携帯を巡って佐々木と何があったか知らんが
かつてない程ヘコんだを立ち直らせ
俺達は、姫様の自室へ通され正座していた。
「姫様くれぐれもお静かに これ以上問題を
起こせばこの六転舞蔵の首が飛びますので」
「そよちゃん今日は何する?鬼ごっこでも
しようか「きいてた!?じいやの話!!」
言い合う神楽と舞蔵爺さんはどうでもいいが
「マズイ事になったな」
「ぬしらの知り合いか?あの男」
「「「・・・色々あってな」」」
城に侵入するまではよかったが、よりによって
「厄介な見廻組(ばんけん)が見張ってやがる」
庭の松の木にもたれかかった信女が
こちらの様子を伺っているのが見える。
渡された銀さんの携帯にも、姫の身辺警護が
あの女であるとメールで書かれている。
これは・・・迂闊に動けんな
「こうなったらいっそ姫様に頼んでみませんか
先代将軍に会わせてくれないかって」
「あのいたいけな姫様に、吉原の事情を
どう説明するのよ?」
最もなメリルの言い分へ銀さんも
「そもそも姫様とこうして会ってる事が奇跡に近いんだぞ
この厳戒体制下で他のお偉いさんに正攻法で会えるワケねーだろ」
そう、先代将軍に会うためにはじいやと番犬が
障害となるワケだ・・・と
「つまり自由に城内を動くために
じいやと番犬をまけばいいんじゃな」
立ち上がりながら、月詠が自信有りげに口を開く
「何か策でもあるのか?」
「任せておけ・・・いい加減にしなんし神楽」
「ツッキー」
「この状況で鬼ごっこなどしたら
警備の者達に迷惑じゃ」
「ホラ ききましたか姫様これが大人の意見ですぞ」
成り行きを見守っていると、月詠は缶を取り出し
「ここはおとなしく「缶蹴り」にしよう」
いやなんでそうなるのォォォ!!
第3話 後生でござる!!
「鬼ごっこでは終始走り回って迷惑をかける
だが缶蹴りなら基本隠れんぼじゃ そう騒ぎにはなるまい」
「そっか〜」 「流石は月詠殿だ」
いやそーいう問題じゃねーだろ!!
てゆうかはなんで隣で頷いてんの!?
「まさかアイツ・・・隠れんぼに乗じて
じいやと見張りをひきはがすつもりか」
そんなもん承知されるワケない、俺も新八君と同意見だ。
「いけませんぞデリヘル殿!!缶蹴りなどはしたない!!」
「ホラ見ろ」
「缶を蹴る位ならじいやを蹴りなされぇぇ!!」
「「「そこぉぉぉぉ!?オイぃぃぃぃ
一番はしたないのじいやじゃねーか!!」」」
なんで外に出て四つん這いになってんだ!?
「さあその尖ったヒールで踏みつけてくだされぇぇ」
「G嫌ぁぁぁぁぁ!!」
「東城さんの未来を見てるようなんですけど!!
セレブのおつきはこんなんばっかなんですか!!」
「「「なワケあるかぁぁぁぁ!!」」」
思わずツッコミ返した俺とメリルとジョニーの叫びに
新八君はびくっと身を縮ませた。
当然ながら会話丸聞こえのため信女が近づいてくる
「缶蹴り、爺嫌蹴り…そんなもの認められない」
「げっ!!やっぱ来やがった おい!
お前囮になってあの番犬まいてk」
「断る 逐一首を狙われる身にもなれ」
「オメー言っとくけどそれブーメランしてるよ!
お前もマヨネーズ狂の首狙ってるからね!?」
嫌そうな声の理由は想像がつくが・・・正直
刀抜き出したコイツをどうやって止めるべきk
「爺嫌斬りがいい」
「「お前も参加するんかいィィィ」」
だがしかし、呑気にも姫様はこの女の参加を
笑顔で許可しやがった。
「尖ったヒールよりこっちの方が尖ってる」
「いや尖り過ぎだから
そんなの爺YHAAAAだから!!」
「オイいいいい!どーすんだ結局ジジイも
番犬も参加する事になってんじゃねーか!!」
俺と銀さんは目を合わせ互いに思う
流石にこれはマズイだろ、と
「待って待って流石に警護のアンタが
それはマズイでしょ!!爺嫌死んじゃうし」
「そうそう!穏便に済むようルール変更を」
「じゃあ私が鬼 見つけた人を斬っていく」
「犠牲者増加してんだろーが!!」
「どんだけ人斬りてーんだてめぇ!!!」
そうこうする内、そよ姫と神楽は笑いながら
じいやと新八君は悲鳴あげながら逃げ出していく
「早く缶を蹴って」
「待てぇぇぇぇ
てめーら何勝手におっ始めてんだ!!」
止める間もなくも姫達を追って駆け出し
「ジョニー!アナタはじいやさんの方を追って!」
「わ、わかったよメリル!!」
慌ててメリルが命令して、ジョニーもじいやの方へとついていく。
「いや缶蹴り要素いらねーだろ!」
ツッコミ入れるも、突っ立ってるのはもはや俺と銀さんと信女だけ
「銀時ィィ!!できるだけ遠くに缶を蹴って
時間を稼げぇぇ!!は早く隠れろぉぉ!!」
「黙れぇぇぇぇ!!なんで俺がお前らの
逃げる時間稼がなきゃならねーんだ」
ヤケクソで月詠から少し離れた場所へ移動し
缶が望める地点で ダンボールを使い隠れる。
同時に 銀さんの蹴った缶が
恐ろしい勢いで吹っ飛んで本殿の方へ・・・
「さわがしいぞそよ まったくお前は
いつになったら将軍の妹としての自覚が・・・」
将軍様あああ!?逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
願いも虚しく、缶は将軍様のデコに直撃し
ちょっとした爆発のような衝撃と土煙と爆音が
本殿に巻き起こった。
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」
あまりの事に俺達は室内へと飛び込む
「おっ落ち着け銀時 気を失っているだけじゃ!!」
「貴様ら何してくれてるんだ!!」
「スネーク!?どうしてここに!?」
「いやそんな事言っている場合じゃない!
早く手当しないと・・・!」
「白髪と赤毛とパツキン二人見っけ 缶踏んだ」
「「それ缶じゃねェェェェェェ!!」」
将軍様から足どけろお前!って・・・何してんだオイ
「証拠隠滅しなきゃ
「「「待てェェちょっと待てぇ!!」」」
早まろうとする信女を月詠が抑えたので
オレは手早く将軍様を手当しようと身を屈め
「失礼します将軍様 先代将軍定々様が
お話があるといらっしゃっておられるんですが」
閉じられた襖の向こうから聞こえる声に
荒れた室内と破壊された畳・・・それと白目剥いて
倒れてる将軍様を前に俺達の思考は停止する
挙動不審になった銀さんと信女が逃げようとして
「オイ どこにゆく・・・戻れ
ようやく掴んだチャンスを捨てるつもりかえ」
月詠に脅され部屋へと引き戻される。
「どうした?何かあったかね」
「さっ定々様!」
マズイ!悠長に話し合ってる時間はない
「茂々さんは私の甥 取次は必要ないでしょう
・・・入るよォ茂々さん」
襖が開く前に、慌てて俺達は将軍様を引きずり
布団を用意して・・・どうにか間に合った。
「・・・これは・・・どーいう事でしょう」
「いっ・・・いやだ〜んだから待ってって言ったのに〜ん
将軍様 今 おとりこみ中V」
「ど・・・どうもデリバリー吉原の」
「のぶめと」 「ツ・・・ツッキーでありんす」
布団の中で月詠と信女に挟まれてる将軍様の代わりに
足だけ出してる銀さんがそう答える。
ぶっちゃけ絵面としても字面としても最低な光景だ
(何でオメェらだけ隠れてんだぁぁぁぁぁ!)
(((こんな大人数で収拾つくわけないだろうがぁぁぁぁ!)))
そして俺とメリルはラヴダンボールを使い
部屋の隅に スネークは素早く縁の下へ隠れていた。
それでどーして対話が出来るかって?・・・聞かないでくれ
とにかくロクに動く事の出来ない俺達に代わり
二人羽織で銀さんが動かす将軍様を
侍ってる女二人がフォローして
メシ食いながら先代将軍と対面してるが
・・・どっちの将軍も目が白いよ、これもう
バレっバレだよ時間の問題だろ
「いっ・・・いや〜ビックリしたなもォ〜!!
急に入ってくんだものな伯父上〜!!
ホント勘弁してくださいよ俺メッチャカッコ悪いじゃないスか〜!!」
(なんでそんな軽いノリじゃ
もっと将軍らしく重々しく!!)
(わかるワケねーだろ将軍らしいしゃべり方なんて!!)
こりゃいよいよ先代将軍にCQCでも決めるべきか?
身構えていると、信女が喉に手を当て・・・
「ゴホン 申し訳ありません伯父上
見苦しい所をお見せしましたショーグン」
アイツ声帯模写なんて出来たのか!
・・・でも、何で語尾がショーグン?
「アレ?・・・おかしいな、ショーグンが・・・
遅れてくるよ・・・ショーグン」
((誰がいっこく堂やれっつったよ!!))
「いやまさか堅物の茂々さんが殿中に女子を
連れ込んでいるとは思いもしなんだから」
なんかよく分からん誤解をされつつも
取り敢えずこの場はどうにかなったようで
庭を眺める先代将軍が、見廻組が警護の名目で
城中を見張っていると口走る
「どうやら近頃頻発する幕府要人暗殺・・・
攘夷志士による犯行ではなく幕閣内の派閥争いと睨んでいるようだ」
現在幕府内では現将軍である茂々様派と
一橋の若君を将軍に推す一橋派で分かれている。
そして犠牲者は一橋派・・・なるほど
見廻組が疑いをかけるのも得心が行く
・・・当の茂々様は現在進行形でエライ目にあってるけど。
「気になるのは、見廻組が一橋派の恩恵の厚い組織である事
もしかしたらいわれもない難癖をつけてくるやもしれないよ」
大事な話の最中だが、隣に並んだ将軍様の大惨事が
先代将軍に気づかれないか気が気じゃない
つかパンツまで持って行かれてどーすんだよ!?
「足をすくわれぬよう、くれぐれも言動には」
あああああ!ヤバイ振り向いちま・・・!?
何でそれを被った!!
「キ・・・キャ〜将軍様私のパンツかえして〜!!」
「グハハハハハ悪いパンツはいねーがショーグン!!」
((ダメだもうダメだこれぇぇぇぇぇ!!))
ダンボール内で俺とメリルのツッコミがハモる。
その場しのぎにしても最悪だ、パンツ被った程度で
将軍様だと言い張れるワケがない
てか信女、本物ツボに隠すにしても
ソレはあんまりにもあんまりだぁぁぁ!!
「・・・フフフまったくアナタって人はこんな時に
たくましいんだか図太いんだか」
何であんなんで乗りきれんだよ!?
再び庭へ顔を向け、将軍様の遊興を諌めた
先代将軍から・・・不意に「傾城」の単語が飛び出し
「上様 数々のご無礼お許し下さい・・・
ただ一つお聞かせ願いたく・・・」
顔色を変えた月詠が、姿勢を正して問いかける
「その傾城を・・・
鈴蘭を 覚えていらっしゃいますか」
相手は背を見せたまま微動だにしない
「・・・いえ覚えていらっしゃらなくても
・・・結構です それでも・・・それでも・・・」
月詠は、縋るように必死に頭を下げていた
きっと俺の背後にいるメリルも、月詠と同じ表情をしているのだろう。
「・・・そうか あの鈴蘭が、まだねェ」
静かなつぶやきの後、先代将軍の佇む畳の側へ
雫が数滴こぼれ落ちるのを俺達は見逃さなかった
「鈴蘭・・・忘れるものか・・・忘れられるものか」
声と身体を震わせながら定々が
「その慈愛に満ちた瞳(まなざし)、華やかで
軽やかな立ち振る舞い、滑らかな髪、艶やかな唇
柔らかな肌・・・そして・・・」
庭へ通ずる襖を閉め・・・同時に
「血に濡れた手」
室内の襖を倒して、刀を手にした侍達が
群れをなして乱入してくる。
「また・・・しゃぶり尽くしたいものだねェ」
言いながら向き直った定々は、涎を垂らし
醜悪な笑みを浮かべていた
嵌められた・・・!?
鈴蘭さんも俺達も、この男によって!!
(マズイ、事態は思ったより深刻だ)
(どうするのジャック!?)
(決まってる、ここで定々の頭を撃ち抜く。)
銀さん達や同様、入城の際あらかた武器は没収されたが
・・・俺とメリルは万一を考え一丁だけは死守していた。
が、この姿勢じゃ懐に手が届かんので
ゆっくり手を後ろに回し メリルの懐にある拳銃を
(アレ?何だろう、なんか触り慣れたナニカガ)
「何さらしとんじゃあああああ!!!」
事故だ、と口にする間もなく
胸を触ってしまった俺はメリルに蹴り飛ばされ
銀さん達と一緒に 雪崩れ込む配下に囲まれた。
「し・・・しまった、つい・・・!」
「あにやってんだオメーら、ギャグパート
とっくに終わってるからね?」
冷や汗をかくメリルも程なくこちらに押しやられ
「いやはや泳がせておいて正解だった
おかげでまたいい道具が手に入ったよ」
縁の下に隠れていたスネークも見つかり
部屋の中へと引きずり出される。
「とらえなさい 幕府重臣殺害及び
城中を嗅ぎ回る見廻組局長(ボスイヌ)を
殺害(ころ)してくれた下手人を」
多勢に無勢・・・俺達は捕らわれるしかなかった。
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後書き(管理人出張)
狐狗狸:佐々木さんがどんな状況になったかは
原作もしくはA面でご確認ください
異三郎:簡潔かつ合理的ですね(威嚇射撃)
舞蔵:GYHAAAAAAA!?
新八:やめたげて!
それ以上は死んじゃいますからやめたげて!!
神楽:銀ちゃんもも何やってるネ・・・
けどあのヒゲ親父どっから出てきたアルか?
ジョニー:有事に備えてステルスを使って室内にいたらしいよ?
そよ姫:そ・・・そんな、皆さんが
神楽ちゃんが捕まってしまうなんて・・・!
狐狗狸:あ、アナタの出番は次回もあるんで
ひとまず落ち着いて下さいな姫様