治療するべく
神楽に姫を運んでもらい階段の上へ移動していると
「貴様らぁぁぁぁ姫様に何をしたぁぁ!!」
追いついた兵隊が下に殺到してきていた。
「大群が押しよせてくる!!」
「マズイな、この数じゃ一溜りもないぞ」
「国賊めが
全員残らず討ちとれぇぇぇ!!」
「女子供も容赦するなぁぁ」
殺気立って迫る兵達へ、そよ姫を茂みに
放り込んだ神楽が立ちはだかって
「女子供?言ってくれるアル」
傘で攻撃を防いだのを皮切りに
と信女が続いて段上の男達を片付け
階段が崩れ、銃を撃ち込もうとした連中を
月詠のクナイと 別方向からの弾丸が阻害する。
「ならば、止めてみろ」
いまだ集う兵の群れへ月詠が飛び込んでった
「ぬしらが嘲(あざけ)た 女を」
『護ってみなさいよ』
「女の涙で固めた 虚飾の城を」
「貴様らがその名」
「忘れたのならばもう一度しらしめてやろう」
着地した神楽達と、無線からメリルの声が響き
女四人へと襲いかかった城の兵士どもは
『傾城 国崩しに参る』
到底敵うことなく、一斉に沈んでいく。
「やれやれ、おっかないもんだ」
背後の階段からも降りてくる兵隊へ
「傾城5匹がご同行とは」
「将軍を相手取るより、よっぽど骨が折れそうですね」
言葉をかわして、俺達は振り返り告げる。
「悪い事は言わない、援軍を呼んでくるんだな。」
「将軍家直参だかしらねーが、泰平の時代に
なま腐ったてめーらなんぞに俺達の相手が務まるか。」
木刀と銃を抜いて、思い切り地を蹴り
「「「こちとらあのアバズレどもと
毎日戦国時代送ってんのじゃいぃぃぃ!!」」」
叫びながら銀さんや新八君とともに参戦する。
『ジャック、ジョニーとスネークも
そっちに向かってるわ。』
「そうか、お前は?」
『もう少しで合流できそう・・・私達が行くまで
あんまり無茶しないでよ?』
「わかっている・・・っと!」
鼻先に迫ってきた棒の一撃を、身を捻ってかわし
勢いを殺さず腕を絡めて 相手を地面へ引き倒す。
「ぐあぁぁ!?」
「おい!ゴリラと下痢男とヒゲはどこで
しっぽり3Pしてやがんだよ?」
「すぐ合流するっての、急かすなよ!
てかいかがわしい言い方やめろよこんな時ぐらい!」
「そーですよ、そんなだから神楽ちゃんに
トイレットペーパー呼ばわりされんですよ。」
「うっせダメガネ!汚物が溢れかえったトイレの
三角コーナーに本体鎮座してやろーかぁぁ!!」
ケンカしちゃいるが、二人の木刀は的確に
敵を蹴散らしている。
月詠や神楽、や信女も見事なもんだ
・・・しかしながら
江戸城だけあって、詰めている兵達の数も半端無く
侍も合わせたら相当の数倒してるはずなのに
数が減る気配がない。
「なぁどっかで増殖してないか?これ」
「銀ちゃん 一人あたり何人アルか」
「百人・・・二百人、やめた・・・眠っちまいそうだ。」
背中を合わせる俺達へ、銀さんは
"仲間から離れるな"と呼びかける。
「背中は任せて何も考えず
てめーの眼前の敵だけ斬り伏せろ。」
そうさ・・・俺が倒れない限り、誰も倒れやしない
一本の刀になって、壁をぶち抜き
「将軍のあのふざけた城(おもちゃばこ)ぶっ潰すぞ」
狸爺(あのおとこ)にしかるべき報いを
食らわしてやるまでは!
「国盗合戦 開始だあああああ!!」
銀さんを先頭に、本殿に張られた包囲陣へ突入する。
「とっ止めろぉぉぉ!壁だぁぁぁ壁になれぇぇぇ!!」
隊長らしき人間が俺達を将軍の元へ
近づけまいと指示を飛ばすが
叫ぶそいつごと盾を踏み抜いて
「うすいぃぃぃぃいい!!
サガ○オリジナルよりうすいぃぃぃぃぃぃ!!」
とんでもねぇ発言しながら、この人は
文字通りに兵隊をなぎ倒していく。
「サガ○オリジ「聞き流せそして忘れろ!」
空気の読めない追求へ釘を刺しつつ
進軍を邪魔する奴らをことごとくぶっ飛ばす。
「それでもてめーら 将軍の御旗(はた)しょった
幕府軍(さむらい)かぁぁ!!」
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牢の中では、どうにか必死に我慢していたけど
「うぐぅぅぅぅぅ!」
こんな時まで遺伝の腹痛が邪魔するなんてぇぇぇ!
「ったくある程度足止めしたとはいえ、ガトリングや
大砲がまだ数基残ってるんだぞ!」
「わ、わかってる!」
「なら急げ小僧、嫁さんに手柄を取られるぞ?」
痛む下腹を気合で我慢して、アサルトライフル片手に
こちらを捕まえようとやって来る兵達を倒しながら
スネークと将軍のいる場所を目指す。
ジャック、メリル・・・待っててくれ!
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後書き(管理人出張)
狐狗狸:最終的には10人で城内に突入しますが
今回はまだ7人で暴れてます
新八:多いな!?
神楽:てゆうかサブタイ候補も
もいっこあって、うんうん悩んでたアルな
狐狗狸:あっちでもよかったんだけどねー
元ネタに対してあからさますぎる気もして
月詠:相手がよりにもよって"幕府"じゃしな
近藤:それ以上は黙ってて、ずーっと黙ってて
管理人がネタ元の人とかに怒られちゃうから!
銀時:いいんじゃね?もう他のサブタイとかで
ちょこちょこネタ使ってっし
狐狗狸:四巻早く出ねーかなー・・・面白いけど
一〜二年平気で待たされるからなあの人の漫画
新八・土方:お前ら黙れ頼むから!