「冥土でメイドと乳こめくりあってろ、
このエロジジイィィィィィィィ!!」
銀さんが渾身の力を込めて木刀を押し込み
エネルギー体があるガラスを破り、博士を
その中へとぶち込んだ。
みるみる内に 機械の身体は消え始める
「消える・・・体が・・・
魂が・・・消えていく・・・!!」
博士は銀さんも道連れにしようと触手を巻きつける
「やめろぉぉぉぉ!やめてくれぇぇぇぇぇ!!」
このままでは銀さんも・・・・・・!
俺はレーザーブレードを引き抜き、
銀さんの元へと駆け出した。
「わタシを・・・・・ワタしヲ・・・
ヒトりにシナいでクれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
AIが暴走しているのか、その声は乱れていた。
次の瞬間
四方から新八君、神楽、タマと俺の攻撃が
博士を貫き・・・博士も同時に動きを止めた。
「ふ・・・・芙蓉ぉぉぉぉぉぉ・・・・」
「さようなら・・・・・・
さようなら・・・・お父さん・・・・・」
涙を浮かべ、タマがそう呟くと
抵抗をやめた博士は跡形もなく消えた。
最後に見せたその表情は
・・・・・・何処か嬉しそうだった。
第五話 自己中の上司はいつか部下に報復される
「良かったのでしょうか・・・これで・・・
芙蓉様に、博士に笑顔をとしたことなのに・・・・」
大粒の涙を流しながら、タマは呟く。
「私の中の芙蓉様は・・・・笑ってくれません
・・・・泣き止んでくれません」
そうだろうな・・・・
機械になって本来の父親ではなくなってたとはいえ
親を 殺してしまったのだから・・・・・
また・・・俺のような子供がここに出来てしまった。
「不安定で思考回路もうまくはたらきません。
逃げ出したい、これが苦しいという感情ですか?
・・・私はどうすればいいんですか?
どうすればこのバグから復旧できるのですか?」
その問いかけに答えたのは、銀さんだった。
「バグじゃねーよ。
それはお前が正常に機能している証拠だ。
だから逃げる必要も恐れる必要もねぇ。
誰にだって壁にぶつかって全部投げ出して逃げてー時はある。
だが苦しい時ってのはテメーの中の機械が
壁ぶちやぶるための何かを産み出そうとしてる時だって
いうのを忘れちゃいけねえ。
その苦しみの中に大事なもんがある事を忘れちゃいけねえ。
みんなめんどくせー機械背負ってのたうちまわって生きてんだ。
そりゃオイルが漏れることもあらぁ。」
皆がタマへと微笑みを見せ、新八君が黙って
ハンカチをタマへと差し出す。
「好きなだけ流せばいい。そんでも止まらねえ時は
・・・俺達がオイル拭いてやらぁ。」
「そうさ、生憎 俺の涙は枯れてるからな・・・
俺の分まで流すといいさ。」
タマは その場に泣き崩れた。
「・・・がとう・・・・・ありがとう・・・みんな・・・」
しんみりした空気をぶち壊すように、辺りから
爆発が巻き起こった。
「ちと暴れすぎたか・・・エネルギーが暴発してやがる。」
「暴発!?ここは江戸中のエネルギーが
集まっているターミナルの地下ですよ!!」
「もし爆発したら・・・・・江戸が吹き飛ぶか。」
源外さんは戦車から降り アゴで戦車を指し示す。
「野郎共!!さっさとここから脱出しやがれ!!」
「源外さん!!何する気だ!!」
「機械技師が起こした事態だ・・・
機械技師が何とかせにゃなるめーよ。」
「無茶です!制御装置付近は危なくて近寄れません!!」
唐突に足場が破壊された。
煙幕が晴れて見えたのは、向こう側に立つタマの姿。
「タマ!何している!!早く来い!!」
「博士が起こした事態です。
家政婦が何とかせにゃなるめーよ。」
言ってタマは 耳に付いていた機械を源外さんに渡す。
「源外様、無線がわりです。指示をお願いします。」
「ちょっと待・・・・」
「タマさぁん!」
タマの元へ向かおうとした新八君と神楽を
銀さんが止める。
「「銀さん(ちゃん)!!!」」
何も言わず、銀さんは戦車へと二人を引っ張る
俺も二人を前から抑えたままそちらへ進む
「・・・・・・行くぞ、タマの願いを無駄にするな・・・」
「やだヨ!銀ちゃん、離して!!
・・・・・・タマァァァァァァ!!」
源外さんは戦車を走らせ、中枢からどんどん離れていく。
手にしたその無線から タマの声が聞こえた。
『護るべきものも護れず生き残っても 死んだと同じ
・・・それはきっと志の死を指しているんでしょう。
機械の私には分かるはずもないと思っていましたが
少しだけ、分かった気がします。
私も護りたいものが出来ました。
何度電源を切ろうともブレーカーが落ちようとも、
この身が滅ぼうとも忘れない・・・・
だから、みんなも私の・・・・こと・・・
忘れ・・・ない・・・で・・』
その声はだんだん弱々しくなっていく。
ここで黙って見てるしかないなんて・・・・・・くそ!!
『そうすれば私・・・・私の魂は・・・きっと・・・
みんなの中で・・・生き続けるから・・・・』
「「「「「タマァァァァァァァ!!!!」」」」」
『お・・・・父・・・・さん・・・・私・・・
友達が出来たよ・・・・機械じゃない・・・・
本当の・・・・・友達・・・・』
タマの声は ふつりと途絶えた
・・・暴発しない所を見るとうまく止めてくれたのだろう。
心なしか 外も静かになっていた。
外では奉行所の面々が機械家政婦の侵攻を
抑えられないまま、苦戦していた。
「隊長!もう弾がない!!」
「諦めないで!!ここで私たちが倒れたら
誰がこの街を護るって言うのよ!!」
「その通りだお譲ちゃん・・・・
よし、一旦BARに戻って体制を立て直すか。」
「何よそのBARって!完全に逃げ腰じゃないのよ!!」
「兄貴!あれ見てくだせぇ!!」
攻め入らんと進んでいた機械家政婦が
一斉に動きを止めた。
同時に 街に明かりが戻っていく。
「隊長!街の光が!」
「やったのね・・・・ジャックが・・・」
「よし!形勢逆転だ!!
ここで一旦BARに戻って体制を立て直すか!!」
「馬鹿だろオメー、やっぱ馬鹿だろ!!」
「馬鹿は放っといて機械家政婦と月光を回収するわよ。」
「「「了解!」」」
地下から爆発が起き、開いた穴から板垣達が現れた。
「ジャック!?何処から出てきてるのよ!!」
「メリルか・・・・・」
「何よ?みんな辛気臭い顔して・・・何があったの?」
「後で話すさ で、状況は?」
「あなた達のおかげよ。
機械家政婦は全機能を停止、月光も同じくよ。」
「そうか・・・・分かった。」
「それと・・・・一回アメリカに来てもらうわ。」
新八君が不安そうにメリルを見やる。
「さんを・・・どうするんです?」
「どうもしないわよ。
ちょっと会って欲しい人がいるのよ。」
「・・・分かった。」
頷いた俺に、銀さんが肩を叩いて
「・・・耳貸せ。」
「ああ・・・・」
小さい声で、ある頼みごとを話した。
「・・・・なるほど、考えたな
分かった 必ず掛け合う。」
「頼んだぜ 。」
・・・そして事件から数日たったアメリカ軍諜報部で
ボディガードを連れてデータが入ったケースを
大事そうに抱えて歩く一人の男がいた。
諜報部長の シュルツ少将である。
「流山め・・・高杉もそうだったが悉く失敗しおって
・・・大将に上り詰める私の計画が台無しではないか
まあいい、このデータをすぐ海に捨てれば
誰も私を疑わない・・・・まだ少将でいられる・・・」
「それも今日でお終いですな、シュルツ少将。」
彼の目の前に立ち塞がったのは
―の上官の キャンベル大佐。
「キャンベル、何の用だ?」
「何の用とは甚だしい。自分が何をしたのか
分からないとは・・・・なあ?ビッグ・ボス?」
「何!?ビッグ・ボスだと!?」
驚くシュルツの背後からとメリル
そしてメイ・リンが現れる。
「シュルツ少将!紅桜事件の関与、攘夷浪士や春雨の内通
月光設計データの不当売買の容疑により逮捕する!!」
アメリカに戻って、メリルから聞かされた時は
驚きもしたが・・・どこか納得もしていた。
紅桜もこいつの仕業だったとはな・・・・・・
「シュルツ・・・お前の苦行でどれだけの人が苦しみ、
どれだけの人が悲しんだのか分かっているのか!!」
「黙れ!江戸の人間がどうなろうと
知ったことではない!実際貴様もそうであろう!!」
こんな奴のために鉄子やタマは・・・・・・・!
「やっぱりあなたは・・・・こんなことならあの時、
頭を下げるんじゃなかったわ!!」
寝耳に水、という俺に説明するように
メリルがボソリと呟く。
「メイ・リンは・・・大好きな衛星画像処理の仕事を
やめさせられそうだったの。
それでもあなたの役に立ちたいという一心で・・・」
「・・・頭を下げた・・・・ということか・・・・」
「ごめんなさい、さん・・・・
こんなことになるなんて・・・」
「ええい貴様ら!何をしている!!
早くこの者共を軍法会議に・・・・」
シュルツが後ろにいたボディーガードに命令し
彼らは、速やかに一歩後ろへと下がる。
「少将・・・残念ながら
軍法会議に送られるのはあなたの方です。」
「何!?まさか貴様ら!!」
「観念しなさいシュルツ!もう終わりよ!!」
「黙れ黙れ黙れ!!どいつもこいつも・・・・
私の邪魔ばかりしおって・・・・・」
拳銃を取り出したシュルツの姿に
我慢は、限界を超えた
「シュルツゥゥゥゥゥゥ!!!」
俺は渾身の力を込めてシュルツの顔面を殴った
「が・・・貴様・・・・上官を殴るとは・・・・」
「残念だが少将、我々FOX部隊は上官だろうと
新入りだろうと間違いを犯した者には容赦はしない。
無論、わしも間違いを犯せばジャックに殴られても
構わないと思っている・・・・・」
「エド!!ジョナサン!!」
「「おう!!」」
メリルの指示で 2人はシュルツを取り押さえる。
「離せ!貴様らなどに!!貴様らなどにぃぃぃ!!」
「見苦しいぞ」
奴の額のど真ん中に 麻酔銃を撃ち込み黙らせた。
「ジャック・・・・・」
「メイ・リン・・・ごめん。
俺なんかの為にあんな奴に・・・・」
「いいの、あなたの役に立てればそれでいい・・・」
俺は辺りを見回し 大佐へと訊ねる。
「・・・そうだ、オタコンかシギントいないか?」
「オタコンはここにいないな。シギントは
探せばおると思うが・・・・どうかしたのか?」
「大佐、シギントに連絡を入れてくれないか?
ちょっと大事なことがあるんでね・・・・」
そう、銀さんに頼まれた用事は
『江戸一番の機械技師とアメリカ一の機械開発者
二人の力でタマを直して欲しい。』という事だ。
この二人が組めば恐らくタマは元通りになるはずだ。
・・・事件から1週間が経ち・・・・
様々な過程を経てタマの頭脳部分は修理されたのだが
『記憶まで保障できない』とのシギントの言葉通り
再びこの世に生を受けたタマは、頭の中が
ほとんど空の状態だった・・・・・・
そこで色々な言葉を教えるために
銀さんがお登勢さんに頼み込み、店に首だけの
タマを置いてもらうことにした。
案外人気らしく、タマはお客さんに囲まれており
そこに桂と・・・緑の目をした女の子の姿もあった。
「・・・・・・・・・・・・」
「どうした?何故黙っている 早く名乗らないか。」
「・・・・人に名を尋ねる時は
まず自分から名乗るのが礼儀だ。」
「いやいやいや、相手は機械だぞ!
・・・まあいい、俺からやらせてもらう。」
少女へため息をつきつつ、桂はタマを見つめた。
「俺は桂小太郎と言ってな・・・革命家をやっている」
「革命家?」
「分からんか?侍だ・・・侍も分からんか?」
「侍・・・・・侍と兵士は知っています。」
「何?ホントか」
「兵士とは殿の事か・・・」
彼女もを知っているらしく、無表情で感心する。
「侍・・・・勇者より魔王より上に位置する大魔王四天王の一人
そして兵士は 大魔王の側近に位置します。」
「いや!違うから!!何それ!?
しかも何故兵士の方が上なのだ!!」
「なんと 侍と兵士は大魔王の配下だったのか!」
「違うんだってばぁぁ!間に受けるな!!」
緑眼の少女へ桂がツッコミを入れる合間に
タマは、うっすら微笑みを浮かべて呟いた。
「私の・・・・大切な、友達です。」
四天王の一人 侍の銀時達は何かをやらかし
三ケツのスクータで近藤に追われていた。
侍より強いところに位置するは・・・・・
そんな銀時と警察の追跡劇を撒き、
源外の家に着いたところである。
「シギント!どうだ?」
「順調だね、胴体も問題なく動くぜ。」
「いやーお前さんの仲間 中々やるな。
一発で機械家政婦の設計をマスターしやがったぜ」
「じいさん。俺は武器、装備に特化された
特別にすごい専門家だ。これくらい朝飯前だぜ!」
長いしややこしいな相変わらず・・・・・
でもこれで・・・タマは元通りだ・・・・・
今回の件で機械家政婦は不当なものとして
扱われている 今後も注意が必要になる事だろう。
万が一バレたら 二度とタマと会うことはなくなる
だから先に手を打ち、警察本部に侵入し
タマに関するデータを抹消しておいた
・・・これで少しタマは安全になったはずだ。
今回の事件に関与したシュルツに対し
大佐は余罪も追及すると言っていたが、
まさかこれ以上何もないだろうな・・・・・
タマ・・・・もし処分されることになっても
・・・これだけは忘れないでくれよ
俺達は・・・・・・お前のかけがえのない
友達だっていうことを・・・・・
芙蓉篇 終
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後書き(退助様サイド)
退助「やっと芙蓉篇を終わらせる事が出来ました。」
タマ「皆様、ご拝読ありがとうございます。」
神楽「うまく合わせたもんアルな ちゃっかり
ヅラとブラコンがいるアル。」
銀時「これ、本当はオタクが来るはずだったけど
クリスマスネタで俺は初対面だっつっちまったから
黒丸にしたらしいぜ?忍者いたら声被るよな」
シギント「誰が黒丸だ!中の人の事は言うな!!」
退助「しかも発生させた不測の事態を
ばらしてんじゃねーよ!!」
シギント「だが江戸の技術も捨てたもんじゃねーな。
下手したらアメリカを越しちまうぜ。」
新八「いやシギントさん。もうとっくに越してます。
天人の技術は、なめたら駄目ですよ・・・」
シギント「しかもネットワークがあそこまで確立してるのがいいな。
アメリカでも独自のネットワークを開発中だぜ。」
退助「原作では本名はドナルド・アンダーソン。
ネットワークを最初に開発したDARPAの局長なんだよね」
シギント「そうそう、俺は世界を繋げる仕事を・・・・
したかったんだが全部天人に取られちまった。」
退助「大丈夫、そこんとこオリジナルで活躍させるから。」
シギント「ありがとよ。」